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第2章:第二学院創設編
第3話:最強賢者は足跡を辿る
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昼食後すぐに出発してもうずいぶん歩いた。
リイネの森には既に入っている。この森だけでも大きな都市くらいの大きさはあるはずだ。
この森の浅い場所に【オークの村】があるはずだ。
ただ、ギルドには目撃情報が寄せられただけなので、具体的な場所は冒険者自身で見つける必要がある。
俺はギルドカードを取り出す。
裏面には受けたクエスト名と、クエストの完了欄がある。
【オークの村】の撲滅は自動的に判定され、完了と認められた場合は『済』の印がつくことになっている。
Eランククエストの時にはなかったものだ。……というのも、Eランククエストというのは宅配や肉体労働などサービス労働が中心だ。
この自動判定システムも完全ではないのだろう。お客さんから直接印をもらった方が確実だ。
この辺のゲームシステムはLLOとは少し違っている。
人が関わることで変化しているということだろうか。
「ねえ、ぜんぜんオークなんていないんだけど」
リーナは拾った長めの木の棒を茂みに突っ込んでガサガサと漁っている。
どこに隠れているのかわからないということらしいのだが、多分暇なのだろう。
「森って言っても広いからな。浅い深いだってどこからどこまでと決まってるわけじゃない。今日中にクエストが終われば御の字だよ」
「え、もしかして今日帰れないの!?」
「そんなことはないぞ」
「で、でも日が暮れてからのフィールドは魔物避けがあると言っても危ないし……」
「ん? 俺には【空間転移】があることを忘れたのか?」
一度でも行った場所、あるいは具体的な位置がわかればいつでもどこでも転移することができる。
もちろん夜になったら学院に帰還し、朝になったら改めて出かけるといったことも可能だ。というか、最初からそのつもりでいる。
「心配はないにしてもこんな広い森を何のあてもなく探しても仕方ない気がするけど……」
エリスの言うことも一理あるな。
ゲーム内でアバターを操っていた時はそう広いと思わなかったのだが、実際に自分の足で歩いていると、どこまでも広がっているように錯覚するくらい広い。
かといって手分けして戦力を分散させることもできない。埒が明かないというのも一理ある。
「そうだな、まずは足跡を探してみよう。同時に、洞穴を探せばいい。【村】も人間に簡単に見つかるようなところには作っていないはずだから、索敵無しだとこれくらいしかできないんだよ」
ゲームだと画面の右上あたりにミニマップが表示されていて、モンスターは点で表示されていた。工夫すればできなくもない気がするのだが……このクエストが終わったらちょっと考えてみよう。
俺とエリスはオークの痕跡を探しながら、リーナは木の棒でゆさゆさと茂みを揺らしながら散策すること一時間。奇妙な足跡が見つかった。
「たぶんこれは一匹だな」
「どうしてわかるの?」
とリーナ。
「歩幅が一定間隔だからだな。……それと、多分そんなに時間は経ってない」
見つかった足跡は小さい。
オークの子どものものだろうか。アニメのようにわかりやすく形がついているわけではないが、これはどこからどう見ても足跡だ。
踏み荒らされた様子はなく、まだ形が正確に残っていることから数時間以内についたものに違いない。
「リーナ、エリス。この足跡を辿ってみよう。どこかの洞穴にでもつけばそこが答えだ」
「さすがユーヤ!」
大はしゃぎでリーナが抱き着いてくる。
棒のゆさゆさも飽きていたんだろうな。
リーナとは対照的に、エリスは不思議そうに足跡を見つめていた。
「オークの、しかも子どもが単独行動をするのかしら……?」
「基本的にオークは群れを好むし、子どもが単独行動はしない。……だが、この辺に二足歩行の動物は他にいないはずなんだ」
「……そうなの」
「とりあえず今手掛かりはこれしかない以上、足跡を辿ってみようと思う。違うなら違うで、そこにいないことがわかるだけでも収穫さ」
「そうね。……行きましょう」
足跡はところどころ消えている部分があった。
自然に消えたというとそうではなく、地面が硬い場所には足跡がつかなかったのだろう。
正確にはついているのかもしれないが、目でははっきりと見えない。
途絶えたら進路を予測しながら探すと、続きが見つかった。
折れた草や花なども見つかり、だんだんとその正体に近づいているのだと実感する。
そして――森を抜けた。
「あれ? もう森ないわよ?」
先頭を歩いていたリーナが声を上げる。
森の入り口から北東を歩いていたから、いつかは森を出るルートではあった。しかし、結局何もないまま森を出てしまった。
目の前には太陽の光で宝石のように輝く湖。
あとは無限に広がっていそうな草原地帯。
しかしあの足跡の正体はなんだったのだろう。
草原地帯では足跡を辿ることはできない。せいぜい折れた草を探すぐらいだが……。
「ね、ねえユーヤ! なんか人が倒れてるんだけど! 女の子!」
「なんだって!?」
