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アレクサンドル 2
会場に着くと一旦離れる。
デビューの子達は王族への挨拶があるからだ。
その間に悪魔が来ていないか確認をした。
そこに学園時代の友人がいた。
「アレクサンドル、久しぶりだな」
「ウィリアム。格好良いな」
「だろう!モテモテだよ」
「奥方に手紙を書くぞ」
「止めてくれよ。うちの嫁さんは怖いんだから。
ところで、なんで居るんだ?」
「婚約者のデビューなんだ」
「4つ下か。初々しいな」
「変な目で見るなよ」
「はいはい」
「ちょっと頼みがあるんだけど」
「どうした」
「婚約者が男に付き纏われだした。先手を打って足止めをしたから来れないとは思うんだけど」
「招待状がないと入って来れないだろう」
「心配なんだ。失神する程怯えていてね」
「重症じゃないか!」
「愛してるんだ。長年片思いをしてやっと婚約してもらえた大事な子なんだ」
「どの子だ」
「まだ呼ばれていない」
「下位貴族!?」
「バルト子爵令嬢だ」
「バルト家か。よく落とせたな」
「?」
「母上が言っていた。最初は普通に婚約者を探していたのに、急に受け付けなくなったって。狙っていた貴族は多かったみたいだ。
娘を表に出さないし接点がないから娘を攻略することも出来ないって。
高位貴族も遠慮なく断ったそうだ。
隣国の王族も断ったと聞く。
普通、子爵家が断れないよな」
「知らなかった」
「それで、誰を警戒すればいいんだ」
「容姿の整った金髪碧眼の令息だ。今は学園で声をかけられただけだが、彼にだけ拒絶反応をみせている」
「だとするとノーディング家だな」
「凄いな」
「招待状が無い学園生は2年か3年生だろう。金髪も青い目も珍しくはないが、3つ揃って2、3年生だと1番はノーディング家だろう。
あそこの息子は金持ちの男爵令嬢と婚約していなかったか?」
「予測でしかないが束縛が激しくて乗り換えたいらしい。
幼少期に会わずに破談になったようだが今まで音沙汰がなかったのに急に面識のないエマの前に現れた」
食堂の話をすると
「乗り換えたいんだな。分かった。注視するように出入口担当に言っておく」
「助かるよ」
「仕事だ。気にするな」
侯爵家次男のウィリアムは今回の警備主任補佐らしい。
そして直ぐに一報は届いた。
捕えて連れて行かれた部屋へ駆けつけるとそこにはエマの言っていた容貌の令息がいた。
「アレクサンドル、彼がノーディング伯爵令息だ」
「ありがとうウィリアム」
「……サースワルド公爵家のご令息がどうして」
「私はエマの婚約者だ」
「エマが…公爵家と?
子爵令嬢のエマが何故ですか」
「私が望んだからだ。ずっと側にいてやっと承諾をもらった」
「そんな馬鹿な」
「すまないが、彼と2人で話をさせてくれないか。エマの事だ」
「わかった」
人払いを済ませるとデニスの正面に座った。
「お前は巻き戻りの経験者だろう」
「えっ」
「じゃなきゃいきなり食堂でエマ目掛けて話しかけたりしない」
「どういう事ですか」
「1度か?」
「えっ、…そうです」
「最後は窒息死か」
「っ!」
「エマも巻き戻りだ。お前に裏切られて殺された記憶がある。その前にもう1度巻き戻りを経験している。その時はお前の暴力が原因で自殺した」
「エマが!?」
私は最初の馴れ初めから暴行事件と病院で化け物と呼ばれて投身自殺をした後、巻き戻り、今度こそはとまた彼を愛して凌辱の上殺され、また巻き戻った話をした。
そして今回のエマの心の傷のこと、液体しか受け付けなかったこと、異性恐怖症だったこと、食堂で会った日に早退して失神し丸一日寝込んでしまったことを話した。
「だからお前とエマがやり直せる可能性はゼロなんだ」
「2度も殺したのか。
あの日は態とじゃなかった。死なせるつもりは無かった」
「殺すつもりがなくても、アレ自体は令嬢にとっては殺人行為だ。不貞をして顔が変わるほどの暴力を受けてもまたお前を愛して尽くそうとした婚約者にあんなことができるやつは悪魔だ」
「私はティファニーを愛してしまったのです」
「エマのせいではないのに代償をエマに押し付けるな。
エマは長い年月を苦しんできた。
頼むから解放して欲しい。
2度もエマを殺したお前を殺してやりたいくらいだが、極刑を与えられるほどの罪を犯してからでは付き纏われたらエマの心が崩壊してしまう。
となるとノーディング家を没落させるしかない。
お前が諦めないのなら他に関係を断つ方法がなさそうだから」
「分かりました。社交場で見かけてもできるだけ声はかけません」
「では騎士に入ってもらうぞ」
数十分後
「ノーディング伯爵令息。招待状無しに王宮主催の行事に忍び込むのは重罪だ」
「……はい」
「ノーディング家に報告はするが、今回だけは解放してやる」
「えっ」
「持ち物がハンカチだけだし、剣術などの心得もない。目的は令嬢に会いにきた。
その令嬢は一生に一度の成人の義を台無しにされたくないだろう。
この決断は王妃様が下した。無にするなよ。
バルト子爵令嬢が婚姻するまで監視がつく。
社交場での正当な接触以外は近寄るな。
近寄った時にはこの件を蒸し返して処罰することになる」
「…はい」
誓約書をかかせ馬車に乗せた。
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