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ニコラの裏工作
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【 ニコラの視点 】
時はエリスが王都のフィルドナ邸に現れて数日後まで遡る。
「ニコラ様、もっと頻繁に会いたいわ」
「私にも付き合いや祖父からの引き継ぎがある。
君は学業に専念しなさい」
「どうせ嫁ぐのに?」
どんな教育をしているんだ?
嫁げば後の暮らしは好きな物を買って、好きな物を食べて、好きに夫人達と茶を飲んで、子作りだけするのが侯爵夫人の役目だと思っているのか?
「そんなことより、新しいドレスなの」
「そう。良かったね」
「ニコラ様、観劇のチケットがあるの」
「親戚が来たばかりだから駄目だ」
「つまんないわ」
「アメリア。私は君の暇潰しの玩具ではないよ。
それに、学業は社会に出るための下地作りだ。学園を卒業して嫁いでも学ぶことはなくならない。
侯爵家に嫁いだとして、ドレスや宝石などは所謂投資だ。同等かそれ以上の何かを侯爵家か侯爵領にもたらしてくれると信じて買い与えるんだ」
「子を産むのよ?」
「元気な男児を産むだけなら平民でもできる。
今、アメリアがもたらす確かなものはウィット公爵家との繋がりだけだ。
だが、フィルドナ家は婚約前から富も名誉もある家門だ。つまりソレは必要としていない」
「グスン」
「アメリア。私は貴族令嬢なら誰でも求められることを口にしただけなのに、成人して婚姻まで半年を切っている女性が泣いてやり過ごそうとしていては社交にも出せないよ」
その後、公爵に呼び出されたが主張を変えなかった。
「アメリアのどこが不服なんだ」
「これから領主夫人として領民を守ろうとか、役立とうとかいう気持ちがまるでありません。
公爵はアメリア嬢を妾にさせたいのですか?
今のアメリア嬢は大富豪の妾になりますと言っているようなものです。
卒業までに教育をしてくださらないと困ります」
婚約以降、遠回しに注意をしてきたが、はっきり注意することにしたので、会うたびにこの手のやり取りが常となった。
アメリアの顔から段々と能天気な笑顔が消えていく。
そこに、隣国の夜会荒らしで有名になったヒモ男を雇うことにした。
学卒ではないが読み書きもできて知識も話題も豊富。
何よりアメリア好みの男だった。
アメリアは私に一目惚れをしたらしいが一つだけ好みと違う部分があると言っていた。それは輝くような金髪ではないこと。私の髪は薄茶色だった。
イヴァンという男は、少し私に似た金髪碧眼だった。
美術館に連れて行き、偶然を装って接触させると、アメリアはすぐに引っかかってくれた。
アメリアはきっかけが欲しくて態とハンカチを落としたが、イヴァンはそのハンカチを拾って観劇のチケットを忍ばせ、“次の日曜日に”と囁いて渡した。
見事にアメリアは釣れた。年末には体を繋げたと報告があった。
そして婚姻の一週間前にイヴァンに “愛するアメリアを他の男と共有なんて出来ない” と別れを切り出させた。
アメリアは私と別れてイヴァンを選ぶと言ったが、“公爵家と侯爵家に説得されたり監禁されたりして私達の仲は引き裂かれ、結局アメリアは逃げられない” と言うと、直前に逃げようとアメリアは提案してきたと報告があった。
大金と偽の身分証を渡してアメリアと国境に向かわせた。
だが、イヴァンは通れるがアメリアの身分証では通れず捕まるように雑に作った。
つまり、国境で二人は物理的に別れることになる。
婚姻式からアメリアを連れて国境に向かえば片道10日はかかるだろう。そこから聴取を取り、王都のウィット公爵に連絡が入り、国境の町まで馬車で向かいアメリアを引き取って王都に連れ戻すまでに、全部で1ヶ月近く経過するだろう。
イヴァンには、気に入ったならアメリアにも精巧な身分証を持たせると言ったが、鼻で笑った。
「何もできない女を連れ回すなんて嫌ですよ。
仕方なく何度か抱きましたが、尽くしてもらって当たり前と思ってただ裸で横たわっている女は一度で十分ですよ。
学生のはずなのに大きな胸が垂れているし、乳輪が大きすぎて美しくない。
僕はどちらかと言うと小さな胸が好きなんですよ。
だから国境で別れます」
婚姻式から戻った翌日からエリスを本格的に口説き始めた。
婚姻式から1ヶ月後、公爵が訪問したいと先触れが来た。
「待ってると伝えてもらってくれ」
「かしこまりました」
何故ここまでやったかというと、アメリアがエリスを侮辱したからだ。
『イヤだわ。出戻りがフィルドナ邸に?
