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変わってなんていません
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翌日の夜、夜間勤務明けのロバート様がガデュエット邸にやってきた。
夜間勤務明け?
こんな時間に?
普通は朝とか、間違っても昼に交代でしょう。
もう夜の11時ですよ?
しかも女物の香水の匂いがする。
「結婚を嫌がっていると聞いたが」
「詳細は聞いていないのですね?」
「明日聞く」
どうやら 私が嫌がっていて話が止まったと一報をもらったらしい。
「では こんな遅くに訪ねて来ないで、明日 子爵から詳細を聞いてからでよろしいのでは?」
「……変わったな」
「は?」
「レオナード・ダークロックのせいか」
「は!?」
「何を吹き込まれているのか知らないが、無闇に信用するな」
何なの この人
「レオナード様は私の愚痴を聞いたとしても、貴方のことをあれこれ言ったりしません。
そもそも“変わった”なんて言えるほど私のことを知りませんよね」
「……」
「何かの気まぐれで、ちょっとエスコートの真似事をして、何度か勝手に屋敷に訪ねてきた程度で貴方に何が分かるというのですか」
「……」
「“変わったな”?
ずっと思っていたことを口に出しただけです。
変わっておりません。
私が何を感じて何を思っていたのかも分からないクセに、“変わったな”?」
「ビビアン、俺は、」
「私も貴方のことを詳しく存じ上げません。
ただ貴方の行動を知っただけです」
「ビビアン。婚姻したら何もかもが終わるんだ」
「何を仰っているのですか?」
「もう少し我慢してくれないか」
「“我慢”? つまり私に我慢を強いている自覚があるのですね」
「ビビアン!」
「私は絶世の美女でもありませんし、大金持ちの娘でもありません。
ロバート様なら私に拘る必要などありませんよね?
子爵と父の友情のために犠牲になるのは間違っています。
両家を繋げたいからと婚姻させようとしていますが 逆効果です。
ビビアン・ガデュエットはピノール家との結びつきの為に何かする気はありません。
どうしてもと仰るなら妾を迎えて跡継ぎを産ませてください。
妾を養う費用の分、妻の予算を削っていただいて構いません」
「婚約は少し伸ばすから、冷静になって欲しい」
「…それ、本気で仰っていますか?」
「ビビアン」
「私が癇癪を起こして 我慢できない我儘令嬢と仰るのですね」
「そうじゃない!」
「ロバート殿、話なら明日の日中にしてくれないか」
メイドが報告に行ったのだろう。お父様が間に入ってくださった。
「失礼しました」
「ビビアン、休みなさい」
「ありがとうございます、お父様」
お父様はちょっと困った顔をなさっていた。
雰囲気を察したのか、話を少し聞いていたのか。
翌日、食堂で朝食を済ませると、お父様が話を切り出した。
父「昨日の2人の口論を一部聞いた。
ロバート殿。今の状況では婚約は難しい。
あまり待たせる訳にもいかないから、他の令嬢をピノール家に迎えてはどうか」
ロ「伯爵!」
子「ウィル、どういうことだ」
父「ジョナサン。私達は両家の繋がりを夢見ていたが、現実は険悪に近い。
これでは繋がりどころか啀み合ってしまう」
ロ「俺はビビアンを諦めるつもりはありません」
父「だとしたら、ビビアンの気持ちが変わるようにするには、君も変わらないと」
ロ「……」
子「保留としよう。仮婚約のままで。
ビビアン嬢、頼む」
私「気持ちが変わる保証はありませんが よろしいですか?」
子「ロバートのせいだからな。すまないな」
まさか、ロバートが私に拘っているとは思わなかった。
後でお父様に確認したら、援助などの話は出ていないと言っていた。純粋に両家を繋ぐことだけ。
だとしたら何で?
夜間勤務明け?
こんな時間に?
普通は朝とか、間違っても昼に交代でしょう。
もう夜の11時ですよ?
しかも女物の香水の匂いがする。
「結婚を嫌がっていると聞いたが」
「詳細は聞いていないのですね?」
「明日聞く」
どうやら 私が嫌がっていて話が止まったと一報をもらったらしい。
「では こんな遅くに訪ねて来ないで、明日 子爵から詳細を聞いてからでよろしいのでは?」
「……変わったな」
「は?」
「レオナード・ダークロックのせいか」
「は!?」
「何を吹き込まれているのか知らないが、無闇に信用するな」
何なの この人
「レオナード様は私の愚痴を聞いたとしても、貴方のことをあれこれ言ったりしません。
そもそも“変わった”なんて言えるほど私のことを知りませんよね」
「……」
「何かの気まぐれで、ちょっとエスコートの真似事をして、何度か勝手に屋敷に訪ねてきた程度で貴方に何が分かるというのですか」
「……」
「“変わったな”?
ずっと思っていたことを口に出しただけです。
変わっておりません。
私が何を感じて何を思っていたのかも分からないクセに、“変わったな”?」
「ビビアン、俺は、」
「私も貴方のことを詳しく存じ上げません。
ただ貴方の行動を知っただけです」
「ビビアン。婚姻したら何もかもが終わるんだ」
「何を仰っているのですか?」
「もう少し我慢してくれないか」
「“我慢”? つまり私に我慢を強いている自覚があるのですね」
「ビビアン!」
「私は絶世の美女でもありませんし、大金持ちの娘でもありません。
ロバート様なら私に拘る必要などありませんよね?
子爵と父の友情のために犠牲になるのは間違っています。
両家を繋げたいからと婚姻させようとしていますが 逆効果です。
ビビアン・ガデュエットはピノール家との結びつきの為に何かする気はありません。
どうしてもと仰るなら妾を迎えて跡継ぎを産ませてください。
妾を養う費用の分、妻の予算を削っていただいて構いません」
「婚約は少し伸ばすから、冷静になって欲しい」
「…それ、本気で仰っていますか?」
「ビビアン」
「私が癇癪を起こして 我慢できない我儘令嬢と仰るのですね」
「そうじゃない!」
「ロバート殿、話なら明日の日中にしてくれないか」
メイドが報告に行ったのだろう。お父様が間に入ってくださった。
「失礼しました」
「ビビアン、休みなさい」
「ありがとうございます、お父様」
お父様はちょっと困った顔をなさっていた。
雰囲気を察したのか、話を少し聞いていたのか。
翌日、食堂で朝食を済ませると、お父様が話を切り出した。
父「昨日の2人の口論を一部聞いた。
ロバート殿。今の状況では婚約は難しい。
あまり待たせる訳にもいかないから、他の令嬢をピノール家に迎えてはどうか」
ロ「伯爵!」
子「ウィル、どういうことだ」
父「ジョナサン。私達は両家の繋がりを夢見ていたが、現実は険悪に近い。
これでは繋がりどころか啀み合ってしまう」
ロ「俺はビビアンを諦めるつもりはありません」
父「だとしたら、ビビアンの気持ちが変わるようにするには、君も変わらないと」
ロ「……」
子「保留としよう。仮婚約のままで。
ビビアン嬢、頼む」
私「気持ちが変わる保証はありませんが よろしいですか?」
子「ロバートのせいだからな。すまないな」
まさか、ロバートが私に拘っているとは思わなかった。
後でお父様に確認したら、援助などの話は出ていないと言っていた。純粋に両家を繋ぐことだけ。
だとしたら何で?
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