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真面目な付き人
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午前中の授業が終わり、セドリックの付き人をしにきた。
「シャルロット、そこの本を取ってくれ」
「はい殿下」
「朗読してくれないか」
「嫌です」
「何でだよ」
「付き人はそんなことはしません。殿下は頁を捲ることもできますし視力に問題はございません。それらが出来ないほど多忙なら側近の方を連れて参ります」
数分後、
「シャルロット、一緒に食事をしよう」
「嫌です」
「食べてないだろう?」
「新人の付き人は殿下と食事をいたしません」
「飢えさせたなんて伯爵が知ったら大変だ」
「ぜひ大変になってください」
「じゃあ食べさせてくれ」
「片手で食べられるメニューになっています」
「(誰だ 余計なことをしたのは)」
「はい?」
「シャルロットの分もあるから食べてくれ。
料理人がガッカリするだろう」
「今回限りですよ。後で厨房に私の分は出さないようにお願いしておきます」
「付き人なら俺の願いを叶えるのが仕事だろう」
「私の場合は普通の付き人ではありませんし、殿下の要求は子守と交代したくなるレベルです」
「まあ、特別なのは当然だが、もう少し柔軟になれないのか?」
「私は殿下の辛いお体をサポートする為だけに こちらにおります。片手で事足りる場合や全く関係ないことはいたしません」
「じゃあ、湯浴みの手伝いを、」
「湯浴みの時間ではありません。その頃には帰っております」
「週末のブロシェンの茶会は俺も行こうかな」
「行けるなら私は必要ありませんね?」
「シャルロットが冷た過ぎる」
「殿下のお体を心配して申し上げているのです」
セドリックは大人しく昼食を済ませ、書類仕事をし始めた。私はそのまま立って出番を待つだけ。
だけど、何もせずただ立っているなんて滅多になかったから辛い。
「帰っていいですか」
「いいわけないだろう」
「言ってみただけです」
結局ほとんどやることはなく、動く時だけ補助をする程度だった。
来る意味無い気がするけど仕方ない。
週末は朝から殿下の付き人を始めた。午後にブロシェン公爵家のお茶会で抜けなくてはならないからだ。
レオナルド兄様は城に送り届けてくれる度に殿下に“シャルロットに変なことをするなよ”と言っている。
ロランは“引き分けなのに卑怯だ”と怒っていた。
だけど殿下の方が痣が酷いし王族だから。
2人ともお茶会に出席予定だけど、そんな感じだから負傷中の殿下と揉めて欲しくなくて現地集合にした。
「シャルロット、薬を塗ってくれ」
「かしこまりました」
優変色した脇腹に優しく塗り薬を塗る。
筋肉すごいなぁ。
「いいぞ、好きに触って」
「変態みたいに言わないでください」
「気になるんだろう?」
「筋肉すごいな~くらいには」
「惚れた?」
「筋肉に惚れるなら、あちらの護衛の方に惚れることになります」
「ゲイル、フィルマン。帰っていいぞ。暇をやろう」
「「殿下!?」」
「護衛の方を困らせるのは止めましょうね」
「じゃあ、あの2人に惚れないと約束してくれ」
「面倒くさい殿下にお約束します。筋肉に惚れません」
「俺の事じゃないよな?」
「袖を通しましょう」
シャツを着せた。
「来月の戴冠式はパートナーとして出てくれないか」
「有り得ません」
「独り者同士でいいだろう」
「親戚などに頼んでください。私は招待リストに載っていません」
「そうか、呼ばれるとしたらケインか」
うちは侯爵の父とその妻である母と跡継ぎとその妻か婚約者が参列する。跡継ぎケインは婚約以前の問題でまだ子供なので招待されない。
ロランと私は留守番だ。
「今日もお仕事ですか?」
「そうなるな」
今日もまた 私は大した仕事はなく、昼前には支度を始めた。別室で持ち込んだドレスを来て馬車乗り場に行くと、殿下が待っていた。
「妻を独りで外に出す夫の気持ちが分かったよ」
「妄想が危険域に到達しそうですよ。別のお医者様を要請なさってください」
「俺達の事について何を言われても気にするな」
「大丈夫です。私達には何もありません」
「レオナルドの側にいろ」
「……はい」
殿下の強い眼差しに返事をしてしまった。
王宮馬車はブロシェン邸に到着した。
「ウィルソン嬢、ようこそブロシェン邸へ」
「ブロシェン公爵夫人、初めまして。シャルロット・ウィルソンと申します。無理に出席させていただきましてご迷惑ではありませんでしたか?」
「そんなことはありませんわ。招待状を送らなかったのは ご迷惑かと思っただけで、来ていただけるのでしたら今度から送らせていただきますわ」
「あまり社交慣れしておりませんので、本日は大人しく皆様のお話を拝聴させていただきます」
「キャロン家のご子息方は未だですのよ。到着次第、ウィルソン嬢の元へ案内させますね」
「ありがとうございます」
メイドの案内で会場に着くと、初見の人が多かった。
「シャルロット」
「ユリス様」
「よく来てくれたね」
「お招きいただきありがとうございます」
「少しでも楽しめると良いんだけど」
ユリス公子は婚約者を紹介した後、別のお客様へ挨拶に向かった。
1人になった私を待ち構えていたかのように令嬢達が聞こえるように話し始めた。
「セドリック殿下に恥をかかせておいて、今更殿下に付き纏うだなんて」
「見ました?殿下専用の馬車に乗って来るだなんて厚かましいわ」
「取り柄なんて見た目だけじゃない」
「レオナルド様もロラン様もお気の毒に。従妹が我儘だから婚約者も決められないのよ」
