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あからさま
お茶を飲んだ後、嫡男のヘンリーと令嬢のアナベルが敷地内の案内をしてくれているが あからさまだった。
ア「クリス王太子殿下をご案内出来て光栄です。クリス様とお呼びしても、」
ク「駄目だ」
ア「そんな。よろしいではありませんか。
このような田舎では誰も気にしませんわ」
ク「お忍び扱いで世話にはなるが、私は王族で既婚者だ。許すわけにはいかない」
田舎という割には、すごいドレス着てるんですけど。
アナベルの着ているドレスは襟元は深いVネック。
腰回りはピッタリとして、女性の曲線美を強調していた。
私「(ねえ、兄様。此処ではあのドレスは流行っているの?)」
ス「(違うと思うぞ。子爵夫人もマリワナ様も普通のドレスだっただろう。そもそも彼女は学園三年生で、俺も一昨日会ったばかりだ)」
私「(帰省予定だったんだね)」
ス「(急遽って感じだな)」
私「(もしかして?)」
セ「(王太子殿下目当てに田舎に戻って来たのだろう。あのドレスで誘惑しようとしてるんだ。
多分夜這いをかけるのだろうな)」
私「(あ~)」
私は自分の腰回りを触っていた。
コルセットは付けないから あんなに細くない。
胸もあんなにないし、お尻も…
セ「(シェイナ。お前があんな風になったら座れない程ケツ叩くからな)」
私「(フンっ。どーせ、リン兄様も色気のある豊満な人がいいんでしょ)」
セ「(まぁな)」
私「……」
ス「シェイナ、ちゃんと幼女趣味がいるから大丈夫だ」
私「ストラ兄様!」
その後は、アナベルはよろけたりしてアピールしていたが、クリスは距離を取り、ヘンリーに腕をかしてやったらどうだと言った。
さすかに子爵令嬢では王太子がいいとは言えなかった。だが、兄の腕を取るとクリスから離れてしまうため、意地を見せた。
「ぎゃあ!」
盛大に転んだ。
クリスは巻き込まれないよう半歩下がっていた。
「で、殿下っ、助けてくださいませ」
「ヘンリー殿。妹君が怪我をしたかもしれない。早く抱き上げてあげないのか?」
「あ、はい」
アナベルの顔は擦りむき、手や肘からは血が出ていた。腰回りの布は裂け、胸元からはパッドがずれ地面に落ちた。
「ヘンリー殿。凶器のように細いヒールの靴は危険だ。高さのない靴を買ってあげてくれ。
巻き添いで高貴な客人が怪我をしたら大事だ」
「申し訳ございません。ヴェリテ卿、後は頼む」
「かしこまりました」
二人が去ると、
「クリス兄様 素敵」
「そうだろう」
誰かさんと違って拒否で通し切るクリス兄様は素敵だわと感動していた。
「あ、落とし物」
「令嬢の変身道具だな」
私は拾って通りかかった使用人に声を掛けた。
「すみませ~ん」
「はい、なんでしょうか」
「アナベル様の忘れ物です。お渡しください」
「? ありがとうございます」
多分アレが何か知らないのだろう。
私「あんな分厚いパッドは初めて見たわ」
ク「アレは何なんだ?」
私「アレは胸にあてるものです。厚みが増すと、より豊満にみせることができます」
セ「偽胸ですよ。大きいフリをして男を誘うのです。胸の大きな女が好みでしたら、貢いだり求婚する前に脱がせて確認した方がいいですよ」
私「うわっ」
セ「なんだよ」
私「別に」
セ「反抗期だな」
私「仰る通りです。近寄ると噛まれますよ」
セ「シェイナが噛みたいなら噛ませてやる」
私「そういうところですよ」
セ「何で敬語になった」
私「反抗期ですから」
セ「いい度胸だな」
私「フン」
セ「……」
夜になると晩餐となった。
分かりやすくクリスの隣はアナベルだった。
シェイナの隣にはストラとヘンリー。
セヴリアンも誘われたが護衛の仕事をすると断った。
そのくせに、護衛を他の人に任せて何処かへ行った。
