【完結】もう愛しくないです

ユユ

文字の大きさ
27 / 34

アレクサンドル 2


会場に着くと一旦離れる。

デビューの子達は王族への挨拶があるからだ。
その間に悪魔が来ていないか確認をした。

そこに学園時代の友人がいた。

「アレクサンドル、久しぶりだな」

「ウィリアム。格好良いな」

「だろう!モテモテだよ」

「奥方に手紙を書くぞ」

「止めてくれよ。うちの嫁さんは怖いんだから。
ところで、なんで居るんだ?」

「婚約者のデビューなんだ」

「4つ下か。初々しいな」

「変な目で見るなよ」

「はいはい」

「ちょっと頼みがあるんだけど」

「どうした」

「婚約者が男に付き纏われだした。先手を打って足止めをしたから来れないとは思うんだけど」

「招待状がないと入って来れないだろう」

「心配なんだ。失神する程怯えていてね」

「重症じゃないか!」

「愛してるんだ。長年片思いをしてやっと婚約してもらえた大事な子なんだ」

「どの子だ」

「まだ呼ばれていない」

「下位貴族!?」

「バルト子爵令嬢だ」

「バルト家か。よく落とせたな」

「?」

「母上が言っていた。最初は普通に婚約者を探していたのに、急に受け付けなくなったって。狙っていた貴族は多かったみたいだ。

娘を表に出さないし接点がないから娘を攻略することも出来ないって。
高位貴族も遠慮なく断ったそうだ。

隣国の王族も断ったと聞く。
普通、子爵家が断れないよな」

「知らなかった」

「それで、誰を警戒すればいいんだ」

「容姿の整った金髪碧眼の令息だ。今は学園で声をかけられただけだが、彼にだけ拒絶反応をみせている」

「だとするとノーディング家だな」

「凄いな」

「招待状が無い学園生は2年か3年生だろう。金髪も青い目も珍しくはないが、3つ揃って2、3年生だと1番はノーディング家だろう。

あそこの息子は金持ちの男爵令嬢と婚約していなかったか?」

「予測でしかないが束縛が激しくて乗り換えたいらしい。

幼少期に会わずに破談になったようだが今まで音沙汰がなかったのに急に面識のないエマの前に現れた」

食堂の話をすると

「乗り換えたいんだな。分かった。注視するように出入口担当に言っておく」

「助かるよ」

「仕事だ。気にするな」

侯爵家次男のウィリアムは今回の警備主任補佐らしい。




そして直ぐに一報は届いた。

捕えて連れて行かれた部屋へ駆けつけるとそこにはエマの言っていた容貌の令息がいた。

「アレクサンドル、彼がノーディング伯爵令息だ」

「ありがとうウィリアム」

「……サースワルド公爵家のご令息がどうして」

「私はエマの婚約者だ」

「エマが…公爵家と?
子爵令嬢のエマが何故ですか」

「私が望んだからだ。ずっと側にいてやっと承諾をもらった」

「そんな馬鹿な」

「すまないが、彼と2人で話をさせてくれないか。エマの事だ」

「わかった」




人払いを済ませるとデニスの正面に座った。

「お前はの経験者だろう」

「えっ」

「じゃなきゃいきなり食堂でエマ目掛けて話しかけたりしない」

「どういう事ですか」

「1度か?」

「えっ、…そうです」

「最後は窒息死か」

「っ!」

「エマも巻き戻りだ。お前に裏切られて殺された記憶がある。その前にもう1度巻き戻りを経験している。その時はお前の暴力が原因で自殺した」

「エマが!?」

私は最初の馴れ初めから暴行事件と病院で化け物と呼ばれて投身自殺をした後、巻き戻り、今度こそはとまた彼を愛して凌辱の上殺され、また巻き戻った話をした。

そして今回のエマの心の傷のこと、液体しか受け付けなかったこと、異性恐怖症だったこと、食堂で会った日に早退して失神し丸一日寝込んでしまったことを話した。

「だからお前とエマがやり直せる可能性はゼロなんだ」

「2度も殺したのか。

あの日は態とじゃなかった。死なせるつもりは無かった」

「殺すつもりがなくても、アレ自体は令嬢にとっては殺人行為だ。不貞をして顔が変わるほどの暴力を受けてもまたお前を愛して尽くそうとした婚約者にあんなことができるやつは悪魔だ」

「私はティファニーを愛してしまったのです」

「エマのせいではないのに代償をエマに押し付けるな。

エマは長い年月を苦しんできた。
頼むから解放して欲しい。

2度もエマを殺したお前を殺してやりたいくらいだが、極刑を与えられるほどの罪を犯してからでは付き纏われたらエマの心が崩壊してしまう。

となるとノーディング家を没落させるしかない。
お前が諦めないのなら他に関係を断つ方法がなさそうだから」

「分かりました。社交場で見かけてもできるだけ声はかけません」

「では騎士に入ってもらうぞ」




数十分後

「ノーディング伯爵令息。招待状無しに王宮主催の行事に忍び込むのは重罪だ」

「……はい」

「ノーディング家に報告はするが、今回だけは解放してやる」

「えっ」

「持ち物がハンカチだけだし、剣術などの心得もない。目的は令嬢に会いにきた。

その令嬢は一生に一度の成人の義を台無しにされたくないだろう。

この決断は王妃様が下した。無にするなよ。
バルト子爵令嬢が婚姻するまで監視がつく。
社交場での正当な接触以外は近寄るな。

近寄った時にはこの件を蒸し返して処罰することになる」

「…はい」

誓約書をかかせ馬車に乗せた。





あなたにおすすめの小説

殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし

さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。 だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。 魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。 変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。 二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。

もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない

もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。 ……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。 ※AI学習禁止・無断転載禁止・無断翻訳禁止・無断朗読禁止

公爵家の養女は静かに爪を研ぐ 〜元々私のものですので、全て返していただきます〜

しましまにゃんこ
恋愛
リヴィエール公爵家に養女として引き取られた少女、アリサ・リヴィエール。 彼女は華やかな公爵家の嫡子マリアとは対照的に、家でも学園でもひっそりと息を潜めて生きていた。 養女とは言っても、成人と同時に修道院へ入ることが決まっており、アリサに残された時間は僅かだった。 アリサはただ静かに耐えていた。 ——すべてを取り戻す、その時まで。 実は彼女こそが、前公爵が遺した真の娘であり、水の加護を持つリヴィエール公爵家の正統なる後継者だった。不当に奪い取られた地位と立場。 アリサは静かに時を待つ。 一方、王太子リュシアン・ルミエールは、傲慢な婚約者マリアに違和感を抱きつつ、公爵家に隠された不正の匂いを嗅ぎ取っていく。 やがて二人の思惑は重なり、運命の卒業パーティーが幕を開ける。 奪われた名前も、地位も、誇りも—— 元々、私のものなので。まとめて返してもらいます。 静かに爪を研いできた養女の、逆転ざまぁと溺愛ロマンス。 完結保証&毎日2話もしくは3話更新。 最終話まで予約投稿済み。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。 民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。 「おまえたちは許さない」 二度目の人生。 エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。 彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。 1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。 「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」 憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。 二人の偽りの婚約の行く末は……

私の手からこぼれ落ちるもの

アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。 優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。 でもそれは偽りだった。 お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。 お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。 心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。 私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。 こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら… ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ 作者独自の設定です。 ❈ ざまぁはありません。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

嘘つきな貴方を捨てさせていただきます

梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。 「さっさと死んでくれ」 フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。 愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。 嘘つきな貴方なんて、要らない。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 11/27HOTランキング5位ありがとうございます。 ※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。 1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。 完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。