最強賢者の異世界無双 〜不遇とされた転生賢者はチートと現代知識で世界最強〜

蒼月浩二

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第1章:魔法学院入学編

第18話:最強賢者は約束を忘れない

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 俺は班長になり、パーティメンバーはリーナとエリスに決まった。
 残りの17人は3~4人の班に分けられ、合計で6つの班ができたのだった。

 今日はホームルームだけなので、生徒の大半が帰宅を始める。……と言っても、実家から遠く離れた場所からの入学生も多い。学院敷地内にある学院寮に向かう者がほとんどだった。

「ユーヤ・ドレイク、ひとまず勝負は預けさせてもらうわ。……これは明日の実践訓練に影響が出ないようにするため。それだけ。それが終わったら決闘を受けてもらう。いいわね?」

 俺が返事をする前にエリスはスタスタと歩いて扉の外に出てしまった。
 決闘なんてやりたくないんだがな。

「ユーヤ、私は先に寮の方へ行っているわ」

「わかった。じゃあ今度は食堂でな」

 リーナとエリスは先に帰り、俺だけが残った。他にも何人か残っている生徒がいる。
 残ったのは実践訓練で班長に決まった生徒だ。
 いわゆる班長会議というやつだ。
 班長会議では実践訓練における注意点の共有が議題に上がり、誰でも知っているような基本の確認をした。

 ☆

 眠たい班長会議が終わり、俺は校舎を出ると学院寮に向かう。
 学院寮はタワーマンションかと思うほど巨大な建物だった。何十層もの階層に分けられ、それぞれに部屋が割り当てられている。部屋は全室二人部屋らしい。

 俺の部屋は……八階かよ。面倒だな。
 階段はもちろん、これだけの高階層の建物には上昇魔法陣が設置されているはずだが、移動するのも面倒だ。

 【トグル】オン。
 【最短経路ショートカット】……跳躍!
 まずは上に跳躍し、再度【最短経路】で前にベクトルを向ける。
 俺はジャンプで八階の扉の前まで移動することに成功した。

 扉には鍵がかかっていた。
 事前に渡されていた鍵を使って扉を開ける。

「今日から同室になるユーヤ・ドレイクだ。よろし――」

「ひっ!」

「……」

 俺が部屋に入ると、不審な女が半裸の状態で顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。
 金髪碧眼の美少女。顔見知りではある――リーナだ。
 バスタオルを羽織っただけの半裸の身体からは湯気が上がっているから、シャワーを浴びていたのだろう。

「えーと、なんでお前この部屋にいるわけ……?」

「ど、同室だから……!」

「いやいや……普通男女別で分かれるもんだろ?」

 男女が同室なんてそんなわけがなかろう。

「Sクラスは男子11人、女子9人だから……誰かが男女のペアになるの……だから、この部屋は私とユーヤ……」

 俺とリーナはしばらくの間見つめあう。

「……マジで?」

「……うん」

 リーナはこくんと頷いた。

「わ、悪い! そ、そのだな! 俺は一旦外に出るから着替えてくれ!」

「わ、わかったわ!」

 俺は猛スピードで扉の外に出ると、深呼吸する。
 落ち着け、俺。
 俺はリーナが同室と知らずに部屋に入った。すると、なぜかリーナがシャワーを浴びて着替える直前で、たまたま半裸の姿を見てしまった。
 俺に責任はない。ゆえにセーフ!

 しばらくスーハーしていると、扉が開いた。

「もう入って大丈夫……」

「お、おう」

 部屋に入ると、既にリーナの荷物が端の方に固められているのがわかった。
 ……本当に同室なんだな。

「私はこっち半分を使うから……ユーヤは向こう半分……それでいい?」

 リーナは部屋を二分割しようと申し出てきたのだ。俺としても文句はない。

「ああ、それで問題ない」

 俺の領域に荷物を固めておいておく。家を出てからずっと空間魔法で収納していたが、魔力を消耗してしまうので実体化できるならその方がいい。

「……その、ごめんね。こんなに早く来るとは思わなくて……」

「リーナが謝ることはない。……ちゃんと確認しなかった俺の責任もまあ少なからずあるしな」

「そ、それでどうだった?」

「ああ、めちゃくちゃ綺麗だと思ったぞ」

 リーナの肌は透き通るような透明感があって、若いっていいなと思った。

「ち、違う! そうじゃなくて、班長会議のこと!」

「えーああ、そっちか。基本の確認をして終了だったよ」

「そう……。明日の実践訓練、期待しているわよ」

「ちゃんと仕事はするつもりさ。リーナとの約束のこともあるしな」

 リーナは途端に赤くなってしまう。
 約束というのは、リーナが首席を取れなかったら俺が責任を取る……だったかな。

「実践訓練と私との約束って関係あるの……?」

「ああ、めちゃくちゃ関係あると思うぞ」

 リーナは首を傾げる。
 意味がわからないという様子だ。

「その……一応確認したいんだけど……責任って?」

 ああ、そういえばまだ説明していなかったか。
 リーナも理解していると思っていたのだが、そうではなかったらしい。

「もちろん、リーナが『聖騎士』として何か結果を打ち立てられるように手助けをするってことだな」

「え……」

「だってリーナ言ってただろ? 入学してからでもチャンスはあるって。いきなりチャンスが巡ってきて良かったよ。本当に」

「うん……そうだね……私頑張らないとだね……。そういうことだったんだ……」

 リーナの目が死んでいた。
 なぜだ?
 さっきまで羞恥に悶えたような様子だったのに。
 女ってのは態度がコロコロ変わるもんだと聞いていたが、初めての経験だとよくわからないな。
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