『真・らぶ・TRY・あんぐる』

倉智せーぢ

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真・らぶ・TRY・あんぐる 十四

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――さて、読者諸兄に質問を一つ。
なんなら、女子の読者に答えていただいても構わないが……どっちみち、強制ではないのであしからず。

Q とても可愛い女の子が、オールヌードに限りなく近い状態でセマってきた場合、男としてはどうしたらいいか?

いま、佑はこういう目にあっている。
当然、相手は水瀬留美である。
「……佑クン…………」
留美は、佑の部屋に招かれて、彼が目を話したすきに――偶然に、であって、別に狙ったわけではないようだが――服を脱ぎだしたのである。
「ね、佑クン……抱いて……」
佑の耳元にこう囁いてしなだれかかってくる留美の格好はというと、外国のブランド物(おそらく、シモーヌ・ペレールあたり)のブラとたぶん同じブランドの揃いなのだろうスキャンティ、更に同じブランドらしきガーターベルトとストッキングを着け、その上にシャネルの5番の香りをはおっている。
要するに下着以外つけていないのだ、視覚的には。
もちろん、学校にそんなものを着けて行っているわけではない。
いくら学園の校則がゆるやかな方だといってもシャネルの5番はまずかろうと思う。
それに、下着も『とっておき』というやつで、留美といえどその『とっておき』を毎日学校に着けていく趣味はない。


そういうことからも判るようにかなり高価ないでたちなのだが、佑にそんなことがわかるわけもないし、たとえわかってもゆっくり鑑賞している余裕などあるはずもない。 
もっとも、こんな場合にゆっくり鑑賞する余裕のある男というのは、かなり場数を踏んでいるか、さもなければ相当に『すけべぇ』なのに違いないと思われる。
「る、留美ちゃん……お、落ち着いて」
お前が落ち着け、まったく……と何処かからツッコミが入っても不思議ではない。
頭は血がのぼりっぱなしでカッカッしてるし、胸は使用中の岩板掘削機のごとく動悸がしているし、顔は紅玉りんごだったらさぞよく売れるだろうと思われるほど赤いし、よくもまあこれで体がおかしくならないものだ、と不思議になってしまう。 それくらいに、佑は見かけとは違ってかなりタフなのである。
「佑クン……あたしのこと、嫌い……?」
涙ぐんでそんなことをいう留美に、佑は由香や媚薬のことなどアンドロメダ星雲の彼方にとんでいったようにすっかり忘れて、思わず抱きしめてしまいそうになった。
が、なんとか制止し、
「嫌いじゃないよ……」
と言い、『でも』の『で』と言いかけたとき、留美の桜んぼのように紅く、くらべるもののないような柔らかい唇が佑のそれをふさぎ、それとともにやわらかく、すばらしい感触の舌が潜入してきた。
「むぐっ……」
キスというもの、普通は頬かなにかからはじめて、次に唇同士が軽く触れる程度のキス、ついで、フレンチキスすなわちディープキスへと進むもの……というのは当然、偏見であるが、いきなりフレンチを奪われた情けない佑は、留美と知り合って以来の、何回目かの強烈なショックをうけた。
それでいまだに正気を保っているのだから、佑もいい加減精神的にもタフではあるのだ。
ファーストキスを奪われてぼけっとしている佑に留美は、
「大好き、佑クン……抱きしめて……きつく抱いて、お願い……ね?」
だのなんだのと口説いたのだが、ショックで一種の心身喪失になっている佑から反応がかえってくるはずもなく……。
結果として、留美は一人寂しく身づくろいをせざるをえなかった。


だがしかし、そんなことで落ち込んだり諦めたりするような留美ではなかった。
「佑クン、 また今度。 し・よ・う・ね?」
そうスタッカートで区切って言い、そのかなり熱っぽい頬に軽く唇を触れさせ、静かに彼の部屋を退出したのであった。
で、帰り道に佑の両親および妹とすれちがったのだが、お互い面識がないため別に何も起こらなかった。

が、もちろん佑自身はそうはいかない。


というわけで、佑は、次の日知恵熱を出して寝込み、学校を休んだ。
留美の行為が原因であることは言うまでもない。
しかし……これまた言うまでもないが、それは単に、留美がまた家に来て彼の家族に会う……ということへの序曲でしかなかったのだ。
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