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欠席
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王宮を出発した馬車は学園の門をくぐり停車場で止まった。
ドアが開き、私が降りて、その後エルザが降りた。
「ジネットが食いつくわね」
「エルザっ」
「きっと大喜びだわ」
私が酔い潰れたのでエルザも心配して王宮に泊まってくれた…らしい。馬車乗場で私とヒューゴ様を交互に見てニタニタしていた。
「違うの。泥酔者の付き添いだから看護の一環よ」
「はいはい。内緒にしてあげるけど、ジネットに嘘はつかなわよ。聞かれたら答えるからね」
「分かったわ」
教室へ到着するとジネットが駆け寄った。
「大丈夫だったの!?」
「もちろん。私もティナも間違っていないもの。大公女の方がお咎めを受けていたわ」
興味津々のクラスメイト達はその言葉を聞いて、ヒソヒソと話し始めた。
「ヘインズ様は?」
「陛下の前で保身に走っちゃったから、良い印象とは言えなかったわね。せめて正直に話していれば、気を付けなさいくらいで済んだかもしれないけど、陛下が証言を求めたのに偽りと取られる発言をしてしまったら伯爵にも影響は出るでしょうね」
ざわっ
クラスメイト達の耳にも届いたこの話がどう影響するのか不安だわ。
確かにシャルル様の証言は……婚約者の私に原因の矛先を向けるものだった。本来なら誘われたらシャルル様が断るべきことだったのに。
お昼になり、食堂へ向かう途中で声をかけられた。
「あなた、シャルル様が休んでいるの 知ってる?」
「知りません」
「あっそ」
見覚えがある。シャルル様と時々一緒にいる令嬢達だ。
「気にしちゃダメよ。休むからっていちいち婚約者に言うわけないじゃない」
「そうよ。命に関わる傷病とかそういうのでなければ普通は連絡なんかしないわよ」
「そうよね。気にしてないわ」
食堂に入り、食事の乗ったトレイを受け取り席に着いた。
「聞いた?大公女はしばらく休むらしいわ」
「あんな騒ぎを起こしたらね」
「顔がアレなのにあの身体で令息の腕に絡み付いていたら町の花売りにしか見えないもの」
「ほんと、品が無かったわ。
でも隣国の国王の姪なのでしょう?きっとお食事とかにお呼ばれしていたはずなのに あのレベルとはね」
「普通は教育しなおすわよね」
「我が子に盲目だったのよ」
「んん゛」
咳払いをすると話題を変え始めた。
「まったく…自分達も品がないとは思わないのかしら。本人の前で言えないくせに」
「ほんと。野次馬レベルのくせにね」
「エルザ、ジネット」
「ごめん、ごめん。話題を変えましょう。
エステル様が会いたがっていたわよ。“ジオ公子に虐められたらすぐに言って!私が成敗するから”って」
「ふふっ」
酷い初対面の後、エステル様がヒューゴ様を叱ってくれたのよね。
「その感じなら大丈夫そうね」
「それはそうよ、だって2人は、」
「ちょっと エルザ!」
「ここじゃ 聞かれちゃうものね。放課後 聞かせてちょうだいね」
はぁ…また揶揄われるのね。
2日後にはシャルル様は登校を再開したけど、大公女は休んだまま。歓迎パーティも中止という通達があった。
「こんなに大事になるなんて。たかが水よ?
