帰還方法は、コーヒーブレイクののちに…文学少女の小国開拓譚

蒼伊シヲン

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3章-首都の珈琲警察-

14『首都のコーヒーハウス』

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 無認可の珈琲豆焙煎を取り締まったキシル達は、首都『バレアタット』にて営業しているコーヒーハウス『フランツ・メランジュ』の扉を開ける…

落ち着きと華やかさが共存している店内には…勉学に励む学生、珈琲片手に一息つく労働者、貿易について話し合う商人たち…それぞれが各テーブルで、各々の時間を過ごしている。

「この足音は…キシルちゃん、ブルボンちゃん、ファイネストちゃんかな…お帰りなさい。」
入り口からみて左側にあるカウンターに立つ女性は、珈琲を淹れる手元に視線を落とした状態で、キシル達に声を掛ける。

「ただいま戻りました…足音だけで私達と分かるなんて本当に耳が良いんですね【シーク】さん。」
キシルが称賛した【シーク・パウリスタ】は、長い銀髪と糸目が印象的な女性である。

「ふふっ…ありがとう。『珈琲さん』の音に耳を傾けると…いつも以上に良く聞こえる気がするのよ~」
そう嬉しそうに答えたシークは、カウンター席に座るシルクハットを被る紳士に、淹れたての中煎りのブレンド『珈琲さん』を提供する。

「(うん…未だに珈琲に対して…さんを付ける人はこの人だけなんだよなぁ~)」
キシルは何とも言えない笑顔を見せながら、言葉を続ける。

「それに…京の都の人かな?」
思わず口に出してしまったのは、霧島キシルだけではなく華名城ファイネストも同じであった…

「だ…だよね~」
別世界の日本生まれであるキシルとファイネストは、お互いの顔をよく見た後に、同時に同意する。

「3人ともお帰りなさい…それで…今日のミヤコーの人とは?なんのことでしょうか?」
店内の少し離れた場所で接客していたシナモンが歩み寄りながら、好奇心をぶつけてくる。

「あぁ~今日のミヤコーじゃなくて、今日のレイコー…つまり…今日のアイスコーヒーの準備をした人は誰かなぁ?って…ねぇ?」
慌てて言い訳を考えたキシルは、ファイネストに同意を求める。

「(いやぁ…流石にそれは無理とちゃうか?)」
ファイネストは無言のまま…心の中でつっこむ。
「そうですか、今日のアイスコーヒーは私が淹れました…自信作です!えっへん!」
ファイネストがどう返事をしようか考えている間に、シナモンが勝手に納得する。

「(えっ!?それで納得しちゃうんだ!…とは言え、シナモンさんだしね…)」
ファイネストは驚きつつも、妙に納得してしまう。
「じゃ!じゃあ…その自信作がどれ程の物か吟味させて貰おうかな…」
言い訳が通じたキシルが、恥ずかしさを隠すかのように、一際大きな声で応じる。

「それじゃあ…私は、キシルちゃん達から、今日の無認可の珈琲豆焙煎の件について聞かせて貰おうかしらね。」
そう言ったシークは、カウンターを別の店員に任せ…スタッフオンリーのバックヤードへと続く扉を開け…キシル達に目配せをする。

それに対して、キシル達はシークの背中を追う…
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