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ライアン達の子
制裁
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【 ライアンの視点 】
アンベールは家族を大事にするようになった。
リリアンは本来の自分を取り戻した。
ゼイン殿下とはアンベールを挟んで上手くいっているらしい。リリアンが兄が増えたみたいだと言っていた。
時々城で乗馬をしているリリアンは、遠乗りと疾走が危険を伴うものだと理解したようだ。
「パパぁ」
「どうした」
「夜会ってどんな感じ?」
「「「は!?」」」
「駄目だ」
「ダメよ」
「早い」
「成人したら出会いを求めて行くんだって」
「悪の巣窟だ」
「怖いところよ」
「危ない」
「お兄様は行ったんでしょ?」
「私は男だから」
「私はなかなか強いと思う」
「いい、リリアン。夜会には意地悪な令嬢や夫人の他に狼のようなふしだらな殿方がいるの。
リリアンには見分けがつかないでしょう?
騙されて人気のない場所で抱きつかれたら剣を抜くどころじゃないわ。
力だけで言えば敵わないのだから」
「では、お母様も一緒に行きましょう」
「グレースは私と一緒でなければ行かせない」
「誰と一緒なら行ってもいいのですか?」
「私とだ」
「パパ? じゃあ、一緒に、」
「変な男に目をつけられたら困る。夜会は卒業してから考えよう」
「ラナのお屋敷でやるからおいでって」
「友人の屋敷を血塗れにはしたくないだろう?」
「そうよ。心霊スポットになっちゃうわ」
「お母様、大袈裟ですよ。ラナは格闘大会を開くとは言ってないのですから…格闘?剣の部に出たいな」
「リリアン。欲しいものはないか?」
「リリアン、何かあるでしょう?」
「危険なものは駄目だよ」
「近い歳の従者が欲しい。男の子がいい」
「男!?」
「何で男の子なの?」
「同じくらいの歳の子で私より強い女の子っていないとおもう」
「「「 …… 」」」
「探してみよう。いなければ他のものを考えてくれ」
寝室で、グレースと話し合っていた。
「確かに出会いを求めるなら積極的に出かけないと駄目よね。王宮主催ならどうかしら」
「王宮でも安全じゃない」
「エフ先生達が絶対に見張っていると思うわ」
「そうだな。報告ついでに相談してくるよ」
二日後に陛下と約束をしていた。
応接間に通されるとそこには陛下とサンドラー補佐官とエフがいた。
「例の報告だな?」
「はい、陛下。
リリアンの私物を荒らしたベローナ・ブロース公爵令嬢の制裁についてですが、埋めようと思ったのですが、姉に続いて次女もということで、当主への咎めも必要かと思い、内輪で揉めるようにしました。
先ずは、公爵とベローナに眠りについてもらいました。短時間ですが何をしても起きない薬を嗅がせました。ベローナを公爵の寝室に運び、二人の寝巻きを脱がせてベッドに寝かせました。
腕枕にしてピッタリとくっつけました。
シーツには赤いシミを垂らしました。
買収したメイドによりますと、夫妻は既に閨はなく別々に就寝しているということでしたので簡単でした。
そのメイドに、朝、公爵の寝室に行き、カーテンを開けてから叫べと依頼しました。
メイドは廊下に向けて叫ぶと、すぐ近くの部屋にいた夫人と兵士が駆け寄りました。
騎士と夫人がベッドを見ると父娘が裸で抱き合って寝ていました。
