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逸材
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被験者が収監されたと連絡が入り、仕事が終わった後に向かった。
獣化しても耐えられる部屋に移されていた。
「罪状はなんですか」
「サローンという雄で獣化できません。狩猟道具を持ちキツネ領に入って罠を仕掛けたり弓で野狐を仕留めていました。食肉用と毛皮目的です」
「領境を越えたのですね?」
「はい。警備中の飛行隊に見つかり捕らえられました」
「ありがとうございます」
檻の中に入り、食糧と飲み物を目の前に置いた。
「食べていいのか」
「その前に怪我の具合を診ます」
「どうせ処刑だろう」
「恩赦という言葉がありますから」
傷を手当てした後に薬を渡して飲ませた。ファニアが選んだ薬草を足した薬だ。
飲み干したので薬瓶を回収して檻の外に出た。青目の兵士と一緒に座って待った。危険なほど暴れた時に凍らせてもらうために付き添いを頼んでいた。
数分後
「うっ!」
囚人が苦しみ出した。胸を押さえている。体を硬直気味に痙攣をさせた。徐々に肌に鱗が現れ体が大きくなっていく。牙が伸び尻尾も翼も出てきた。
「これは…すごい」
青目の兵士が立ち上がり驚愕していた。
僕もこの瞬間を焼き付けるように目を見開いて見守った。
「グオオオオオオオッ」
ドスン!!
獣化出来なかったはずの囚人がドラゴンに獣化したが、石床に完全に倒れ込み動かなくなった。眼球も動いていない。
「エリアス様、こちらでお待ちください」
鉄格子の扉を開け、青目の兵士が確認のために近寄った。
「…死んでいます」
僕も入って心音や呼吸を確認した。
「蘇生の可能性もあるから様子を見たい」
「では檻の外で待ちましょう」
座ったり歩いたりして待つこと1時間。囚人は生き返えらなかった。
翌朝の後宮健診を終えた後、領主である父に報告した。
「すごいじゃないか!ついに成功だな!」
「まだ1体ではなんとも。偶然なのかもしれません。今回の獣化に条件があるのかもしれませんし。薬の配合割合が問題なのか何か足りないのか分かりません。死んでしまっては成功とは言えません。まだまだ時間が必要です。昨日の兵士には口止めをしました。
「私からも口止めをしておこう。それに被験者を集めないとな。昨日の囚人は解剖してみなさい。
口の堅い者達を集めるから優先的に取り組んでくれ」
「ありがとうございます」
「それと、見合いはどうだった?」
「ラヴィ嬢は積極的でした」
「気に入ったなら手紙でも出しなさい」
「はい」
「エリアス、ファニアの機嫌がかなり悪いらしい。あの子にそんな一面があるとは思わなかった。一時 世話係が怖がって近寄れないほどだったらしい。何か知っているか?」
ファニアが?
「全く分かりません」
どうして僕に聞くんだろう。分かるわけないのに。
「もしかしてリガス殿と喧嘩でもしたのでは?ファニアはリガス殿が好きらしいですから」
「え!?」
何でそんなに驚くんだ?彼がファニアを口説いていることは知っているだろうに。
「僕には経験がありませんが痴話喧嘩とかいうやつじゃないですか」
なんだか腹が立ってきた。
「ファニアのことは母上に聞いてください」
「そ、そうか。分かった」
後宮に戻り仕事をした後に昨日の被験体の解剖を始めた。人化体より気持ち的に解剖しやすいけどドラゴンの獣化体の解剖は体力的に骨が折れる。内臓1つとってもすごく大きい。討伐隊員に手伝ってもらえて良かった。彼らはその場で解体することもあるから手慣れている。
「これは…」
心臓が真っ黒だ。サイズを測ると肥大しているのが分かった。心臓を取り出して切り開いたが疾患はない。他の臓器にも問題はない。つまり試験薬が心臓に大きな負荷を与えたということだ。血流が集中し過ぎたのか?
