【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ

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知らなかった夫の本音

夜の11時。

主人と主人の友人の様子を確認しに一階へ降りた。

お客様が疲れているのにフィリップが引き止めていたりしないか、お酒は足りているか、おつまみは無くなっていないか。
寒くなってきたので火をおこすか膝掛けを。
そう思って近寄った。

少し開いたドアから話し声が漏れた。

「夫人は社交に出ないようだが理由があるのか?」

「領地に引きこもっているんだよ。
まあ 地味な女だしエスコートするにはちょっとな」

「酷い夫だな。
俺は綺麗な夫人だと思うけどな」

「お世辞なんていらないよ。
萎れた花だぞ?まあ会えばたまに義理で抱いてやるがな」

「そういえばオルフォード嬢とはどうなってるんだ」

「順調だよ。キャサリンとは王都にいる間は頻繁に会ってデートしているよ。仕事が忙しいときは屋敷で待たせてそのまま泊まらせているんだ。
若くて可愛いって癒されるよな」

「は?屋敷に連れ込んでいるのか!?」

「来週の金曜日も泊まりに来るよ。欲しいネックレスがあって土曜に発売だからって お強請りされてさ」

「フィル…おまえ捨てられるぞ」

「誰に」

「夫人だよ」

「エステルはいてもいなくてもいい存在だから 構わないよ。いなくなったら若いキャサリンか、もっと別の女を妻に迎えればいいだけだ」

「ケヴィンくんはまだ母親が恋しい歳だろう」

「ケヴィンはエステルが嫌いだから何とも思わないさ。寧ろ若くて綺麗な女が継母になってくれたら喜ぶはずさ」

私はゆっくり足を後退させ、その場を離れた。

私室に戻り膝を付いた。

「ケホッ ケホッ フー」

呼吸を止めてしまっていた。

夫の言葉はしっかりと聞こえた。
円満だと思っていたのは私だけだった。
頭が真っ白で何も考えられない。

机の前に座り結婚指輪を眺めていた。
夜が明けてメイドがノックをするまで。


そして朝食を済ませた夫の友人を見送りに外に出た。

「ジョイル子爵。道中にお召し上がりいただけますよう軽食をご用意いたしました。皆様でどうぞ」

「ありがとうございます。助かります」

「奥様にはこちらをお土産にお渡しください。
甘めの果実酒です。こちらならあまりお強くない奥様も召し上がれると思いますわ」

「覚えていてくださったのですね、妻も喜びます」

「お気を付けて」

客人を送り出した後は夫フィリップだ。

「今月は入用なんだ。多めに用意してくれ」

「…かしこまりました」

「母はどうしてる」

「顔を見せて差し上げてください」

「また今度にする。忙しいんだ」


夫はお金を受け取ると領地の屋敷を後にした。
その途端に嗚咽が漏れた。

「う…ううっ…」










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