目撃した夫人は荷物を纏めて出て行きました。
覚えのない公爵は使用人達に無実を必死に訴えていました。
跡継ぎの息子夫婦は公爵に引退を迫りました。
一方で令嬢を悪魔付きの者を受け入れる教会へ送りました。大金を寄付したので死ぬまで悪魔祓いをされることでしょう。
本当は指を全部切り落としたかったのですが無血で済ませました。
前世以来で楽しかったです」
「……」
「あと次の王宮主催の夜会とか何かありませんか」
「三ヶ月後に王妃の誕生祝いがある。何故だ?」
「リリアンが夜会に興味を示しまして」
「そうか。婚約者もいないしな」
「公爵、陛下。リリアンには早い」
「ですが、ここでやればエフ達が守ってくれるだろうから他のところに行かせるよりはいいと」
「招待状を送ろう」
「ありがとうございます」
リリアン宛の招待状は送らない取り決めになっていた。だから今まで茶会しか出させたことがなかった。怪我を負ってからはどちらも行かせなかった。
「公爵が制裁する前に、ブロース公爵家の長女ベローナと、ベセロナ伯爵家の三女ミーナは既に城に呼んで罪状を告げたのは手紙で知らせた通りだ。
ミーナについて詳細を知らせよう。
まさか影が見ていたとは思わなかったようだな。
否定してたが、影の事細かな報告書を聞かせると泣き崩れた。
伯爵は弁償と慰謝料で許して欲しいと足掻いていたが、何もしていない者に嫌がらせをするのは許容できないと伝えた。
理由はゼインと仲良くしたかららしい。
犯罪者として記録に残り新聞に載るか、退学か選ばせたら退学を選んだ。
ミーナは婚約者がいたようだが解消となるだろう。
そして呼び出して抗議していた3人は、ゼインの婚約者であるビクトリア・パトローヌ侯爵令嬢の取り巻きだ。
セロン・マキシア伯爵令嬢、シドニー・コンチーニ子爵令嬢、ペリーヌ・ボルサナード伯爵令嬢だ。
三人を態と聴取という形をとった。
ゼインも呼び出して、事実と聴取が違うことを問い詰めた。
三人ともシラを切ろうとしたが、婚約者の素行調査で影が三人の動きに異常を感じて見張っていたと告げたら青ざめた。
ゼインから、お前達のせいで婚約に影が差していると告げたら泣き出した。
当主へ宛てた抗議文を持たせて帰した。
パトローヌ侯爵宛にも友人関係を見直させろと手紙を出した。
来週から1週間、三人は早朝に学園の外周の掃き掃除の奉仕活動が始まる。放課後、生徒達が下校したら馬車乗り場の掃除だ。
令嬢には屈辱となるだろう。
手伝ってもらったり、やり遂げられないときは、その分、登下校の時間帯に校門に立たせる予定だ。
“三人で非のない一人の下級生を虐めました”と書いた板を持たせる」
「見に行きたいですね」
アンベールは家族を大事にするようになった。
リリアンは本来の自分を取り戻した。
ゼイン殿下とはアンベールを挟んで上手くいっているらしい。リリアンが兄が増えたみたいだと言っていた。
時々城で乗馬をしているリリアンは、遠乗りと疾走が危険を伴うものだと理解したようだ。
「パパぁ」
「どうした」
「夜会ってどんな感じ?」
「「「は!?」」」
「駄目だ」
「ダメよ」
「早い」
「成人したら出会いを求めて行くんだって」
「悪の巣窟だ」
「怖いところよ」
「危ない」
「お兄様は行ったんでしょ?」
「私は男だから」
「私はなかなか強いと思う」
「いい、リリアン。夜会には意地悪な令嬢や夫人の他に狼のようなふしだらな殿方がいるの。
リリアンには見分けがつかないでしょう?
