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不死身?
学園で孤立したサラ・セグウェルは、独り言が多くなって顔付きもおかしいらしい。
魅了から解き放たれた令息達は、家族や婚約者などからの信頼を取り戻すために一生懸命なのだとか。
最初から血を飲ませてあげていたらと思うと申し訳ない気になる。
初めてのことで、実験も兼ねていた。
魅了でどうなっていくのか観察をしたのだ。
「リヴィア、選択科目だから着替えないと」
「ありがとう、ティエリー」
乗馬セットを持って移動した。
更衣室に入ろうとすると先に着替え終えた女子生徒が出てきた。私が最後のようだ。
着替えていると誰かが入ってきた。
制服のブラウスを脱いだところだった。
私が最後じゃなかったのね、なんて思っていると後ろから痛みと衝撃が走った。
何が起きているのか分からなかったけど、立っていられなかった。
ドサッ
「あんたのせいで こんな目に遭っているのに、あんただけ幸せそうに王子様に愛されるなんておかしいじゃない」
聞き覚えのある声に目線を上に向けた。
靴、制服、眩い金髪、そして
「サラ…セグウェル…」
「早くこうすれば良かったわ」
意識が薄れて暗転した。
地の裂け目からランタンの光のようなものが漏れて眩しくなってきた。
そこから這い上がってきたのは あの悪魔だった。
《何でまた死んでいるんだ?》
そんなことを言われても
《よく分かりません》
《背中に傷がある。心臓を背後から刺されたのだな》
最後に見たのは…
《魔女の生まれ変わり》
《またあの女に?我の力を授けてやったのに情け無い》
《私は人間ですよ? そこまで仰るなら、刃物が通らない身体にしてくださればいいではありませんか》
《採血できないぞ?》
そうだったわ
《仰る通りです》
《もう寿命以外で死ぬなよ。
次に会うのは寿命の時だな。一度だけ願いを叶えてやろう。無茶な願いはするなよ》
え?また蘇らせてくれるの?
もしかして、悪魔じゃなくて神様じゃないの?
しかも願いまで叶えてくれるの?
《例えば?》
《悪魔の消滅とか、世界征服とか》
《…なるほど》
《目を輝かすな。
まだ寿命は先だ。いちいち死ぬな。さっさと戻れ》
《ちょっと聞きたいことが、》
視界が明るくなり、目を開けるとモロー隊長と医師が覗き込んでいた。
「リヴィア!」
「これは驚いた」
「先生、口外しないようにお願いします」
「こんなことを漏らしたら、私の頭がおかしくなったと言われるだけですよ」
「それもそうだな。
リヴィア、痛みは?身体はどうだ」
「何ともありません」
「何があったか覚えているか?」
「乗馬の授業を受けるために更衣室で着替えていたのですが、いきなり背中から衝撃と痛みが走って倒れました」
「そうだ。君は背面からナイフで刺されたんだ。犯人を覚えているか?」
「サラ・セグウェルです」
「やはりそうか。カルフォン。サラ・セグウェルを捕らえてくれ」
「かしこまりました」
カルフォン卿も居たとは気付かなかった。
少し離れたところに立っていた。
モロー隊長に命じられて出て行った。
「刺された後、どうなったのでしょう」
「授業の開始時間になっても現れないからカルフォンが探しに行って、更衣室で倒れているリヴィアを見つけた。
ここに運んで死亡確認をしてナイフを抜いたら傷が消えて息をし始めた。心臓も動き出した」
私はあの悪魔に会った話をした。
「あの悪魔は私を本来の寿命を全うさせるまで死なせないつもりみたいです。死んで叱られました」
「そ、そうか。なかなか優しい悪魔なんだな」
「次にあったら伝えておきます。
あれ?悪魔は“優しい”は侮辱になるのでしょうか。
でも“狡猾だ”とか“忌々しい”とか言ったら悪魔にとっても悪口ですよね」
「“恐ろしい”なら叱られないのでは?」
医師が会話に加わってくれた。
「それにします」
「いや、死なないでくれ」
「すみません。まさか殺されるとは思っていませんでした。生き返ってしまってどうしましょう」
「学園側には臓器を全て外して単純な刺し傷だけだと訂正しよう。そうだ。陛下と殿下に知らせないと。殿下が半狂乱になって手が付けられなかった」
「ここに運ばれてどのくらいですか」
「30分も経っていないよ」
「父には知らせていませんよね」
「未だ知らせていない。どこにもな。先生と助手とカルフォンと陛下と殿下と、多分王妃殿下と、それぞれの近侍だな。王妃殿下と近侍には誤報と伝えるつもりだ」
「ありがとうございます」
暫くして、息を切らしたヘンリー殿下が飛び込んできた。
「リヴィア!!」
「あ、ご迷惑をおかけ、ぐっ」
ヘンリー殿下に息ができないほど強く抱きしめられた。
死ぬ!また悪魔に叱られる!!