次は分量を減らしてみよう。体重と薬の量と配合量を記録しないと駄目だな。人化状態の体重と獣化状態の体重どちらも把握しておかないと。身体のサイズと薬の量が関係しているのなら、どちらの体重が影響するのかも調べないと。
一番厄介なのは獣化したドラゴンの姿のこれの重さを量ることだ。一番大きな秤を用意しないとな。秤に乗るサイズにまで細切れにしなくちゃならない。人化のサイズと獣化のサイズが比例していたら計算だけで済むのだけど…。
「重さを量るのが得意なやついますよ?」
「え!?ドラゴンも!?」
「そいつ変態なんですよ。雌なんですけど獣化するとデカいんです。それでオレ達を持ち上げてブツブツ言ってるんです。何してんだって聞いたら、自分より重いドラゴン獣人と結婚するんだって」
「…そうか。彼女はどこのお嬢さんなのかな」
「お嬢さんだなんて。あいつは…人化中の見た目は可愛いもんですが、一度獣化すれば化け物ですよ」
ドラゴンが化け物扱いするドラゴンって…
「そいつ、討伐隊員ですから呼んできますよ」
「急だと悪いから」
「構いませんよ」
そう言ったじゃないか…
「おい。乙女を急に呼び出すな」
「ごめん、ジュシア…痛い痛い」
「夜勤前なんだぞ」
「ごめんなさい」
小柄の可愛いドラゴン獣人が、呼び出した討伐隊員バルトの頬を抓っていた。
「ジュシア嬢、呼び立てて申し訳ない。僕はエリアス。後宮医になったばかりで今は見習い期間中なんだ。処刑の決まった囚人で実験もやっているんだ」
「討伐隊所属ジュシアです。何故私を?」
「実は被験者になった罪獣人の重さを知りたいんだ。今のところ細切れにして秤で量っていくしか手段がなくて」
「…次は刃物を入れる前に呼んでください」
「申し訳ない」
ジュシア嬢は可愛い人化から強面の巨大ドラゴンに獣化した。
「!!!!!」
獣化しても耐えられる部屋に移されていた。
「罪状はなんですか」
「サローンという雄で獣化できません。狩猟道具を持ちキツネ領に入って罠を仕掛けたり弓で野狐を仕留めていました。食肉用と毛皮目的です」
「領境を越えたのですね?」
「はい。警備中の飛行隊に見つかり捕らえられました」
「ありがとうございます」
檻の中に入り、食糧と飲み物を目の前に置いた。
「食べていいのか」
「その前に怪我の具合を診ます」
「どうせ処刑だろう」
「恩赦という言葉がありますから」
傷を手当てした後に薬を渡して飲ませた。ファニアが選んだ薬草を足した薬だ。
飲み干したので薬瓶を回収して檻の外に出た。青目の兵士と一緒に座って待った。危険なほど暴れた時に凍らせてもらうために付き添いを頼んでいた。
数分後
「うっ!」
囚人が苦しみ出した。胸を押さえている。体を硬直気味に痙攣をさせた。徐々に肌に鱗が現れ体が大きくなっていく。牙が伸び尻尾も翼も出てきた。
「これは…すごい」
青目の兵士が立ち上がり驚愕していた。
僕もこの瞬間を焼き付けるように目を見開いて見守った。
「グオオオオオオオッ」
ドスン!!
