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今日は別々で
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ウィロウ家の馬車に乗りハングベリー侯爵邸に向かった。
「当主のレナード・ハングベリー、パメラ夫人。息子のアフレック、娘のジュリエット。もう1人の娘カリナ様はお嫁にいってご懐妊なさったから来ない気がするわ」
「そのジュリエット様は少し問題ありそうなのよね?どうしてエルザが出席することが許されたの?」
第二王子殿下の婚約者として出席が許されたパーティと夜会しかリストに載っていないはず。
「第三王子ユーリス殿下の婚約者を検討しているからよ。ハングベリー家はそこそこ力のある家門だから普通なら候補に残すのよ。リストに載ったのは反応を見るためね」
「反応?」
「……」
「やだ、エルザ。もしかしてその反応相手がティナなのね!?」
「う、うん」
「酷いじゃない!」
「ごめん」
「いいのよ。大したことはないわ。慣れてるもの」
「だけど!」
「どうせエルザとジネットが側にいてくれるのだから大したことはできないはずよ」
「ごめんなさい」
「そもそもエルザが決めたことじゃないもの。王家のご意向よ。いつもお世話になってるから少しくらい平気よ。それに未来の第三王子妃を篩にかけることができるなんて光栄じゃない」
「ありがとう、ティナ」
ジネットに責められて涙目のエルザが可哀想だった。餌に選ばれる私が悪いのに。
「いいのよ」
「ジュリエット嬢は格上からのお呼ばれや王家主催のお茶会では猫被っているのよ」
「誤解で、本当は良い子かもしれないわね」
「今回は自分の屋敷だから油断すると思うのよ」
「う~ん、だとしたらエルザが私の近くに居たら猫は脱がないかもしれないわ」
「確かに。未来の義姉かもしれないエルザがいたらもう一枚猫を被るわね」
「ジネット、エルザの側にいてあげて。適当に離れるから」
「でも…」
「離れてるだけで会場にはいるのだから大丈夫よ。せいぜい飲み物をかけるか足を引っ掛けるくらいで刃物沙汰ではないでしょ?」
「ティナ」
こうして、私は主催者のハングベリー侯爵夫妻に挨拶をした後はエルザとジネットから離れて会場の中へ進んだ。
遠くにヒューゴ様とモルゾン公子の姿が見える。
来るとは知っていたけど。見つからないようにしないと餌にならないわ。
早々と飲み物を取って人影に隠れてジュリエット嬢を探す。可愛い子を探せばいいのよね?
あ、動かないで。ヒューゴ様から見えちゃう!
「……セルヴィー嬢、何をやっているんだ?」
少し身を屈めて人の後ろに隠れていたのに、その人が振り向いて話しかけてきた。
「え?…あ、え?」
「セルヴィー嬢だよね。挨拶をしたことがあるはずなんだけど覚えていない?」
あ、夫人に似てる。
「ハングベリー侯爵令息のことは覚えていますわ」
「挨拶したというのは嘘だけど」
「……」
なんて意地悪なの!
「失礼しました。よく似たご尊顔にご挨拶をしたみたいです」
令息はニタッと笑みを浮かべた。
「そのご尊顔の持ち主は、ハングベリーを名乗ったのか。それは重罪だな」
「よく似たご尊顔とは先程ご挨拶をした侯爵夫人のことです。失礼いたしました」
丁寧に詫びると令息は満足そうだった。
「で、何してるんだ?」
「目立ちたくなくてお背中をお借りしておりました」
「私を無断で壁にしていたと?」
「まさかそんなことは…」
じっと見下ろされたので言葉を飲み込んで白状した。
「ございました」
「で、無断使用の理由は?」
「隠れていたのは本当です」
「よし、私は1番目に婚約者と踊るから2番目に君と踊ることにしよう」
「え?どうしてですか?」
「使用料だよ。隠れてていいよ」
そう言って令息は背を向けて、歓談の続きをした。
「アフレック様、後ろのレディは?」
「気にしないでください。人見知りが激しくて隠れているだけですから」
はぁ…どんな顔か聞いておけばよかった。この令息に似ているのかしら。
「アフレック様」
「サリー」
「ご招待いただきありがとうございます」
「来年の今頃はハングベリー夫人だから、今日は招待客として自由に過ごしてくれ。君の友人も来てるだろう?」
「ですが、」
「サリー」
「…ではお言葉に甘えて失礼します」
え?今婚約者に威圧した!?
