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テステュータル子爵領
「ようこそ、おいでくださいました。
私は当主のゴーエン。妻のパメラ、息子のヘンリー、息子の嫁のマリワナ、娘のアナベルです。
そして彼がヴェリテ公爵家のストラ殿です。
クリス王太子殿下、ヴェリテ公女、デュケット卿、先ずはお部屋へご案内いたします。ひと休憩をなさった後、敷地内をご案内いたします。
お話は夕食のときにいかがでしょう」
「よろしく頼む」
「かしこまりました。荷物を運ばせていただきます」
「シェイナ、部屋に案内するからおいで」
「ストラ殿、向きが違う気がしますが」
「シェイナは女の子ですから、」
「部屋は私の隣でお願いします」
「ですが、」
「私はシェイナの護衛です。離れません」
「兄様、お部屋は無いの?」
「聞いてくる」
ストラは当主と戻ってきて、当主が説明をした。
「女性向けの部屋が反対側にしかございません。
卿と隣となると少しお時間をいただきますが」
「構いません。用意が難しければ彼女と同室にしますから」
「公女は歳頃のレディですよ?それはさすがに、」
「私の任務は彼女を守ること。レディ云々を優先して彼女の身の安全を図らないなど有り得ません」
「ここは危険ではありませんよ」
「私が守るのは命だけではありません。怪我ひとつさせる気はありません。
テステュータル一族の首に掛けてもそう言えますか?」
「そんな大袈裟な」
「シェイナ・ヴェリテ公爵令嬢は、ヴェリテ公爵夫妻が溺愛するご令嬢であり、国王陛下の姪です。
彼女の後ろ盾は他にノワール公爵家とパラストラジル侯爵家です。ウィルソン公爵家も続くでしょう。
それでも大袈裟なことですか?」
「いえ。失礼いたしました。直ぐにお部屋のご用意をいたします」
「感謝します」
「次は、次期国王の私も溺愛していると付け加えて欲しいな」
「控えさせてもらいます」
直ぐに案内してもらえた。
クリス兄様とリン兄様の間の部屋だった。
そこでこれまでの話をストラ兄様に説明した。
「何で父上と揉めてるんだよ」
「だって」
「俺が継ぐまで大人しくしていろよ。のんびりダラダラ引き篭りたいんだろう?
何で普通の令嬢より忙しくしてるんだよ」
「だって学園に行けって言うんだもん。
ストラ兄様~今すぐ継いで~」
「無茶言うな。……しかしシェイナが俺に抱き付くなんて」
「おかしい?」
「いつも兄上だったろう」
「寂しい思いをさせてごめんね」
「寂しくない」
「ストラ兄様 大きくなった」
「体作りは基本だからな。
ところであの護衛達は王宮騎士団なのか?」
「私の旅にクリス兄様が視察を言い訳についてきたの。今回近衛は使っていないわ」
「王太子殿下がいるのに近衛を使わないなんて」
「ヴェリテは王兄が当主で 私は陛下の姪よ。
その私を守る護衛騎士ならクリス兄様も守れるのよ」
ごめんね。任務のことは言えないの。
「殿下も相変わらずシェイナ離れしないな」
「…ストラ兄様。6人の護衛と絶対敵対しないで。
特にデュケット卿は駄目よ」
「そう言えば“リン兄” と呼んでいたな」
「内緒だけど、私が住んでいる部屋はデュケット子爵の店の二階で、子爵から借りているの」
「なるほど」
「デュケット子爵は前ノワール公爵だからね」
「あ…え!? 冷徹公爵家か」
「変なこと言わないで。すごく優しいんだから」
「やっぱり男だな。若い女の子には優しいんだろう。一見天使だからな」
「一見ってどういうことよ」
「でも、その息子を護衛に?」
「私と王太子殿下を少人数で旅させることを許されるほど実力があるの。
王宮騎士と彼らでは動きが違うの。裁量は彼らにあって、依頼を遂行させるの」
「何処が違うんだよ」
「例えばよ?例えばだからね?」
「早く言えよ」
「保護対象が私だけだとするでしょう」
「ああ」
「もし襲撃があったとき、必要なら王太子殿下でも犠牲にするわ」
「は!?」
「しーっ!
