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2度目
友人の屋敷でお茶会
翌日の午後、指定されたティータイムに訪問することになった。
カークファルドとまるで違う雰囲気の公爵家に緊張してしまった。
ドレスで他人には分からないけど同じ側の手足が前に出る。今日だけはドレスに感謝だわ。
「セリーナ!いらっしゃい!」
「お招きありがとうございます」
「サロンがいい?それとも外にする?」
「手間が掛からなくて汚れても困らない方で」
「何それ」
「だって、怖いわ」
「幽霊屋敷じゃないんだから」
「緊張するのよ、立派なお屋敷だもの」
お茶と菓子をいただきながら縁談の件を話した。
「え!?レイノルズ家から縁談!?」
「断ったのだけど、夫人が屋敷にいらして引き下がる気が無いって感じで。
今回は高級木材の件も断ったから、大丈夫だと思うのだけど。
それで、茶会の時の話に合わせて公爵様のお名前を出してしまったの。ごめんなさい。
まずかったら嘘でしたって言いに行くわ」
「私が言い出したことだから気にしないで。
で、なんて言ったの?」
「お、お慕いしていますって」
「キャーッ!」
「ちょっと!揶揄わないで!そう言うしかなかったんだもの。
それで、夫人を追い返した後は家族会議になって、本当に婚約者を作るなり公の恋人を作ったらって話になって。
でも寝る前に考えたんだけど、こっちでそれやるとレイノルズ家の耳に入っちゃうから、グリーンデサントの貴族で協力してもらえそうな人を紹介してもらいに行こうかなって思っているの。
入学までには決めて帰国、」
「ダメダメダメダメ!!」
「イザベラ?」
「落ち着くのよ!」
イザベラこそ落ち着いた方がいいんじゃ……
「でもフリーだと、夫人がしつこいから」
「だから、待ってて(もう!何やってるのかしら)」
「いっそ、グリーンデサントに移住すれば。
戻りたければ彼が結婚した時に戻ればいいものね」
「本当に待って。待って!!」
コンコンコンコン
「(やっと来た!)どうぞ!」
「すまない。遅くなった」
多分イザベラの兄のシオーヌ公爵だろう。立ち上がってカーテシーをした。
「私はイザベラの兄で当主のグラシアン・シオーヌと申します。シオーヌ邸へようこそ」
「お初にお目にかかります、セリーナ・カークファルドと申します」
「セリーナも兄様も座って。
セリーナ、グラシアン兄様は私達より11歳上なの」
「イザベラと同じでもうすぐ学園に通うと伺っておりましたが落ち着いた感じがしますね」
「あの、公爵様。イザベラと同じ様にお話しください。成人前の小娘ですから」
「全く小娘という感じがしないが、そうさせてもらおう。セリーナと呼んでもかまわないか?私のこともグラシアンと呼んでくれ」
「私はかまいませんが、公爵様をお名前で呼ぶのですか」
「そうだよ、セリーナ」
「……」
「セリーナ、兄様は貴女に呼んでもらうのを待っているのよ」
「…グラシアン様」
「ありがとう、セリーナ」
「セリーナは可愛い子ね。恥ずかしがって」
「畏れ多いの!」
「恥ずかしいんだね」
二人して揶揄って!
「仲良く揶揄うなんて意地悪ですわ」
「揶揄ってないわ。セリーナ自身のせいよ。そんなに可愛い表情をして」
どんな顔よ!
「セリーナは忙しいか?」
「 ? 」
「日頃の予定よ。教えて」
「火曜の午後はマナーやダンスの先生がいらっしゃって、木曜は父と兄の授業、後は自習です」
「何の勉強?」
「父と兄からはカークファルドの事業について、自習は他領の事業についてです」
「他領の事業を調べているのか?どうして」
「……私の為です」
「兄様、これには複雑な事情があるの」
「事情?」
「触れないでくださると嬉しいですわ」
「セリーナ、話して協力してもらわない?」
「巻き込むつもりはないの。誰も」
「セリーナ」
「イザベラ、巻き込みたくない。これは私が決着をつけるべき事だし、……それに私だけにしか起きてないの。頭がおかしいなんて思われたくない。
一人で大丈夫よ」
「イザベラは信じたのだろう?」
「信じたわ」
「セリーナ、私を信じて話してくれないか」
「信じたフリでもされたら私はもうイザベラにも会えなくなってしまいます。せっかくできた友人を失えと仰るのですか?」
「他に誰が知っているんだ」
「家族と、フレデリク殿下とモーレル侯爵家のエルネスト様です」
「彼らは信じた?」
「はい」
「殿下とエルネストは友人だったのか?」
「いえ、個人的にお話ししたのはお茶会が初めてです」
「なのに私だけは駄目?信用ならない?」
「そういう訳では、」
「そういうことだよ、君が言っていることは。
分かった。もう聞かないよ。ゆっくりしていってくれ。失礼する」
「兄様」
「私は彼女の家族でも何でもない。無理に聞き出す権利は無い。仕方のないことだ」
私、公爵様に失礼を?
「公爵様、待ってください」
「……」
「グラシアン様!」
止まってくれた!
