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ライアン達の子
経緯
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【 ヘイゼルの視点 】
ガウンを羽織り、髪を拭きながらリリアンの元に戻ってソファに座った。
「自惚れじゃなくてさ、僕、美し過ぎるんだ。
自国ではそれは大変でね。
お妃様にしてくれ、愛人にしてくれと、令嬢達が煩いんだ。夫人方も夫の隙をついて誘ってくるんだよ。
他国からは王女が結婚しろと煩いし。
一応婚約者は居たんだよ?政略だけど。
一人目と二人目は心を病んで辞退した。
三人目は鬱陶し過ぎて冷遇したら騎士とデキていた。
四人目は他国の王女と乱闘して投獄された。
僕は何の相手もしていないのに令嬢達が争うんだ。
無意味だよね。
ウンザリしてさ、他国に王女として出向くんだ。
そこの貴族を婚約者候補にして令嬢達を女の姿で見極めた。
今度は美し過ぎる王女が男漁りに来たと陰口を叩かれる。
美し過ぎるのも不便だよ。
この顔を見た女性は、大抵 陶酔するか自己嫌悪に陥るかのどちらかだ。
君は大丈夫そうだね?リリアン」
「何故、受け入れ前に気が付かないのでしょう」
「第二王女はヘイデリーといって側妃の産んだ娘がいるから、疑問に思わないみたいだ」
「似た名前を付けられたのですね」
「父上が酔って付けてしまった。
一度神の前で付けると変えられない」
「神の前?」
「産まれて一週間後に司教を呼んで祝福を授けて貰いながら、名を信徒の名簿に書くことで名前がきまるんだ。
間違えて、二日前に産まれた僕の名前を書いてしまった。
慌てて側妃が付け足してヘイデリーとなった。馬鹿でしょ」
「……」
「姉王女からは虐められたよ。
隣に並ぶな、近寄るなってね。
弟王子も妹王女も嫌がった。
だけど王太子のフィンリーはそんなことはしない。問題が起きると困った顔をするけど、可愛がってくれた。僕にとっては救いだったよ」
「どんな方ですか」
「少し支配的な感じかな。
努力家で賢い人だ。器用な人でもある。
ガッシリとした体でダークグレーの髪にアイスブルーの瞳。
僕は兄上のような容姿に生まれたかった。
剣の稽古を受けても、女みたいだと揶揄われるしさ。そんなに弱くないけど、見た目がね。体付きは仕方ないだろう? もう少し歳を重ねれば厚みも出ると思うけど。
リリアンは僕みたいなのは嫌?」
「嫌ではありません。
理想が父というだけです」
「今夜会えるんだよね」
「会えますね」
「リリアン、夜、君と踊りたい」
「女同士でですか?」
「バラしたら怒られるかな」
「どうでしょう。国際問題になるのかどうか、前例が無いので見当も付きません」
そこにノックがあった。
僕の侍女に応対させた。
「公女様のドレスが到着いたしました。お支度をお願いします」
「時間のようですわ。支度をしますので失礼いたします」
「会場で会おう」
「はい、ヘイデル様」
リリアンが護衛を連れて退室した。
「ゾイ。僕達も支度をしよう」
「かしこまりました」
ゾイは僕付きの侍女で同性愛者だ。彼女のおかげでこんなことができている。
そして護衛騎士の内のこの二人が一番側にいる。
カイとモーガンだ。
僕「ゾイ、カイ、モーガン。
リリアンをどう思う?」
ゾ「私は 小動物のように可愛い系の 怯えた歳下の女に欲情します」
僕「…違うよ。僕の伴侶にだよ」
カ「難しいかもしれません」
モ「よく調査なさらないと」
僕「僕はリリアンが気に入ったんだけど、妃に向かないか?」
カ「そうではなく、何故あの者に守られているのか気になります」
モ「それに、彼女はゼイン王子殿下が目を付けているのでは?」