獣化出来なかったはずの囚人がドラゴンに獣化したが、石床に完全に倒れ込み動かなくなった。眼球も動いていない。
「エリアス様、こちらでお待ちください」
鉄格子の扉を開け、青目の兵士が確認のために近寄った。
「…死んでいます」
僕も入って心音や呼吸を確認した。
「蘇生の可能性もあるから様子を見たい」
「では檻の外で待ちましょう」
座ったり歩いたりして待つこと1時間。囚人は生き返えらなかった。
翌朝の後宮健診を終えた後、領主である父に報告した。
「すごいじゃないか!ついに成功だな!」
「まだ1体ではなんとも。偶然なのかもしれません。今回の獣化に条件があるのかもしれませんし。薬の配合割合が問題なのか何か足りないのか分かりません。死んでしまっては成功とは言えません。まだまだ時間が必要です。昨日の兵士には口止めをしました。
「私からも口止めをしておこう。それに被験者を集めないとな。昨日の囚人は解剖してみなさい。
口の堅い者達を集めるから優先的に取り組んでくれ」
「ありがとうございます」
「それと、見合いはどうだった?」
「ラヴィ嬢は積極的でした」
「気に入ったなら手紙でも出しなさい」
「はい」
「エリアス、ファニアの機嫌がかなり悪いらしい。あの子にそんな一面があるとは思わなかった。一時 世話係が怖がって近寄れないほどだったらしい。何か知っているか?」
ファニアが?
「全く分かりません」
どうして僕に聞くんだろう。分かるわけないのに。
「もしかしてリガス殿と喧嘩でもしたのでは?ファニアはリガス殿が好きらしいですから」
「え!?」
何でそんなに驚くんだ?彼がファニアを口説いていることは知っているだろうに。
「僕には経験がありませんが痴話喧嘩とかいうやつじゃないですか」
なんだか腹が立ってきた。
「ファニアのことは母上に聞いてください」
「そ、そうか。分かった」
後宮に戻り仕事をした後に昨日の被験体の解剖を始めた。人化体より気持ち的に解剖しやすいけどドラゴンの獣化体の解剖は体力的に骨が折れる。内臓1つとってもすごく大きい。討伐隊員に手伝ってもらえて良かった。彼らはその場で解体することもあるから手慣れている。
「これは…」
心臓が真っ黒だ。サイズを測ると肥大しているのが分かった。心臓を取り出して切り開いたが疾患はない。他の臓器にも問題はない。つまり試験薬が心臓に大きな負荷を与えたということだ。血流が集中し過ぎたのか?
次は分量を減らしてみよう。体重と薬の量と配合量を記録しないと駄目だな。人化状態の体重と獣化状態の体重どちらも把握しておかないと。身体のサイズと薬の量が関係しているのなら、どちらの体重が影響するのかも調べないと。
一番厄介なのは獣化したドラゴンの姿のこれの重さを量ることだ。一番大きな秤を用意しないとな。秤に乗るサイズにまで細切れにしなくちゃならない。人化のサイズと獣化のサイズが比例していたら計算だけで済むのだけど…。
「重さを量るのが得意なやついますよ?」
「え!?ドラゴンも!?」
「そいつ変態なんですよ。雌なんですけど獣化するとデカいんです。それでオレ達を持ち上げてブツブツ言ってるんです。何してんだって聞いたら、自分より重いドラゴン獣人と結婚するんだって」
「…そうか。彼女はどこのお嬢さんなのかな」
「お嬢さんだなんて。あいつは…人化中の見た目は可愛いもんですが、一度獣化すれば化け物ですよ」
ドラゴンが化け物扱いするドラゴンって…
「そいつ、討伐隊員ですから呼んできますよ」
「急だと悪いから」
「構いませんよ」
そう言ったじゃないか…
「おい。乙女を急に呼び出すな」
「ごめん、ジュシア…痛い痛い」
「夜勤前なんだぞ」
「ごめんなさい」
小柄の可愛いドラゴン獣人が、呼び出した討伐隊員バルトの頬を抓っていた。
「ジュシア嬢、呼び立てて申し訳ない。僕はエリアス。後宮医になったばかりで今は見習い期間中なんだ。処刑の決まった囚人で実験もやっているんだ」
「討伐隊所属ジュシアです。何故私を?」
「実は被験者になった罪獣人の重さを知りたいんだ。今のところ細切れにして秤で量っていくしか手段がなくて」
「…次は刃物を入れる前に呼んでください」
「申し訳ない」
ジュシア嬢は可愛い人化から強面の巨大ドラゴンに獣化した。
「!!!!!」
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