【完結】王子に婚約破棄を告げられた令嬢は、別の令息の妾になる

ユユ

文字の大きさ
16 / 23

お披露目

王国新聞では今回4つ大きな発表があった。


先ずは王妃と王妃の両親の処刑。
公爵と公爵令嬢への暗殺を企て実行した未遂事件。

相手がバシュレ公爵家だったため、賛否の意見など出なかった。それが当たり前だから。


ユーグ王子殿下の存在が公表された。
“婚約中に恋に落ちてしまった”と。

一つだけ嘘があったとしたら互いに婚姻前としたこと。母親の元婚家の希望だ。

留学を終えて戻ってきたことと、第一王子と認知したこと。


母を王妃として迎え入れること。
これは少し動揺があったが、バシュレ公爵が早々に支持を宣言すると、歓迎された。


セイリアン王子殿下の王位継承権の永久剥奪。
当然という空気だが、意義があるとすれば“生温い”という意見だ。

セイリアンと同級生の子を持ち、素行を良く知る貴族の親は、もっと罰を与えるべきだと、いくつも上訴状が届いた。
実際にバシュレ公爵令嬢は侯爵家に妾として下げ渡されているのが決定打でもあった。

だけどその見方が少しだけ緩和したのは、今夜のユーグ王子殿下のお披露目だった。  
 

「すごい視線」

「興味津々なんだろう」

少し経つと拍手が起こった。
振り向くとお父様とお母様だった。

まるで二人が王族みたいじゃない。拍手ソレやめようよ。


お母様が私達を見ると、

「あらあら。恋愛結婚になるのね」

「え?」

「お義母様。アナベルが受け入れてくれましたらご挨拶に伺わせていただきます」

「うふふ。ちょっと変わった子だけど大事にしてね」

「はい。大事にします」

「怪我はどうだ」

「はい、お義父様。問題ありません」

「外部から何かあれば直ぐに報告をくれ」

「はい。直ぐに」



間もなくユーグ王子殿下の紹介が成された。

先に国王陛下が新しい王妃を嬉しそうにエスコートして、王妃の紹介をした。
続いてユーグ王子殿下が紹介され、同時に王太子に指名された。

平民の様に育ったはずのユーグ殿下が王子教育の教師たちから合格を貰った証だ。

セイリアンはいつまで経っても合格をもらえていなかった。それは王子が一人だから、時が来れば指名されると気にしていなかった。

そしてそのバカは馬鹿の証明をしてしまう。

「父上!
貴族としてさえ育っていないユーグが王太子なんてあり得ません!!」

「セイリアン。ユーグの母は才女だ。当時学園でいつも上位にいた。その彼女がずっと教育してきたのだ。

お前はユーグとは違って国で一番恵まれた環境にいながら認められなかった。己を恥よ」

「っ!」


その後は貴族が挨拶をしていく。

先ずはバシュレが挨拶をした。
新王妃とユーグ殿下が最敬礼をしたことがバシュレが実権を持っていることを示した。

そして夫人が王妃と両手で握手をし、公爵がユーグ殿下と握手をした後に肩を叩いた。二人の後ろ盾がバシュレだと表したのも同じだった。

少し待つとラコルデールの番になり、侯爵夫妻の後に私達が挨拶をしようとすると、アホが出てきた。

「アナベル!」

私に掴み掛かろうとした瞬間、ルシアン様は私を背に隠し、セイリアンは宙を舞った。

「グハッ!!」

「汚い手でアナベルに触れようとするな」

ユーグ殿下が見事な背負い投げをした後、腕を捻りうつ伏せにして背中を膝で押さえつけた。

「殿下、カッコいいですね」

「だよな」

「ありがとうございました」

異母弟アホは任せろ」

「ええ。お任せします」

「また後でな」


陛下が少し動揺しつつも、ユーグ王子殿下について公表した。

「ユーグの留学先はシュペルブだ。卒業時の順位は9位。覚えておいてくれ」


後でお父様に聞いたら、シュペルブは隣国の私立学園で、周辺諸国で最難関と言われる学園らしい。

入試も難しく、授業も難しく、進級も難しく、卒業も難しい。

定員は100名。
だが、合格ラインに届かない者は合格させない。

ひとクラス20名を担任と副担任が管理する。

2年に進級できるのは半分未満。
3年に進級できるのはさらに減り、卒業できた生徒が数名という年もあるという。

授業料はかなり高額で、奨学金制度もあるが、入試から常に上位にいて、実家に財力が無いことを認められた者だけに与えられる。

ユーグ殿下の場合は、お父様がコネを使った。
入試では合格に足りなかったが、交流のあった副学園長に事前に頼んでいた。
王室の事情とユーグ殿下が平民として育ったこと。

