6 / 38
お城でもっと本音
ティーティアの問いかけにまた無謀な返答を繰り出したのはサリオンだった。
「お前だって伯爵令嬢のくせに王宮に習い事に来たじゃないか」
「はぁ~。
それは申し訳ございません。第二王子殿下。私が父にお願いしたのは最高に優秀な教師を領地に数ヶ月雇い入れて欲しいというお願いでした。
まさかこうなるとは思いませんでした。
ご安心ください。
私はもう特別なパーティか王命でもない限り此処へは参りません。
ですので習い事も結構です」
「サリオン。ティーティアに城に来て一緒に講義を受けて欲しいと言い出したのは母なのよ」
「母上が!?」
「ティーティア様、エリエーヌ様、ヴェリテ伯爵。申し訳ございません。
あの時のご恩があるにも関わらず息子の育て方を間違えました。
どうかお許しください」
「は、母上!?」
「サリオン。母がこうして生きていられるのも、貴方の兄が産まれたのもサリオン達が産まれたのも、ティーティアのお母様と叔母様が命を掛けて母を守ってくれたおかげなの。
狙われた母を庇い、ティーティアの叔母は殺され、ティーティアのお母様は重傷を負い、お腹の中にいたティーティアの兄か姉を死なせてしまった。
なのに私は恩を仇で返すところだった。
サリオン。部屋に戻りなさい」
「っ!」
「伯爵。サリオンは未熟過ぎて謝罪をする価値もございません。これ以上王家に泥を塗るわけには参りません。退席させることをお許しください」
「分かりました」
「さあ、サリオン。母が許可するまで部屋から出ることを禁じます」
「……失礼します」
「あ、失礼します」
「ペイジェル王女殿下。ついて行ってはいつまでも逃げ場を与えるだけです。
出迎えてくださった時、内容はともかく嗜めてくださったのはペイジェル王女殿下でした。
どうか今もその気持ちで王子殿下が一人で考える時間を与えてください」
「ペイジェル、座って」
「はい」
「ティーティア様、どうかもう来ないなどと仰らずに習い事にいらしてください」
「いえ。揉めてまでは必要ありません。
しかもまた不敬と言われ、その内投獄されたり斬られたりするかもしれませんから。
流石にこの体に傷をつけるのは悪いので」
「そんなことはさせません」
「でも、逆上して剣を抜き斬りつけられるかもしれません。理性が働いていたら不敬などという言葉に逃げなかったはずです」
「サリオンには態度を改めるようにさせます。最低でも突っかからないようにさせます」
「そこまでして必要でしょうか」
「今回、必要だと思い知ったのです」
「……では、監視の騎士を王子殿下に付けてください。王子殿下の言いなりにならず、身を挺して止めに入れる人を付けてください」
「分かりました。
あら、もう時間が過ぎてしまっているわ。
次に案内する場所があるの。ティーティアちゃんとユリウスくんはあの侍従について行ってもらえるかしら」
「「はい、失礼します」」
残された四人は。
「王妃殿下、申し訳ございません」
「いえ。今のうちにサリオンの危うさが分かって良かったわ。あれではティーティアちゃんの言う通り、敵を作ることになるもの」
「あの、二人は何処へ?」
「第一王子のところよ」
「ええ!? 後を追います」
「大丈夫よ」
「いえいえ、駄目です。目を離せません。
何処ですか」
「騎士団の所にいるわ」
「失礼します。エリエーヌ、大丈夫か」
「大丈夫」
「……エリエーヌ、あの子はどうやって教育したの?
逆に講師を紹介してよ」
「分からないの。高熱の後に性格が変わっちゃって……あれは独自の解釈ね」
「なら、ティーティアちゃんを講師に雇おうかしら」
「止めてよ」
「ユリウスくんはどう?」
「虐める兄達がいないから安全だけど家族と離れて寂しいかもしれないわね。ずっとニコニコしてるけど」
「ユリウスくんはティーティアちゃんが好きね」
「どうかしら。学園に通って他の令嬢と交流すれば変わるわよ」
「ティーティアちゃん可愛いもの」
「あれじゃ引くわよ」
「お母様、ティーティア様は何を習うのですか」
「マナーよ。他も勉強していって欲しいけどサリオンがあれじゃ難しそうね」
「うちの子は学力は平凡ですから、とても一緒には学べませんわ」
「そうかしら、残念だわ」
一方、騎士団では。
「セイン殿下、ユリウス・ウィルソン様とティーティア・ヴェリテ様をお連れしました」
「入ってくれ」
ちょっと!ダリウスがいるじゃないの!!
