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第二章 青の氷の悲しみを
第31色 快晴の嵐、暗闇の朝
しおりを挟む「『緑嵐・流星』」
手加減は無い。最初から全力で潰す。
「『赤金光・炸裂』」
後数センチで届くという距離で『流星』が『爆発』した。
その『爆発』は『赤』と『金』の混じった『色』の光で、その光が届くだけで暑さを感じた。
「余に通じると思ったか?」
「あぁ。通るだろ。嵐だし。」
そんな言葉を交わし、進むは第二撃。
「『緑嵐・狂裂』」
「『赤金光・磑天』」
いつの間にか宙に浮いていたワイドの下の範囲全てに斬撃。
いや、厳密には斬撃ではない。
『風』の精密なコントロールによって凶器と言えるレベルにまで尖らせた建物や地面の破片。
それらをワイドに確実に当たらない範囲で振り回しているだけ。
シバルの『剣舞』のように範囲に入ればほぼ確実に死ぬというわけではない。
ただこちらは『痛い』。
『剣舞』が『斬る』ならこの『狂裂』は『抉る』。
それに対し〈王〉は『防御』。
しかしただの防御ではない。
『金』という何もなしで物を生み出す底なしの資源。
『赤』という『色』の中でも随一の戦闘力を誇る者が多い、その中でも特に強いカイルを師とした『炎』。
その相性は良すぎる。
本来『赤炎』を使用する場合自分に熱さが来ないとはいえ熱くしすぎると足場が溶けてかえって不利になる。そうなることを防ぐためにある程度まで温度を下げて使用している。
だが足場や武器、防具を溶かしたとしても即座に再生できたら?
その答えが
『磑天』である。
結果として〈王〉は『狂裂』を無傷で耐えることとなる。
だが防ぐのみ。現状〈王〉はワイドを舐めている。
そのことをワイド自身も気づいている。
「いくらやっても無駄だ。余と貴様では相性が悪い。諦めろ。」
「やーだね。」
口ではこう言ってはいるがワイド自身有効打が無いことも気づいている。
ただ一つ。〈王〉は気づかず、ワイドにのみ気づいている事があった。
数秒後〈王〉もそれに気づいた。
だがすでに遅かった。
「『白磑』」 「『白斬』」
「『白染』」
「『白壁』」 「『白粉』」
『赤金光』は何処まで行っても結局は『色』。
こちらには『白』トップメタがある。
「相性が悪い。そっくりそのまま返させてもらうぜ。」
『白染』。今回それを〈『色』の抑制〉として使った。
予想通りであれば、〈王〉は体から『白』が抜けるまで『色』を使えない。
「『赤金光』…!?」
〈王〉の象徴たる光が消え去る。
「「取った!」」
「『緑嵐・狂裂』」
「『血染』」
ありったけの力で〈王〉を叩く。
ここで終わらせる。
〈色具・『青』起動〉
僕の『白染』はその人そのものが使う『色』にしか制限ができない。外付けの『色』の場合それそのものに向けて『白染』を使用しなければならない。
ワイドは、〈色具〉を見ていた。
だが、ジュークは見ていなかった。
経験の差。
これが逆だったならば。
ジュークもすぐに思い立つ。
「僕の〈指輪〉…!?」
だが時すでに遅し。
「『青洞』」
レブは元々、あちら側だ。
〈王〉が指定した『青洞』の対象は、
〈この裏サーシュの中の生命体〉。
その全てが〈表〉に出る。
だが、ここで一つ。
たった一つのイレギュラー。
「お前はッ…!」
"それ"を知っていたのは、この中でワイドのみ。
だがその反応でジュークもすぐに誰かを悟る。
「僕以外の『白』…!」
ジュークはワイドとの会話を思い出す。
別の『白』。その能力、
『消滅』
「『白球』」
30秒の一方的虐殺が始まる。
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