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小屋暮らし
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木の器にはご主人様が作ったスープ。
木の皿には私が作った肉料理。
ご主人様が捕まえたイノシシの肉だ。
「エラン、美味いな」
「お口に合って良かったです」
「お前は一体何者なんだ?」
「さあ」
この頃になると、掃除は私、洗濯はご主人様がやっていた。
そして4回目の雨の数日後、ついに歩いて行けるほど地面は乾いていた。
元々着ていた服を着て、最後の掃除をした。
一時間半ほど歩くと町へ着いた。
この町も見覚えがない。
憲兵の詰所へいき、ご主人様が質問をしていた。
主「この娘は記憶がないんだ。読み書き計算はできるが、預けたらどうなるんだ」
兵「子供なら孤児院という手もあるが、もう成人はしてるだろう。住み込みの求人を当たらせて職を斡旋することになる」
主「どんなところに?」
兵「紹介状などがないから、平民の店だろう。
決まらなければ嫁や愛人の斡旋か、娼館だろうな」
主「……求人を見せてくれ」
ご主人様と一緒に求人を覗き込む。
男爵家のメイド、宿屋の従業員しか住み込みはなかった。
私「宿屋は掃除や洗濯ですかね」
兵「そこは一階が酒場のようなものだから大変だろうな、その容姿じゃあ」
私「男爵家のメイドは」
兵「そこの男爵家はメイドの入れ替えが頻繁だから訳ありだろうな」
私「男爵家の求人に応募します」
主「待てエラン。駄目だ。帰るぞ」
私「え!?」
ご主人様は手を引いて詰所を出てしまった。
私「駄目ですよ。他の人に決まったらどうするんですか」
主「あれはお手付きだ。男爵か誰かがメイドに体の関係を迫っているから入れ替えが頻繁なんだ。エランが行ったらその日にやられるぞ」
私「じゃあ、宿屋ですか?」
主「あそこの客層はエランには危ない」
私「他に住み込みが無いので後はよく知らない人の嫁か娼館か路上生活なんですよ?
私は詰所に戻ります。今までありがとうございました」
主「あ~っ!! クソっ!!」
私の腕を再度掴み、引き摺るように馬車乗り場までやってくると貸切馬車を捕まえて行き先を告げていた。
主「エラン、乗れ」
私「でも、」
主「いいから乗れ」
言われるがまま乗ると馬車は出発し、1時間かからずに小屋とは雲泥の差の屋敷に着いた。
私「やっぱり男爵家ですか。今から面接させてもらえるのですか?」
主「ここは子爵家だ」
門番がご主人様の顔を見ると開門し”おかえりなさいませ”と言った。
私「は?」
主「俺の屋敷だ」
私「はあ!?」
エントランスに着くと中から人が出てきた。
執「おかえりなさいませ、ご主人様」
主「ただいま。
エラン。降りろ」
執「はい?」
馬車から降りると男性が驚愕の顔で叫んだ。
執「ローズ!! ローズ!!」
主「目の前で叫んでいるのは執事のバートだ」
ロ「なんですか。大声を出して」
執「ご主人様が、お嫁さんを連れて帰られたっ!」
ロ「おお!神よ!」
主「馬鹿言うな。
エラン。祈っている方がメイド長のローズだ。
ローズ。うちで雇うから部屋を用意してくれ」
ロ「まあ……ですが今すぐお通しできる部屋は客間しかございません」
主「仕方ない。客間に通して食事と風呂を用意してやってくれ」
ロ「かしこまりました。さあ、参りましょう」
優しそうな年配のローズさんに案内されて客間へ通された。
部屋で食事をしている間に事情を話した。
川で引っ掛かっていたところを拾われたけど記憶が無いことも話した。
ロ「小屋の近くの川の上流には湖がありますから、そこから流されてきたのかもしれませんね。
明日、改めてお医者様に診て貰いましょう」
私「治りましたから」
ロ「ご主人様の処置では駄目です」
私「お願いします」
食事の後は湯浴みを手伝ってもらった。
一人で入ると言ったけど、他に傷の有無を確認したいと言われて承諾した。
確かに背中のことは私にはわからない。
***サラ(エラン)が眠った後の子爵邸***
「ご主人様、エラン様は間違いなく貴族のご令嬢です」
「育ちがいいだけでは?」
「作法がとても美しく、カトラリーも迷いなく自然に使えました。ナプキンの使い方も全てが身に付いているものです。
難しい文字も読めますし意味も理解しています。
髪も肌もいらした時は少し荒れていましたが、先程、お手入れをしましたら直ぐに美しくなりました。連日整えればもっと美しくなるでしょう。
それにあの顔立ちは平民というには難しいかと」
「だとしたら捜索願いが出されているのでは?