リーナの元に駆け足で向かう。
するとそこには、確かに少女が倒れていた。幸い、まだ息はあるようだ。
リイネの森には既に入っている。この森だけでも大きな都市くらいの大きさはあるはずだ。
この森の浅い場所に【オークの村】があるはずだ。
ただ、ギルドには目撃情報が寄せられただけなので、具体的な場所は冒険者自身で見つける必要がある。
俺はギルドカードを取り出す。
裏面には受けたクエスト名と、クエストの完了欄がある。
【オークの村】の撲滅は自動的に判定され、完了と認められた場合は『済』の印がつくことになっている。
Eランククエストの時にはなかったものだ。……というのも、Eランククエストというのは宅配や肉体労働などサービス労働が中心だ。
この自動判定システムも完全ではないのだろう。お客さんから直接印をもらった方が確実だ。
この辺のゲームシステムはLLOとは少し違っている。
人が関わることで変化しているということだろうか。
「ねえ、ぜんぜんオークなんていないんだけど」
リーナは拾った長めの木の棒を茂みに突っ込んでガサガサと漁っている。
どこに隠れているのかわからないということらしいのだが、多分暇なのだろう。
「森って言っても広いからな。浅い深いだってどこからどこまでと決まってるわけじゃない。今日中にクエストが終われば御の字だよ」
「え、もしかして今日帰れないの!?」
「そんなことはないぞ」
「で、でも日が暮れてからのフィールドは魔物避けがあると言っても危ないし……」
「ん? 俺には【空間転移】があることを忘れたのか?」
一度でも行った場所、あるいは具体的な位置がわかればいつでもどこでも転移することができる。
もちろん夜になったら学院に帰還し、朝になったら改めて出かけるといったことも可能だ。というか、最初からそのつもりでいる。
「心配はないにしてもこんな広い森を何のあてもなく探しても仕方ない気がするけど……」
エリスの言うことも一理あるな。
ゲーム内でアバターを操っていた時はそう広いと思わなかったのだが、実際に自分の足で歩いていると、どこまでも広がっているように錯覚するくらい広い。
かといって手分けして戦力を分散させることもできない。埒が明かないというのも一理ある。
「そうだな、まずは足跡を探してみよう。同時に、洞穴を探せばいい。【村】も人間に簡単に見つかるようなところには作っていないはずだから、索敵無しだとこれくらいしかできないんだよ」
ゲームだと画面の右上あたりにミニマップが表示されていて、モンスターは点で表示されていた。工夫すればできなくもない気がするのだが……このクエストが終わったらちょっと考えてみよう。
俺とエリスはオークの痕跡を探しながら、リーナは木の棒でゆさゆさと茂みを揺らしながら散策すること一時間。奇妙な足跡が見つかった。
「たぶんこれは一匹だな」
「どうしてわかるの?」
とリーナ。
「歩幅が一定間隔だからだな。……それと、多分そんなに時間は経ってない」
見つかった足跡は小さい。
オークの子どものものだろうか。アニメのようにわかりやすく形がついているわけではないが、これはどこからどう見ても足跡だ。
踏み荒らされた様子はなく、まだ形が正確に残っていることから数時間以内についたものに違いない。
「リーナ、エリス。この足跡を辿ってみよう。どこかの洞穴にでもつけばそこが答えだ」
「さすがユーヤ!」
大はしゃぎでリーナが抱き着いてくる。
棒のゆさゆさも飽きていたんだろうな。
リーナとは対照的に、エリスは不思議そうに足跡を見つめていた。
「オークの、しかも子どもが単独行動をするのかしら……?」
「基本的にオークは群れを好むし、子どもが単独行動はしない。……だが、この辺に二足歩行の動物は他にいないはずなんだ」
「……そうなの」
「とりあえず今手掛かりはこれしかない以上、足跡を辿ってみようと思う。違うなら違うで、そこにいないことがわかるだけでも収穫さ」
「そうね。……行きましょう」
足跡はところどころ消えている部分があった。
自然に消えたというとそうではなく、地面が硬い場所には足跡がつかなかったのだろう。
正確にはついているのかもしれないが、目でははっきりと見えない。
途絶えたら進路を予測しながら探すと、続きが見つかった。
折れた草や花なども見つかり、だんだんとその正体に近づいているのだと実感する。
そして――森を抜けた。
「あれ? もう森ないわよ?」
先頭を歩いていたリーナが声を上げる。
森の入り口から北東を歩いていたから、いつかは森を出るルートではあった。しかし、結局何もないまま森を出てしまった。
目の前には太陽の光で宝石のように輝く湖。
あとは無限に広がっていそうな草原地帯。
しかしあの足跡の正体はなんだったのだろう。
草原地帯では足跡を辿ることはできない。せいぜい折れた草を探すぐらいだが……。
「ね、ねえユーヤ! なんか人が倒れてるんだけど! 女の子!」
「なんだって!?」
リーナの元に駆け足で向かう。
するとそこには、確かに少女が倒れていた。幸い、まだ息はあるようだ。
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