殿下の背中をバシバシと叩いた。
「殿下、リヴィア嬢が窒息してしまいますよ」
医師が殿下を引き離してくれた。
「生きてる!ああ、神様!」
「どちらかというと悪魔様です」
「は?」
そこに国王陛下もいらしたので刺された時のことから目覚めるまでの話をした。
陛「隊長」
モ「捕らえに向かわせました」
へ「私がこの手で処刑してやる」
私「ガニアン公爵達が帰ってからにしてもらえませんか。もしかしたら悪夢を見るかもしれませんよ」
モ「なるほど。では地下牢で拘束したままにしておこう」
念のため、2週間ほど此処で安静にさせてもらうことになった。背中に刺し傷があることになっているのだから仕方ない。
休み過ぎて卒業できなくなるかと思ったけど、学園内の刺傷事件なので、卒業試験に受かれば出席扱いにしてくれるらしい。
お父様には、“刺されましたが完治しました。ガニアン来国に合わせて移動してください”と手紙に書いて送った。
魅了から解き放たれた令息達は、家族や婚約者などからの信頼を取り戻すために一生懸命なのだとか。
最初から血を飲ませてあげていたらと思うと申し訳ない気になる。
初めてのことで、実験も兼ねていた。
魅了でどうなっていくのか観察をしたのだ。
「リヴィア、選択科目だから着替えないと」
「ありがとう、ティエリー」
乗馬セットを持って移動した。
更衣室に入ろうとすると先に着替え終えた女子生徒が出てきた。私が最後のようだ。
着替えていると誰かが入ってきた。
制服のブラウスを脱いだところだった。
私が最後じゃなかったのね、なんて思っていると後ろから痛みと衝撃が走った。
何が起きているのか分からなかったけど、立っていられなかった。
ドサッ
「あんたのせいで こんな目に遭っているのに、あんただけ幸せそうに王子様に愛されるなんておかしいじゃない」
聞き覚えのある声に目線を上に向けた。
靴、制服、眩い金髪、そして
「サラ…セグウェル…」
「早くこうすれば良かったわ」
意識が薄れて暗転した。
地の裂け目からランタンの光のようなものが漏れて眩しくなってきた。
そこから這い上がってきたのは あの悪魔だった。
《何でまた死んでいるんだ?》
そんなことを言われても
《よく分かりません》
《背中に傷がある。心臓を背後から刺されたのだな》
最後に見たのは…
《魔女の生まれ変わり》
《またあの女に?我の力を授けてやったのに情け無い》
《私は人間ですよ? そこまで仰るなら、刃物が通らない身体にしてくださればいいではありませんか》
《採血できないぞ?》
そうだったわ
《仰る通りです》
《もう寿命以外で死ぬなよ。
次に会うのは寿命の時だな。一度だけ願いを叶えてやろう。無茶な願いはするなよ》
え?また蘇らせてくれるの?