『セヴリアンは?』
『ボスは屋敷内の探索に出ました』
『一人で?』
『メイドを捕まえて案内させています。この時間に他人の屋敷を一人で見て回れませんからね』
『カレン達は?』
『遅くなるので近くの町に宿をとっています』
『分かった。ありがとう』
セヴリアンはカメレオンでも良かったのではと思い始めていた。
『カタブツみたいな人だったのになぁ』
中身はどうあれ、子爵家の令息だし、見た目は中性的で顔も良い。身体は引き締まっているわけだから、モテるはずだ。
「シェイナ」
だいぶ年月経ったしなぁ。
ス「シェイナ」
私「え?」
ス「ボーッとするな」
私「あ、すみません」
子「公女は学園へ通わず働いているとか」
私「はい。パラストラジル閣下がお声掛けしてくださいました。宰相執務室で補佐官見習いから始めております」
へ「学園での出会いは楽しみではなかったのですか」
私「どちらかというと苦手でして」
ス「妹は内向的なので」
マ「こんなに美しいのにもったいないですわ」
子「兄君の婿入り先の閣下の元なら安心でしょう」
ク「シェイナは最初から活躍していますよ。さすが宰相。見る目があります」
ア「でも、縁故ですわよね? 他の方は学園を上位で卒業して、厳しい試験を受けていらっしゃるのでは?」
顔や手に擦り傷を負ったアナベルは、性懲りも無く極厚パッドでまた胸を盛っている。
どうやら靡かないクリスが気に掛ける私に照準を当てたようだ。
私「だと思います」
ア「プレッシャーですわよね。ヴェリテ公爵家とパラストラジル侯爵家の顔を潰してはいけませんもの。いくら子供でも」
私「そうですね」
子「こら、アナベル」
ク「テステュータル嬢は三年生だと聞いたが、入試は何位だったのかな?」
ア「えっ」
パ「お恥ずかしいですが、アナベルはギリギリでしたの」
ア「お母様っ」
ク「テステュータル嬢。シェイナの入試結果は1位だよ」
パ「まぁ!」
へ「すごいですね」
ス「本当か!?」
ク「入試1位で、それだけじゃなく学園で習うことは終了しているんだ。だから通う必要がない。
その上、実務試験も合格して採用されたんだ。
先日は外交で大活躍して陛下から褒められたしな」
ス「やっぱり凡人は俺だけなんだな」
私「兄様?」
ス「出来のいい兄と妹に挟まれると肩身が狭いですよ」
ク「何言ってるんだよ。血縁というだけでヴェリテ公爵家を任せてもらえるわけじゃないぞ ストラ」
私「そうですよ。私の計画を平凡な人に委ねるわけがありません」
ス「そうか?」
ク「計画って?」
私「兄妹の秘密です」
デザートが運ばれてくると別の話題になった。
パ「クリス王太子殿下、第二子が元気にお産まれになったと伺いました。おめでとうございます」
ク「ありがとうございます」
ア「側妃の選定をなさるのですよね?」
ク「しない。妻は妃として申し分ない。
だから妃は増やさない」
ア「では、妾に、」
ク「既に妾の選定を終えて入宮させた」
ア「でも、もう一人くらい」
ク「其方はさっきから何が言いたい」
ア「あ…私も妾に」
ク「妾に何だ」
ア「私も選ばれてもおかしくはないのではと」
ク「未婚の成人した貴族令嬢は全て妾候補として篩にかける。
書類審査 個人審査 家門審査を合格した後に身体検査 面接がある。
其方のところに話がいっていないようだな。つまり既に落ちたということだ」
ア「っ!」
パ「娘は何故落ちたのでしょう」
ク「私のところまで名前が上がっていないということは、家門に問題がなく、近しい親族に罪人や特別な病歴がない場合は個人で引っかかったのでしょう」
パ「娘は健康ですし、器量も悪くはないと思うのですが」
ク「それは、」
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