乾けば分からない水よ?」
「ティナが普通じゃないわ」
「慣れって怖いわね」
「というよりもっと酷いものを掛けられてきたから水なんて可愛いものに感じるのよ」
「だいたい、大公女本人の歓迎パーティに婚約者持ちの有名な令息をパートナーにして現れたら、即 ちょっと待ちなさいと言われるに決まっているわ。
ティナのおかげで未遂になったんだもの、感謝してもらわなくちゃ」
「そうよ。引き下がればいいのに我儘を通そうとするし水をかけるし陛下に嘘を交えた証言をするから叱られるのよ。自業自得よ」
延期じゃなくて中止だなんて。
大公女は今どうしているのかな。
ドアが開き、私が降りて、その後エルザが降りた。
「ジネットが食いつくわね」
「エルザっ」
「きっと大喜びだわ」
私が酔い潰れたのでエルザも心配して王宮に泊まってくれた…らしい。馬車乗場で私とヒューゴ様を交互に見てニタニタしていた。
「違うの。泥酔者の付き添いだから看護の一環よ」
「はいはい。内緒にしてあげるけど、ジネットに嘘はつかなわよ。聞かれたら答えるからね」
「分かったわ」
教室へ到着するとジネットが駆け寄った。
「大丈夫だったの!?」
「もちろん。私もティナも間違っていないもの。大公女の方がお咎めを受けていたわ」
興味津々のクラスメイト達はその言葉を聞いて、ヒソヒソと話し始めた。
「ヘインズ様は?」
「陛下の前で保身に走っちゃったから、良い印象とは言えなかったわね。せめて正直に話していれば、気を付けなさいくらいで済んだかもしれないけど、陛下が証言を求めたのに偽りと取られる発言をしてしまったら伯爵にも影響は出るでしょうね」
ざわっ
クラスメイト達の耳にも届いたこの話がどう影響するのか不安だわ。
確かにシャルル様の証言は……婚約者の私に原因の矛先を向けるものだった。本来なら誘われたらシャルル様が断るべきことだったのに。
お昼になり、食堂へ向かう途中で声をかけられた。
「あなた、シャルル様が休んでいるの 知ってる?」
「知りません」
「あっそ」
見覚えがある。シャルル様と時々一緒にいる令嬢達だ。
「気にしちゃダメよ。休むからっていちいち婚約者に言うわけないじゃない」
「そうよ。命に関わる傷病とかそういうのでなければ普通は連絡なんかしないわよ」
「そうよね。気にしてないわ」
食堂に入り、食事の乗ったトレイを受け取り席に着いた。
「聞いた?大公女はしばらく休むらしいわ」
「あんな騒ぎを起こしたらね」
「顔がアレなのにあの身体で令息の腕に絡み付いていたら町の花売りにしか見えないもの」
「ほんと、品が無かったわ。
でも隣国の国王の姪なのでしょう?きっとお食事とかにお呼ばれしていたはずなのに あのレベルとはね」
「普通は教育しなおすわよね」
「我が子に盲目だったのよ」
「んん゛」
咳払いをすると話題を変え始めた。
「まったく…自分達も品がないとは思わないのかしら。本人の前で言えないくせに」
「ほんと。野次馬レベルのくせにね」
「エルザ、ジネット」
「ごめん、ごめん。話題を変えましょう。
エステル様が会いたがっていたわよ。“ジオ公子に虐められたらすぐに言って!私が成敗するから”って」
「ふふっ」
酷い初対面の後、エステル様がヒューゴ様を叱ってくれたのよね。
「その感じなら大丈夫そうね」
「それはそうよ、だって2人は、」
「ちょっと エルザ!」
「ここじゃ 聞かれちゃうものね。放課後 聞かせてちょうだいね」
はぁ…また揶揄われるのね。
2日後にはシャルル様は登校を再開したけど、大公女は休んだまま。歓迎パーティも中止という通達があった。
「こんなに大事になるなんて。たかが水よ?
乾けば分からない水よ?」
「ティナが普通じゃないわ」
「慣れって怖いわね」
「というよりもっと酷いものを掛けられてきたから水なんて可愛いものに感じるのよ」
「だいたい、大公女本人の歓迎パーティに婚約者持ちの有名な令息をパートナーにして現れたら、即 ちょっと待ちなさいと言われるに決まっているわ。
ティナのおかげで未遂になったんだもの、感謝してもらわなくちゃ」
「そうよ。引き下がればいいのに我儘を通そうとするし水をかけるし陛下に嘘を交えた証言をするから叱られるのよ。自業自得よ」
延期じゃなくて中止だなんて。
大公女は今どうしているのかな。
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