「部屋を間違えたようです。失礼しました」
「待て」
「ご用がお有りでしょうか」
「入ってくれ」
「いえ、ここでご用件を伺います」
「座れ」
はぁ。
「では失礼します」
私は入り口の床に座ることにした。
「なるほど」
コツコツと足音を立ててセイン王子殿下が近寄った。
「待ってくれ」
そこで待ったをかけたのがダリウスだ。
「セイン、この子が頑なに入室しないのは俺が原因だ」
そう言うと私の側に来て跪いた。
「ティア。先日は申し訳ありませんでした。
貴女の仰った通り、ユリウスは父に似ていました。ユリウスにも酷いことをしましたし、俺はティアに馬鹿なことをしました。
どうか怒りをおさめてくださいませんか。
ユリウス。今まで悪かった。お前は父に似た俺達の大事な弟だ。愚かな兄にチャンスをくれないか」
ユリウスを見ると涙を浮かべていた。
「ユリウス兄様、好きなようになさってください。チャンスをあげて駄目だったら私がまた成敗してあげますから」
「……もう不義の子などと言いませんか」
「とんでもないことを口にしてしまった。
二度と言わないし、言う必要が無い」
「謝罪を受け入れます」
「ありがとう!ユリウス」
ユリウスは立ち上がったダリウスに抱きしめられた。
「ユリウス兄様が許したならもういいです」
そう言うと私を抱き上げた。
「ちょっと!」
「ティア!オヤツあるよ。ユリウスもおいで」
「ティアと呼んでいいなんて言ってないです!」
「まあ、いいじゃないか。
セイン。この子がティーティアだ」
「ヴェリテ伯爵家の長女ティーティアと申します」
「第一王子のセインだ。
一体ダリウスは何をしでかしたんだ?」
ダリウスはユリウスの件と先日の決闘の件をセインに話した。
「お前……」
「分かってる。俺が全面的に悪かった。
俺達は親族に唆されたんだ。
そんな間抜けな俺達をボコボコにしたのがティアだ」
「本当にこの子に剣術で負けたのか?」
「父も言っていたろう」
「団長が言うなら間違いないか。
ティーティア、腕前を見せてくれて」
「ご遠慮いたします」
「お前だって伯爵令嬢のくせに王宮に習い事に来たじゃないか」
「はぁ~。
それは申し訳ございません。第二王子殿下。私が父にお願いしたのは最高に優秀な教師を領地に数ヶ月雇い入れて欲しいというお願いでした。
まさかこうなるとは思いませんでした。
ご安心ください。
私はもう特別なパーティか王命でもない限り此処へは参りません。
ですので習い事も結構です」
「サリオン。ティーティアに城に来て一緒に講義を受けて欲しいと言い出したのは母なのよ」
「母上が!?」
「ティーティア様、エリエーヌ様、ヴェリテ伯爵。申し訳ございません。
あの時のご恩があるにも関わらず息子の育て方を間違えました。
どうかお許しください」
「は、母上!?」
「サリオン。母がこうして生きていられるのも、貴方の兄が産まれたのもサリオン達が産まれたのも、ティーティアのお母様と叔母様が命を掛けて母を守ってくれたおかげなの。
狙われた母を庇い、ティーティアの叔母は殺され、ティーティアのお母様は重傷を負い、お腹の中にいたティーティアの兄か姉を死なせてしまった。
なのに私は恩を仇で返すところだった。
サリオン。部屋に戻りなさい」
「っ!」
「伯爵。サリオンは未熟過ぎて謝罪をする価値もございません。これ以上王家に泥を塗るわけには参りません。退席させることをお許しください」
「分かりました」
「さあ、サリオン。母が許可するまで部屋から出ることを禁じます」
「……失礼します」
「あ、失礼します」
「ペイジェル王女殿下。ついて行ってはいつまでも逃げ場を与えるだけです。
出迎えてくださった時、内容はともかく嗜めてくださったのはペイジェル王女殿下でした。
どうか今もその気持ちで王子殿下が一人で考える時間を与えてください」
「ペイジェル、座って」
「はい」
「ティーティア様、どうかもう来ないなどと仰らずに習い事にいらしてください」
「いえ。揉めてまでは必要ありません。
しかもまた不敬と言われ、その内投獄されたり斬られたりするかもしれませんから。
流石にこの体に傷をつけるのは悪いので」
「そんなことはさせません」
「でも、逆上して剣を抜き斬りつけられるかもしれません。理性が働いていたら不敬などという言葉に逃げなかったはずです」
「サリオンには態度を改めるようにさせます。最低でも突っかからないようにさせます」
「そこまでして必要でしょうか」
「今回、必要だと思い知ったのです」
「……では、監視の騎士を王子殿下に付けてください。王子殿下の言いなりにならず、身を挺して止めに入れる人を付けてください」
「分かりました。
あら、もう時間が過ぎてしまっているわ。
次に案内する場所があるの。ティーティアちゃんとユリウスくんはあの侍従について行ってもらえるかしら」
「「はい、失礼します」」
残された四人は。
「王妃殿下、申し訳ございません」
「いえ。今のうちにサリオンの危うさが分かって良かったわ。あれではティーティアちゃんの言う通り、敵を作ることになるもの」
「あの、二人は何処へ?」
「第一王子のところよ」
「ええ!? 後を追います」
「大丈夫よ」
「いえいえ、駄目です。目を離せません。
何処ですか」
「騎士団の所にいるわ」
「失礼します。エリエーヌ、大丈夫か」
「大丈夫」
「……エリエーヌ、あの子はどうやって教育したの?
