【完結】見えてますよ!

ユユ

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結婚

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王子の既成事実と事後承諾、婚約となれば余程のことがない限り王子妃は決定らしい。

私は城に移り住み、学園に通い、私の雇った講師達は引き続き講師として城に教えに来ている。

フランシス先生以外は王子妃教育を任された実績となり喜んでいる。
フランシス先生は別の意味で喜んでいた。

「はぁ!騎士様素敵!!」

「「……」」

「あの女性騎士、体格が良くて筋肉もしっかりついて最高だ!ここは天国だ!!」

「「……」」



外へはリュカ様と3人で堂々と行っている。


ある日フランシス先生が彼氏を連れて来た。力比べが凄いそうだ。腕を組み、腕を押し倒す競技?も騎士団を全員負かしていた。

フランシス先生の目は、惚れてます!と言っていた。



実はリュカ様が私達の外出に後追いして来た時、お花摘みの間にリュカ様が牽制したらしい。

それに対して、

「確かにリリアーナは可愛い子だけど、私の好みではない。私は逞しい肉体に惚れる。女も体格が良くしっかりと筋肉がついていないと勃たない。

だから、殿下も好みではない。
気取った筋肉は燃えない。だから騎士は騎士でも近衛騎士よりも辺境の屈強な兵士が好みだ」

「……王宮騎士も遠慮のない筋肉の騎士がいるぞ」

「 !! 」

「取引をしないか。
私はリリアーナが好きだ。あんなクソ公爵令息なんかより何百倍も大事にする。私の婚約者は処女ではなさそうなので破棄となる。

そこでだ。講師陣をまとめて、王子妃教育をこっそり施してくれないか。

貴方達の教え方でいいがカリキュラムを渡す。それを軸にして欲しい。

婚約者に決まれば王宮に入っていい。婚約中に城に住むことになれば、そのまま講師陣を雇い続けるから王宮へは出入り自由だ。

リリアーナが払う報酬とは別に、王子妃教育の報酬を全員に払う。どうだ。逞しい女性騎士もいるぞ」

「すぐやります!」

フランシス先生!?私が雇ったのに…。


つまりあの時にはもう私を好きで王子妃にする作戦が始まっていたということになる。




卒業するとすぐに式を挙げた。

出来ない日以外は毎日リュカ様が私を抱くので、陛下が伯爵に“仲が良過ぎるから婚姻を早めたい”と申し入れたそうだ。

苦い避妊薬はのんでるんだけどね。




兄様はマリエッタ義姉様と婚姻をし、男児が産まれている。

王太子夫妻にも王女が産まれた。
王太子殿下は跪いて神様に感謝していた。

「命拾いしました!」



後でリュカ様が、

「兄上は政略結婚なんだが、王太子妃が兄上を異常な程好きなんだ。子が産まれず、別に妻を娶ることになったら殺されるんじゃないかと心配していたらしい」

……気をつけよう。

「俺達の子作りに希望はある?」

「…まだ早いと思います」

「俺もあと5、6年は蜜月を味わいたいから良かった」

まさか…私干からびちゃう!

その後、陛下には

「リリアーナが25歳になったら考えます」

「は?」

「それまで蜜月を満喫しようと思いますので邪魔しないでくださいね」

「リリアーナは同意したのか」

「はい、当然です」

「…怪しいな」

「子は早いと言っていました」

「……あまり人数を望めなくなるぞ」

「大丈夫です。リリアーナさえ居れば子が居なくてもかまいません。どうしてもというなら2人作りましょう」

「何故だ」

「リリアーナの気持ちが子に流れてしまいます」

「……」

「ひとりだと集中しそうでダメですが、2人なら分散し、いつの間にか独立です」

「……」

その後、陛下に聞かれて

「急いでいません。ただ(蜜月が)怖いです」

「耐えられなくなったら侍女長に申し出てくれ」

「ありがとうございます」

「早めにな。限界まで我慢しては駄目だぞ」

「はい、陛下」





あまりの濃密ぶりに敷地内に別棟が建てられた。
防音仕様になっている。

私達はそこに移り住んだ。渡り廊下で繋がっているけどね。リュカ様は遠慮せずに済むと大喜びだった。

え!!あれで遠慮していたの!?




