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ライアン達の子
新しいお友達
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【 当主、エクトル・ヴェルモット侯爵の視点 】
娘の恩人が到着したので皆で出迎えをしたが、馬車から降りたカトリーヌは泣いていて、令嬢は、
「む、無罪!無罪です!」
と慌てて首を振っていた。
「ハハハッ 分かっています。
カトリーヌが貴女の制服を掴んでいますから」
「そうね。嫌いな人の服など掴まないわね」
「カトリーヌったら」
「お姉様、鼻水でてる!」
「こら、ジョシュ。こっちに来なさい」
「嫌だ」
やっと生まれた跡継ぎのジョシュは人見知りが激しく、将来継げるのかと心配していたが、違う要素が出て来た。5歳児なのに、男だ。
右からは袖をカトリーヌに掴まれ、左からはジョシュが手を繋ぐ。令嬢はすっかり囚われ人になった。
「可愛い」
「僕のこと?」
「そうよ」
「リリだって可愛いし、すごくキレイ」
「ありがとう」
「ごめんなさいね。お礼にお呼びしたのにジョシュが離れなくて」
「弟ができたみたいで嬉しいです」
「僕のお嫁さん」
「ジョシュ。違うわよ」
「僕のお嫁さん」
「ジョシュ」
「ジョシュ様が学園を卒業する頃には、私はだいぶ歳をとってしまって、その頃には同じ歳くらいの若い令嬢に心を寄せるわ」
「ジョシュって呼んで」
「…私も」
ジョシュはもう、リリアン嬢をリリと呼び、カトリーヌはついでを装い自分も親しく呼んで欲しいと主張している。
ジョシュが抱きついていても制服がシワになろうと気にしない。
「さあ、食事にしましょうね」
食事の所作もとても美しい。
公爵溺愛の娘で刺繍などは嗜まないと知られるリリアン嬢は、しっかりと必要な教育を受けていた。
ダンスも王妃殿下のパーティでちゃんと踊れていたし。
きっと公爵家の教育基準が他所と少し違うのだろう。例えばナディアを救った知識を公爵家では必要と考えているのだと思う。
決闘の話になって、詳しくは教えてもらえなかったが、後日談を少し教えてもらえた。
「マキシア伯爵家の私兵は私と戦いたくて戦ったわけではありません。雇用主の命令だったからです。
勝っても負けても彼は汚名を付けられます。
私は潔く忠実な人だと思いました。
去り際に、父に謝罪を言って帰ろうとした時に、父がもう屋敷に戻るのかと聞くと、“荷物を纏めて暇をもらいます” というので、当てがあるのか聞いたのですが、無かったようです。
“剣は置くと思います。
守るために命を張るのはかまいませんが、こんな虐めのようなことに加担しなくてはならないのならば剣は持ちたくありません。
まあ、私では相手になりませんでしたが。
本当に申し訳ありませんでした”
父は荷物を纏めたら公爵邸に来るように言いました。彼は処刑されるのかと思ったらしいのですが、実際はバトラーズ家の領地で兵士として働かないかというスカウトでした。
今は領地の屋敷で働いていると手紙が届きました」
「そうよね。まともな人なら、誰かを守るために剣を握るものね」
「リリ、強いの?」
「まあ、師匠のおかげね」
「シショウ」
「先生のことよ」
「僕も頑張る」
ジョシュがリリアン嬢と同じ年頃だったら、縁談の申し入れをしたのに、11歳も違うと無理だ。
ジョシュが成人するまで待ってくれたら、彼女ならそれでも構わないと思うが、公爵家は嫌がるだろう。
せめて逆だったら…ジョシュが11歳上だったら良かったのに。
そうだ。セドリックなら有りかもしれない。
カトリーヌの兄のセドリックを呼びに行かせた。
王妃殿下のパーティがあったから王都にまだ滞在していた。
娘達とリリアン嬢を部屋に行かせて、私はセドリックの到着を待った。
「どうなさったのですか?侯爵」
「セドリック。リリアン・バトラーズは知っているな?」
「ええ。先日のパーティでゼイン王子殿下と踊っていた美しい令嬢ですよね」
「今、ここに来ているんだ。顔見知りになっておけ」
「え? バトラーズ公爵の愛娘ですよ!?」
ナディアの件を話すと、興味を持ったようだ。
「バトラーズ家の見方が変わりました。面白いですね」