「男性を手玉に取るのが得意なのね」
「キャア、ごめんなさーい」
胸元に葡萄ジュースをかけられた。
謝罪とは言えない謝罪をしてその場を離れようとした令嬢の腕を掴んだ。
「シャルロット、そこの本を取ってくれ」
「はい殿下」
「朗読してくれないか」
「嫌です」
「何でだよ」
「付き人はそんなことはしません。殿下は頁を捲ることもできますし視力に問題はございません。それらが出来ないほど多忙なら側近の方を連れて参ります」
数分後、
「シャルロット、一緒に食事をしよう」
「嫌です」
「食べてないだろう?」
「新人の付き人は殿下と食事をいたしません」
「飢えさせたなんて伯爵が知ったら大変だ」
「ぜひ大変になってください」
「じゃあ食べさせてくれ」
「片手で食べられるメニューになっています」
「(誰だ 余計なことをしたのは)」
「はい?」
「シャルロットの分もあるから食べてくれ。
料理人がガッカリするだろう」
「今回限りですよ。後で厨房に私の分は出さないようにお願いしておきます」
「付き人なら俺の願いを叶えるのが仕事だろう」
「私の場合は普通の付き人ではありませんし、殿下の要求は子守と交代したくなるレベルです」
「まあ、特別なのは当然だが、もう少し柔軟になれないのか?」
「私は殿下の辛いお体をサポートする為だけに こちらにおります。片手で事足りる場合や全く関係ないことはいたしません」
「じゃあ、湯浴みの手伝いを、」
「湯浴みの時間ではありません。その頃には帰っております」
「週末のブロシェンの茶会は俺も行こうかな」
「行けるなら私は必要ありませんね?」
「シャルロットが冷た過ぎる」
「殿下のお体を心配して申し上げているのです」
セドリックは大人しく昼食を済ませ、書類仕事をし始めた。私はそのまま立って出番を待つだけ。
だけど、何もせずただ立っているなんて滅多になかったから辛い。
「帰っていいですか」
「いいわけないだろう」
「言ってみただけです」
結局ほとんどやることはなく、動く時だけ補助をする程度だった。
来る意味無い気がするけど仕方ない。
週末は朝から殿下の付き人を始めた。午後にブロシェン公爵家のお茶会で抜けなくてはならないからだ。
レオナルド兄様は城に送り届けてくれる度に殿下に“シャルロットに変なことをするなよ”と言っている。
ロランは“引き分けなのに卑怯だ”と怒っていた。
だけど殿下の方が痣が酷いし王族だから。
2人ともお茶会に出席予定だけど、そんな感じだから負傷中の殿下と揉めて欲しくなくて現地集合にした。
「シャルロット、薬を塗ってくれ」
「かしこまりました」
優変色した脇腹に優しく塗り薬を塗る。
筋肉すごいなぁ。
「いいぞ、好きに触って」
「変態みたいに言わないでください」
「気になるんだろう?」
「筋肉すごいな~くらいには」
「惚れた?」
「筋肉に惚れるなら、あちらの護衛の方に惚れることになります」
「ゲイル、フィルマン。帰っていいぞ。暇をやろう」
「「殿下!?」」
「護衛の方を困らせるのは止めましょうね」
「じゃあ、あの2人に惚れないと約束してくれ」
「面倒くさい殿下にお約束します。筋肉に惚れません」
「俺の事じゃないよな?」
「袖を通しましょう」
シャツを着せた。
「来月の戴冠式はパートナーとして出てくれないか」
「有り得ません」
「独り者同士でいいだろう」
「親戚などに頼んでください。私は招待リストに載っていません」
「そうか、呼ばれるとしたらケインか」
うちは侯爵の父とその妻である母と跡継ぎとその妻か婚約者が参列する。跡継ぎケインは婚約以前の問題でまだ子供なので招待されない。
ロランと私は留守番だ。
「今日もお仕事ですか?」
「そうなるな」
今日もまた 私は大した仕事はなく、昼前には支度を始めた。別室で持ち込んだドレスを来て馬車乗り場に行くと、殿下が待っていた。
「妻を独りで外に出す夫の気持ちが分かったよ」
「妄想が危険域に到達しそうですよ。別のお医者様を要請なさってください」
「俺達の事について何を言われても気にするな」
「大丈夫です。私達には何もありません」
「レオナルドの側にいろ」
「……はい」
殿下の強い眼差しに返事をしてしまった。
王宮馬車はブロシェン邸に到着した。
「ウィルソン嬢、ようこそブロシェン邸へ」
「ブロシェン公爵夫人、初めまして。シャルロット・ウィルソンと申します。無理に出席させていただきましてご迷惑ではありませんでしたか?」
「そんなことはありませんわ。招待状を送らなかったのは ご迷惑かと思っただけで、来ていただけるのでしたら今度から送らせていただきますわ」
「あまり社交慣れしておりませんので、本日は大人しく皆様のお話を拝聴させていただきます」
「キャロン家のご子息方は未だですのよ。到着次第、ウィルソン嬢の元へ案内させますね」
「ありがとうございます」
メイドの案内で会場に着くと、初見の人が多かった。
「シャルロット」
「ユリス様」
「よく来てくれたね」
「お招きいただきありがとうございます」
「少しでも楽しめると良いんだけど」
ユリス公子は婚約者を紹介した後、別のお客様へ挨拶に向かった。
1人になった私を待ち構えていたかのように令嬢達が聞こえるように話し始めた。
「セドリック殿下に恥をかかせておいて、今更殿下に付き纏うだなんて」
「見ました?殿下専用の馬車に乗って来るだなんて厚かましいわ」
「取り柄なんて見た目だけじゃない」
「レオナルド様もロラン様もお気の毒に。従妹が我儘だから婚約者も決められないのよ」
「男性を手玉に取るのが得意なのね」
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