僕「でも彼が手に入れたわけではない」
やっぱり あの護衛は気になるな。
ガウンを羽織り、髪を拭きながらリリアンの元に戻ってソファに座った。
「自惚れじゃなくてさ、僕、美し過ぎるんだ。
自国ではそれは大変でね。
お妃様にしてくれ、愛人にしてくれと、令嬢達が煩いんだ。夫人方も夫の隙をついて誘ってくるんだよ。
他国からは王女が結婚しろと煩いし。
一応婚約者は居たんだよ?政略だけど。
一人目と二人目は心を病んで辞退した。
三人目は鬱陶し過ぎて冷遇したら騎士とデキていた。
四人目は他国の王女と乱闘して投獄された。
僕は何の相手もしていないのに令嬢達が争うんだ。
無意味だよね。
ウンザリしてさ、他国に王女として出向くんだ。
そこの貴族を婚約者候補にして令嬢達を女の姿で見極めた。
今度は美し過ぎる王女が男漁りに来たと陰口を叩かれる。
美し過ぎるのも不便だよ。
この顔を見た女性は、大抵 陶酔するか自己嫌悪に陥るかのどちらかだ。
君は大丈夫そうだね?リリアン」
「何故、受け入れ前に気が付かないのでしょう」
「第二王女はヘイデリーといって側妃の産んだ娘がいるから、疑問に思わないみたいだ」
「似た名前を付けられたのですね」
「父上が酔って付けてしまった。
一度神の前で付けると変えられない」
「神の前?」
「産まれて一週間後に司教を呼んで祝福を授けて貰いながら、名を信徒の名簿に書くことで名前がきまるんだ。
間違えて、二日前に産まれた僕の名前を書いてしまった。
慌てて側妃が付け足してヘイデリーとなった。馬鹿でしょ」
「……」
「姉王女からは虐められたよ。
隣に並ぶな、近寄るなってね。
弟王子も妹王女も嫌がった。
だけど王太子のフィンリーはそんなことはしない。問題が起きると困った顔をするけど、可愛がってくれた。僕にとっては救いだったよ」
「どんな方ですか」
「少し支配的な感じかな。
努力家で賢い人だ。器用な人でもある。
ガッシリとした体でダークグレーの髪にアイスブルーの瞳。
僕は兄上のような容姿に生まれたかった。
剣の稽古を受けても、女みたいだと揶揄われるしさ。そんなに弱くないけど、見た目がね。体付きは仕方ないだろう? もう少し歳を重ねれば厚みも出ると思うけど。
リリアンは僕みたいなのは嫌?」
「嫌ではありません。
理想が父というだけです」
「今夜会えるんだよね」
「会えますね」
「リリアン、夜、君と踊りたい」
「女同士でですか?」
「バラしたら怒られるかな」
「どうでしょう。国際問題になるのかどうか、前例が無いので見当も付きません」
そこにノックがあった。
僕の侍女に応対させた。
「公女様のドレスが到着いたしました。お支度をお願いします」
「時間のようですわ。支度をしますので失礼いたします」
「会場で会おう」
「はい、ヘイデル様」
リリアンが護衛を連れて退室した。
「ゾイ。僕達も支度をしよう」
「かしこまりました」
ゾイは僕付きの侍女で同性愛者だ。彼女のおかげでこんなことができている。
そして護衛騎士の内のこの二人が一番側にいる。
カイとモーガンだ。
僕「ゾイ、カイ、モーガン。
リリアンをどう思う?」
ゾ「私は 小動物のように可愛い系の 怯えた歳下の女に欲情します」
僕「…違うよ。僕の伴侶にだよ」
カ「難しいかもしれません」
モ「よく調査なさらないと」
僕「僕はリリアンが気に入ったんだけど、妃に向かないか?」
カ「そうではなく、何故あの者に守られているのか気になります」
モ「それに、彼女はゼイン王子殿下が目を付けているのでは?」
僕「でも彼が手に入れたわけではない」
やっぱり あの護衛は気になるな。
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