【完結】見えてますよ!

ユユ

文字の大きさ
13 / 30

作戦

しおりを挟む
【 国王視点 】

次男のエリアスが茶会に来ていた伯爵令嬢と人払いをして3時間以上出てこないと聞いた。

相手はクロノス伯爵令嬢。オヌール公爵令息の婚約者だと言うではないか。

エリアスの侍従のアーノルドを呼ぶと、遅いので伯爵家に使いを出し泊めさせる判断をしたようだ。

無理にでも入って様子を見てこいと言うと数十分後、アーノルドが報告に来た。
膝枕で寝ていたと。今は令嬢が号泣していて手が付けられないらしい。

何が何だかわからない。
泣いたままエリアスの給餌を膝の上で受けている?
オヌール家の婚約者だぞ!?

晩餐で王妃と長男夫妻に話したら、寵妃を迎えるつもりなのだろうという話になった。

食後の茶を飲みながらエリアスを待つとやっと来た。

事情を聞くと、学園で昼休みを一緒に過ごして勉強を、教えているようだ。

だが、それにしても。

オヌール公爵令息とクロノス伯爵令嬢は上手くいっていないようだ。エリアスは、さっきの号泣は多分、長年我慢して飲み込んでいた不満や悲しみが一気に噴出したのだと言った。

何かある。だが、口を割らない。


翌朝、令嬢が登場するとエリアスは嬉しそうに側に居させようとする。
令嬢が“リュカ様”と呼んでいた。
エリアスは世話を焼こうとずっと令嬢を見守り、“リリ”と愛称で呼んでいた。
これは間違いない。

だが、2人とも婚約者が…。

エリアスが6人を調べて欲しいと言い出した。
目的の範囲が不明で、2人とも放課後に執務室へ来るように告げた。




2人が学園から戻るとエリアスは不機嫌だった。
喧嘩でもしたのか。

黙秘!? 契約書!? 
エリアスは死んでも秘密を守ると宣言した。

ちょっと待て!何故リリアーナが昨年のマナとの情事を知っているのだ!日付けまで!

王家の秘密を喋った!?
そんな事をしたら娶るか暗殺かどちらかしか…

成程。もうリリアーナを娶らざるを得ない状況にしたのだな。だがオヌール公爵は…。

その後のリリアーナの境遇は酷いものだった。オヌール公爵家はリリアーナを守らなかったのだな。
痣は絶えず、2度も命の危機にあって、しかも死を受け入れているではないか。

だがこんな話の中でも、何故かエリアスの機嫌がなおって笑顔になっている。まさか、令息に興味がないとか辞退を告げたとかいう話に喜んているのか?

ギフト!? 閨の相手と日付けが見える!?

そういうことか。これはどの道放ってはおけない。





結局私の秘密を打ち明け、考えたいと退室させた。

王太子ウィリアムを呼び、ギフトの部分以外を話した。

「サンドル侯爵令嬢とエリアスの婚約、オヌール公爵令息とクロノス伯爵令嬢の婚約、どちらも破断にさせてエリアスとくっつけたいと?」

「そうだ。今朝言っていたジョアンナの不貞相手は6人。これがそのリストだ。不貞した順に並んでいる」

「最後、近衛騎士!?2人同じ日!?」

「3人で楽しんだのであろう。エリアスと領地へ行った日だ」

「…最初がサンドル侯爵令息」

「一人娘のジョアンナの婚約が決まり遠縁から養子を迎えた。

式前日の検査で引っかかっていたら惨事だった。まだ準備もしていないから破棄と処罰だけで済む。

まず近衛から裏付けをとってくれ。

問題はオヌール公爵令息の方だ。
リリアーナは婚約して以来、公爵令息目当ての令嬢達の餌食になっていて嫌がらせも怪我も絶えなかったようだ。

学園に入ると凍死しかけ、2階から突き落とされたが生還した。
流石にリリアーナは辞退を申し入れた様だが令息が拒否している。

リリアーナは令息に興味はないし、政略でもないようだ。リリアーナの父親が亡くなったので公爵家側しか婚約の経緯を知らない。

令息は婚約を続けるといいつつ不貞をしているようだ」

「少し厄介ですね。身分の高い男の多少の不貞は見逃される傾向にあります。それにオヌール家は王族の血が流れていますから」

「だがあんまりだろう。オヌール家のせいなのにリリアーナを守っていない。その上不貞だ。

しかもエリアスがリリアーナに恋をしてしまった。
片思いのようだが嫌われてはいないと思う」

「まぁ、アレではね。“リュカ”と呼ばせていましたしね」


本当はギフトの持ち主だと言えば王命で解消させてエリアスとの婚姻をさせてやれるが、エリアスが秘密を守ると言うから仕方がない。

「一番良さそうなのはサンドル侯爵令嬢とオヌール公爵令息の不貞ですね」

「仕組めるか」

「エリアスはサンドル侯爵令嬢が不貞をしたから嫌なのでしょうか、それとも」

「最初から好きではないらしい。政略として受け入れたようだ」

「王宮で宿泊込みの晩餐会を開きましょう。親戚交流の名目で招待するのです。
まずは近衛の2人に自白させ、今回は大目に見る代わりに協力させます」




1時間も経たずに騎士2人は自白した。
夜中に警備の交代があり、休もうとしたところ令嬢から誘われたそうだ。令嬢の部屋でが楽しんだ。

名前があがっていなかった騎士は口淫だったそうだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

やめてくれないか?ですって?それは私のセリフです。

あおくん
恋愛
公爵令嬢のエリザベートはとても優秀な女性だった。 そして彼女の婚約者も真面目な性格の王子だった。だけど王子の初めての恋に2人の関係は崩れ去る。 貴族意識高めの主人公による、詰問ストーリーです。 設定に関しては、ゆるゆる設定でふわっと進みます。

最愛の人に裏切られ死んだ私ですが、人生をやり直します〜今度は【真実の愛】を探し、元婚約者の後悔を笑って見届ける〜

腐ったバナナ
恋愛
愛する婚約者アラン王子に裏切られ、非業の死を遂げた公爵令嬢エステル。 「二度と誰も愛さない」と誓った瞬間、【死に戻り】を果たし、愛の感情を失った冷徹な復讐者として覚醒する。 エステルの標的は、自分を裏切った元婚約者と仲間たち。彼女は未来の知識を武器に、王国の影の支配者ノア宰相と接触。「私の知性を利用し、絶対的な庇護を」と、大胆な契約結婚を持ちかける。

私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください

迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。 アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。 断るに断れない状況での婚姻の申し込み。 仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。 優しい人。 貞節と名高い人。 一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。 細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。 私も愛しております。 そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。 「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」 そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。 優しかったアナタは幻ですか? どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に

ゆっこ
恋愛
 王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。  私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。 「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」  唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。  婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。 「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」  ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。

捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。 彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。 さて、どうなりますでしょうか…… 別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。 突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか? 自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。 私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。 それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。 7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

処理中です...