もしかして、悪魔じゃなくて神様じゃないの?
しかも願いまで叶えてくれるの?
《例えば?》
《悪魔の消滅とか、世界征服とか》
《…なるほど》
《目を輝かすな。
まだ寿命は先だ。いちいち死ぬな。さっさと戻れ》
《ちょっと聞きたいことが、》
視界が明るくなり、目を開けるとモロー隊長と医師が覗き込んでいた。
「リヴィア!」
「これは驚いた」
「先生、口外しないようにお願いします」
「こんなことを漏らしたら、私の頭がおかしくなったと言われるだけですよ」
「それもそうだな。
リヴィア、痛みは?身体はどうだ」
「何ともありません」
「何があったか覚えているか?」
「乗馬の授業を受けるために更衣室で着替えていたのですが、いきなり背中から衝撃と痛みが走って倒れました」
「そうだ。君は背面からナイフで刺されたんだ。犯人を覚えているか?」
「サラ・セグウェルです」
「やはりそうか。カルフォン。サラ・セグウェルを捕らえてくれ」
「かしこまりました」
カルフォン卿も居たとは気付かなかった。
少し離れたところに立っていた。
モロー隊長に命じられて出て行った。
「刺された後、どうなったのでしょう」
「授業の開始時間になっても現れないからカルフォンが探しに行って、更衣室で倒れているリヴィアを見つけた。
ここに運んで死亡確認をしてナイフを抜いたら傷が消えて息をし始めた。心臓も動き出した」
私はあの悪魔に会った話をした。
「あの悪魔は私を本来の寿命を全うさせるまで死なせないつもりみたいです。死んで叱られました」
「そ、そうか。なかなか優しい悪魔なんだな」
「次にあったら伝えておきます。
あれ?悪魔は“優しい”は侮辱になるのでしょうか。
でも“狡猾だ”とか“忌々しい”とか言ったら悪魔にとっても悪口ですよね」
「“恐ろしい”なら叱られないのでは?」
医師が会話に加わってくれた。
「それにします」
「いや、死なないでくれ」
「すみません。まさか殺されるとは思っていませんでした。生き返ってしまってどうしましょう」
「学園側には臓器を全て外して単純な刺し傷だけだと訂正しよう。そうだ。陛下と殿下に知らせないと。殿下が半狂乱になって手が付けられなかった」
「ここに運ばれてどのくらいですか」
「30分も経っていないよ」
「父には知らせていませんよね」
「未だ知らせていない。どこにもな。先生と助手とカルフォンと陛下と殿下と、多分王妃殿下と、それぞれの近侍だな。王妃殿下と近侍には誤報と伝えるつもりだ」
「ありがとうございます」
暫くして、息を切らしたヘンリー殿下が飛び込んできた。
「リヴィア!!」
「あ、ご迷惑をおかけ、ぐっ」
ヘンリー殿下に息ができないほど強く抱きしめられた。
死ぬ!また悪魔に叱られる!!
殿下の背中をバシバシと叩いた。
「殿下、リヴィア嬢が窒息してしまいますよ」
医師が殿下を引き離してくれた。
「生きてる!ああ、神様!」
「どちらかというと悪魔様です」
「は?」
そこに国王陛下もいらしたので刺された時のことから目覚めるまでの話をした。
陛「隊長」
モ「捕らえに向かわせました」
へ「私がこの手で処刑してやる」
私「ガニアン公爵達が帰ってからにしてもらえませんか。もしかしたら悪夢を見るかもしれませんよ」
モ「なるほど。では地下牢で拘束したままにしておこう」
念のため、2週間ほど此処で安静にさせてもらうことになった。背中に刺し傷があることになっているのだから仕方ない。
休み過ぎて卒業できなくなるかと思ったけど、学園内の刺傷事件なので、卒業試験に受かれば出席扱いにしてくれるらしい。
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