「話を聞いてくださいますか?少し長いのですが」
「無理強いしたくない。いいんだ」
「グラシアン様に聞いていただきたいのです」
「分かった」
もう一度席についてくださったグラシアン様にイザベラ達と同じように話した。
カークファルドとまるで違う雰囲気の公爵家に緊張してしまった。
ドレスで他人には分からないけど同じ側の手足が前に出る。今日だけはドレスに感謝だわ。
「セリーナ!いらっしゃい!」
「お招きありがとうございます」
「サロンがいい?それとも外にする?」
「手間が掛からなくて汚れても困らない方で」
「何それ」
「だって、怖いわ」
「幽霊屋敷じゃないんだから」
「緊張するのよ、立派なお屋敷だもの」
お茶と菓子をいただきながら縁談の件を話した。
「え!?レイノルズ家から縁談!?」
「断ったのだけど、夫人が屋敷にいらして引き下がる気が無いって感じで。
今回は高級木材の件も断ったから、大丈夫だと思うのだけど。
それで、茶会の時の話に合わせて公爵様のお名前を出してしまったの。ごめんなさい。
まずかったら嘘でしたって言いに行くわ」
「私が言い出したことだから気にしないで。
で、なんて言ったの?」
「お、お慕いしていますって」
「キャーッ!」
「ちょっと!揶揄わないで!そう言うしかなかったんだもの。
それで、夫人を追い返した後は家族会議になって、本当に婚約者を作るなり公の恋人を作ったらって話になって。
でも寝る前に考えたんだけど、こっちでそれやるとレイノルズ家の耳に入っちゃうから、グリーンデサントの貴族で協力してもらえそうな人を紹介してもらいに行こうかなって思っているの。
入学までには決めて帰国、」
「ダメダメダメダメ!!」
「イザベラ?」
「落ち着くのよ!」
イザベラこそ落ち着いた方がいいんじゃ……
「でもフリーだと、夫人がしつこいから」
「だから、待ってて(もう!何やってるのかしら)」
「いっそ、グリーンデサントに移住すれば。
戻りたければ彼が結婚した時に戻ればいいものね」
「本当に待って。待って!!」
コンコンコンコン
「(やっと来た!)どうぞ!」
「すまない。遅くなった」
多分イザベラの兄のシオーヌ公爵だろう。立ち上がってカーテシーをした。
「私はイザベラの兄で当主のグラシアン・シオーヌと申します。シオーヌ邸へようこそ」
「お初にお目にかかります、セリーナ・カークファルドと申します」
「セリーナも兄様も座って。
セリーナ、グラシアン兄様は私達より11歳上なの」
「イザベラと同じでもうすぐ学園に通うと伺っておりましたが落ち着いた感じがしますね」
「あの、公爵様。イザベラと同じ様にお話しください。成人前の小娘ですから」
「全く小娘という感じがしないが、そうさせてもらおう。セリーナと呼んでもかまわないか?私のこともグラシアンと呼んでくれ」
「私はかまいませんが、公爵様をお名前で呼ぶのですか」
「そうだよ、セリーナ」
「……」
「セリーナ、兄様は貴女に呼んでもらうのを待っているのよ」
「…グラシアン様」
「ありがとう、セリーナ」
「セリーナは可愛い子ね。恥ずかしがって」
「畏れ多いの!」
「恥ずかしいんだね」
二人して揶揄って!
「仲良く揶揄うなんて意地悪ですわ」
「揶揄ってないわ。セリーナ自身のせいよ。そんなに可愛い表情をして」
どんな顔よ!
「セリーナは忙しいか?」
「 ? 」
「日頃の予定よ。教えて」
「火曜の午後はマナーやダンスの先生がいらっしゃって、木曜は父と兄の授業、後は自習です」
「何の勉強?」
「父と兄からはカークファルドの事業について、自習は他領の事業についてです」
「他領の事業を調べているのか?どうして」
「……私の為です」
「兄様、これには複雑な事情があるの」
「事情?」
「触れないでくださると嬉しいですわ」
「セリーナ、話して協力してもらわない?」
「巻き込むつもりはないの。誰も」
「セリーナ」
「イザベラ、巻き込みたくない。これは私が決着をつけるべき事だし、……それに私だけにしか起きてないの。頭がおかしいなんて思われたくない。
一人で大丈夫よ」
「イザベラは信じたのだろう?」
「信じたわ」
「セリーナ、私を信じて話してくれないか」
「信じたフリでもされたら私はもうイザベラにも会えなくなってしまいます。せっかくできた友人を失えと仰るのですか?」
「他に誰が知っているんだ」
「家族と、フレデリク殿下とモーレル侯爵家のエルネスト様です」
「彼らは信じた?」
「はい」
「殿下とエルネストは友人だったのか?」
「いえ、個人的にお話ししたのはお茶会が初めてです」
「なのに私だけは駄目?信用ならない?」
「そういう訳では、」
「そういうことだよ、君が言っていることは。
分かった。もう聞かないよ。ゆっくりしていってくれ。失礼する」
「兄様」
「私は彼女の家族でも何でもない。無理に聞き出す権利は無い。仕方のないことだ」
私、公爵様に失礼を?
「公爵様、待ってください」
「……」
「グラシアン様!」
止まってくれた!
「話を聞いてくださいますか?少し長いのですが」
「無理強いしたくない。いいんだ」
「グラシアン様に聞いていただきたいのです」
「分かった」
もう一度席についてくださったグラシアン様にイザベラ達と同じように話した。
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