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うんざりする結婚生活
【 レオナード・セイラスの視点 】
もう 女は懲り懲りだと思っていた。
最初の妻は政略結婚だった。
最低限の婚約者の務めは果たしていたと思う。
花嫁検診で経験済みだと分かり、妊娠の有無がはっきり分かるまで結婚したくなかったが、共同事業はとっくに始まっていたので、妊娠してなかったときのことを考えて結婚はした。
他の男の子をセイラスの血が流れた子だと偽られても困るので閨事はせず監視下に置いた。
案の定、月のモノは無く 悪阻が始まり 腹が膨らんできても女は否定した。
結局、胎児の心音を確認して離婚した。
10年以上の婚約期間は何だったのだろうと、無駄な時間を費やしたなと思った。
次の妻は、私に一目惚れをしたと言う。
ハントン伯爵家の令嬢イザベルから求婚状が届き、父上が受け入れたので、結婚した。
イザベルも純潔ではなかったので監視下に置いたが、月のモノが来たので10日後に初夜を迎えた。
好きでもない女など娼婦以下だ。尽くしてもらえる前提でいるのだから。
確かにイザベルは美人ではあったが絶世の美女というほどでもなく、イザベルより綺麗な女は少なくない。
イザベルは物欲が強くあっという間に予算を使い果たして追加を要求した。
この勢いで使われてはセイラス伯爵家は子に継がせる前に消えてしまうだろう。だから最初から厳しく対応した。
『子供じゃあるまいし、計算も出来ないのか?予算は告げてあるんだ。使ったら引いていけばいいだろう。おまえはセイラス家を破綻させようと嫁いで来たのか?
個人の物を売るなり実家に強請るなり 自分で稼ぐなりしてなんとかしろ。来年までセイラス家の金で買い物をする事を禁止する』
そう言ったが本気にせず 数日後に商人を呼ぼうとした。
『もう忘れたのか?呼ばせないぞ。自分の金で町に買いに行け。セイラス家のツケで買い物をしたらこの部屋の中の物を売り払って支払いに充てるか、ハントン家に請求させてもらうからな』
するとハントン伯爵が訪ねてきた。
『少しくらいで目くじらを立てなくてもいいじゃないか』
『少しではありませんよ。セイラス家の金を使う以上、口出し無用です。
普通、妻なら嫁ぎ先の利になるように努めるのが役目では?婚家を食い潰すのがハントン家の方針ですか?』
『大事な娘を嫁にやったのだぞ』
『私は望んでいませんでしたよ。
その大事な娘さんが娶って欲しいと言うから応じただけです。ご不満なら今すぐ連れて帰ってください』
侍従に持って来させていた離縁届をテーブルに置いた。
『…ハントン家で次の年までの買い物を負担しよう。
ところで イザベルの予算はどのくらいなのだろうか』
『クリス、イザベルの帳簿を持って来て見せて差し上げろ』
『かしこまりました』
帳簿を受け取り記された額に顔色が悪くなったハントン伯爵は、帳簿を置き 震える手でカップを持ち、茶を飲み干した。
『これは…間違いでは?』
『請求書を持って来させましょうか?』
『い、いや、』
『まだ2ヶ月でコレですよ。残り10ヶ月分の散財をハントン家で負担なさるのですね?
店にはイザベルの買い物はハントン家の買い物だから請求は直接ハントン家にさせます。
では、話は済みましたので大事な娘さんを呼びましょう。親子の一時を楽しんで帰ってください』
応接間を出てイザベルを会わせるよう指示をした。
すぐに執事が報告に来た。
『ハントン伯爵はイザベル奥様を叱った後、お帰りになりました』
『イザベルは?』
『ハントン伯爵に泣き付いておられましたが、帰るとピタッと涙を止めて、部屋で八つ当たりをしております』
『分かった。引き続き見張らせてくれ』
『かしこまりました』
失敗した。父上に任せずに調査すべきだった。外れを引いてしまった。
それ以来できるだけ避けていた。
だがイザベルは色仕掛けを決行した。
交わったことのない女ならまだしも、既に初夜も終えて妻になっている女に色仕掛けなどされてもその気になるわけない。避ける前までは跡継ぎを産ませるために閨事を続けただけだ。寧ろ嫌悪感を持ってしまった今では抱きたくない。
仕方なく、月に一度だけ子作りをした。
再婚から半年後、父上が突然倒れ3日後に息を引き取った。その後は慌ただしくなった。父上の手伝いの状態だった私に全てがのし掛かる。
なのにイザベルは伯爵夫人になったと茶会やパーティを開こうとしていた。
『おまえは父上が死んでそんなに嬉しいのか』
『いきなりなんですか、レオナード様』
『父上が死んで1ヶ月も経っていないのに茶会やパーティを計画するなんて、常識というものが無いのか』
『直ぐに開くわけではありません』
『一年喪に服して、その後で茶会を許すかどうか考える』
『そんな!私は伯爵夫人ではありませんか!』
『全く役割を果たさず役にも立たないくせに伯爵夫人?いい加減にしてくれ。
パーティや茶会は女主人の母上が決めることだ。おまえではない』
『役割って何ですか!』
『私や母上を支え、使用人達を労い、子を産むことだ』
『でしたら、閨事の回数を増やして、』
『おまえではその気にならないのだから仕方ないだろう。結婚以来おまえの好感度は下がりっぱなしだ。馬鹿みたいに色仕掛けをしてくるところも萎えさせる。
私は忙しいんだ。煩わせないでくれ』
イザベルを叱った後、メイド長の報告を聞いてゾッとした。
『大奥様は お忘れ事が多くなりました』
もう 女は懲り懲りだと思っていた。
最初の妻は政略結婚だった。
最低限の婚約者の務めは果たしていたと思う。
花嫁検診で経験済みだと分かり、妊娠の有無がはっきり分かるまで結婚したくなかったが、共同事業はとっくに始まっていたので、妊娠してなかったときのことを考えて結婚はした。
他の男の子をセイラスの血が流れた子だと偽られても困るので閨事はせず監視下に置いた。
案の定、月のモノは無く 悪阻が始まり 腹が膨らんできても女は否定した。
結局、胎児の心音を確認して離婚した。
10年以上の婚約期間は何だったのだろうと、無駄な時間を費やしたなと思った。
次の妻は、私に一目惚れをしたと言う。
ハントン伯爵家の令嬢イザベルから求婚状が届き、父上が受け入れたので、結婚した。
イザベルも純潔ではなかったので監視下に置いたが、月のモノが来たので10日後に初夜を迎えた。
好きでもない女など娼婦以下だ。尽くしてもらえる前提でいるのだから。
確かにイザベルは美人ではあったが絶世の美女というほどでもなく、イザベルより綺麗な女は少なくない。
イザベルは物欲が強くあっという間に予算を使い果たして追加を要求した。
この勢いで使われてはセイラス伯爵家は子に継がせる前に消えてしまうだろう。だから最初から厳しく対応した。
『子供じゃあるまいし、計算も出来ないのか?予算は告げてあるんだ。使ったら引いていけばいいだろう。おまえはセイラス家を破綻させようと嫁いで来たのか?
