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† 十二の罪――存在(たましい)滅(ころ)す刃(参)
しおりを挟む「なーに、間の抜けたツラしてんだ。そういうおまえを受け入れるっつっただろ? むしろ、そんなおまえがいいんだよ、俺は。息切れしながら走るぐらいなら歩いてもいい。もし転んでも、俺が手ぐらい貸してやる」
「うん……ありがとう。助けてくれて」
「別に俺はきっかけを作っただけにすぎねーよ」
「そのきっかけに、また――助けられちゃった……ん……だって――――」
消え入りそうに吐露し、三条は声を詰まらせる。
「ったく、みっともねーな。涙は嫌いっつっただろが」
何より、泣き顔を見たことで、後々に理不尽な仕打ちが待ち受けている気がしてならない。
「じゃあどうすればいい――の……っ!?」
潤んだ瞳で覗き込んでくる彼女を、強引に抱き寄せた。
「だから見ないどいてやる。んなもん、とっとと流し尽くしちまえよ」
まだ震えが収まらないのかと思いきや、三条の荒い息に混ざっているのは、くすくすと漏れる笑い声。
「おいちょっと待て。珍しく心配してやったのにおかしくね? どうせアレだろ。いつもと立場が逆だからおかしくなっちゃったよ、みてーな感じだろ」
彼女はゆっくりと離れると、いつの間にか上がった雨に代わって頭上を彩る虹を背に、澄んだ面持ちで彼方を見渡す。
「……むふっ。ううん。ぼくが弱いのはもとからだよ。自分の弱さと向き合えなかったぼくは、強くあろうとするあまり、自分を愛せるのは自分なんだってことを見落としてた――これからは、ぼくがぼく自身を救うよ」
気遣ったのが馬鹿らしいぐらいに、晴れ渡る青空にも負けない笑顔で、三条は口にした。
「てめェらの頭、いや――もう元、か。沢城のじじいは死んだ。うちもみんな死にやがったわ」
平穏も束の間。折を見て林原の切り出した言葉に、衝撃が奔る。
「しょ、所長が!?」
現実に引き戻されたのか、絶句するチーム多聞丸二代目隊長。
「……何か起きてるとは思ったが、ずいぶんとまためんどそうなことになったな」
「正確には俺様以外皆殺しにされた。俺様ァずば抜けて強ェから生き残ったがな。象山の野郎、政府上層部と組んで国盗りでもおっぱじめッ気だろう」
「そーいや茅原に東京が攻められたとき、あいつが軍の防衛網を考えたって――あのとき構成と指揮を確かめたのか」
「それに東京湾にベリアルが降臨したのも…………」
「それも野郎の仕業だろ。アダマースは人間が怪魔に操られるなんて気に食わん教会勢力の後押しでできたぐれェは知ってんよなァ? 悪魔の研究は宗教家ん得意分野。悪魔契約を禁じてやがんのも、妖屠んこと思ってじゃねェ。おそれてやがんだよ、奴らは。悪魔を味方につけて反逆されることを。まあ悪魔に対抗できんのが悪魔ぐれーだからな」
脳ミソまで筋肉でできてんのかと思ったが、万年反抗期なだけで意外と頭いいな。このおっさん。
「あんたはどうすんだよ。古巣に帰るキャラじゃねーのは分かるが、ローマに戻りでもしなきゃ消されるぜ」
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