白百合ってことは魅力が無くて殿方に相手にされなかった証なのに恥ずかしくないのかしら。
早く実家に返品して欲しいわ』
時はエリスが王都のフィルドナ邸に現れて数日後まで遡る。
「ニコラ様、もっと頻繁に会いたいわ」
「私にも付き合いや祖父からの引き継ぎがある。
君は学業に専念しなさい」
「どうせ嫁ぐのに?」
どんな教育をしているんだ?
嫁げば後の暮らしは好きな物を買って、好きな物を食べて、好きに夫人達と茶を飲んで、子作りだけするのが侯爵夫人の役目だと思っているのか?
「そんなことより、新しいドレスなの」
「そう。良かったね」
「ニコラ様、観劇のチケットがあるの」
「親戚が来たばかりだから駄目だ」
「つまんないわ」
「アメリア。私は君の暇潰しの玩具ではないよ。
それに、学業は社会に出るための下地作りだ。学園を卒業して嫁いでも学ぶことはなくならない。
侯爵家に嫁いだとして、ドレスや宝石などは所謂投資だ。同等かそれ以上の何かを侯爵家か侯爵領にもたらしてくれると信じて買い与えるんだ」
「子を産むのよ?」
「元気な男児を産むだけなら平民でもできる。
今、アメリアがもたらす確かなものはウィット公爵家との繋がりだけだ。
だが、フィルドナ家は婚約前から富も名誉もある家門だ。つまりソレは必要としていない」
「グスン」
「アメリア。私は貴族令嬢なら誰でも求められることを口にしただけなのに、成人して婚姻まで半年を切っている女性が泣いてやり過ごそうとしていては社交にも出せないよ」
その後、公爵に呼び出されたが主張を変えなかった。
「アメリアのどこが不服なんだ」
「これから領主夫人として領民を守ろうとか、役立とうとかいう気持ちがまるでありません。
公爵はアメリア嬢を妾にさせたいのですか?
今のアメリア嬢は大富豪の妾になりますと言っているようなものです。
卒業までに教育をしてくださらないと困ります」
婚約以降、遠回しに注意をしてきたが、はっきり注意することにしたので、会うたびにこの手のやり取りが常となった。
アメリアの顔から段々と能天気な笑顔が消えていく。
そこに、隣国の夜会荒らしで有名になったヒモ男を雇うことにした。
学卒ではないが読み書きもできて知識も話題も豊富。
何よりアメリア好みの男だった。
アメリアは私に一目惚れをしたらしいが一つだけ好みと違う部分があると言っていた。それは輝くような金髪ではないこと。私の髪は薄茶色だった。
イヴァンという男は、少し私に似た金髪碧眼だった。
美術館に連れて行き、偶然を装って接触させると、アメリアはすぐに引っかかってくれた。
アメリアはきっかけが欲しくて態とハンカチを落としたが、イヴァンはそのハンカチを拾って観劇のチケットを忍ばせ、“次の日曜日に”と囁いて渡した。
見事にアメリアは釣れた。年末には体を繋げたと報告があった。
そして婚姻の一週間前にイヴァンに “愛するアメリアを他の男と共有なんて出来ない” と別れを切り出させた。
アメリアは私と別れてイヴァンを選ぶと言ったが、“公爵家と侯爵家に説得されたり監禁されたりして私達の仲は引き裂かれ、結局アメリアは逃げられない” と言うと、直前に逃げようとアメリアは提案してきたと報告があった。
大金と偽の身分証を渡してアメリアと国境に向かわせた。
だが、イヴァンは通れるがアメリアの身分証では通れず捕まるように雑に作った。
つまり、国境で二人は物理的に別れることになる。
婚姻式からアメリアを連れて国境に向かえば片道10日はかかるだろう。そこから聴取を取り、王都のウィット公爵に連絡が入り、国境の町まで馬車で向かいアメリアを引き取って王都に連れ戻すまでに、全部で1ヶ月近く経過するだろう。
イヴァンには、気に入ったならアメリアにも精巧な身分証を持たせると言ったが、鼻で笑った。
「何もできない女を連れ回すなんて嫌ですよ。
仕方なく何度か抱きましたが、尽くしてもらって当たり前と思ってただ裸で横たわっている女は一度で十分ですよ。
学生のはずなのに大きな胸が垂れているし、乳輪が大きすぎて美しくない。
僕はどちらかと言うと小さな胸が好きなんですよ。
だから国境で別れます」
婚姻式から戻った翌日からエリスを本格的に口説き始めた。
婚姻式から1ヶ月後、公爵が訪問したいと先触れが来た。
「待ってると伝えてもらってくれ」
「かしこまりました」
何故ここまでやったかというと、アメリアがエリスを侮辱したからだ。
『イヤだわ。出戻りがフィルドナ邸に?
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早く実家に返品して欲しいわ』
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