個人の物を売るなり実家に強請るなり 自分で稼ぐなりしてなんとかしろ。来年までセイラス家の金で買い物をする事を禁止する』
そう言ったが本気にせず 数日後に商人を呼ぼうとした。
『もう忘れたのか?呼ばせないぞ。自分の金で町に買いに行け。セイラス家のツケで買い物をしたらこの部屋の中の物を売り払って支払いに充てるか、ハントン家に請求させてもらうからな』
するとハントン伯爵が訪ねてきた。
『少しくらいで目くじらを立てなくてもいいじゃないか』
『少しではありませんよ。セイラス家の金を使う以上、口出し無用です。
普通、妻なら嫁ぎ先の利になるように努めるのが役目では?婚家を食い潰すのがハントン家の方針ですか?』
『大事な娘を嫁にやったのだぞ』
『私は望んでいませんでしたよ。
その大事な娘さんが娶って欲しいと言うから応じただけです。ご不満なら今すぐ連れて帰ってください』
侍従に持って来させていた離縁届をテーブルに置いた。
『…ハントン家で次の年までの買い物を負担しよう。
ところで イザベルの予算はどのくらいなのだろうか』
『クリス、イザベルの帳簿を持って来て見せて差し上げろ』
『かしこまりました』
帳簿を受け取り記された額に顔色が悪くなったハントン伯爵は、帳簿を置き 震える手でカップを持ち、茶を飲み干した。
『これは…間違いでは?』
『請求書を持って来させましょうか?』
『い、いや、』
『まだ2ヶ月でコレですよ。残り10ヶ月分の散財をハントン家で負担なさるのですね?
店にはイザベルの買い物はハントン家の買い物だから請求は直接ハントン家にさせます。
では、話は済みましたので大事な娘さんを呼びましょう。親子の一時を楽しんで帰ってください』
応接間を出てイザベルを会わせるよう指示をした。
すぐに執事が報告に来た。
『ハントン伯爵はイザベル奥様を叱った後、お帰りになりました』
『イザベルは?』
『ハントン伯爵に泣き付いておられましたが、帰るとピタッと涙を止めて、部屋で八つ当たりをしております』
『分かった。引き続き見張らせてくれ』
『かしこまりました』
失敗した。父上に任せずに調査すべきだった。外れを引いてしまった。
それ以来できるだけ避けていた。
だがイザベルは色仕掛けを決行した。
交わったことのない女ならまだしも、既に初夜も終えて妻になっている女に色仕掛けなどされてもその気になるわけない。避ける前までは跡継ぎを産ませるために閨事を続けただけだ。寧ろ嫌悪感を持ってしまった今では抱きたくない。
仕方なく、月に一度だけ子作りをした。
再婚から半年後、父上が突然倒れ3日後に息を引き取った。その後は慌ただしくなった。父上の手伝いの状態だった私に全てがのし掛かる。
なのにイザベルは伯爵夫人になったと茶会やパーティを開こうとしていた。
『おまえは父上が死んでそんなに嬉しいのか』
『いきなりなんですか、レオナード様』
『父上が死んで1ヶ月も経っていないのに茶会やパーティを計画するなんて、常識というものが無いのか』
『直ぐに開くわけではありません』
『一年喪に服して、その後で茶会を許すかどうか考える』
『そんな!私は伯爵夫人ではありませんか!』
『全く役割を果たさず役にも立たないくせに伯爵夫人?いい加減にしてくれ。
パーティや茶会は女主人の母上が決めることだ。おまえではない』
『役割って何ですか!』
『私や母上を支え、使用人達を労い、子を産むことだ』
『でしたら、閨事の回数を増やして、』
『おまえではその気にならないのだから仕方ないだろう。結婚以来おまえの好感度は下がりっぱなしだ。馬鹿みたいに色仕掛けをしてくるところも萎えさせる。
私は忙しいんだ。煩わせないでくれ』
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