白の双剣士

ultimate!!

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第三章 熱き炎の華を廃墟に咲かせて

第33色 自由の檻から抜け出して

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 何が起こった…?



 『白夜』などという規格外の『色』によって僕達どころかこのサーシュすら跡形もなく消し飛んだはず。



 そしてふと辺りを見回す。


 レブとワイドも同じようにまだ状況を飲み込めていないようだ。特にワイド。


 まあ、仕方ないことだとは思う。


 だが正直それにかまっている場合ではない。



 その理由はただ一つ。



 「レブ!ワイド!何が起こったかの確認は後だ!『白壁』が消えてる!今のうちに行くぞ!」



 その言葉でレブとワイドがこっちに来る。



 「外は、そんなにいいところじゃないよ?」



 いつの間にか隣りにいた人が告げる。


 背中に…棺桶?いや棺?を背負い、手には変な形のした筒を持っている。



 「それでも、ここよりはマシです。」



 即答する。〈外〉がどんなところか知らないが、少なくとも〈外〉に〈トウキョウ〉という街がある。なによりまずはそこに向かわなければ。



 「…じゃあ私もついていくよ。」



 この人は何を知っている?確実に僕達より〈外〉のことを知っている。



 思考を止めずに〈外〉に向けて走り続ける。



 ドロッ



 「『黒』!?」



 少し先の地面から『黒』い泥が溢れ出す。


 レブの『触手』を思い出すような形と動き。


 だがその大きすぎる違いは形。


 レブのものよりも圧倒的に粘性が強い。触れると恐らく引きずり込まれる。


 ならそれより先に…



 「『白ざ』」

 「『タイム・リバース・ハンドガン』」



 ズダァン!



 僕が『白斬』を使うよりも速く、〈棺〉がひとりでに動き出し、先程まで手に持っていた長い筒が〈棺〉に仕舞われる。それと同時に手には新たな何かが握られる。


 それを泥に向けたかと思うとそこから何かが出る。目にも止まらぬ速さで飛んでいったそれが『泥』についたかと思うと『泥』が巻き戻されたように地面に吸い込まれた。



 「これについての説明は移動し終わってからする。今はあれを退かす事に集中するぞ。」



 一つ退けたとはいえそれ以外にもどんどん増えていく。

 

 「レブ!」

 「うん!『青洞』!」



 その言葉で僕達の前に『青』が出現する。なんの迷いもなくそれを通り、『泥』の先に抜けた僕達は気がつくと『白壁』があった場所に来ていた。


 このまま超えても問題は無いとは思う。だが万全を期す。



 「『緑嵐』」



 ワイドを中心に『嵐』が巻き起こる。わずか数秒で災害級の『嵐』が巻き起こる。



 「あーなんか楽しくなってきた。『緑嵐・飛翔』!」



 僕達四人を巻き込んで『嵐』の中心は上へ上へと上がっていく。



 「このくらいだろ!『緑嵐・射出』!」



 その言葉どおりに僕達は飛ばされる。ここまでは予想通り。



 唯一誤算があったとすれば。



 「あばばばばばば速い速い!」

 「ハハッ!楽しいじゃねえの!」

 「たぁのしい!」

 「これは…すごいな…」



 それが速すぎるくらいか。



 まあ何はともあれ。



 〈外〉に、出た。



 次の行き先は、〈トウキョウ〉だ。
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