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初牢
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勉強を見てもらっていたおかげで遅れをとってはいない。寧ろ歴史などは追いついた気がしなくもない。
頭を抱えていたレオナール様を思い出していた。
「何か楽しいことを思い出したのかな」
聞き覚えのある声に顔を上げると1年生のエルネスト殿下が立っていた。
「ごきげんよう、エルネスト殿下。
2年生のクラスに何かご用ですか」
立ち上がり礼をとった。
エルネスト殿下が私のクラスに来るのは初めてだと思う。
「ランチに誘いに来たんだ。勿論断らないよね?」
「嫌ですわ、断るだなんて。
光栄ですが遠慮いたしますわ」
「良かった。もう特別ランチを予約してあるんだ。遠慮などしなくていい。冷めてしまうから早く行こう」
エルネスト殿下は私の手を引いて食堂の隣の特別室に案内した。
多分、王族専用の個室なのだろう。
さっと並べられた豪華なランチを前にすると強引に連れてこられた事を忘れて心が躍る。
「さあ、食べよう。好きなだけ食べてくれ。何が好きか分からないから種類を多めに用意させた」
「ありがとうございます。
ですがここは学園です。このような特別扱いはあってはなりません。
今回限りということでお願いします」
「レイナの言う通りだな。
今後は皆と同じメニューにしようか。
王宮でなら特別扱いは可能のようだから次の週末、遊びに来てくれ」
「行きませんよ。候補の方々をお誘いください」
「候補なら平等にしなくてはならないが友人なら特別扱いしたって構わないだろう」
「友人の場合はそうかもしれませんが私は友人ではありません」
「レイナと私は友人だろう。酷いな。
悲しみのあまり今夜は涙で枕が湿りそうだ」
「エルネスト殿下はまだ子供ですからね。夢で見た何かが現実だと勘違いをなさったのでしょう」
「子供かどうか確認するか?」
『どこのオヤジだよ』
「何て言ったのかな?」
「美味しいですと言いました」
「私に平気で嘘をつくのだな」
「ご自分も嘘をついているのをお忘れですか?友人だなんて。
それに“レイナ”と呼ぶのを止めてください」
「“私の小鳥”、“私の子猫”、“運命の人”、“私の女神”、どれがいい?」
「“先輩”、“令嬢”、“人間” でお願いします」
「じゃあ、間をとってレイナにしておくよ」
「暴君の片鱗は隠しておいてくださいよ」
「ハハハハハッ!」
「笑ってないで食べましょう。私より食べてくださいね」
「みくびるなよ」
ニヤニヤしながら食べ始めるエルネスト殿下は段々と顔色を悪くしていった。
「レイナ……まだ食べるのか?」
「これからデザートですよ」
「その華奢な身体の何処に入るのだ」
「胃に決まってるじゃないですか!
ほら、妊婦さんみたいでしょ!」
立ち上がり、横を向き、腹をポンと叩いた。
「くそっ……孕ませるのは俺だ」
「サラッと下品な言葉を使いつつ、下ネタの投下は止めてください」
「其方の制服はどうなってるんだ!?」
「特別仕様です」
「ズボンが食い込んで痛い」
エルネスト殿下が立ち上がりベルトに手を掛けた。
「ちょっと!変態殿下降臨ですか!」
そこに給仕のメイドさんが入ってきて叫んでしまった。
「キャア!」
「違う!食べ過ぎて苦しかっただけだ!」
『変態!変態!変態!』
「どうかなさいましたか!」
護衛が入ってきちゃったよ。
「殿下……まさか」
違う違う!
私はブンブンと手や顔を横に振った。
「くっ、苦しい…」
そう言ってエルネスト殿下が崩れ落ちたので大騒ぎになった。
私は数時間、王宮牢に入れられて、起きた殿下が慌てて私を牢から出した。
そして、陛下と王妃様と王太子殿下の立ち合いの元、父と私はエルネスト殿下から謝罪を受けている。
「すまなかった」
「毒殺未遂による牢獄へのご招待、ありがとうございます。殿下の友人になると思いもつかない手厚い待遇を受けるのですね?