セドリックは父親が亡くなったときに、どうなるか分からないからと婚約を解消して、今は仕事に専念したいとフリーとなっている。
セドリック・シャルール。伯爵家嫡男。
伯爵位を彼の叔父に渡さなかったのは、セドリックが賢かったから。
ゼイン殿下が絵本に出て来そうな王子の容貌だが、セドリックは男前という感じの端正な顔立ちだ。
伯爵になることは決まっていたのに、どうなるか分からないと理由を付けて円満解消にしたのは、セドリックが婚約者を気に入らなかったから。
令嬢は、典型的な小金持ちの貴族令嬢。身分は中位にも関わらず選民意識が高く、買い物は貴族の義務とでもいうように散財する。
まあ、大富豪というわけではないから、すごく高価なものではなく、ちょっと高そうなものを細々買っていた。
『ああ、アレね。彼女は家の財力が分からないほど馬鹿ではありません。だからちょっと高いという程度のものを細々と買い、その都度店の者を呼び寄せてチヤホヤされて楽しんでいるのです』
と鼻で笑っていた。
『こちらに大きな物を強請るつもりなのが分かっていたので、伯爵家は金が無いことにしました。父の死後、整理したら負債が多く出て来たと言ったら態度を変えました。
そして、着る服も安い物に変えていき、アセット家に、“どうなるか分からないから、別の方と婚約をしてください。貧しくても、爵位が無くなっても構わないのなら妻に迎えます” と言ったら円満解消ですよ』
そう。彼は策略家だ。
実際は富豪の仲間入りができるほどの資産を持つ。
19歳にして、大きくはないが事業を二つ成功させた。
王都の廃業間近と言われるホテルをコンサルティングして、一番人気のホテルに押し上げた。
金のない相手だったので、コンサルティング料として対価を決めず、決めた売り上げを超えた月に2割払うという契約にしたから、人気が出るほどセドリックの懐に毎月入ってくる。
相手も、金が払えないし、廃業するなら最後だと、成功報酬を持ちかけた実績のないセドリックを採用した。
ホテルを完全休業させて、掃除と修繕を従業員だけで行った。それぞれの特性を活かし、建物と備品の担当を分けた。
改装が完了すると、従業員教育を行なった。
口が軽い者や陰口が過ぎる者、手癖の悪い者を排除した。
リニューアルオープンには正直に、改革中により宿泊料を割引ますと表示した。
そこであまりお金のかけられない貴族や少し贅沢をしたい裕福な平民が利用した。
ある程度金が貯まると本格的な改革に乗り出した。
従業員の制服を季節毎にガラッと変えた。
そしてホテル内のカラーも。
基本は白だが、多くのものにちょっと色を足すだけで、白が多いのに別のイメージカラーを作り上げた。
リボンやレースや刺繍などを巧みに使った。
その季節に必ず咲いているであろう花の色にして、客室の花もその花か、同じ色の花にした。
例えば夏は黄色、冬は赤、春はピンク、秋は紫にした。
“部屋のランクによってサービスが異なる部分がありますが、貴族と平民を分けることは致しません。
気になる方は特別室や、食事も個室をご予約ください。秩序を乱す者は誰であろうと即退去いただきます”
これは平民にウケた。
他のホテルでは差別は当たり前だった。
だがセドリックは、同じ金額を払うのにおかしくないか?と従業員に徹底的に考え方を改めさせた。
ランクを三つに分けて、部屋を用意した。
アザレルーム、ローズルーム、リリールーム。
アザレは通常料金のスタンダードな部屋。
ローズルームは寝室と居間を分けた。
リリールームは特別室で、ベッドルーム二つ、居間、ダイニングになっている。
平民と食事を分けたい人は、特別室に泊まり、ダイニングルームに運ばせるか、レストランの有料の個室を予約するか。だが、それがお高めで、クレームも出たが、“安くしたら平民も個室を使うようになりますがよろしいですね?” というと黙った。
もう一つの事業はティールームだった。
一日に一つだけ当たりを用意して、予約した日時に来れば、二人分のケーキひとつと一杯のお茶を無料で楽しめるというサービスだ。
早くに当たりを出してしまった場合は、その客以降の客には、ジャム付きのビスケットを一枚サービスした。またそのジャムが美味しいと評判になり、別売りを希望されたが応じなかった。
