【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!

ユユ

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領地に訪問者

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家具屋の商品を参考に馬車のデザインを兄と職人と話し合っていた。
そこにはパトリシア様もいる。

「三種類考えているわ。

一つは標準で賊対策や野営に、二つ目は場が持たない空間を過ごさなくちゃならない人達の為の馬車、三つ目は楽しい一時を過ごしたい人達の為の馬車よ。

そしてキャンセルをさせないよう内装を少しでも変えさせるの。

例えば女性が乗るなら、膝までの高さに合わせれば、浮腫み方が違うから、殿方に脚を見せる事態になった時に少しでも浮腫んでいない方がとか」

全員「………」

「ご婦人方の話を参考にしたのよ。

不仲そうな夫婦にはどう気を逸らすか説明してこれも体型が影響すると言うの。

車内の楽しみ方はそれぞれだから、領地が遠かったり不便な道中があるならそこをつくといいわ」

「具体的には?」

「パトリシア義姉様、もし野宿だと言われたら、馬車で窮屈に座って寝るか、外で虫と格闘して地べたに敷物を敷く程度です。それが簡易でも寝台が作れたらどうですか?」

「馬車に寝台を!?」

「完全な個室にはならないけど」

「どうするんですか、お嬢様」

「後ろを開くようにして、上に上げて屋根にするの。で、座席の下から板を引き出して座席のところに差し込んで、脚を付けて、座席のクッションを並べて敷くの。蚊帳も付けられるようにするわ。

一人が二人しか眠れないけど、無いよりマシだわ。幼子がいるなら、ぐずらせないように出来るだけでも同行者達が苛立たなくて済むし。

中には大病を患っている方や妊婦が仕方なく移動する場合もあるもの」

「なるほど」

「馬車は乗る人の状態や関係によって変更をさせられると思うわ」

「そうだな」

「だから、組み立てて形を変えられるようにできなくてはならないし、強度も欲しい。かといって部品で重くなり過ぎても駄目だわ。

クッションや革、小物もやってくれる職人を確保しないとね」





馬車のイメージ図を何日も沢山書いていた。

「お嬢様、お客様が門を通過なさいました」

「お母様達は?」

「エントランスでお待ちです」

「すぐ行くわ」


領地まで来たのにやってきたのは……

「エレノア・シオーヌと申します。お会いできて光栄ですわ」

「妻のフィリシアと申します。ようこそお越しくださいました」

「長男のシモンと申します。お会いできて光栄でございます」

「長女のセリーナと申します。イザベラ様に友人になっていただきました。感謝しております」

イザベラの母、シオーヌ夫人だった。



どう考えても疲れてそうだったのでゆっくり休んでもらうことにした。

なのに、部屋に呼ばれた。


「お茶をお持ちしました」

「こっちにいらして。話し相手になって欲しいの」

「はい」

「ごめんなさいね、押しかけて」

「あの、どうかなさいましたか」

「……グラシアンが失礼をしたと聞いたのよ」

「いえ、そのようなことはございません。
公爵様は大人の殿方ですから、いろいろとおありなのでしょう。ですが私はその手の揉め事が苦手で、先に帰らせていただきました」

「その後も会わなかったのは?」

はっきり聞いてくるのね。

「伯爵家の事業を進めていて、単に忙しかったというだけです。私には様々な事を同時進行させる余裕はありませんので予定があるとお返事を出しました」

「レイノルズ夫人が強引だと聞いたのだけど」

「納得していただけませんでした。
私のお断りの仕方が良くないだけかもしれませんが」

「子息とは絶対に婚約したくないのよね?」

「はい」

「実はね、シェイファー子爵家のお茶会で絡んできた令嬢はあるご縁があった方なの。

以前、グラシアンには妻がいたのだけど跡継ぎに恵まれなくて、第二夫人を求めたの。

グラシアンの子を産めば娶るという条件でね。
その条件をのんだのがレフィーネ嬢なの。

結局、その事を苦に妻が亡くなってしまって、レフィーネ嬢も1年間懐妊しなかったから契約を切ったの。

その後、レフィーネ嬢は公爵夫人になりたくてグラシアンに求婚し続けているのだけど、シモーヌ家もグラシアンもレフィーネ嬢を迎える気などないの。

身持ちが悪かったの。子を産ませるだけならと思ったけど公爵夫人は無理だわ」

「でも、早く跡継ぎが必要だから迎えた女性ではありませんか?」

「その時は夫が生きていて、夫の方針だったの。
グラシアンは後継者として従ったまでのこと。

今は夫は天に召されたから急がせていないわ」

「そうだったのですね」

「そこで貴女よ、セリーナ嬢」

「私ですか?」

「まず、同い歳の令嬢達を下に見て友人ができなかったイザベラを貴女は捕まえたわ」

「イザベラ様は素敵な方ですわ。一緒にいて楽しくて、有難いと思っております」

「ありがとう。

そしてグラシアンよ。
政略結婚しか知らなかったグラシアンが貴女を気に掛けているわ。私に会いに来て、貴女に逢えないと泣き言を言うほどにね」

「………」

「ねえ、セリーナ嬢。グラシアンが嫌い?」

「いえ、そういうわけでは。

ただ、本当に痴話喧嘩に巻き込まれたりするのが嫌で。それに公爵様はイザベラ様の友人だからと私に協力をしてくださっただけですから。

公爵様がまた妻を娶られるときの足枷になるのは嫌ですわ。

私はグリーンデサントという伝手もありますから、公爵様にご迷惑をかけずに最初からそちらを頼れば良かったのです」

「痴話喧嘩ではないのよ」

「しかし、理由はどうあれ1年も男女の関係にあり、そのお相手が私に矛先を向けました」

「レフィーネ嬢のことがなかったとして、グラシアンを異性としてどう思う?」

「恋愛感情を持ったことはありません。公爵様に対しても同じです」

「でも、近い未来、どこかの家門に嫁ぐでしょう」

「それが、私の家族は嫁がなくてもいいと言ってくれています。

好きな人ができれば嫁げばいいし、領地で暮らしてもいいし、働いてもいいと言ってくれています」

「グラシアンに機会をくれないかしら。貴女に好きな男性が現れるか、レイノルズ家の子息が別の方と婚約するまで」

「もし彼が適齢期まで婚約しなければその分、公爵家にお嫁さんを迎え難くなりますし、跡継ぎも遅れます。失礼ですが良い考えとは思えません」

「シオーヌ公爵家は一度悲劇に見舞われているわ。だから気持ちも大事にしたいの。グラシアンはまだ26歳よ。少しくらい構わないわ」

「私に気持ちが無い以上、ただ公爵様を利用するだけになってしまいます」

「誠実なのね。

それでも、グラシアンは貴女の側にいる機会がもらえる。それでいいの」

「別の方とお付き合いをしたり、男女の関係になりたい場合はケジメを付けていただけますか。
公爵様が誠実さを失ったとき、どなたが説得しようとも、私は公爵様に時間を割きませんし、口も聞きません。挨拶さえしないでしょう。

それでもよろしいですか」

「ありがとう。
セリーナと呼んでもいいかしら。私のことはエレノアと呼んでちょうだい」

「エレノア様」

「セリーナ、よろしくね」

「よろしくお願いします」








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