癖 20 完

asabato

文字の大きさ
1 / 1

ブログにも書けないくらいバカらしい 1

しおりを挟む
 人にはいろんな癖があるもんだ。それが普通だと思っていても、初めて知ったりすることもある。
 
ある日、陽気がいいので公園をぶらついていると、若者が耳掃除を気持ちよさそうにほじっている。別に珍しいことでもないが、耳かき棒を持ち替えることもなく、そのまま左耳に手を回して器用に耳掻きしてたのは初めて見た光景で、えっ ! と思ったのである。

嘘だろうと、しばらく遠くから見ていても左手に持ち替える事は無かった。利き手の右手で左耳をほじるのが本当だとしたら、俺は今まで何を見てきたのだろう。

もしかしたら、他にも知らないことが沢山あるように思えて興味を示す。考えてみれば人生マラソンとすれば、出遅れのラストスパートか。息絶えそうなラストだが鍛錬すれば、驚異のラストスパートが待っているなんて・・どう生きるかと真面目に考えた。

耳掻きの仕方に刺激を受け考えが変わってしまうと、公園の周りに居る人生までも知りたくなり想像もする。

電話中のサラリーマンの人生は進行形。さっきの耳掻きの若者はこれからの人生。ベンチに寝転びながら競馬新聞を見ている老人は過去の人になりつつあるように、さまざまな人生がここにはあった。

鉄棒がある方に目をやると、集まっている年寄りたちが楽しそうに井戸端会議中で、笑い声が止まないでいる。いったい何がそんなに面白いのか、鉄棒にぶら下がる目的で近づくと、聞こえてくるのは下ネタだった。

俺は・・今は何の興味もなく人生を捨てるように毎日を過ごしているのだ。

下ネタを話す相手も居ないが、己の形あるものの位置がいつも気になり、若い時から左に寄せてないと落ち着かない癖があった。

くだらんが心機一転、右寄りにずらせば新発見があるかもと、その場でポケットに手を入れ右に移動させてみた。

やはり右は落ち着かない、利き手があるようにどちらかに偏るのだろうか。人にもよるのだろうけど、個人的には安定感、安心感で左寄りになっている。そんなバカな事を考えていると、己が洗脳されてしまい活性化してきたのには驚いた。

右寄りの気分としたら何だろうか。落ち着かない気になる刺激・・そんなことを考えている俺は、ブログにも書けないくらいバカらしい事だと、その考え方を恥じた。

動きは挙動不審者であり異物感があり、仕方なくベンチにへたり込む。無頓着を意識しても、形あるものを忘れてしまったように過ごす事は出来ないのだ。

・・
勤めていた頃は仕事に追われていた。今さらだけど、時を戻したいと感じた瞬間でもあった。思い出せば我慢してた理由わけでなくて、仕事や遊びにしてもやるべきことが有りすぎて、それはそれで満足していたのである。言ってみれば興味が無かった理由でもなくて、ただただ忙しくて浮ついた色恋などに芽生えることは無かったのだ。

それが規則正しくあるべき道・・それはそれで今こうして健康でいられるのだろうと感謝もする。

しかし、これからは不摂生しても妻からは心配されず野垂れ死にしても、どうでもいい歳になったんだと自覚する。ただ腹上死だけは避けたいなどと、あり得ないことも冗談で考えたりするのは笑える。

泥酔いしてもヘビースモーカーでも、黙って何処に出掛けるのも勝手だ・・と、まぁそれと比べたら小さな話であるが、形あるもの位置などはどうでもいいことだ・・右だろうが左だろうが、くだらない事まで自由だ。でも、これって不摂生なのか?

・・
久しぶりにOBと飲むことにした。入社当時は全く知らなかったが、会社の行事やらで飲む事から親しくなっていた男だ。

お互いにあまり自分の事を語ることは無かったし、似たような責任を負わさた人生を歩んできたのが気になって、岡本という男を誘っていた。

「なんか久しぶりにうまい酒飲んだ気がする」 

「うまいね」 退職して初めて交わす酒に酔う。

「いいことあったか?」 

「ないけどね・・でも目覚めたね」

「墓場にか?」

「そーうじゃないさ、墓の話は卒業だ。体から湧き出る息吹とでも言うのかな・・あのさぁ 岡さ 右 ?左 ?か」つづく
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。 声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。 使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります) 自作発言・過度な改変は許可していません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...