貴重な経験をしましたわ。虫まで出てきてとても怖い思いをしましたのよ。グスン」
「申し訳ない。あからさまな嘘泣きも魅力的だよ。レイナ」
「エルネスト殿下、反省という言葉はまだ習ったことがないようですね。教えて差し上げましょうか?」
「消灯後にお願いするよ。優しくしてくれ」
「よく私の父の前で変態を隠さないものですね」
「エルと呼んでくれとあれだけ言ったのに、まだ恥ずかしがっているのか」
「一度も言われておりませんが……もうここまで来ると医師では手に負えません。教会へどうぞ。
忘れなければ、遠くから回復を祈りますわ」
「聖地への新婚旅行もいいな。
一刻を争うかもしれないから婚前旅行にしよう。ベッドは一つでいいな」
「婚約者が決まったのですね?
おめでとうございます。
詳しくはご本人とどうぞ」
「牢屋で辛い思いをして忘れてしまったのだね。あんなに愛を囁きあっていたのに。
それとも拗ねているのかな?
悪かった。忘れるくらいに可愛がるから今日から新婚部屋で暮らそうね」
「重症ですわね。木製のハンマーで事足りるかしら」
「「ハハハハハッ」」
「フフフフフフっ」
「………」
『帰りたい』
エルネスト殿下はすっと立ち上がり私の横に座った。
私が立ち上がるとエルネスト殿下は私を引き寄せ、バランスを崩した私は殿下の膝の上に腰を下ろしてしまった。
殿下はギュウギュウと私を抱きしめて離さない。
「はぁ~、私のレイナ」
「違う!離して!」
「絶対嫌だ!」
「レイナ嬢、エルネストに嫁いできてくれ。こんなエルネストは見たことがない」
陛下、普通見ませんよ!
「そうよ。引き裂くのは可哀想だわ」
王妃様、元々くっ付いていません!
「レイナ嬢、犠牲になってくれ」
王太子殿下、正しい言い回しですが、生贄は他の方にお願いします!
「ここまで望まれるのであれば…」
ちょっと!バカ父!!
「いい匂い」
「変態!離せ!」
あ、殿下にだけ声が出ちゃった。
「私が歳下だから?身体は十分大人だよ」
「私には婚約者がいるのです!」
「解消させればいいのだな?
そもそも本来ならレイナが私の婚約者のはずだっただろう」
「は? 条件のいい令嬢を侍らせて選んでただけでしょう!その中から選べばいいじゃないですか!」
「君と出会ってしまったんだ。諦めて私のものになってくれ」
「嫌です!!」
夕食をご馳走になっても遅くまで続く話し合いに疲れ、私は寝落ちしてしまった。
頭を抱えていたレオナール様を思い出していた。
「何か楽しいことを思い出したのかな」
聞き覚えのある声に顔を上げると1年生のエルネスト殿下が立っていた。
「ごきげんよう、エルネスト殿下。
2年生のクラスに何かご用ですか」
立ち上がり礼をとった。
エルネスト殿下が私のクラスに来るのは初めてだと思う。
「ランチに誘いに来たんだ。勿論断らないよね?」
「嫌ですわ、断るだなんて。
光栄ですが遠慮いたしますわ」
「良かった。もう特別ランチを予約してあるんだ。遠慮などしなくていい。冷めてしまうから早く行こう」
エルネスト殿下は私の手を引いて食堂の隣の特別室に案内した。
多分、王族専用の個室なのだろう。
さっと並べられた豪華なランチを前にすると強引に連れてこられた事を忘れて心が躍る。
「さあ、食べよう。好きなだけ食べてくれ。何が好きか分からないから種類を多めに用意させた」
「ありがとうございます。
ですがここは学園です。このような特別扱いはあってはなりません。
今回限りということでお願いします」
「レイナの言う通りだな。
今後は皆と同じメニューにしようか。
王宮でなら特別扱いは可能のようだから次の週末、遊びに来てくれ」
「行きませんよ。候補の方々をお誘いください」
「候補なら平等にしなくてはならないが友人なら特別扱いしたって構わないだろう」
「友人の場合はそうかもしれませんが私は友人ではありません」
「レイナと私は友人だろう。酷いな。
悲しみのあまり今夜は涙で枕が湿りそうだ」
「エルネスト殿下はまだ子供ですからね。夢で見た何かが現実だと勘違いをなさったのでしょう」
「子供かどうか確認するか?」
『どこのオヤジだよ』
「何て言ったのかな?」
「美味しいですと言いました」
「私に平気で嘘をつくのだな」
「ご自分も嘘をついているのをお忘れですか?友人だなんて。
それに“レイナ”と呼ぶのを止めてください」
「“私の小鳥”、“私の子猫”、“運命の人”、“私の女神”、どれがいい?」
「“先輩”、“令嬢”、“人間” でお願いします」
「じゃあ、間をとってレイナにしておくよ」
「暴君の片鱗は隠しておいてくださいよ」
「ハハハハハッ!」
「笑ってないで食べましょう。私より食べてくださいね」
「みくびるなよ」
ニヤニヤしながら食べ始めるエルネスト殿下は段々と顔色を悪くしていった。
「レイナ……まだ食べるのか?」
「これからデザートですよ」
「その華奢な身体の何処に入るのだ」
「胃に決まってるじゃないですか!
