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2章:ダンジョン調査編 〜未知の法則を探る〜
第10話:火の対策と成虫の襲来
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サナギの外殻が硬くて壊せない——それが前回の戦いで判明した新たな問題だった。
「普通の攻撃じゃダメなら……別の方法でやるしかない」
俺は火の前に座り込みながら、燃え盛る枝をじっと見つめる。炎は岩に熱を伝え、静かに空気を揺らしていた。
「……火か」
ふと、ひとつの考えが浮かぶ。サナギの外殻が物理的に砕けないなら、燃やしてしまえばいいのではないか?
「ファシム、火を使ってサナギを焼いてみろ」
「了解」
ファシムが枝に火を移し、洞窟の奥に向かう。しばらくして戻ってきたファシムは、焼け焦げたサナギの一部を手にしていた。
「効果あり。サナギの内部構造が崩壊した」
「よし……これで孵化する前に潰せるな」
これまで手も足も出なかった硬質なサナギに、ようやく対処法が見つかった。以後、洞窟内でサナギを見つけ次第、火で焼いて処理するようファシムに命じた。
そんな中、洞窟の奥を探索していたファシムの一体が慌ただしく戻ってきた。
「報告。もう一体のファシムが……やられた」
俺はごくりと喉を鳴らす。
「……どういう状況だった?」
「成虫型魔物と遭遇。六体確認。三体が同時に襲来し、残る個体も上空を旋回していた。接触後すぐに攻撃を受け、回避は困難。防御も間に合わず、即座に捕らえられた。羽で視界を封じられ、風圧で動きを封じられた直後、鋭い脚と顎で身体を切り裂かれた。死体は岩陰に落下し、羽に巻かれていたため詳細な確認はできなかったが、動きは完全に停止していた」
言葉を失う。ファシムは俺の分身だ。それでも、やられたという報告に胸が締め付けられる。仲間を失ったような感覚が、静かに心の底を波打たせた。
「……くそっ」
情報を聞いた瞬間、体が強張る。あのファシムが倒されるほどの敵。しかも、成虫型。
「成虫が……来るのか?」
返答を待たずとも、その予感は正しかった。
その場所は一瞬だけ静まった。空気が困り、風が止まる。そして——
洞窟の奥から、羽音が響いてくる。風を切る音が広がり、やがて視界の先に三体の影が現れる。成虫型の魔物だ。羽はすでに完全に乾き、自在に空を舞っている。
「来たか……っ!」
すぐにファシムたちに指示を出す。拠点の入り口を中心に、防御陣を敷く。
同時に、俺は新たなファシムを1体生成した。これで戦力は少しでも増える。岩と枝で組んだ即席の防壁の背後から、火を構えたファシムが次々と応戦に移る。
成虫型は、芋虫型とは比べものにならない。素早い、空を飛ぶ、そして知性すら感じさせる動き。
それでも——
「怯むな!飛ぶ前に叩き落とせ!」
ファシムが火のついた枝を振りかざし、空中の魔物を焼く。
炎は魔物の羽にまとわりつき、ジュウッと肉が焦げる音が響いた。焦げた羽根が崩れ落ち、黒煙が洞窟に立ちこめる。焼け焦げた臭いが空気に充満し、成虫は苦悶の声を上げながら墜落した。一部はそのまま墜落し、残りは岩壁にぶつかって羽を折る。そこを他のファシムが即座に取り囲み、左右から腕を絡めて動きを封じ、地面に叩きつけて討伐。連携が生み出す一瞬の隙が、勝利へとつながっていた。
狭い洞窟の地形がこちらに味方した。成虫の数は多いが、一度に襲いかかれる数は限られている。防衛線を維持しながら、順に倒していく。
同時に、火を持ったファシムがサナギの処理も並行して進める。
だが、全てが順調にいくわけではなかった。奥まった岩の窪みに潜むサナギには、火が届きにくい。枝の炎を当てるために体を乗り出した瞬間、天井近くから別の成虫が急襲してきた。
「危ない!」
別のファシムが即座に飛び込み、火を持ったファシムを庇うように成虫の進路を塞ぐ。ぶつかり合う音、滑る羽音、交錯する影。何とか成虫を押し返したが、一歩間違えば、こちらも犠牲が出ていた。
「やることは多い……でも、止まったら終わりだ」
俺自身は洞窟の中央で指示を出し続けながら、戦況を注視する。成虫型の魔物は手強いが、冷静に数を減らしていけば対処できる。魔物を倒すたび、体の芯が熱を帯びていく。
「このまま……押し切れるか?」
俺は岩壁に背を預けながら、燃え尽きたサナギの灰を見つめた。防衛と掃討が同時進行する中、俺たちは一歩ずつ、ダンジョンを攻略しつつあった。
《現在のファシム数:7体(1体喪失、1体新規生成)》
1体:洞窟の入り口で監視
5体:魔物の討伐
1体:水汲み
「普通の攻撃じゃダメなら……別の方法でやるしかない」
俺は火の前に座り込みながら、燃え盛る枝をじっと見つめる。炎は岩に熱を伝え、静かに空気を揺らしていた。
「……火か」
ふと、ひとつの考えが浮かぶ。サナギの外殻が物理的に砕けないなら、燃やしてしまえばいいのではないか?