文句は出るものの、結局ティールームに足を運んでくれた。
領地の方も順調らしい。
娘の恩人が到着したので皆で出迎えをしたが、馬車から降りたカトリーヌは泣いていて、令嬢は、
「む、無罪!無罪です!」
と慌てて首を振っていた。
「ハハハッ 分かっています。
カトリーヌが貴女の制服を掴んでいますから」
「そうね。嫌いな人の服など掴まないわね」
「カトリーヌったら」
「お姉様、鼻水でてる!」
「こら、ジョシュ。こっちに来なさい」
「嫌だ」
やっと生まれた跡継ぎのジョシュは人見知りが激しく、将来継げるのかと心配していたが、違う要素が出て来た。5歳児なのに、男だ。
右からは袖をカトリーヌに掴まれ、左からはジョシュが手を繋ぐ。令嬢はすっかり囚われ人になった。
「可愛い」
「僕のこと?」
「そうよ」
「リリだって可愛いし、すごくキレイ」
「ありがとう」
「ごめんなさいね。お礼にお呼びしたのにジョシュが離れなくて」
「弟ができたみたいで嬉しいです」
「僕のお嫁さん」
「ジョシュ。違うわよ」
「僕のお嫁さん」
「ジョシュ」
「ジョシュ様が学園を卒業する頃には、私はだいぶ歳をとってしまって、その頃には同じ歳くらいの若い令嬢に心を寄せるわ」
「ジョシュって呼んで」
「…私も」
ジョシュはもう、リリアン嬢をリリと呼び、カトリーヌはついでを装い自分も親しく呼んで欲しいと主張している。
ジョシュが抱きついていても制服がシワになろうと気にしない。
「さあ、食事にしましょうね」
食事の所作もとても美しい。
公爵溺愛の娘で刺繍などは嗜まないと知られるリリアン嬢は、しっかりと必要な教育を受けていた。
ダンスも王妃殿下のパーティでちゃんと踊れていたし。
きっと公爵家の教育基準が他所と少し違うのだろう。例えばナディアを救った知識を公爵家では必要と考えているのだと思う。
決闘の話になって、詳しくは教えてもらえなかったが、後日談を少し教えてもらえた。
「マキシア伯爵家の私兵は私と戦いたくて戦ったわけではありません。雇用主の命令だったからです。
勝っても負けても彼は汚名を付けられます。
私は潔く忠実な人だと思いました。
去り際に、父に謝罪を言って帰ろうとした時に、父がもう屋敷に戻るのかと聞くと、“荷物を纏めて暇をもらいます” というので、当てがあるのか聞いたのですが、無かったようです。
“剣は置くと思います。
守るために命を張るのはかまいませんが、こんな虐めのようなことに加担しなくてはならないのならば剣は持ちたくありません。
まあ、私では相手になりませんでしたが。
本当に申し訳ありませんでした”
父は荷物を纏めたら公爵邸に来るように言いました。彼は処刑されるのかと思ったらしいのですが、実際はバトラーズ家の領地で兵士として働かないかというスカウトでした。
今は領地の屋敷で働いていると手紙が届きました」
「そうよね。まともな人なら、誰かを守るために剣を握るものね」
「リリ、強いの?」
「まあ、師匠のおかげね」
「シショウ」
「先生のことよ」
「僕も頑張る」
ジョシュがリリアン嬢と同じ年頃だったら、縁談の申し入れをしたのに、11歳も違うと無理だ。
ジョシュが成人するまで待ってくれたら、彼女ならそれでも構わないと思うが、公爵家は嫌がるだろう。
せめて逆だったら…ジョシュが11歳上だったら良かったのに。
そうだ。セドリックなら有りかもしれない。
カトリーヌの兄のセドリックを呼びに行かせた。
王妃殿下のパーティがあったから王都にまだ滞在していた。
娘達とリリアン嬢を部屋に行かせて、私はセドリックの到着を待った。
「どうなさったのですか?侯爵」
「セドリック。リリアン・バトラーズは知っているな?」
「ええ。先日のパーティでゼイン王子殿下と踊っていた美しい令嬢ですよね」
「今、ここに来ているんだ。顔見知りになっておけ」
「え? バトラーズ公爵の愛娘ですよ!?」
ナディアの件を話すと、興味を持ったようだ。
「バトラーズ家の見方が変わりました。面白いですね」
セドリックは父親が亡くなったときに、どうなるか分からないからと婚約を解消して、今は仕事に専念したいとフリーとなっている。
セドリック・シャルール。伯爵家嫡男。
伯爵位を彼の叔父に渡さなかったのは、セドリックが賢かったから。
