【完結】悪魔に祈るとき

ユユ

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療養は終わり、少し学園に通うと長期休暇に入った。見計らうかのように彼らも到着した。

重装備ながらも白と青を基調とした服や装備や馬車に王家とは違う威圧感を感じた。

「(可哀想)」

「(リヴィア?)」

「(騎士様達が暑そう。冷たい飲み物が準備されているといいのですけど)」

「(用意してあるはずだ)」

「(なら良かったです)」

何故か騎士様達が私を見ている気がした。

馬車のドアが開くと、青みがかったシルバーの髪に金色の瞳の父息子おやこが馬車を降りた。
父親の方は髭を生やし、息子の方は少し長い髪を後ろに束ねていた。

私と内緒話をしていたヘンリー王子殿下が挨拶をして、次に宰相、モロー隊長、そして私の前に立つと親子は顔を見合わせた。

「失礼。ガニアン公爵家当主アデラールだ。リヴィア嬢。会えて嬉しいよ」

「次男エルヴェです。お会いできて光栄です」

「ネルハデス伯爵家の長女 リヴィアと申します。
お会いできて光栄に存じます。皆様 どうぞ中へ」

あれ?エルヴェ公子が手を放してくれない。
それにしても美しい瞳だわ。まるで暖かい陽だまりのよう。

「(そんなことを言われたのは初めてだな)」

「はい?」

まだ放してくれないわね。
あれ?歳が近い?歳下?
肌が白いわね。ほっぺたが柔らかそう。
ちょっと悪いことを考えてそうな微笑みが可愛いわね。きっと幼い頃は悪戯っ子ね。

「っ!」

エルヴェ公子が突然顔を赤くして手をパッと放した。

「どこか具合でも?」

「な、何でもない…です」


謁見の間に通されて国王夫妻と挨拶を済ませて晩餐まで休めるよう客室に案内し

今日の私の役目はここで終わり。明日、改めてルネ様達も交えて晩餐会を開く予定だ。
屋敷に戻るとお父様とお母様とオードリック様が楽しそうにお喋りをしていた。

オ「リヴィア、おかえり」

母「お疲れ様」

父「どうだった」

私「挨拶だけでしたからよく分かりません」

父「そうか」

オ「エルヴェ・ガニアンはどうだった?」

私「歳が近いかもしれません。美少年という感じて可愛い感じの人でした」

オ「惚れてないよな?」

私「そういったことはないです」

オ「ならいいんだ」


夜、ガニアン家の騎士が訪ねて来た。

「夜分に申し訳ございません。ネルハデス嬢、明日は晩餐会に合わせてではなく、昼からいらしてもらえませんか」

「午後一番ということですか?でも、」

「エルヴェ様がネルハデス嬢が屋敷に戻られたと知って動揺してしまい、こちらに来ると言い張るのを止めたという事情がございまして」

「……」

「(大国の筆頭公爵家ですわよね)」

「(本当に挨拶しただけなのか?)」

「(思っていたより歳下だったのですね。可愛らしい子なのですよ)」

小声で話していると騎士様が手を挙げた。

「あの…我ら聖騎士は程度の差はありますが 読唇術を習得しております」

「まあ」

「それは失礼しました」

「え?では到着時も?」

「はい。確かに暑かったです。お気遣いいただきありがとうございました」

「知らなくて…失礼しました」

「本当は教えないで動向をみるのですが、ネルハデス家の皆様にはお伝えします。独断ですが」

「分かりました。他言はしませんわ」

「感謝いたします。もう一つ。エルヴェ様はネルハデス嬢の1つ歳下です」

「そうなのですね。エルヴェ様に午後一番にお会いしましょうとお伝えください」

「かしこまりました。お待ち申し上げております」


騎士様が帰るとお父様が困った顔をした。

「リヴィア、気に入られて帰って来ているじゃないか」

「あの感じならお断りするのは大変そうよ。まったくこの子ったら」

「挨拶しただけなのに…」



翌日、昼食を食べた後に登城すると、エルヴェ様が走って来た。

「リヴィア!」

まさか抱き付くつもり!?
あの勢いのままだと倒されて潰されちゃいそう。

だけど、私の前に立ったのはオートリック様だった。

「初めまして、ガニアン公子。私はリヴィアの恋人 フレンデェ公爵家の長男オードリックと申します」

「恋人?」

「はい。両家公認の恋人です」

「リヴィア、こっちに来てください」

「私の恋人ですよ?致しかねます」

「リヴィアにはガニアンから正式に求婚しているんだ!僕の方が先だろう!」

「断ったと聞いております」

「だけど、」

「そもそもご長男の求婚のお話では?
跡継ぎが変わって公子が求婚したとしても、私の求婚の方が先で恋人も私です」

「本当ですか、リヴィア」

「両家公認です」

「信じられない!もっと早く来るべきだった!」

エルヴェ公子はブツブツと独り言を言った後、開き直るかのように主張をした。

「婚姻していないのなら問題ない。恋人なら別れたらいいことだし、婚約者だというなら解消すればいい。解消にかかる違約金はガニアンで支払おう。
リヴィアはこっちに来てください」

「私が自分の女を守れないような男に見えますか?ガニアン公子」

「其方とでは話にならない!夜に伯爵と話をする!
とにかく、今回の来国はリヴィアと会うためのものだし、リヴィアが今ここにいるのは僕が呼んだからだ。王子でもないくせに邪魔をするな!」


と いうことで、ヘンリー王子殿下が加わった。


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