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ライアン(生まれ変わり)
ゆっくり
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見た目が全く違うグレースだがミーシェと同じ匂いがする。
匂いを嗅ぎたくてつい近付き過ぎてしまう。
「近いです」
「もっと近付きたい」
別れるときは抱きしめる。
「ライアン様!?」
「困ったことがあったらすぐに言ってくれ」
「今 困ってます」
「ククッ」
「笑い事じゃないです」
「私のことも抱きしめて欲しい」
「……」
「グレースが抱きしめてくれたらキスはもう少し先にするよ」
「っ!!」
「それともキスがいい?」
ギュ~ッ
「ありがとう」
夜会に行くのは止めた。
どうしても行かなくてはならない場合は必ずグレースを伴った。
夜会は誘惑も多い。
応じてなかったとしても変な噂を立てられてグレースに誤解を与えたくないから。
「ふーん。見つかったんだ」
「間違いないと思います」
「見に行こうかな」
「エフ、止めてください。怖がります」
「いつ会わせてくれるんだ」
「会わせませんよ。なんて言って会うつもりですか」
「兄貴分?」
「何のですか」
「友人?」
「きっかけとか何処でとか聞かれたら?」
「騎士団の入団試験で知り合ったことにすれば」
「本気で会う気ですか」
「このままなら彼女は屋敷に住むだろう?
いずれバレるんじゃないか?」
「いつまで通うつもりですか」
「つれないな。こんなに可愛がっているのに」
「ありがとうございます」
「……第四に来ないか」
「駄目です」
そんな話をした数日後の休日にエフを紹介した。
エフはそのままナイフでの接近戦の指導を始めた。
「相手の体が大きければ身を低くしてすぐにこの辺りの足の付け根を刺せ。そして直ぐに距離を置け。
必ずナイフは抜くように」
「脚ですか」
「この辺りに大きな血管があって失血死する。距離を取ったりしてほんの少しだけ時間を稼げれば、直ぐに相手は動きが鈍くなり倒れて死ぬ」
何で殺し方を教えるんですか!
「背後から抱きつかれたときでも使えるぞ。
倒されたりしたときは先にアキレス腱もいいな。
相手がナイフを持っていたり本気で殴ってくる場合は躊躇わず刺せ。
何処が無防備か瞬時に判断して一番早く刺さる軌道を無意識に選べるくらい熟練するといいのだがな。
例えば剣を上に振り被ったら突くように首の少し横を狙え。首から下がり鎖骨胸骨心臓と太い血管が通っているが、胸骨を貫通させるのは厳しい。だから鎖骨のすぐ上辺りから下に向けて刃を、」
「ファラル卿、グレースはレディですから」
「だからこそ狙われるんだ」
エフ…もっと違う話題にはできないんですか?
潜入とかで相手に合わせて会話をしたりするでしょう!
「私が守りますから」
「女子トイレで襲われることもある。
グレース嬢。湯浴みの時も傍にナイフを、」
「ファラル卿、私が一緒に入りますから」
「ちょっとライアン様!?」
「嫌だよなぁ、グレース嬢」
「無理です」
「で、他にも脇の下や、………」
グレースが興味を持ち、真面目に聞いて質問までしていた。
次の約束までしていた。
「ファラル様って物知りで親切な方ですね」
「気のせいだ。会う約束なんてしなくていいんだからな」
「せっかく教えてくださると仰っていたので」
「グレースは妬かせるのが目的なのか?