逆に講師を紹介してよ」
「分からないの。高熱の後に性格が変わっちゃって……あれは独自の解釈ね」
「なら、ティーティアちゃんを講師に雇おうかしら」
「止めてよ」
「ユリウスくんはどう?」
「虐める兄達がいないから安全だけど家族と離れて寂しいかもしれないわね。ずっとニコニコしてるけど」
「ユリウスくんはティーティアちゃんが好きね」
「どうかしら。学園に通って他の令嬢と交流すれば変わるわよ」
「ティーティアちゃん可愛いもの」
「あれじゃ引くわよ」
「お母様、ティーティア様は何を習うのですか」
「マナーよ。他も勉強していって欲しいけどサリオンがあれじゃ難しそうね」
「うちの子は学力は平凡ですから、とても一緒には学べませんわ」
「そうかしら、残念だわ」
一方、騎士団では。
「セイン殿下、ユリウス・ウィルソン様とティーティア・ヴェリテ様をお連れしました」
「入ってくれ」
ちょっと!ダリウスがいるじゃないの!!
「部屋を間違えたようです。失礼しました」
「待て」
「ご用がお有りでしょうか」
「入ってくれ」
「いえ、ここでご用件を伺います」
「座れ」
はぁ。
「では失礼します」
私は入り口の床に座ることにした。
「なるほど」
コツコツと足音を立ててセイン王子殿下が近寄った。
「待ってくれ」
そこで待ったをかけたのがダリウスだ。
「セイン、この子が頑なに入室しないのは俺が原因だ」
そう言うと私の側に来て跪いた。
「ティア。先日は申し訳ありませんでした。
貴女の仰った通り、ユリウスは父に似ていました。ユリウスにも酷いことをしましたし、俺はティアに馬鹿なことをしました。
どうか怒りをおさめてくださいませんか。
ユリウス。今まで悪かった。お前は父に似た俺達の大事な弟だ。愚かな兄にチャンスをくれないか」
ユリウスを見ると涙を浮かべていた。
「ユリウス兄様、好きなようになさってください。チャンスをあげて駄目だったら私がまた成敗してあげますから」
「……もう不義の子などと言いませんか」
「とんでもないことを口にしてしまった。
二度と言わないし、言う必要が無い」
「謝罪を受け入れます」
「ありがとう!ユリウス」
ユリウスは立ち上がったダリウスに抱きしめられた。
「ユリウス兄様が許したならもういいです」
そう言うと私を抱き上げた。
「ちょっと!」
「ティア!オヤツあるよ。ユリウスもおいで」
「ティアと呼んでいいなんて言ってないです!」
「まあ、いいじゃないか。
セイン。この子がティーティアだ」
「ヴェリテ伯爵家の長女ティーティアと申します」
「第一王子のセインだ。
一体ダリウスは何をしでかしたんだ?」
ダリウスはユリウスの件と先日の決闘の件をセインに話した。
「お前……」
「分かってる。俺が全面的に悪かった。
俺達は親族に唆されたんだ。
そんな間抜けな俺達をボコボコにしたのがティアだ」
「本当にこの子に剣術で負けたのか?」
「父も言っていたろう」
「団長が言うなら間違いないか。
ティーティア、腕前を見せてくれて」
「ご遠慮いたします」
あなたにおすすめの小説
「お前を愛することはない」と言ってしまった夫は、妻の本当の目的を知らない【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
辺境伯ロランは、政略結婚で迎えた妻メリンダを「お飾り」だと思っていた。
だがある日、愛人が社交界で妻を侮辱し、王宮から勧告が下る。
窮地に立たされたロランは、妻の実家へ謝罪に向かうが──
メリンダは、9歳で商会を立ち上げ、15歳で貴族学園を3ヶ月で飛び級卒業した“怪物級の才女”だった。
さらに、ロランの代わりに愛人を修道院へ送り、家政も社交も完璧にこなす。
一方ロランは、妻の望む「コンドル」と「虎」を本当に捕まえて帰ってくるほど、妙な方向に頑張り始め──
気づけば、“お飾り”だと思っていた妻に、人生ごと振り回されていた。
そんな中、パーティーで“アフェイリ窃盗団”が出現。
ロランは初めて、妻を守るために剣を抜く。
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