守る者は私一人だとしたら、どんな立場の人でも どんな身分の人でも 子供でも女性でも関係ない。
私を守ることだけを考える人達なの。
そのくらい任務遂行に対して非情になれるから雇うのよ。
今回は私とクリス兄様が保護対象者だから大丈夫よ」
「聞いたこと無いぞ」
「後継者教育の中で出てくるはずよ」
「何でシェイナは知っているんだ?」
「偶然知ったの。とにかく、お願いね」
「分かったよ」
私は当主のゴーエン。妻のパメラ、息子のヘンリー、息子の嫁のマリワナ、娘のアナベルです。
そして彼がヴェリテ公爵家のストラ殿です。
クリス王太子殿下、ヴェリテ公女、デュケット卿、先ずはお部屋へご案内いたします。ひと休憩をなさった後、敷地内をご案内いたします。
お話は夕食のときにいかがでしょう」
「よろしく頼む」
「かしこまりました。荷物を運ばせていただきます」
「シェイナ、部屋に案内するからおいで」
「ストラ殿、向きが違う気がしますが」
「シェイナは女の子ですから、」
「部屋は私の隣でお願いします」
「ですが、」
「私はシェイナの護衛です。離れません」
「兄様、お部屋は無いの?」
「聞いてくる」
ストラは当主と戻ってきて、当主が説明をした。
「女性向けの部屋が反対側にしかございません。
卿と隣となると少しお時間をいただきますが」
「構いません。用意が難しければ彼女と同室にしますから」
「公女は歳頃のレディですよ?それはさすがに、」
「私の任務は彼女を守ること。レディ云々を優先して彼女の身の安全を図らないなど有り得ません」
「ここは危険ではありませんよ」
「私が守るのは命だけではありません。怪我ひとつさせる気はありません。
テステュータル一族の首に掛けてもそう言えますか?」
「そんな大袈裟な」
「シェイナ・ヴェリテ公爵令嬢は、ヴェリテ公爵夫妻が溺愛するご令嬢であり、国王陛下の姪です。
彼女の後ろ盾は他にノワール公爵家とパラストラジル侯爵家です。ウィルソン公爵家も続くでしょう。
それでも大袈裟なことですか?」
「いえ。失礼いたしました。直ぐにお部屋のご用意をいたします」
「感謝します」
「次は、次期国王の私も溺愛していると付け加えて欲しいな」
「控えさせてもらいます」
直ぐに案内してもらえた。
クリス兄様とリン兄様の間の部屋だった。
そこでこれまでの話をストラ兄様に説明した。
「何で父上と揉めてるんだよ」
「だって」
「俺が継ぐまで大人しくしていろよ。のんびりダラダラ引き篭りたいんだろう?
何で普通の令嬢より忙しくしてるんだよ」
「だって学園に行けって言うんだもん。
ストラ兄様~今すぐ継いで~」
「無茶言うな。……しかしシェイナが俺に抱き付くなんて」
「おかしい?」
「いつも兄上だったろう」
「寂しい思いをさせてごめんね」
「寂しくない」
「ストラ兄様 大きくなった」
「体作りは基本だからな。
ところであの護衛達は王宮騎士団なのか?」
「私の旅にクリス兄様が視察を言い訳についてきたの。今回近衛は使っていないわ」
「王太子殿下がいるのに近衛を使わないなんて」
「ヴェリテは王兄が当主で 私は陛下の姪よ。
その私を守る護衛騎士ならクリス兄様も守れるのよ」
ごめんね。任務のことは言えないの。
「殿下も相変わらずシェイナ離れしないな」
「…ストラ兄様。6人の護衛と絶対敵対しないで。
特にデュケット卿は駄目よ」
「そう言えば“リン兄” と呼んでいたな」
「内緒だけど、私が住んでいる部屋はデュケット子爵の店の二階で、子爵から借りているの」
「なるほど」
「デュケット子爵は前ノワール公爵だからね」
「あ…え!? 冷徹公爵家か」
「変なこと言わないで。すごく優しいんだから」
「やっぱり男だな。若い女の子には優しいんだろう。一見天使だからな」
「一見ってどういうことよ」
「でも、その息子を護衛に?」
「私と王太子殿下を少人数で旅させることを許されるほど実力があるの。
王宮騎士と彼らでは動きが違うの。裁量は彼らにあって、依頼を遂行させるの」
「何処が違うんだよ」
「例えばよ?例えばだからね?」
「早く言えよ」
「保護対象が私だけだとするでしょう」
「ああ」
「もし襲撃があったとき、必要なら王太子殿下でも犠牲にするわ」
「は!?」
「しーっ!
守る者は私一人だとしたら、どんな立場の人でも どんな身分の人でも 子供でも女性でも関係ない。
私を守ることだけを考える人達なの。
そのくらい任務遂行に対して非情になれるから雇うのよ。
今回は私とクリス兄様が保護対象者だから大丈夫よ」
「聞いたこと無いぞ」
「後継者教育の中で出てくるはずよ」
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