嫉妬深い男が見たいなら朝まで付き合ってもらうぞ」
「っ! 違います!」
やはりミーシェの素質にそっくりだ。
腕の後遺症が無い分、剣術も上達するだろう。
少しずつ私に慣らしながらグレースはエフと私に鍛えられていった。
そしてやっと卒業パーティーも終わり、グレースはバトラーズ邸で暮らし、花嫁教育を始めた。
婚姻式まで3ヶ月を切った。
「そうなのよ。
誘拐されたときのトラウマが残っているの。
だから分家のヒズリー家の当主が泊まりに来たときは客間と客間のある階の廊下は夜中でも薄明かりを維持してちょうだい」
「はい、お義母様」
母上もゆっくり優しく教えているから順調だ。
匂いを嗅ぎたくてつい近付き過ぎてしまう。
「近いです」
「もっと近付きたい」
別れるときは抱きしめる。
「ライアン様!?」
「困ったことがあったらすぐに言ってくれ」
「今 困ってます」
「ククッ」
「笑い事じゃないです」
「私のことも抱きしめて欲しい」
「……」
「グレースが抱きしめてくれたらキスはもう少し先にするよ」
「っ!!」
「それともキスがいい?」
ギュ~ッ
「ありがとう」
夜会に行くのは止めた。
どうしても行かなくてはならない場合は必ずグレースを伴った。
夜会は誘惑も多い。
応じてなかったとしても変な噂を立てられてグレースに誤解を与えたくないから。
「ふーん。見つかったんだ」
「間違いないと思います」
「見に行こうかな」
「エフ、止めてください。怖がります」
「いつ会わせてくれるんだ」
「会わせませんよ。なんて言って会うつもりですか」
「兄貴分?」
「何のですか」
「友人?」
「きっかけとか何処でとか聞かれたら?」
「騎士団の入団試験で知り合ったことにすれば」
「本気で会う気ですか」
「このままなら彼女は屋敷に住むだろう?
いずれバレるんじゃないか?」
「いつまで通うつもりですか」
「つれないな。こんなに可愛がっているのに」
「ありがとうございます」
「……第四に来ないか」
「駄目です」
そんな話をした数日後の休日にエフを紹介した。
エフはそのままナイフでの接近戦の指導を始めた。
「相手の体が大きければ身を低くしてすぐにこの辺りの足の付け根を刺せ。そして直ぐに距離を置け。
必ずナイフは抜くように」
「脚ですか」
「この辺りに大きな血管があって失血死する。距離を取ったりしてほんの少しだけ時間を稼げれば、直ぐに相手は動きが鈍くなり倒れて死ぬ」
何で殺し方を教えるんですか!
「背後から抱きつかれたときでも使えるぞ。
倒されたりしたときは先にアキレス腱もいいな。
相手がナイフを持っていたり本気で殴ってくる場合は躊躇わず刺せ。
何処が無防備か瞬時に判断して一番早く刺さる軌道を無意識に選べるくらい熟練するといいのだがな。
例えば剣を上に振り被ったら突くように首の少し横を狙え。首から下がり鎖骨胸骨心臓と太い血管が通っているが、胸骨を貫通させるのは厳しい。だから鎖骨のすぐ上辺りから下に向けて刃を、」
「ファラル卿、グレースはレディですから」
「だからこそ狙われるんだ」
エフ…もっと違う話題にはできないんですか?
潜入とかで相手に合わせて会話をしたりするでしょう!
「私が守りますから」
「女子トイレで襲われることもある。
グレース嬢。湯浴みの時も傍にナイフを、」
「ファラル卿、私が一緒に入りますから」
「ちょっとライアン様!?」
「嫌だよなぁ、グレース嬢」
「無理です」
「で、他にも脇の下や、………」
グレースが興味を持ち、真面目に聞いて質問までしていた。
次の約束までしていた。
「ファラル様って物知りで親切な方ですね」
「気のせいだ。会う約束なんてしなくていいんだからな」
「せっかく教えてくださると仰っていたので」
「グレースは妬かせるのが目的なのか?
嫉妬深い男が見たいなら朝まで付き合ってもらうぞ」
「っ! 違います!」
やはりミーシェの素質にそっくりだ。
腕の後遺症が無い分、剣術も上達するだろう。
少しずつ私に慣らしながらグレースはエフと私に鍛えられていった。
そしてやっと卒業パーティーも終わり、グレースはバトラーズ邸で暮らし、花嫁教育を始めた。
婚姻式まで3ヶ月を切った。
「そうなのよ。
誘拐されたときのトラウマが残っているの。
だから分家のヒズリー家の当主が泊まりに来たときは客間と客間のある階の廊下は夜中でも薄明かりを維持してちょうだい」
「はい、お義母様」
母上もゆっくり優しく教えているから順調だ。
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