わたしさえいなければ、完璧な王太子だそうです。
ふらり
恋愛
人並外れた美貌・頭脳・スタイル・武勇を持つウィンダリア王国の25歳の王太子は、完璧な王太子だと言われていた。ただし、「婚約者さえいなければ完璧な王太子なのに」と皆が言う。12歳の婚約者、ヴァイオレット・オルトニーは周囲から憐みの目を向けられていた。
「私との婚約は、契約で仕方なくなのかい? もう私に飽きてしまっている? 私は今でも君にこんなに夢中なのに」
13歳年下の婚約者少女に執着溺愛する美貌も能力も人間離れした王太子様と、振り回される周囲のお話です。小説家になろうにて完結しております。少しずつこちらにもあげていくつもりです。ファンタジー要素はちょっぴりです。
「お産の手伝いなど下女の仕事だ」と追放された産婆令嬢、公爵夫人の難産を、誰も取り上げられなかった
Lihito
ファンタジー
産婆の技を「まやかし」と蔑んだ宮廷医師に婚約を破棄され、王都を追われたフィリーネ。
山あいの町で医師カールと出会い、産婆不在の地で母子の命を守り始める。
やがて王都では逆子の分娩に失敗した元婚約者が信頼を失い、若い女性医師マルガレーテが自らの意志でフィリーネを訪ねてくる。
三日間の実技指導で産婆術を託されたマルガレーテは王都に戻り、その報告が医学院を動かす。
産婆術は正式な医療技術と認定され、元婚約者は資格を剥奪された。
命を迎える手は、静かな町で今日も温かい。
え〜婚約者さん厳しい〜(笑)私ならそんなこと言わないのになぁ
ばぅ
恋愛
「え〜婚約者さん、厳しい〜。私ならそんなこと言わないのになぁ」
小言の多い私を笑い、マウントを取ってくる幼馴染令嬢。私が言葉に詰まっていると、豪快で声のデカい婚約者が笑い飛ばした。
「そうだな、だからお前は未だに婚約相手が決まらないんだろうな!」
悪気ゼロ(?)の大声正論パンチで、幼馴染をバッサリ撃退!
私の「厳しさ」を誰よりも愛する太陽の騎士様との、スカッと痛快ラブコメディ。
これは聖女のお仕事ではありません 〜便利扱いされた偽聖女は追放後、隣国で溺愛されました〜
けろ
恋愛
聖女だなんて、一度も名乗ったことはない。
それなのに公爵令嬢タリアは、王太子の婚約者として王国中の厄介ごとを押しつけられていた。
橋の修復、土砂崩れの復旧、井戸の浄化、雨乞い、治癒――果ては王太子の書類仕事まで。
ある日、「真の聖女が見つかった」と婚約を破棄され、偽聖女の汚名まで着せられたタリアは、そのまま国外追放に。
これでようやく面倒な仕事から解放されるはずだったのに、彼女の不在で王国はたちまち大混乱へ。
一方、追放先の隣国では、タリアの力は聖女どころか“女神級”だと大騒ぎ。
けれどタリアが望むのは、崇拝でも復帰でもなく、静かにお昼寝できる平和な毎日だけ。
「これは聖女のお仕事ではありません」
便利だからと人ひとりに何もかも背負わせた王国と、ようやく自分の価値を取り戻していく令嬢の、痛快追放ざまぁファンタジー。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
離縁を望んだ私に、旦那様の執着が始まりました
なつめ
恋愛
四年続いた、形だけの結婚。
公爵夫人レヴェティアは、夫ゼルフェインから一度も愛を告げられず、ただ静かな屋敷の中で“都合のいい妻”として扱われてきた。
冷たい夫。
消えていく手紙。
義家からの軽視。
そして、公爵には昔から想う女がいるという噂。
もう十分だと悟った朝、レヴェティアは離縁状を差し出す。
これで終わるはずだった。自分がいなくなれば、夫はようやく望む人生を選べるはずだった。
けれど、その日から様子がおかしくなったのは、無関心だったはずの旦那様のほうだった。
食事の席で視線を外さない。
屋敷の移動先を勝手に潰す。
社交の場では手を離さない。
今さら知ったような顔で、彼女の四年間を奪った者たちを一人ずつ叩き潰していく。
「出ていくつもりなら、なぜ俺の知らない顔をそんなに増やした」
これは、終わらせるために差し出した離縁状から始まる、
遅すぎた恋と、寡黙な公爵の重すぎる執愛のやり直し婚。