騙されて人気のない場所で抱きつかれたら剣を抜くどころじゃないわ。
力だけで言えば敵わないのだから」
「では、お母様も一緒に行きましょう」
「グレースは私と一緒でなければ行かせない」
「誰と一緒なら行ってもいいのですか?」
「私とだ」
「パパ? じゃあ、一緒に、」
「変な男に目をつけられたら困る。夜会は卒業してから考えよう」
「ラナのお屋敷でやるからおいでって」
「友人の屋敷を血塗れにはしたくないだろう?」
「そうよ。心霊スポットになっちゃうわ」
「お母様、大袈裟ですよ。ラナは格闘大会を開くとは言ってないのですから…格闘?剣の部に出たいな」
「リリアン。欲しいものはないか?」
「リリアン、何かあるでしょう?」
「危険なものは駄目だよ」
「近い歳の従者が欲しい。男の子がいい」
「男!?」
「何で男の子なの?」
「同じくらいの歳の子で私より強い女の子っていないとおもう」
「「「 …… 」」」
「探してみよう。いなければ他のものを考えてくれ」
寝室で、グレースと話し合っていた。
「確かに出会いを求めるなら積極的に出かけないと駄目よね。王宮主催ならどうかしら」
「王宮でも安全じゃない」
「エフ先生達が絶対に見張っていると思うわ」
「そうだな。報告ついでに相談してくるよ」
二日後に陛下と約束をしていた。
応接間に通されるとそこには陛下とサンドラー補佐官とエフがいた。
「例の報告だな?」
「はい、陛下。
リリアンの私物を荒らしたベローナ・ブロース公爵令嬢の制裁についてですが、埋めようと思ったのですが、姉に続いて次女もということで、当主への咎めも必要かと思い、内輪で揉めるようにしました。
先ずは、公爵とベローナに眠りについてもらいました。短時間ですが何をしても起きない薬を嗅がせました。ベローナを公爵の寝室に運び、二人の寝巻きを脱がせてベッドに寝かせました。
腕枕にしてピッタリとくっつけました。
シーツには赤いシミを垂らしました。
買収したメイドによりますと、夫妻は既に閨はなく別々に就寝しているということでしたので簡単でした。
そのメイドに、朝、公爵の寝室に行き、カーテンを開けてから叫べと依頼しました。
メイドは廊下に向けて叫ぶと、すぐ近くの部屋にいた夫人と兵士が駆け寄りました。
騎士と夫人がベッドを見ると父娘が裸で抱き合って寝ていました。
目撃した夫人は荷物を纏めて出て行きました。
覚えのない公爵は使用人達に無実を必死に訴えていました。
跡継ぎの息子夫婦は公爵に引退を迫りました。
一方で令嬢を悪魔付きの者を受け入れる教会へ送りました。大金を寄付したので死ぬまで悪魔祓いをされることでしょう。
本当は指を全部切り落としたかったのですが無血で済ませました。
前世以来で楽しかったです」
「……」
「あと次の王宮主催の夜会とか何かありませんか」
「三ヶ月後に王妃の誕生祝いがある。何故だ?」
「リリアンが夜会に興味を示しまして」
「そうか。婚約者もいないしな」
「公爵、陛下。リリアンには早い」
「ですが、ここでやればエフ達が守ってくれるだろうから他のところに行かせるよりはいいと」
「招待状を送ろう」
「ありがとうございます」
リリアン宛の招待状は送らない取り決めになっていた。だから今まで茶会しか出させたことがなかった。怪我を負ってからはどちらも行かせなかった。
「公爵が制裁する前に、ブロース公爵家の長女ベローナと、ベセロナ伯爵家の三女ミーナは既に城に呼んで罪状を告げたのは手紙で知らせた通りだ。
ミーナについて詳細を知らせよう。
まさか影が見ていたとは思わなかったようだな。
否定してたが、影の事細かな報告書を聞かせると泣き崩れた。
伯爵は弁償と慰謝料で許して欲しいと足掻いていたが、何もしていない者に嫌がらせをするのは許容できないと伝えた。
理由はゼインと仲良くしたかららしい。
犯罪者として記録に残り新聞に載るか、退学か選ばせたら退学を選んだ。
ミーナは婚約者がいたようだが解消となるだろう。
そして呼び出して抗議していた3人は、ゼインの婚約者であるビクトリア・パトローヌ侯爵令嬢の取り巻きだ。
セロン・マキシア伯爵令嬢、シドニー・コンチーニ子爵令嬢、ペリーヌ・ボルサナード伯爵令嬢だ。
三人を態と聴取という形をとった。
ゼインも呼び出して、事実と聴取が違うことを問い詰めた。
三人ともシラを切ろうとしたが、婚約者の素行調査で影が三人の動きに異常を感じて見張っていたと告げたら青ざめた。
ゼインから、お前達のせいで婚約に影が差していると告げたら泣き出した。
当主へ宛てた抗議文を持たせて帰した。
パトローヌ侯爵宛にも友人関係を見直させろと手紙を出した。
来週から1週間、三人は早朝に学園の外周の掃き掃除の奉仕活動が始まる。放課後、生徒達が下校したら馬車乗り場の掃除だ。
令嬢には屈辱となるだろう。
手伝ってもらったり、やり遂げられないときは、その分、登下校の時間帯に校門に立たせる予定だ。
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