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2度目
グラシアンとの出会い
所々飛ばして1度目の私の話をした。
「レミ・レイノルズね」
「しかもレイノルズ家が実際に縁談の申し込みをしてきて、断られたにもかかわらず夫人が押しかけてきてしつこく迫ったらしいの。諦めてなさそうなの」
「何と言って断ったんだ?」
「え!?」
いや…だって…
「それも秘密?」
「あ~、兄様私のせいなの。ほら、兄様の名前を借りちゃったって言ったじゃない」
「何と言ったんだ?セリーナ」
「っ!」
「セリーナ?」
「公爵様を……お慕いしているからと」
「誰を?」
「っ!!」
「セリーナ、もう一度」
この人、私で遊んでる!!
「グラシアン様を心からお慕いしておりますの。私の全てはグラシアン様のもの。他の殿方のことは考えられませんわ」
「………」
「キャーッ!!セリーナ!素敵!」
「そこまで言っても引き下がらないの。グリーンデサントへ行って来るわ」
「セリーナ、駄目よ」
「イザベラ、何のことだ」
「兄様の名を出しても効果が薄いからグリーンデサントの親類を頼って令息を紹介してもらって本当に婚約するか恋人を作ろうとしているのよ」
「婚約してないから息子とも交流してくれって。
国内の貴族を探し始めると噂になりますので、グリーンデサントを頼ろうかと思います」
「いっそ移住しようかなとか言い出すのよ!?」
「夫人は他に何を言っていた?」
「ご子息を婚約者候補にして欲しいと。
在学中に出会いがあるでしょうと言ってみましたが、友人として過ごして、ご子息の気持ちが変わらず、私も慕う方と婚約まで行き着かなかったら、ご子息と婚約して欲しいと仰っておりました。
つまり、名前をお借りしましたが、夫人には相手にされるはずもないと思われたのか、上手くいかないと思われたのか、嘘と思われたのか分かりませんがあまり効果がありませんでした。
強引な方ですわ」
「学園生活が心配だな」
「学年が違うことが救いね」
「まあ、入学して半年も経てばジェスト殿下もいますので、今度は距離を置かずに甘えてみようと思います。
前回は婚約者の機嫌を優先して、距離を置いて欲しいと意思表示をしてしまいました」
「従兄殿下ね?」
「はい。優しい方を傷付けてしまったことが心残りだったの。先日手紙を送ったわ」
「何て書いたんだ?」
「ジュスト殿下宛に出したことなんてなかったので悩みましたが、挨拶と会いたいということくらいに止めました」
「殿下はカークファルド夫人の弟・グリーンデサント国王陛下の第一王子だったか。
一つ上か?二つ上か? 婚約者はいるのか?」
「その通りです。歳は一つ上で婚約者はいると思いますが、よく分かりません。交流が無かったので」
「困ったな。デビューはいつだ?次かな?」
「はい。初夏前に16歳になりますので」
「デビュータントのパートナーは決まっているのかな?」
「多分兄に頼むことになるかと思います」
前回は一応婚約者だった彼がパートナーだったものね。
「ちょっと席を外す。イザベラ」
「はい、兄様」
公爵様が席を外した途端にイザベラは目を輝かせて詰め寄った。
「ねえねえ、どうだった!」
「何が?」
「兄様よ!」
「どうって、素敵な人だと思うわよ?」
「そうじゃなくて、ドキドキしたとかないの?」
「ないわね」
「え~っ!?兄様じゃダメ!?」
「そうじゃなくて。
私など相手にされないわ。公爵様にとって私なんて子供よ」
「そうかしら」
「そうよ。現当主とデビュー前の小娘では差が有り過ぎるわ」
「今はそうでも卒業の頃には、」
「今を回避できないと駄目なの。公爵様にご迷惑をお掛けできないわ。しかもイザベラのお兄様なら尚更よ」
「兄様は嫌なら嫌とハッキリ言うし、顔も出さないわ」
「そうなの?」
「そうよ。令嬢の場合は余程シオーヌ家と関わりのある家門でないとね」
「だとしたら、私の血のせいで当主としての役割を果たしていらっしゃるのだわ」
「信じないのね」
「だって、シオーヌ公爵様よ?
私はグリーンデサントの王族の血筋でなければ何の縁も取り柄もない伯爵家の娘。
今の説明では、本来顔も合わせない相手ということじゃないの」
そこに公爵様が戻った。
「セリーナ。これをカークファルド伯爵に渡してくれないか」
手紙?
「はい」
その後もお喋りをして帰ってきた。
「お父様、シオーヌ公爵様から手紙を預かりました」
渡すと父は執事に指示を出した。
「セリーナ、今週末に公爵が訪問なさる。同席するように。
その後、セリーナと外出するそうだ。予定を入れないように」
「ええ!?」
「聞いてないのだな」
「はい。渡すようにとだけ」
「何か話してきたのか?」
「例の話をしました」
「どちらなのか分からないな」
「 ? 」
「疑われたり馬鹿にされたりはしなかったのだな?」
「はい」
「分かった。食事になるから着替えておいで」
食後は兄と馬車の仕様について話をした。
「天災で困窮するくらいなら当然賊もでるだろうな」
「ですので賊対策を施した馬車はカークファルド周辺の領地で売れると思います。
後、今後の契約内容を変えませんか?」
「どんな風に?」
「半額を手付金として貰うのです。
先方都合のキャンセルの場合は返金しません
そして少しでも仕様を変えた馬車のキャンセルはできないと定めます。スタンダードな馬車のみ半額は戻らないけどキャンセル可能にします」
「それでは注文が入らないのではないか?」
「天災が起きていない時点で馬車一台分の支払契約も保証できないお客様は他所で注文すればいいのです。
それでも注文したくなる馬車を作りましょう」
「分かったよ」
「レミ・レイノルズね」
「しかもレイノルズ家が実際に縁談の申し込みをしてきて、断られたにもかかわらず夫人が押しかけてきてしつこく迫ったらしいの。諦めてなさそうなの」
「何と言って断ったんだ?」
「え!?」
いや…だって…
「それも秘密?」
「あ~、兄様私のせいなの。ほら、兄様の名前を借りちゃったって言ったじゃない」
「何と言ったんだ?セリーナ」
「っ!」
「セリーナ?」
「公爵様を……お慕いしているからと」
「誰を?」
「っ!!」
「セリーナ、もう一度」
この人、私で遊んでる!!
