【完結】もう愛しくないです

ユユ

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デニス 5

何故だ。エマとの縁談が流れてしまった。
私が気絶してしまったからか?

だったらレジュール家に。そう思って母に頼んでみた。

『レジュール家は難しいわよ。
こちらの条件を満たせないと思うわ』

『条件ですか』

『私達には多額の支援が必要なの。レジュール家は財力は無いのよ』




それから進展のないまま半年以上経った。

『デニス、レジュール家について噂を聞いたわ』

『どうでした』

『あそこの令嬢とは縁を繋げないわ』

『どうしてですか』

『それがサースワルド公爵令息のお見合いに領地まで行った時に公爵家の宝石を盗んだみたいで今は修道院にいるそうよ』

『そんな馬鹿な!』

『会ったこともない令嬢の事で貴方が取り乱すことはないでしょう!落ち着きなさい!』

『すみません』

『三女のティファニー様が隠し持っていて言い逃れが出来ない状態だったって』

『ライバルの誰かに陥れられたとか』

『首から下げる小さな袋の中に隠し持っていたって話よ。鞄やポケットなら嫌がらせの可能性も否定しきれないけど流石に首から下げる物は言い逃れができないわ。

いくら美しい令嬢でも手癖の悪い子は無理ね。特殊な殿方か愛人くらいにしかなれないわ。

大金持ちなら検討しなくもないけどレジュール家はそうじゃない。

例えノーディング家に負債が無くてもあの令嬢を迎え入れることは絶対にないわ』

『一度の過ちくらい』

『公爵家に縁談で行って盗んだのよ?
もし貴方と婚姻しても他の貴族の家にお呼ばれしなくなるわよ。呼ばれても監視が付くわ。盗人なのですから。

食べる物もなくて餓死しそうだというなら分かるわ。なのに何不自由ない令嬢が盗むということは強い物欲と低い理性を表しているの。

手癖が悪いということは、手を出さずにはいられないの。再犯率が高いということよ。

今回は子供のしたことだから破談だけで済んだけど、侯爵が修道院行きを決めたのはそういう懸念があるからなのよ。

これでもし、ノーディング伯爵夫人として盗んだ時にはノーディング家はお終いよ。
そんな恐ろしい娘は迎え入れられないわ。

デニス、もし彼女が修道院から出てきて学園にいたとしても関わっては駄目よ。
話すことも禁じます』

『母上!』

『何故拘るの。

貴方が実力で大富豪にでもなったら外に出さないペットにするのは構わないわ。
だけどその時はしっかり躾て正妻に跪かせなさい』

『ひどいです!』

『では諦めなさい。
拘るなら廃嫡するわ。平民になって好きなだけ彼女を追いかけなさい』

『っ!』

『貴方が危険だと早めに分かって良かったわ』




それから年月が経って学園に入学した。
入学できたのは婚約者が決まったからだ。

相手はパトリシア・コルベーヌ男爵令嬢。
同じクラスの女だった。

最悪だ。四六時中ベタベタしてきて、私に近寄る令嬢を牽制するから令嬢達からは避けられてしまった。

結婚までは必要最小限のということなのでコルベーヌ家に借金をするかたちになる。

抱えていた借金は全て肩代わりしてもらった。

どちらも借金なのでどんどんコルベーヌ家への借金が膨らむことになる。
何とか別の金持ちを探したいが不貞となる為難しい。そんな事をしたら全て奪われて平民落ちだ。

だけど婚約解消には全額返済して慰謝料を払わなければならない。これは飼い殺しだ。
この女のペットに成り下がってしまったのだ。

結局、ティファニーは学園に入学してこなかった。母上が仕入れてきた情報では修道院から出ることはできたが入学試験に落ちたらしい。
侯爵令嬢ともなれば救済措置があっても良さそうだけどそうはならなかったのは入学させたらトラブルを起こすと判断したからだろうと。

令嬢しか通えない学校も落ちたらしく、屋敷で教師を雇ったそうだ。

こうなれば私を救えるのはエマしかいない。

こいつと婚約してみてよく分かった。
エマは私を支えて愛していたということが。

巻き戻りという1度のチャンスを無駄にしたくない。

まずはこの女とせめてクラスを離さなくては。馬鹿になるか猛勉強をするかのどちらかだ。





最終学年ではパトリシアと離れることができた。私はずっと馬鹿を装っていたので私と同じクラスになりたかったパトリシアは手を抜いたようだ。

学年末の試験では1年間習った全範囲から出題され、この成績でクラスが決まる。
赤点は留年か退学だ。


最終学年の始業式の日に私の腕に絡みつくパトリシアは嬉しそうに微笑む。

『3年生も同じクラスになるわね。デニス様といられて嬉しいわ』

『私もだよ』


『今年も4クラスとなります。では成績順にお呼びします。呼ばれた方は返事をしてご自身のクラスへ向かってください。3年生の校舎は別棟となりますので間違えないように。

まずはAクラス。
1位………』

『Aクラスの顔ぶれが変わらないわね』

『ほとんどね』


『次はBクラス。
1位 デニス・ノーディング』

『はい!』

『えっ!?』

『パトリシア、呼ばれたから行かなくちゃ』

『どうして…』

『さぁ、私もびっくりしている』

Bクラスに行き席につき、次々と入室する令息令嬢を確認しては祈っていた。パトリシアが呼ばれませんように。

最後の生徒が入ってきて続いて担任が入ってきて挨拶を始めた。

成功だ!これで授業中はあの女と離れられる!なんて爽やかな空気なんだ!

今日はクラス分けと挨拶だけ。
帰る時になってパトリシアが来て不満そうだ。

『どうしてなの!』

『分からないよ。たまたま復習した問題と学年末問題が重なったとしか。

父と母にいつも勉強しろと言われ、最終学年くらいは学業に専念しろと叱られたんだ。
次期伯爵としての自覚を待てということだ。

今年は学業に専念したりクラスメイトとの交流もしないとならない。それも社交のひとつだからな。

そのうち本格的な後継者教育が始まるから休日も遊んではいられない。

パトリシアも伯爵夫人になるための教育も始まる。まずはコルベーヌ家の一員としてクラスで社交をするんだよ』

『そんな』

『貴族のだ。避けられない。今まで遊ばせてもらえてたことに感謝しないと。他の家紋はもっと早くから教育が始まり社交もこなしているんだ。

これ以上遊んでいたら将来のために良くない。わかるね』

『っ!』




帰りの馬車の中で今までにない開放感を感じていた。
パトリシアと距離をおける。

昨日は2年のクラス分け。
明日はエマの入学式だ。何とかして接点をもたないと。





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