「当主のレナード・ハングベリー、パメラ夫人。息子のアフレック、娘のジュリエット。もう1人の娘カリナ様はお嫁にいってご懐妊なさったから来ない気がするわ」
「そのジュリエット様は少し問題ありそうなのよね?どうしてエルザが出席することが許されたの?」
第二王子殿下の婚約者として出席が許されたパーティと夜会しかリストに載っていないはず。
「第三王子ユーリス殿下の婚約者を検討しているからよ。ハングベリー家はそこそこ力のある家門だから普通なら候補に残すのよ。リストに載ったのは反応を見るためね」
「反応?」
「……」
「やだ、エルザ。もしかしてその反応相手がティナなのね!?」
「う、うん」
「酷いじゃない!」
「ごめん」
「いいのよ。大したことはないわ。慣れてるもの」
「だけど!」
「どうせエルザとジネットが側にいてくれるのだから大したことはできないはずよ」
「ごめんなさい」
「そもそもエルザが決めたことじゃないもの。王家のご意向よ。いつもお世話になってるから少しくらい平気よ。それに未来の第三王子妃を篩にかけることができるなんて光栄じゃない」
「ありがとう、ティナ」
ジネットに責められて涙目のエルザが可哀想だった。餌に選ばれる私が悪いのに。
「いいのよ」
「ジュリエット嬢は格上からのお呼ばれや王家主催のお茶会では猫被っているのよ」
「誤解で、本当は良い子かもしれないわね」
「今回は自分の屋敷だから油断すると思うのよ」
「う~ん、だとしたらエルザが私の近くに居たら猫は脱がないかもしれないわ」
「確かに。未来の義姉かもしれないエルザがいたらもう一枚猫を被るわね」
「ジネット、エルザの側にいてあげて。適当に離れるから」
「でも…」
「離れてるだけで会場にはいるのだから大丈夫よ。せいぜい飲み物をかけるか足を引っ掛けるくらいで刃物沙汰ではないでしょ?」
「ティナ」
こうして、私は主催者のハングベリー侯爵夫妻に挨拶をした後はエルザとジネットから離れて会場の中へ進んだ。
遠くにヒューゴ様とモルゾン公子の姿が見える。
来るとは知っていたけど。見つからないようにしないと餌にならないわ。
早々と飲み物を取って人影に隠れてジュリエット嬢を探す。可愛い子を探せばいいのよね?
あ、動かないで。ヒューゴ様から見えちゃう!
「……セルヴィー嬢、何をやっているんだ?」
少し身を屈めて人の後ろに隠れていたのに、その人が振り向いて話しかけてきた。
「え?…あ、え?」
「セルヴィー嬢だよね。挨拶をしたことがあるはずなんだけど覚えていない?」
あ、夫人に似てる。
「ハングベリー侯爵令息のことは覚えていますわ」
「挨拶したというのは嘘だけど」
「……」
なんて意地悪なの!
「失礼しました。よく似たご尊顔にご挨拶をしたみたいです」
令息はニタッと笑みを浮かべた。
「そのご尊顔の持ち主は、ハングベリーを名乗ったのか。それは重罪だな」
「よく似たご尊顔とは先程ご挨拶をした侯爵夫人のことです。失礼いたしました」
丁寧に詫びると令息は満足そうだった。
「で、何してるんだ?」
「目立ちたくなくてお背中をお借りしておりました」
「私を無断で壁にしていたと?」
「まさかそんなことは…」
じっと見下ろされたので言葉を飲み込んで白状した。
「ございました」
「で、無断使用の理由は?」
「隠れていたのは本当です」
「よし、私は1番目に婚約者と踊るから2番目に君と踊ることにしよう」
「え?どうしてですか?」
「使用料だよ。隠れてていいよ」
そう言って令息は背を向けて、歓談の続きをした。
「アフレック様、後ろのレディは?」
「気にしないでください。人見知りが激しくて隠れているだけですから」
はぁ…どんな顔か聞いておけばよかった。この令息に似ているのかしら。
「アフレック様」
「サリー」
「ご招待いただきありがとうございます」
「来年の今頃はハングベリー夫人だから、今日は招待客として自由に過ごしてくれ。君の友人も来てるだろう?」
「ですが、」
「サリー」
「…ではお言葉に甘えて失礼します」
え?今婚約者に威圧した!?
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