ゼイン殿下が絵本に出て来そうな王子の容貌だが、セドリックは男前という感じの端正な顔立ちだ。
伯爵になることは決まっていたのに、どうなるか分からないと理由を付けて円満解消にしたのは、セドリックが婚約者を気に入らなかったから。
令嬢は、典型的な小金持ちの貴族令嬢。身分は中位にも関わらず選民意識が高く、買い物は貴族の義務とでもいうように散財する。
まあ、大富豪というわけではないから、すごく高価なものではなく、ちょっと高そうなものを細々買っていた。
『ああ、アレね。彼女は家の財力が分からないほど馬鹿ではありません。だからちょっと高いという程度のものを細々と買い、その都度店の者を呼び寄せてチヤホヤされて楽しんでいるのです』
と鼻で笑っていた。
『こちらに大きな物を強請るつもりなのが分かっていたので、伯爵家は金が無いことにしました。父の死後、整理したら負債が多く出て来たと言ったら態度を変えました。
そして、着る服も安い物に変えていき、アセット家に、“どうなるか分からないから、別の方と婚約をしてください。貧しくても、爵位が無くなっても構わないのなら妻に迎えます” と言ったら円満解消ですよ』
そう。彼は策略家だ。
実際は富豪の仲間入りができるほどの資産を持つ。
19歳にして、大きくはないが事業を二つ成功させた。
王都の廃業間近と言われるホテルをコンサルティングして、一番人気のホテルに押し上げた。
金のない相手だったので、コンサルティング料として対価を決めず、決めた売り上げを超えた月に2割払うという契約にしたから、人気が出るほどセドリックの懐に毎月入ってくる。
相手も、金が払えないし、廃業するなら最後だと、成功報酬を持ちかけた実績のないセドリックを採用した。
ホテルを完全休業させて、掃除と修繕を従業員だけで行った。それぞれの特性を活かし、建物と備品の担当を分けた。
改装が完了すると、従業員教育を行なった。
口が軽い者や陰口が過ぎる者、手癖の悪い者を排除した。
リニューアルオープンには正直に、改革中により宿泊料を割引ますと表示した。
そこであまりお金のかけられない貴族や少し贅沢をしたい裕福な平民が利用した。
ある程度金が貯まると本格的な改革に乗り出した。
従業員の制服を季節毎にガラッと変えた。
そしてホテル内のカラーも。
基本は白だが、多くのものにちょっと色を足すだけで、白が多いのに別のイメージカラーを作り上げた。
リボンやレースや刺繍などを巧みに使った。
その季節に必ず咲いているであろう花の色にして、客室の花もその花か、同じ色の花にした。
例えば夏は黄色、冬は赤、春はピンク、秋は紫にした。
“部屋のランクによってサービスが異なる部分がありますが、貴族と平民を分けることは致しません。
気になる方は特別室や、食事も個室をご予約ください。秩序を乱す者は誰であろうと即退去いただきます”
これは平民にウケた。
他のホテルでは差別は当たり前だった。
だがセドリックは、同じ金額を払うのにおかしくないか?と従業員に徹底的に考え方を改めさせた。
ランクを三つに分けて、部屋を用意した。
アザレルーム、ローズルーム、リリールーム。
アザレは通常料金のスタンダードな部屋。
ローズルームは寝室と居間を分けた。
リリールームは特別室で、ベッドルーム二つ、居間、ダイニングになっている。
平民と食事を分けたい人は、特別室に泊まり、ダイニングルームに運ばせるか、レストランの有料の個室を予約するか。だが、それがお高めで、クレームも出たが、“安くしたら平民も個室を使うようになりますがよろしいですね?” というと黙った。
もう一つの事業はティールームだった。
一日に一つだけ当たりを用意して、予約した日時に来れば、二人分のケーキひとつと一杯のお茶を無料で楽しめるというサービスだ。
早くに当たりを出してしまった場合は、その客以降の客には、ジャム付きのビスケットを一枚サービスした。またそのジャムが美味しいと評判になり、別売りを希望されたが応じなかった。
文句は出るものの、結局ティールームに足を運んでくれた。
領地の方も順調らしい。
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