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第二章 青の氷の悲しみを
第24色 星降る夜の血染の舞
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「『白星・十二・双子』」
その攻撃の手は止まらない。また新たな『色』を使ったかと思えば今度は先生が二人に増えた。
いや、増えたと言うより分裂した、というべきか。先生の体を通るようにして新たな『星』が現れ、それを繋いだかと思えば先生と全く同じ形の『光』となった。
「なあ、さっきからおかしくないか?」
その光速の攻撃をなんとか凌ぎながら僕はワイドに相談する。
「何が?」
「まだ『白粉』は効いてるはず。なのになぜ先生は『色』を使えている?」
『白粉』が効いてる人はいままで例外なく『色』を使えなくなっている。僕を除いて。
ワイドとレブはワイドが『風檻』の細かい操作で当たらなくなっているがそれ以外は全員もれなく効いている。
だが。先生には効いていない。
「…前先生と戦った時。あの光は『黄』じゃなく、『白』に見えた。」
「…たしかにそれなら辻褄が合う。」
僕の『白』は『色を洗い流して白にする』という思考の元だ。元から『白』のものには効果がない。
つまり、先生の『色』は『黄』でなく『白』。
そのことをそれぞれ認識したとき『色』を解除し、新たに発動し直す。
「『風鎧』」
「『青洞』『赤血・手』」
「『白斬』『血染』」
それぞれが現状で使える一番の『色』を用意する。
「『緑突・閃』」
ワイドの技とともに僕が『青洞』に入り、『盾』を構えた先生の背後に出る。そして『血染』を振りかかる。
辺りにレブの『赤血・手』も迫るが、先生はむしろ笑っているように見えた。
「『白星・八八・蜥蜴』」
またしても『星』が紡がれたかと思うとあろうことか先生は『光』でできた『蜥蜴』となって攻撃を躱した。
「ふうっ!危ねえなあ!」
パッと人に戻るとそんな愚痴を吐いてくる。だがそれに反応する暇なく次の攻撃。
「『白星・二重・十二・射手・八八・矢』!」
かつてなく長く名を呼んだかと思うと先程と同じように『弓』と『矢』が現れすぐさまこちらへ射てくる。
だが最初の一撃とは違い一本で終わることなく何本も続けて撃ってくる。
この『矢』はワイドの『風』で押し返したり逸らしたりすることができない。
だが、対処法は考えた。
「レブ!」
「うん!『青洞』!」
逸らせないのなら、別の場所に無理やり飛ばせばいい。
全ての『矢』を飛ばした事を確認する間もなく僕とワイドは走る。
「『血染』!!」
「『緑突・閃』!!」
「ハハッ。こりゃあ、間に合わんな。」
圧倒的至近距離ではなった僕達の攻撃は今度こそ先生に当たる。
今回の戦いは、僕達の勝利で終わった。
「いやあ、お前ら強くなったな。」
「そりゃあ入学後色々ありましたし…」
戦いの後、僕達はいつの間にか帰っていた馬車に対する愚痴を軽く吐きながら先生と感想を言い合っていた。
「“色々あった”、か。ところでお前、」
「なんですか?」
「今の戦いを、カイルやルミア相手にもできるか?」
…やはり先生は能天気な感じを出しながら的確にに痛いところをついてくる。
「…正直、自信はないですね。一番は戦わずに外に出ることですが、そうも」
「本当に、戦わないことが“最善”か?」
「え?」
そりゃあ幼馴染とは戦いたくない。ルミアもそうだろうし(カイルはわからんが)、戦わなくていいなら戦わないほうがいいだろう。
「ここからは私も確実性のないところになるんだが…」
「すいません、いいところで申し訳ないんですけどちょっといいですか?」
普段こういう話に割り込むことのないワイドが珍しく入り込んできた。
「ん?どうしたんだ?」
「ここまで学園から追われている身の僕達に仮にも学園関係者の先生が良くしてくれるのはなんでなんですか?どうしても気になってしまって…」
それは…たしかに気になっていたところではある。
「そうだな…じゃあ、ヒントだけ教えてやろう。
私はな、“面白いやつ”に付いてるだけだ。今は学園よりお前らのほうが〈面白い〉。そう判断した。」
先生らしいといえば先生らしい、か。
「そろそろ私は学園に帰るとするかな。…最後に。」
「最後に?」
「学園がお前らをこんなにも狙う理由。それは、壁の外に理由がある。知りたければ、生き残れよ。そして、私にさらなる面白いものを見せてくれ。」
そう言って先生は『光』となって何処かへ消えた。
「“生き残れ”か。元々そのつもりだとはいえ、改めて言われると気合が入るな。」
「死にたいやつなんていないでしょ?」