その代わり、進級や卒業試験に忖度は加えないという条件で入学できたらしい。
教師が母親だけで取るには かなり良い試験結果だったからだ。

何故こんなに脱落者が多いのか。
それは文武両道だから。

剣術、弓術、棒術、馬術の他に、私の世界で言う柔道に似た授業もある。

座学でさえ外国語は三つ取得を求められるし、全てが高度な内容だ。例えていうなら厳しい王子教育を3年で仕上げるといった感じだろう。



出身校が発表されると、シュペルブを知る貴族達は王子教育の教師が直ぐに合格を出したことに納得した。


「アナベル。王子殿下と知り合いか?」

「あ…」

「どの程度の知り合いだ」

「ちょっと」

「ちょっとじゃないだろう」

「怖い」

「愛する女が私の知らない男と仲が良さそうなら警戒するのは当然だ」

ルシアン様にどう説明したらいいのか。

「本で読んでた人物が出てきて、この間挨拶した感じです」

「は?」

「つまり知っているけど親しくはありません」

「この間挨拶したって、何時だ」

「実家にこのネックレスを取りに行ったときです」

「お義父様は居られたのか?」

「もちろんです。父に会いに来ていたようですから」

「知っていて行ったのか」

「知りませんでした」

「……ユーグ殿下がファーストダンスにアナベルを誘ったらお仕置きだ」

「ええ!?何で」

「浮気の前触れじゃないか?」

「私がバシュレ公爵の娘だから、誘ったとしても政略的なものですよ」










あなたにおすすめの小説

【完結】私を裏切った不倫夫に「どなたですか?」と微笑むまで 〜没落令嬢の復讐劇〜

恋せよ恋
恋愛
「早くあんな女と別れて、可愛い子と一緒になりたいよ」 不倫中の夫が笑う声を聞き、絶望の中で事故に遭うジェシカ。 結婚五年目に授かったお腹の子を失った彼女は、 「記憶を失ったフリ」で夫と地獄の婚家を捨てることを決意。 元男爵令嬢の薄幸ヒロインは、修道院で静かに時を過ごす。 独り身領主の三歳の男の子に懐かれ、なぜか領主まで登場! 無実の罪をなすりつけ、私を使い潰した報いを受けなさい。 記憶喪失を装った没落令嬢による、「ざまぁ」が幕を開ける! ※本作品には、馬車事故による流産の描写が含まれます。  苦手な方はご注意ください。主人公が絶対に幸せになる  物語ですので、安心してお読みいただければ幸いです。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです

藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。 理由は単純。 愛などなくても、仕事に支障はないからだという。 ──そうですか。 それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。 王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。 夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。 離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。 気づいたときにはもう遅い。 積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。 一方で私は、王妃のもとへ。 今さら引き止められても、遅いのです。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

姉の方を所望していたと言った婚約者に、突然連れ帰られて気づいたら溺愛されています

もちもちほっぺ
恋愛
侯爵家の地下室に住み、姉の食べかけで飢えをしのぎ、婚約者には初対面で「老婆のようだ、姉の方がよかった」と言われた令嬢リリアーナ。 ある日その婚約者に問答無用で公爵邸に連れ帰られた。 庭の恵みを口にするたびに肌が輝き、髪が艶めき、体に力が満ちていく。首に巻いたお守りの秘密、十数年続く国の不作の真実、虐げられ続けた令嬢の出生の謎。 全てが明かされる時、地下室令嬢の逆転劇が始まる。 なお婚約者は今日も庭でグルメリポートを最後まで聞いている。

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。