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† 十七の罪――ともだち(肆)
しおりを挟む「一つ。余からも問うが、貴様程の手練が何故斯様な男の夢物語に助勢する?」
一切の反応を見せていなかったルシファーが、ふと沈黙を破る。
「……友達だから」
彼は静かに、しかし、決然と答えた。
「友達だから……友達と、その夢を守りたいんだ――――」
狂気じみた目力で、喉を震わせ、茅原は呟く。
「世界でたった一人の友達と交わした約束を、邪魔されてたまるか…………」
悪魔たちが意識をこちらに向け始めたようだ。本能的な悪寒が警鐘を鳴らしている。
「そういうことだ。まずは豪華なゲストの皆さんに、邪魔者を排除していただこう!」
茅原が告げると、一斉に彼らは魔力を迸らせた。
「くっそ……もう退魔は勘弁してくれ」
人間のスピードでは勝負にもならないだろう。両足に魔法陣を展開する。
「……やるしかないみたいだね」
三条も覚悟を決めたように、魔槍を構えた。彼女も消耗してはいるが、得物があるだけ心強い。
だが――――
「否、然に及ばず。余のみで事足りる」
おもむろに歩み出たルシファーに、後ろ背で制された。
「……ここはあんたに任せる。奥も一騎討ちで白黒つけたがってるみてーだし」
俺は、象山の気配がある神殿中枢を睨む。
「心得た。然れど、窮地に陥りし刻は余を喚ぶが良い」
「過保護なのか余裕なのかよく分かんねー魔王様だなー。まあマジでヤバい時は呼ぶかもしんねーけど」
微かに表情を崩し、外套を翻すルシファー。
「戯け。ソロモン如きに御されし小兵が如何に集まれど、所詮余には浜の砂に過ぎぬ。お前も心行く迄暴れて来るとせよ」
背中越しに促され、俺たちは先を急ぐ。
「ご主人さま! かような裏切り者なぞ吾輩が――」
「不忠者は手ずから裁くまで。お前は其処な娘を護るが良い」
敵影を見据えたまま腹心の進言に彼が返す言葉には、一切の迷いがない。
「して、貴様ら闇の眷属よ。古の天地に己が名を轟かせた矜持、尚も尽きぬとあらば、此の身に示すとせよ……!」
魔王は圧倒的な多勢を前に、微塵の躊躇もなく鉾を現出させた。いつも通り自信しか見受けられない後ろ姿だが、ベルゼブブが大人しく引き下がったことから、強がっているという訳ではないだろう。
いずれにせよ――ここがじきに、文字通りの地獄と化すことだけは、少なくとも確かだった。
「……どうなっちゃうんだろうね…………」
クモの巣さながらに張り巡らされた回廊を回っている間も、三条の顔からは曇りが消えない。
内部は光源がないのに薄明るく、数メートル幅の通路がひたすら迷宮をなしているだけの光景に、気が遠くなりそうだった。
「何が?」
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