そして王太子妃には双子が産まれた。
王太子にそっくりの男の子と王太子妃にそっくりの男の子だった。



25歳になろうとしていた私は子が欲しくなった。

リュカ様に子が欲しいと言っても答えは“まだ早い”だった。

フランシス先生に相談してみた。恥ずかしいけど助言通り言ってみよう。



「リュカ様」

「まだ早い」

「でも、リュカ様の子種で孕みたいの。子宮で貴方の細胞と結合した証拠が育まれるのよ。

私を孕ますことができるのはリュカ様だけなの。お願い!25歳の誕生日のお祝いにご褒美をちょうだい」

効果的面だった。
数日後の誕生日は日付けが変わってから丸1日寝所に籠り注がれ続けた。

その後は1週間閨を休み、再開と共に避妊薬を飲まされた。

つまり、チャンスはあの1日だけだったのだ。




「ありがとうリュカ様」

「……」

見事に妊娠した。
妊娠中は閨もあまり出来ないので不機嫌だった。
悪阻中はあまり近寄らせなかったので益々拗ねた。
安定すると、リュカ様は仕事以外は離れず、早い時間に抱いた。

深夜に抱いて急変すると困るかららしい。




産まれたのは女児だった。
私とリュカ様どちらにも似ていた。
髪はリュカ様の金髪、瞳は私の紫。
名前はリアーヌ




そして王太子夫妻の子で、双子の王太子妃様に似ている方の男の子カイルが、1歳になってお披露目を迎えたリアーヌに向かって

「リアーヌは私がもらう」

そういうとリアーヌにべったり付き纏う。

昼寝も一緒。5歳の子でも1歳の子を抱っこするのは大変だが、ずっと抱っこ、膝の上、添い寝だ。
背負い紐を乳母からもらい、リアーヌを背負っている。

そんな最中に王太子殿下が国王となった。

先に産まれたのはカイル。次がヘイルだったが、

「私はリアーヌと生きていくので王太子はやりません」

「……」


当然ながら、カイルの姿が見えないとリアーヌはぐずり、夜も一緒に寝ていないと大泣き。

リュカ様と王妃様は、

「中身も私に似たのね」

「刷り込みだな」

「私以上かもしれないから嫁に出すのは諦めて」

「条件はリアーヌへの忠誠と金だ」

「お金?」

「浮気や心変わりは許さない。
これだけ側にいればまともな公務は出来ない。
だとしたら早いうちから個人資産を貯めさせてくれ。貧乏な男にやるつもりはない」

「そうよね」

「あと問題は学園だ」

「あ~」

「カイルは入園を延ばすだろうな」

「そうね」




血が近いが法律違反ではない。リアーヌが成人を迎える時に確認することになった。




リュカ様はカイルのおかげで早く私を独り占めできて嬉しそう。でも娘も愛して欲しい。

「私なりにリアーヌも愛しているが、やっぱりリリアーナは特別だし、リアーヌは嫁にやる子だ。

それにカイル、あいつはヤバイ。頭脳派の執着型だ。王妃様の血を凝縮している予感がする。

でもそれは一番にリアーヌを思ってくれる証拠でもある。リアーヌの敵は徹底的に排除していくだろう。リアーヌにとって最強の護衛となる」

そういう見方も出来るのね。

「婚約するときは俺が署名した契約書と同じ物を用意させるから大丈夫だ」

「リュカ様、もうひとり……

「駄目だ!」

結局子は授からなかった。だけど幸せだった。



あの頃のことが遠く感じる。
私のギフトは活躍の場はあまりない。
王族と親族の婚姻の時だけだ。
後はリュカ様が私だけだと実感するため。

「リリアーナ、どうしたの」

「口付けをして欲しいの」





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