「ハハッ、そりゃそうだ。僕は、僕達は、生きて壁の外に出てやる。」
そして、真実を見つけ出してやる。
その攻撃の手は止まらない。また新たな『色』を使ったかと思えば今度は先生が二人に増えた。
いや、増えたと言うより分裂した、というべきか。先生の体を通るようにして新たな『星』が現れ、それを繋いだかと思えば先生と全く同じ形の『光』となった。
「なあ、さっきからおかしくないか?」
その光速の攻撃をなんとか凌ぎながら僕はワイドに相談する。
「何が?」
「まだ『白粉』は効いてるはず。なのになぜ先生は『色』を使えている?」
『白粉』が効いてる人はいままで例外なく『色』を使えなくなっている。僕を除いて。
ワイドとレブはワイドが『風檻』の細かい操作で当たらなくなっているがそれ以外は全員もれなく効いている。
だが。先生には効いていない。
「…前先生と戦った時。あの光は『黄』じゃなく、『白』に見えた。」
「…たしかにそれなら辻褄が合う。」
僕の『白』は『色を洗い流して白にする』という思考の元だ。元から『白』のものには効果がない。
つまり、先生の『色』は『黄』でなく『白』。
そのことをそれぞれ認識したとき『色』を解除し、新たに発動し直す。
「『風鎧』」
「『青洞』『赤血・手』」
「『白斬』『血染』」
それぞれが現状で使える一番の『色』を用意する。
「『緑突・閃』」
ワイドの技とともに僕が『青洞』に入り、『盾』を構えた先生の背後に出る。そして『血染』を振りかかる。
辺りにレブの『赤血・手』も迫るが、先生はむしろ笑っているように見えた。
「『白星・八八・蜥蜴』」
またしても『星』が紡がれたかと思うとあろうことか先生は『光』でできた『蜥蜴』となって攻撃を躱した。
「ふうっ!危ねえなあ!」
パッと人に戻るとそんな愚痴を吐いてくる。だがそれに反応する暇なく次の攻撃。
「『白星・二重・十二・射手・八八・矢』!」
かつてなく長く名を呼んだかと思うと先程と同じように『弓』と『矢』が現れすぐさまこちらへ射てくる。
だが最初の一撃とは違い一本で終わることなく何本も続けて撃ってくる。
この『矢』はワイドの『風』で押し返したり逸らしたりすることができない。
だが、対処法は考えた。
「レブ!」
「うん!『青洞』!」
逸らせないのなら、別の場所に無理やり飛ばせばいい。
全ての『矢』を飛ばした事を確認する間もなく僕とワイドは走る。
「『血染』!!」
「『緑突・閃』!!」
「ハハッ。こりゃあ、間に合わんな。」
圧倒的至近距離ではなった僕達の攻撃は今度こそ先生に当たる。
今回の戦いは、僕達の勝利で終わった。
「いやあ、お前ら強くなったな。」
「そりゃあ入学後色々ありましたし…」
戦いの後、僕達はいつの間にか帰っていた馬車に対する愚痴を軽く吐きながら先生と感想を言い合っていた。
「“色々あった”、か。ところでお前、」
「なんですか?」
「今の戦いを、カイルやルミア相手にもできるか?」
…やはり先生は能天気な感じを出しながら的確にに痛いところをついてくる。
「…正直、自信はないですね。一番は戦わずに外に出ることですが、そうも」
「本当に、戦わないことが“最善”か?」
「え?」
そりゃあ幼馴染とは戦いたくない。ルミアもそうだろうし(カイルはわからんが)、戦わなくていいなら戦わないほうがいいだろう。
「ここからは私も確実性のないところになるんだが…」
「すいません、いいところで申し訳ないんですけどちょっといいですか?」
普段こういう話に割り込むことのないワイドが珍しく入り込んできた。
「ん?どうしたんだ?」
「ここまで学園から追われている身の僕達に仮にも学園関係者の先生が良くしてくれるのはなんでなんですか?どうしても気になってしまって…」
それは…たしかに気になっていたところではある。
「そうだな…じゃあ、ヒントだけ教えてやろう。
私はな、“面白いやつ”に付いてるだけだ。今は学園よりお前らのほうが〈面白い〉。そう判断した。」
先生らしいといえば先生らしい、か。
「そろそろ私は学園に帰るとするかな。…最後に。」
「最後に?」
「学園がお前らをこんなにも狙う理由。それは、壁の外に理由がある。知りたければ、生き残れよ。そして、私にさらなる面白いものを見せてくれ。」
そう言って先生は『光』となって何処かへ消えた。
「“生き残れ”か。元々そのつもりだとはいえ、改めて言われると気合が入るな。」
「死にたいやつなんていないでしょ?」
「ハハッ、そりゃそうだ。僕は、僕達は、生きて壁の外に出てやる。」
そして、真実を見つけ出してやる。
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