ほら、妊婦さんみたいでしょ!」
立ち上がり、横を向き、腹をポンと叩いた。
「くそっ……孕ませるのは俺だ」
「サラッと下品な言葉を使いつつ、下ネタの投下は止めてください」
「其方の制服はどうなってるんだ!?」
「特別仕様です」
「ズボンが食い込んで痛い」
エルネスト殿下が立ち上がりベルトに手を掛けた。
「ちょっと!変態殿下降臨ですか!」
そこに給仕のメイドさんが入ってきて叫んでしまった。
「キャア!」
「違う!食べ過ぎて苦しかっただけだ!」
『変態!変態!変態!』
「どうかなさいましたか!」
護衛が入ってきちゃったよ。
「殿下……まさか」
違う違う!
私はブンブンと手や顔を横に振った。
「くっ、苦しい…」
そう言ってエルネスト殿下が崩れ落ちたので大騒ぎになった。
私は数時間、王宮牢に入れられて、起きた殿下が慌てて私を牢から出した。
そして、陛下と王妃様と王太子殿下の立ち合いの元、父と私はエルネスト殿下から謝罪を受けている。
「すまなかった」
「毒殺未遂による牢獄へのご招待、ありがとうございます。殿下の友人になると思いもつかない手厚い待遇を受けるのですね?
貴重な経験をしましたわ。虫まで出てきてとても怖い思いをしましたのよ。グスン」
「申し訳ない。あからさまな嘘泣きも魅力的だよ。レイナ」
「エルネスト殿下、反省という言葉はまだ習ったことがないようですね。教えて差し上げましょうか?」
「消灯後にお願いするよ。優しくしてくれ」
「よく私の父の前で変態を隠さないものですね」
「エルと呼んでくれとあれだけ言ったのに、まだ恥ずかしがっているのか」
「一度も言われておりませんが……もうここまで来ると医師では手に負えません。教会へどうぞ。
忘れなければ、遠くから回復を祈りますわ」
「聖地への新婚旅行もいいな。
一刻を争うかもしれないから婚前旅行にしよう。ベッドは一つでいいな」
「婚約者が決まったのですね?
おめでとうございます。
詳しくはご本人とどうぞ」
「牢屋で辛い思いをして忘れてしまったのだね。あんなに愛を囁きあっていたのに。
それとも拗ねているのかな?
悪かった。忘れるくらいに可愛がるから今日から新婚部屋で暮らそうね」
「重症ですわね。木製のハンマーで事足りるかしら」
「「ハハハハハッ」」
「フフフフフフっ」
「………」
『帰りたい』
エルネスト殿下はすっと立ち上がり私の横に座った。
私が立ち上がるとエルネスト殿下は私を引き寄せ、バランスを崩した私は殿下の膝の上に腰を下ろしてしまった。
殿下はギュウギュウと私を抱きしめて離さない。
「はぁ~、私のレイナ」
「違う!離して!」
「絶対嫌だ!」
「レイナ嬢、エルネストに嫁いできてくれ。こんなエルネストは見たことがない」
陛下、普通見ませんよ!
「そうよ。引き裂くのは可哀想だわ」
王妃様、元々くっ付いていません!
「レイナ嬢、犠牲になってくれ」
王太子殿下、正しい言い回しですが、生贄は他の方にお願いします!
「ここまで望まれるのであれば…」
ちょっと!バカ父!!
「いい匂い」
「変態!離せ!」
あ、殿下にだけ声が出ちゃった。
「私が歳下だから?身体は十分大人だよ」
「私には婚約者がいるのです!」
「解消させればいいのだな?
そもそも本来ならレイナが私の婚約者のはずだっただろう」
「は? 条件のいい令嬢を侍らせて選んでただけでしょう!その中から選べばいいじゃないですか!」
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