バート。確認してくれ」
「かしこまりました」
「家出や事件ですと令嬢の場合は醜聞になりますので、こっそり探しているかもしれません」
「そうだな。
だが、王宮の催し事で会ったことがないぞ。デビューはしている年齢だろうに」
「ドレスアップしたら見覚えがあるかもしれません」
「そのためだけにドレスを買うのか?」
「パトリシア様のドレスがございます。少し余ると思いますが着れなくはないかと」
「まだあの女の物があったのか。燃やしてしまえ!」
「では、新調なさいますか?」
「はぁ、仕方ない。明日、試しだと言って着させてくれ。見たらすぐ脱がせて燃やしてくれ」
「かしこまりました。
もう一つ。もう少し、対応を良くしておいた方がよろしいのではありませんか」
「そうか?」
「下位貴族は無いかと」
「格上だと?」
「はい」
「料理も作るぞ?掃除もするし」
「せめてお部屋はあのままでお願いします」
「分かった」
木の皿には私が作った肉料理。
ご主人様が捕まえたイノシシの肉だ。
「エラン、美味いな」
「お口に合って良かったです」
「お前は一体何者なんだ?」
「さあ」
この頃になると、掃除は私、洗濯はご主人様がやっていた。
そして4回目の雨の数日後、ついに歩いて行けるほど地面は乾いていた。
元々着ていた服を着て、最後の掃除をした。
一時間半ほど歩くと町へ着いた。
この町も見覚えがない。
憲兵の詰所へいき、ご主人様が質問をしていた。
主「この娘は記憶がないんだ。読み書き計算はできるが、預けたらどうなるんだ」
兵「子供なら孤児院という手もあるが、もう成人はしてるだろう。住み込みの求人を当たらせて職を斡旋することになる」
主「どんなところに?」
兵「紹介状などがないから、平民の店だろう。
決まらなければ嫁や愛人の斡旋か、娼館だろうな」
主「……求人を見せてくれ」
ご主人様と一緒に求人を覗き込む。
男爵家のメイド、宿屋の従業員しか住み込みはなかった。
私「宿屋は掃除や洗濯ですかね」
兵「そこは一階が酒場のようなものだから大変だろうな、その容姿じゃあ」
私「男爵家のメイドは」
兵「そこの男爵家はメイドの入れ替えが頻繁だから訳ありだろうな」
私「男爵家の求人に応募します」
主「待てエラン。駄目だ。帰るぞ」
私「え!?」
ご主人様は手を引いて詰所を出てしまった。
私「駄目ですよ。他の人に決まったらどうするんですか」
主「あれはお手付きだ。男爵か誰かがメイドに体の関係を迫っているから入れ替えが頻繁なんだ。エランが行ったらその日にやられるぞ」
私「じゃあ、宿屋ですか?」
主「あそこの客層はエランには危ない」
私「他に住み込みが無いので後はよく知らない人の嫁か娼館か路上生活なんですよ?
私は詰所に戻ります。今までありがとうございました」
主「あ~っ!! クソっ!!」
私の腕を再度掴み、引き摺るように馬車乗り場までやってくると貸切馬車を捕まえて行き先を告げていた。
主「エラン、乗れ」
私「でも、」
主「いいから乗れ」
言われるがまま乗ると馬車は出発し、1時間かからずに小屋とは雲泥の差の屋敷に着いた。
私「やっぱり男爵家ですか。今から面接させてもらえるのですか?」
主「ここは子爵家だ」
門番がご主人様の顔を見ると開門し”おかえりなさいませ”と言った。
私「は?」
主「俺の屋敷だ」
私「はあ!?」
エントランスに着くと中から人が出てきた。
執「おかえりなさいませ、ご主人様」
主「ただいま。
エラン。降りろ」
執「はい?」
馬車から降りると男性が驚愕の顔で叫んだ。
執「ローズ!! ローズ!!」
主「目の前で叫んでいるのは執事のバートだ」
ロ「なんですか。大声を出して」
執「ご主人様が、お嫁さんを連れて帰られたっ!」
ロ「おお!神よ!」
主「馬鹿言うな。
エラン。祈っている方がメイド長のローズだ。
ローズ。うちで雇うから部屋を用意してくれ」
ロ「まあ……ですが今すぐお通しできる部屋は客間しかございません」
主「仕方ない。客間に通して食事と風呂を用意してやってくれ」
ロ「かしこまりました。さあ、参りましょう」
優しそうな年配のローズさんに案内されて客間へ通された。
部屋で食事をしている間に事情を話した。
川で引っ掛かっていたところを拾われたけど記憶が無いことも話した。
ロ「小屋の近くの川の上流には湖がありますから、そこから流されてきたのかもしれませんね。
明日、改めてお医者様に診て貰いましょう」
私「治りましたから」
ロ「ご主人様の処置では駄目です」
私「お願いします」
食事の後は湯浴みを手伝ってもらった。
一人で入ると言ったけど、他に傷の有無を確認したいと言われて承諾した。
確かに背中のことは私にはわからない。
***サラ(エラン)が眠った後の子爵邸***
「ご主人様、エラン様は間違いなく貴族のご令嬢です」
「育ちがいいだけでは?」
「作法がとても美しく、カトラリーも迷いなく自然に使えました。ナプキンの使い方も全てが身に付いているものです。
難しい文字も読めますし意味も理解しています。
髪も肌もいらした時は少し荒れていましたが、先程、お手入れをしましたら直ぐに美しくなりました。連日整えればもっと美しくなるでしょう。
それにあの顔立ちは平民というには難しいかと」
「だとしたら捜索願いが出されているのでは?
バート。確認してくれ」
「かしこまりました」
「家出や事件ですと令嬢の場合は醜聞になりますので、こっそり探しているかもしれません」
「そうだな。
だが、王宮の催し事で会ったことがないぞ。デビューはしている年齢だろうに」
「ドレスアップしたら見覚えがあるかもしれません」
「そのためだけにドレスを買うのか?」
「パトリシア様のドレスがございます。少し余ると思いますが着れなくはないかと」
「まだあの女の物があったのか。燃やしてしまえ!」
「では、新調なさいますか?」
「はぁ、仕方ない。明日、試しだと言って着させてくれ。見たらすぐ脱がせて燃やしてくれ」
「かしこまりました。
もう一つ。もう少し、対応を良くしておいた方がよろしいのではありませんか」
「そうか?」
「下位貴族は無いかと」
「格上だと?」
「はい」
「料理も作るぞ?掃除もするし」
「せめてお部屋はあのままでお願いします」
「分かった」
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