帰還方法は、コーヒーブレイクののちに…文学少女の小国開拓譚

蒼伊シヲン

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2章-コーヒーハウスの始まり-

07『コーヒーと確証』

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ガムラ魔術学園内にある戦闘訓練場にて、生徒達の魔術師としての実力を定期的に審査するための試験が行われている…

魔術師としての素質が多岐に渡る為…試験は3つの形式から、各々が自身に適したものを選択する形である。

金髪縦ロールが特徴の少女【ブルボン】が、周囲から尊敬の視線を集めながら…試験の一つである『火力系試験』に挑む…

火力系試験の測定方法は…一定の魔術耐性が付与されている同一の装甲を、一度限りの攻撃で幾つ破壊出来るかで決まる。

立会人である教師の合図と共に、ブルボンが意識を集中させると…彼女の右目に土星を彷彿させる色合いの片眼鏡が現れ、4つの天体観測機アストロラーベが重なり…時計回りに回転し始める。
その回転が進むに連れて…ブルボンの右手の手元に、投擲に適した槍が形成されていく…

そして、一呼吸ののちに…ブルボンが眼前に鎮座する複数枚の装甲の中心を狙い投げる。

凄まじい速度で投げられた証として、空気と接する摩擦により槍の矛先から火の粉が舞い…

次の瞬間、試験会場内が轟音と衝撃波で揺れる。

「ふぅ…こんなところかしら。」
ブルボンの脱力と同時に、展開していた天体観測機アストロラーベと片眼鏡が霧散していく…

投擲主の視線の先にある装甲の内、四枚目までは大穴が空いているが…五枚目は僅かに亀裂が生じている状態である。
ブルボン達の取り巻き的な存在の女子生徒達から、黄色い声が漏れる。

「おい、静かにしろ…次は、『機敏系試験』に移るぞ。」
その教師の一言を機に、鎮座していた装甲たちは霧散していく…

そして、会場内の床に描かれている多数のひし形が、僅かに淡い光を帯びる。

「最初は…キシル・コナだな、位置につけ。」
各審査への事前申請のリストに目を通す教師の呼び掛けに対して、キシルが返事をして所定の位置につく。

機敏系の試験内容は、多数ある床の菱形の中からランダムに排出される5つの結晶を全て破壊する迄の時間で判定される…
教師がキシルに対して準備を促す。

「はい…分かりました。」
意識を集中したキシルは右目に火星を彷彿させる色合いの片眼鏡が顕現させた上に、一つの天体観測機アストロラーベを形成し…シングル・アクションオンリーの回転式拳銃リボルバーを右足のホルスターから抜く。

その回転式拳銃リボルバーを教師に手渡し、実弾を装填していない事を証明し、確認を終えて返却された愛銃を手に、キシルは試験の所定の位置へと戻る。

キシルが深呼吸すると、シリンダー内部が微かに赤い光が帯び…術式によって銃弾が形成される。
そして、試験開始のブザーがなる。

次の瞬間、一つ目の結晶が、キシルから見て至近距離の右側に現れる。
それに対して、キシルが即座に一発目を放つと…見事に菱形の中心に命中し弾ける。

二つ目は、20メートル先の真正面に現れる。
それに対しても、キシルは瞬時に狙いを定めて引き金を引き…難なく命中させる。

「(!?少し高い…)」
三つ目は15メートル先の左側に現れるのだが…一つ目と二つ目が停止した位置の高さよりも高く、僅かにタイムロスが生じる。
しかし、冷静に引き金を引いて粉砕する。

四つ目は左斜め10メートル程の位置に現れ、今度は逆に停止位置が低いが…
キシルは着実に命中させる。

ラストの結晶も真正面の約15メートルの位置に現れるが、停止することなく上昇と下降を繰り返す。
キシルはタイミングを合わせて、銃弾を放つが…外す。

「慌てるな…直ぐに装填する…」
再び回転式拳銃リボルバーのシリンダー内部が、微かに光ったのちに…キシルがしっかりと狙いを定め、放つ。

5つ全ての結晶が破壊され、精密時計クロノグラフの針が止まる…

「1分15秒か…前回の試験よりも15秒も記録更新するとはな…」
前回の記録と比較した教師が思わず、称賛する。
それに合わせて、微かに他の生徒達もざわつく…

「はい、ありがとうございました。」
自分の中にある仮説の精度が上がった事に対して、キシルの口角が上がる。

試験を終えたキシルが退き…他の生徒の名前が呼ばれ…試験が繰り返されていき…授業の終わり、昼休みを報せるチャイムがなる。

ーーー

気分が良いキシルは、軽い足取りで研究棟の一室へ向かい…
その研究室のドア軽くノックし、部屋の主からの明るい返答のちに入室する。

「こんにちは…ふふ、私は試験の記録更新出来ましたわ…キシルさんはいかがでしたか?」
研究室の中心にある席に座るシナモンは、嬉しそうに尋ねる。

「モンちゃん、おめでとう!私も少しだけど更新出来たよ!」
キシルの口からも喜びが溢れる。

「そうですか、おめでとうございます。詳しくは、昼食を取りつつ報告し合いましょう。」
シナモンが座る席のテーブルには…ベーコン、レタス、トマトが挟まれたサンドイッチが並んでいる。

「サンドイッチかぁ、ありがとう!私がコーヒー淹れるね。」
嬉々とした様子のキシルは、昼食コーヒータイムの準備をする。
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