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6年後
【 サースワルド公爵 】
全く予想しなかったことが起きている。
それは息子の執着だ。
領地に条件に合う婚約者候補を呼んだ時さえ次期公爵の役目として受け入れ、人柄を見て選ぼうとしていた。
本人は気が付いていない。エマを選択肢に入れてしまっていることを。
引き合いにエマの名前が出てくる。
彼女は心の問題を抱えた子爵令嬢だ。愛でるだけならいいが公爵夫人は務まらない。
だけどアレクサンドルには身分差など関係ない。
公爵家の飼い猫ファイエットが婚約者候補に蹴られそうになった時、エマは身を挺してファイエットを庇った。そのため、頭部から額にかけて傷痕が残ってしまった。
結局3人の婚約者候補達は皆心の汚れた令嬢だったせいでアレクサンドルにとってエマは天使のような存在になった。
エマには前世の記憶がある。
それを信じることができたのは授業をするにあたり実力テストをした教師の報告のおかげだった。
『公爵様、エマ様は何者ですか』
『というと?』
『実力テストは順に難しい問題を並べたのではなく混ぜたのです。これは公子様向けの対策でした。
手を抜いてエマ様に合わせようとするかもしれないと。
ひっかかったのはエマ様でした。
何問かかなり難しい問題を解いているのです。間違えていた中程度の問題を解けなければその問題も解けません。
ひとつなら偶然もあり得ますが複数となると、エマ様が実力を隠したくて手を抜いたとみていいでしょう』
『すまない。確認をしてどうするか決める』
エマに聞くと手を抜いていて学園で習うことはもう2回の前世で勉強したようだ。
1回目は普通に生きた年まで。2回目はその続きから勉強すれば良かったから入学前には終わってしまい刺繍やダンスやお洒落などを重点的に取り組んだと答えた。
エマには本を用意し自習にした。ダンスの教師だけつけた。体力をつけさせる為だった。
アレクサンドルのことは別にしてエマには傷痕が残ってしまったので、せめて心の問題をなんとかしてやりたいと思った。
子爵の意外な面を目の当たりにして悩んだがエマを預かりたいと頼んでみた。
私が王都に戻る前に承諾を得た。
息子も領地に残り、子爵、子爵夫人、私の妻が入れ替わりで領地に滞在した。
2年過ぎた頃にはアレクサンドルと一緒なら小さく切った物は食べることができるようになった。
男の使用人とも話ができるようになった。
4年を過ぎる頃には子供達だけの期間があっても大丈夫になったし、混み合っていなければアレクサンドルと手を繋いで街を歩くこともできるようになった。
5年を過ぎる頃には女性王族の教育を手掛けたことのある者を教師に雇いエマに習わせた。
アレクサンドルもエマの世話を焼きながら猛勉強をしたし護身術や剣術、乗馬も習った。
そして今、デビュータントを迎えたアレクサンドルはエマと一緒に王都の屋敷に移り住んだ。
子爵には、不特定多数の異性がいる中でもパニックにならない練習のためだと王都滞在を提案した。
11歳のエマは皆と同じように食事をとれるまでになった実績のおかげで承諾してもらえた。
アレクサンドルはデビュータントにエマをつれていきたがったが婚約者でもないのに11歳のエマをパートナーとして出せない。
渋々パートナー無しで参加したところ、釣書が沢山届いてしまった。
『エマより優秀なら考えますよ』
と鼻で笑っていた。
エマより優秀でアレクサンドルの年齢に釣り合う令嬢などいるわけがない!
早く男性恐怖症を克服してくれ。
全く予想しなかったことが起きている。
それは息子の執着だ。
領地に条件に合う婚約者候補を呼んだ時さえ次期公爵の役目として受け入れ、人柄を見て選ぼうとしていた。
本人は気が付いていない。エマを選択肢に入れてしまっていることを。
引き合いにエマの名前が出てくる。
彼女は心の問題を抱えた子爵令嬢だ。愛でるだけならいいが公爵夫人は務まらない。
だけどアレクサンドルには身分差など関係ない。
公爵家の飼い猫ファイエットが婚約者候補に蹴られそうになった時、エマは身を挺してファイエットを庇った。そのため、頭部から額にかけて傷痕が残ってしまった。
結局3人の婚約者候補達は皆心の汚れた令嬢だったせいでアレクサンドルにとってエマは天使のような存在になった。
エマには前世の記憶がある。
それを信じることができたのは授業をするにあたり実力テストをした教師の報告のおかげだった。
『公爵様、エマ様は何者ですか』
『というと?』
『実力テストは順に難しい問題を並べたのではなく混ぜたのです。これは公子様向けの対策でした。
手を抜いてエマ様に合わせようとするかもしれないと。
ひっかかったのはエマ様でした。
何問かかなり難しい問題を解いているのです。間違えていた中程度の問題を解けなければその問題も解けません。
ひとつなら偶然もあり得ますが複数となると、エマ様が実力を隠したくて手を抜いたとみていいでしょう』
『すまない。確認をしてどうするか決める』
エマに聞くと手を抜いていて学園で習うことはもう2回の前世で勉強したようだ。
1回目は普通に生きた年まで。2回目はその続きから勉強すれば良かったから入学前には終わってしまい刺繍やダンスやお洒落などを重点的に取り組んだと答えた。
エマには本を用意し自習にした。ダンスの教師だけつけた。体力をつけさせる為だった。
アレクサンドルのことは別にしてエマには傷痕が残ってしまったので、せめて心の問題をなんとかしてやりたいと思った。
子爵の意外な面を目の当たりにして悩んだがエマを預かりたいと頼んでみた。
私が王都に戻る前に承諾を得た。
息子も領地に残り、子爵、子爵夫人、私の妻が入れ替わりで領地に滞在した。
2年過ぎた頃にはアレクサンドルと一緒なら小さく切った物は食べることができるようになった。
男の使用人とも話ができるようになった。
4年を過ぎる頃には子供達だけの期間があっても大丈夫になったし、混み合っていなければアレクサンドルと手を繋いで街を歩くこともできるようになった。
5年を過ぎる頃には女性王族の教育を手掛けたことのある者を教師に雇いエマに習わせた。
アレクサンドルもエマの世話を焼きながら猛勉強をしたし護身術や剣術、乗馬も習った。
そして今、デビュータントを迎えたアレクサンドルはエマと一緒に王都の屋敷に移り住んだ。
子爵には、不特定多数の異性がいる中でもパニックにならない練習のためだと王都滞在を提案した。
11歳のエマは皆と同じように食事をとれるまでになった実績のおかげで承諾してもらえた。
アレクサンドルはデビュータントにエマをつれていきたがったが婚約者でもないのに11歳のエマをパートナーとして出せない。
渋々パートナー無しで参加したところ、釣書が沢山届いてしまった。
『エマより優秀なら考えますよ』
と鼻で笑っていた。
エマより優秀でアレクサンドルの年齢に釣り合う令嬢などいるわけがない!
早く男性恐怖症を克服してくれ。
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