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集結
しおりを挟む支度が終わるとジオ公爵とヒューゴ様が迎えにいらした。
私とヒューゴ様の衣装はお揃い。公爵夫妻もお揃いだった。
「クリスティーナ、綺麗だよ」
「ヒューゴ様も素敵です」
「本当に?」
「本当です」
「そ、そうか」
「ふふっ 可愛い」
「っ!」
自信たっぷりのヒューゴ様が照れて赤くなってる。
随分と些細なことでこんな風になってしまうのだなと思ったら可愛く思えてしまった。
「まあまあヒューゴったら。初心なのね」
「意外なものを見てしまったな」
「っ!!」
公爵夫妻の言葉に 更に赤くなってしまった。これ以上は可哀想ね。
「ヒューゴ様、エスコートしてください」
「行こうか」
「はい」
ヒューゴ様の腕に手を通して添えた。
普通は額の裂傷を見て令嬢としての価値が損なわれたと身を引く男性が多いだろう。
シャルル様は包帯を巻いた上で私と会ったけれど、ヒューゴ様の場合は、血の滲む包帯を解いて縫いたての額を見せても変わらないし慈愛を感じる。割れやすい卵を大事に温める母鳥みたいに優しい。
大広間で次々と出席者と挨拶を交わした。
やはり中には不満そうな夫人や令嬢もいた。
公爵家に娘を嫁がせたい夫人、嫁ぎたい令嬢だろう。
ヒューゴ様が“大事な女性です”と紹介しても、構わず娘を勧める。令嬢も上目遣いでヒューゴ様に近寄るし様々な誘いをかける。ダンスに誘ったり翌日の食事や散歩や町へのお出かけに誘ったり。身体に自信がある人は遠回しにベッドに誘っていた。
“どうせすぐ飽きるでしょ 寧ろ女嫌いでも男色家でもなく 女と交際できると分かって望みがでたわ”くらいに思っていそうだった。
私に婚約者がいることを知っていれば、違う角度で絡む。“あら、絶世の美男子の婚約者なのに別の令息にお手付きですか?”って感じで。
何て説明していいか悩むし話も長くなりそうだし面倒だからつい、“そうです”と言った。
令嬢は言葉を繋げることが出来なくなり、ヒューゴ様は嬉しそうに“令嬢もあなたに相応しい令息にお手付きをするといい”と言って私の頭にキスをした。
「ティナ!」
「ジネット!」
ジネットは私に抱き付いて頬にキスをした。
私はチークキスを。
「元気そう。良かった」
「うん。心配かけてごめんね?」
「あらあら素敵。公子の瞳の色じゃない~」
ニタニタしながらジネットの目線は私とネックレスとヒューゴ様を巡っている。
「ヒューゴ、誕生日おめでとう。私の婚約者の分も“おめでとう”。すまないね。ジネットはクリスティーナ嬢に夢中で」
「ありがとう、ゼイン。
大丈夫だ。それよりクリスティーナの頬にゼオロエン嬢の口紅のあとが付いたのだが、なんだか所有印みたいで妬けるな。俺も口紅を塗ってティナの頬にキスをしたいくらいだ」
「…生きてきて初めて聞くセリフだな。
ジネット、クリスティーナ嬢の頬の口紅を取ってあげなさい。嫉妬深い猛獣が違う趣味に目覚めないうちに」
「??」
男性2人の話を聞いていなかったジネットは何のこと?という顔をしながらハンカチで私の頬を拭き、私も同じように何のこと?と思いながら拭かれた。
招待客全員が会場に入ると公爵とヒューゴ様が改めてお礼を述べた。
その後は令嬢がヒューゴ様に寄ろうとするも、ヒューゴ様の令息の友人達が彼と私を囲むので近寄れない。まるで要塞だった。
「いや~、元気になって良かったよ」
「しかもヒューゴと仲良くしてくれてありがとう」
「ヒューゴが一途なのは間違いない。今までどんな女にも靡かなかったからね」
「歳上のヒューゴに存分に甘えて休暇を楽しむんだよ?エステルも来たいと大騒ぎしていたが、いいよと言える距離じゃないからね。ヒューゴの誕生日だって言っているのにクリスティーナ嬢への贈り物を預かってきたよ。拗ねると面倒だから後で受け取ってくれ」
ヒューゴ様が側にいない隙にモルゾン公子と内緒話になった。
「ふふ。ありがとうございます。王都に帰ったらエステル様に会いに伺わせていただきます」
「頼むよ。本当に煩いんだ」
「私も行っていいですか?」
「エルザも?いいよ。だけどエステルに譲ってあげてくれよ」
「もちろんです」
幸せだな…。
後でヒューゴ様に何を話していたのか聞かれた。
離れていても見張っていると知って少し驚いた。
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