【完結】私じゃなくてもいいですね?

ユユ

文字の大きさ
10 / 23

変わってなんていません

翌日の夜、夜間勤務明けのロバート様がガデュエット邸にやってきた。

夜間勤務明け?
こんな時間に?
普通は朝とか、間違っても昼に交代でしょう。
もう夜の11時ですよ?

しかも女物の香水の匂いがする。

「結婚を嫌がっていると聞いたが」

「詳細は聞いていないのですね?」

「明日聞く」

どうやら 私が嫌がっていて話が止まったと一報をもらったらしい。

「では こんな遅くに訪ねて来ないで、明日 子爵から詳細を聞いてからでよろしいのでは?」

「……変わったな」

「は?」

「レオナード・ダークロックのせいか」

「は!?」

「何を吹き込まれているのか知らないが、無闇に信用するな」

何なの この人

「レオナード様は私の愚痴を聞いたとしても、貴方のことをあれこれ言ったりしません。

そもそも“変わった”なんて言えるほど私のことを知りませんよね」

「……」

「何かの気まぐれで、ちょっとエスコートの真似事をして、何度か勝手に屋敷に訪ねてきた程度で貴方に何が分かるというのですか」

「……」

「“変わったな”?

ずっと思っていたことを口に出しただけです。
変わっておりません。

私が何を感じて何を思っていたのかも分からないクセに、“変わったな”?」

「ビビアン、俺は、」

「私も貴方のことを詳しく存じ上げません。
ただ貴方の行動を知っただけです」

「ビビアン。婚姻したら何もかもが終わるんだ」

「何を仰っているのですか?」

「もう少し我慢してくれないか」

「“”? つまり私に我慢を強いている自覚があるのですね」

「ビビアン!」

「私は絶世の美女でもありませんし、大金持ちの娘でもありません。
ロバート様なら私に拘る必要などありませんよね?
子爵と父の友情のために犠牲になるのは間違っています。

両家を繋げたいからと婚姻させようとしていますが 逆効果です。

ビビアン・ガデュエットはピノール家との結びつきの為に何かする気はありません。
どうしてもと仰るなら妾を迎えて跡継ぎを産ませてください。

妾を養う費用の分、妻の予算を削っていただいて構いません」

「婚約は少し伸ばすから、冷静になって欲しい」

「…それ、本気で仰っていますか?」

「ビビアン」

「私が癇癪を起こして 我慢できない我儘令嬢と仰るのですね」

「そうじゃない!」

「ロバート殿、話なら明日の日中にしてくれないか」

メイドが報告に行ったのだろう。お父様が間に入ってくださった。

「失礼しました」

「ビビアン、休みなさい」

「ありがとうございます、お父様」


お父様はちょっと困った顔をなさっていた。
雰囲気を察したのか、話を少し聞いていたのか。



翌日、食堂で朝食を済ませると、お父様が話を切り出した。

父「昨日の2人の口論を一部聞いた。
ロバート殿。今の状況では婚約は難しい。
あまり待たせる訳にもいかないから、他の令嬢をピノール家に迎えてはどうか」

ロ「伯爵!」

子「ウィル、どういうことだ」

父「ジョナサン。私達は両家の繋がりを夢見ていたが、現実は険悪に近い。
これでは繋がりどころか啀み合ってしまう」

ロ「俺はビビアンを諦めるつもりはありません」

父「だとしたら、ビビアンの気持ちが変わるようにするには、君も変わらないと」

ロ「……」

子「保留としよう。仮婚約のままで。
ビビアン嬢、頼む」

私「気持ちが変わる保証はありませんが よろしいですか?」

子「ロバートのせいだからな。すまないな」


まさか、ロバートが私に拘っているとは思わなかった。

後でお父様に確認したら、援助などの話は出ていないと言っていた。純粋に両家を繋ぐことだけ。

だとしたら何で?






あなたにおすすめの小説

【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

殿下が私を愛していないことは知っていますから。

木山楽斗
恋愛
エリーフェ→エリーファ・アーカンス公爵令嬢は、王国の第一王子であるナーゼル・フォルヴァインに妻として迎え入れられた。 しかし、結婚してからというもの彼女は王城の一室に軟禁されていた。 夫であるナーゼル殿下は、私のことを愛していない。 危険な存在である竜を宿した私のことを彼は軟禁しており、会いに来ることもなかった。 「……いつも会いに来られなくてすまないな」 そのためそんな彼が初めて部屋を訪ねてきた時の発言に耳を疑うことになった。 彼はまるで私に会いに来るつもりがあったようなことを言ってきたからだ。 「いいえ、殿下が私を愛していないことは知っていますから」 そんなナーゼル様に対して私は思わず嫌味のような言葉を返してしまった。 すると彼は、何故か悲しそうな表情をしてくる。 その反応によって、私は益々訳がわからなくなっていた。彼は確かに私を軟禁して会いに来なかった。それなのにどうしてそんな反応をするのだろうか。

婚約する前から、貴方に恋人がいる事は存じておりました

Kouei
恋愛
とある夜会での出来事。 月明りに照らされた庭園で、女性が男性に抱きつき愛を囁いています。 ところが相手の男性は、私リュシュエンヌ・トルディの婚約者オスカー・ノルマンディ伯爵令息でした。 けれど私、お二人が恋人同士という事は婚約する前から存じておりましたの。 ですからオスカー様にその女性を第二夫人として迎えるようにお薦め致しました。 愛する方と過ごすことがオスカー様の幸せ。 オスカー様の幸せが私の幸せですもの。 ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

嘘つきな貴方を捨てさせていただきます

梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。 「さっさと死んでくれ」 フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。 愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。 嘘つきな貴方なんて、要らない。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 11/27HOTランキング5位ありがとうございます。 ※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。 1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。 完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。

[完結]「私が婚約者だったはずなのに」愛する人が別の人と婚約するとしたら〜恋する二人を切り裂く政略結婚の行方は〜

h.h
恋愛
王子グレンの婚約者候補であったはずのルーラ。互いに想いあう二人だったが、政略結婚によりグレンは隣国の王女と結婚することになる。そしてルーラもまた別の人と婚約することに……。「将来僕のお嫁さんになって」そんな約束を記憶の奥にしまいこんで、二人は国のために自らの心を犠牲にしようとしていた。ある日、隣国の王女に関する重大な秘密を知ってしまったルーラは、一人真実を解明するために動き出す。「国のためと言いながら、本当はグレン様を取られたくなだけなのかもしれないの」「国のためと言いながら、彼女を俺のものにしたくて抗っているみたいだ」 二人は再び手を取り合うことができるのか……。 全23話で完結(すでに完結済みで投稿しています)

ミュリエル・ブランシャールはそれでも彼を愛していた

玉菜きゃべつ
恋愛
 確かに愛し合っていた筈なのに、彼は学園を卒業してから私に冷たく当たるようになった。  なんでも、学園で私の悪行が噂されているのだという。勿論心当たりなど無い。 噂などを頭から信じ込むような人では無かったのに、何が彼を変えてしまったのだろう。 私を愛さない人なんか、嫌いになれたら良いのに。何度そう思っても、彼を愛することを辞められなかった。 ある時、遂に彼に婚約解消を迫られた私は、愛する彼に強く抵抗することも出来ずに言われるがまま書類に署名してしまう。私は貴方を愛することを辞められない。でも、もうこの苦しみには耐えられない。 なら、貴方が私の世界からいなくなればいい。◆全6話