「グラシアン様を心からお慕いしておりますの。私の全てはグラシアン様のもの。他の殿方のことは考えられませんわ」
「………」
「キャーッ!!セリーナ!素敵!」
「そこまで言っても引き下がらないの。グリーンデサントへ行って来るわ」
「セリーナ、駄目よ」
「イザベラ、何のことだ」
「兄様の名を出しても効果が薄いからグリーンデサントの親類を頼って令息を紹介してもらって本当に婚約するか恋人を作ろうとしているのよ」
「婚約してないから息子とも交流してくれって。
国内の貴族を探し始めると噂になりますので、グリーンデサントを頼ろうかと思います」
「いっそ移住しようかなとか言い出すのよ!?」
「夫人は他に何を言っていた?」
「ご子息を婚約者候補にして欲しいと。
在学中に出会いがあるでしょうと言ってみましたが、友人として過ごして、ご子息の気持ちが変わらず、私も慕う方と婚約まで行き着かなかったら、ご子息と婚約して欲しいと仰っておりました。
つまり、名前をお借りしましたが、夫人には相手にされるはずもないと思われたのか、上手くいかないと思われたのか、嘘と思われたのか分かりませんがあまり効果がありませんでした。
強引な方ですわ」
「学園生活が心配だな」
「学年が違うことが救いね」
「まあ、入学して半年も経てばジェスト殿下もいますので、今度は距離を置かずに甘えてみようと思います。
前回は婚約者の機嫌を優先して、距離を置いて欲しいと意思表示をしてしまいました」
「従兄殿下ね?」
「はい。優しい方を傷付けてしまったことが心残りだったの。先日手紙を送ったわ」
「何て書いたんだ?」
「ジュスト殿下宛に出したことなんてなかったので悩みましたが、挨拶と会いたいということくらいに止めました」
「殿下はカークファルド夫人の弟・グリーンデサント国王陛下の第一王子だったか。
一つ上か?二つ上か? 婚約者はいるのか?」
「その通りです。歳は一つ上で婚約者はいると思いますが、よく分かりません。交流が無かったので」
「困ったな。デビューはいつだ?次かな?」
「はい。初夏前に16歳になりますので」
「デビュータントのパートナーは決まっているのかな?」
「多分兄に頼むことになるかと思います」
前回は一応婚約者だった彼がパートナーだったものね。
「ちょっと席を外す。イザベラ」
「はい、兄様」
公爵様が席を外した途端にイザベラは目を輝かせて詰め寄った。
「ねえねえ、どうだった!」
「何が?」
「兄様よ!」
「どうって、素敵な人だと思うわよ?」
「そうじゃなくて、ドキドキしたとかないの?」
「ないわね」
「え~っ!?兄様じゃダメ!?」
「そうじゃなくて。
私など相手にされないわ。公爵様にとって私なんて子供よ」
「そうかしら」
「そうよ。現当主とデビュー前の小娘では差が有り過ぎるわ」
「今はそうでも卒業の頃には、」
「今を回避できないと駄目なの。公爵様にご迷惑をお掛けできないわ。しかもイザベラのお兄様なら尚更よ」
「兄様は嫌なら嫌とハッキリ言うし、顔も出さないわ」
「そうなの?」
「そうよ。令嬢の場合は余程シオーヌ家と関わりのある家門でないとね」
「だとしたら、私の血のせいで当主としての役割を果たしていらっしゃるのだわ」
「信じないのね」
「だって、シオーヌ公爵様よ?
私はグリーンデサントの王族の血筋でなければ何の縁も取り柄もない伯爵家の娘。
今の説明では、本来顔も合わせない相手ということじゃないの」
そこに公爵様が戻った。
「セリーナ。これをカークファルド伯爵に渡してくれないか」
手紙?
「はい」
その後もお喋りをして帰ってきた。
「お父様、シオーヌ公爵様から手紙を預かりました」
渡すと父は執事に指示を出した。
「セリーナ、今週末に公爵が訪問なさる。同席するように。
その後、セリーナと外出するそうだ。予定を入れないように」
「ええ!?」
「聞いてないのだな」
「はい。渡すようにとだけ」
「何か話してきたのか?」
「例の話をしました」
「どちらなのか分からないな」
「 ? 」
「疑われたり馬鹿にされたりはしなかったのだな?」
「はい」
「分かった。食事になるから着替えておいで」
食後は兄と馬車の仕様について話をした。
「天災で困窮するくらいなら当然賊もでるだろうな」
「ですので賊対策を施した馬車はカークファルド周辺の領地で売れると思います。
後、今後の契約内容を変えませんか?」
「どんな風に?」
「半額を手付金として貰うのです。
先方都合のキャンセルの場合は返金しません
そして少しでも仕様を変えた馬車のキャンセルはできないと定めます。スタンダードな馬車のみ半額は戻らないけどキャンセル可能にします」
「それでは注文が入らないのではないか?」
「天災が起きていない時点で馬車一台分の支払契約も保証できないお客様は他所で注文すればいいのです。
それでも注文したくなる馬車を作りましょう」
「分かったよ」
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