映画館は不倫の巣 8 完

asabato

文字の大きさ
1 / 1

影も形さえもないモノ 1☆

しおりを挟む
 私は本屋に行くことが好きで、色んな本を手にしては楽しんでいる。小説に限らず漫画までも形あるものに代金を払い、手にすることで記憶に残しているのだ。

ネットは繋げは数多くのモノに触れ、自らも表現することが出来るが、影も形さえもないモノはいずれ消えて失う。そんな疑惑だらけのモノに人は何を求めているのだろうか。憧れ、安堵、共感と人を引き付ける魅力があると言うのか?

そんな考え方をしていたら、形ある本屋で『男嫌い』という題名に引き寄せられて購入した。

内容は頷くばかりで『あなたは本当は男好き』と書かれていたのが、目から鱗状態で恥ずかしくなってしまった。

実は男は嫌いだと言いながら、格好つけの嫌われたくない自分が存在してたからである。そして今日は離婚後、再出発の為に冷蔵庫を購入しようと家電量販店に立ち寄っていた。

気に入ったチョコ系の冷蔵庫を見ていたら「いらっしゃいませ、冷蔵庫お探しですか?」

「え!」その時、男に一目惚れした感じを与えてしまった。本を読んだ後なので『男好き』のレッテルを貼られてしまったのを、隠しきれず恥ずかしさを覚えてしまい、販売員の説明が上の空となってしまったのだ。

相手からすると『俺に一目ぼれだな』そう思わせるほど赤面をしてしまい、どうしょうもなく感情を抑えきれなくなった。

「お値引きしますよ」

価格を聞いて「また来ます」

売り場から離れようとすると差し出した名刺には『山口ひろみ』と書かれていた。

・・
数日後、どうしても必要な電化製品なので再び家電量販店に立ち寄る。すると条件反射のように、山口という販売員は居るだろうか?気持ちが先行してしまう。近くにいた女子店員に遠まわしに「この間、冷蔵庫を勧められたので相談に来たんですけど、山口さんいますか?」

「少々お待ちください」

待ってる間、相談なんて誰でもいいのだと思ったのに気付き、それが次第に男好きを白状しているだけだと、再び恥ずかしさを感じてしまう。つづく
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

コント文学『パンチラ』

岩崎史奇(コント文学作家)
大衆娯楽
春風が届けてくれたプレゼントはパンチラでした。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...