「ファシム、火を使ってサナギを焼いてみろ」
「了解」
ファシムが枝に火を移し、洞窟の奥に向かう。しばらくして戻ってきたファシムは、焼け焦げたサナギの一部を手にしていた。
「効果あり。サナギの内部構造が崩壊した」
「よし……これで孵化する前に潰せるな」
これまで手も足も出なかった硬質なサナギに、ようやく対処法が見つかった。以後、洞窟内でサナギを見つけ次第、火で焼いて処理するようファシムに命じた。
そんな中、洞窟の奥を探索していたファシムの一体が慌ただしく戻ってきた。
「報告。もう一体のファシムが……やられた」
俺はごくりと喉を鳴らす。
「……どういう状況だった?」
「成虫型魔物と遭遇。六体確認。三体が同時に襲来し、残る個体も上空を旋回していた。接触後すぐに攻撃を受け、回避は困難。防御も間に合わず、即座に捕らえられた。羽で視界を封じられ、風圧で動きを封じられた直後、鋭い脚と顎で身体を切り裂かれた。死体は岩陰に落下し、羽に巻かれていたため詳細な確認はできなかったが、動きは完全に停止していた」
言葉を失う。ファシムは俺の分身だ。それでも、やられたという報告に胸が締め付けられる。仲間を失ったような感覚が、静かに心の底を波打たせた。
「……くそっ」
情報を聞いた瞬間、体が強張る。あのファシムが倒されるほどの敵。しかも、成虫型。
「成虫が……来るのか?」
返答を待たずとも、その予感は正しかった。
その場所は一瞬だけ静まった。空気が困り、風が止まる。そして——
洞窟の奥から、羽音が響いてくる。風を切る音が広がり、やがて視界の先に三体の影が現れる。成虫型の魔物だ。羽はすでに完全に乾き、自在に空を舞っている。
「来たか……っ!」
すぐにファシムたちに指示を出す。拠点の入り口を中心に、防御陣を敷く。
同時に、俺は新たなファシムを1体生成した。これで戦力は少しでも増える。岩と枝で組んだ即席の防壁の背後から、火を構えたファシムが次々と応戦に移る。
成虫型は、芋虫型とは比べものにならない。素早い、空を飛ぶ、そして知性すら感じさせる動き。
それでも——
「怯むな!飛ぶ前に叩き落とせ!」
ファシムが火のついた枝を振りかざし、空中の魔物を焼く。
炎は魔物の羽にまとわりつき、ジュウッと肉が焦げる音が響いた。焦げた羽根が崩れ落ち、黒煙が洞窟に立ちこめる。焼け焦げた臭いが空気に充満し、成虫は苦悶の声を上げながら墜落した。一部はそのまま墜落し、残りは岩壁にぶつかって羽を折る。そこを他のファシムが即座に取り囲み、左右から腕を絡めて動きを封じ、地面に叩きつけて討伐。連携が生み出す一瞬の隙が、勝利へとつながっていた。
狭い洞窟の地形がこちらに味方した。成虫の数は多いが、一度に襲いかかれる数は限られている。防衛線を維持しながら、順に倒していく。
同時に、火を持ったファシムがサナギの処理も並行して進める。
だが、全てが順調にいくわけではなかった。奥まった岩の窪みに潜むサナギには、火が届きにくい。枝の炎を当てるために体を乗り出した瞬間、天井近くから別の成虫が急襲してきた。
「危ない!」
別のファシムが即座に飛び込み、火を持ったファシムを庇うように成虫の進路を塞ぐ。ぶつかり合う音、滑る羽音、交錯する影。何とか成虫を押し返したが、一歩間違えば、こちらも犠牲が出ていた。
「やることは多い……でも、止まったら終わりだ」
俺自身は洞窟の中央で指示を出し続けながら、戦況を注視する。成虫型の魔物は手強いが、冷静に数を減らしていけば対処できる。魔物を倒すたび、体の芯が熱を帯びていく。
「このまま……押し切れるか?」
俺は岩壁に背を預けながら、燃え尽きたサナギの灰を見つめた。防衛と掃討が同時進行する中、俺たちは一歩ずつ、ダンジョンを攻略しつつあった。
《現在のファシム数:7体(1体喪失、1体新規生成)》
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5体:魔物の討伐
1体:水汲み
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