転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?

サクラ近衛将監

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第二章 ハンターとして

2ー16 予兆

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 僕はリック、今日は朝から王都の北門を通って王都の北西方向にある山地を目指している。
 そこへは途中までは馬でも行けるんだけれど、山地の麓から馬を使えなくなる。

 山地と言っても崖のような坂道が200mほどの高さまで続き、そこを上ると平たい台地になっている地形なんだ。
 この台地に薬草が繁茂している場所があり、ハンターからはと呼ばれている森なんだけれど、今日は馬を使わずにそこへ行くつもり。

 は、南門からさほど遠くはないので、見習いや駆け出しのハンターでも来られる場所ではあるけれど、ゴブリンなどの人型の魔物が出没する場所でもあるので、注意はしなければならない。
 でも、オーク以上の魔物は出没しないとされている地域なんだ。

 ゴブリンは、単体では弱いまものなんだ。
 おそらく9級の駆け出しでも、ゴブリンが1匹なら、ソロでも容易に討伐ができるだろう。

 但し、三匹以上の群れになると9級が二人でも討伐が難しいかもしれない。
 奴らは群れると連携するので、下手なパーティよりも攻撃力が上がるんだ。

 元々ゴブリンは体格こそ小さいものの、力は強く、持久力もある。
 だから奴らが武器などの獲物を持って、連携しつつ群れで襲ってくると、8級のハンターでも少人数では押されることが有る。

 そうして僕が台地のシラブルに浅く入ったところで、まさしくそれが起きていた。
 おそらくは15歳前後の五人パーティだろうけれど、十数匹のゴブリンの群れに襲撃されていたんだ。

 身なりから見て五人組は、見習いは卒業しているだろうけれど、経験不足が目立つから、おそらくは8級になったばかりなのだろう。
 周囲を完全に包囲されて、複数のゴブリンから攻撃を受けており、五人のうち二人は軽傷だが血を流している。

 こいつを見過ごせば、五人はいずれ負ける。
 そうして五人のうちの二人までが女であり、近接戦闘が余り得意ではなさそうだ。

 女のうちの一人は、弓を持っているからアーチャーのようだが、接近されて混戦模様になると弓矢を使うのは流石に難しいのだろう。
 ダガーを振り回しているが、ゴブリンの怪力に押されっぱなしで、あの様子では長くは持たないだろうな。

 もう一人の女は、装束から見て魔法使いかもしれないが、既に魔力は切れているのか、魔法杖をこん棒代わりに振り回している。
 こっちも体力切れで危ういのは間違いない

 男三人は、二人が剣士、一人が盾役だな。
 いずれもゴブリンの連携術にはまってしまい、自分の身を守るのが精一杯のようだ。
 
 本来なら盾役の男が、ゴブリンのヘイトを引き付けなければならないのだが、相手が十匹を超えていると流石にタゲ取りも難しいようだ。
 端的に言って、個々人もパーティとしても未熟ということなのだろう。

 このまま放置すると男どもは殺され、女は適度に痛めつけられて巣にお持ち帰りになってしまうのだろう。
 人間の女は、ゴブリンにとって苗床に過ぎないので、生きてさえいればよい。

 人型の魔物は人間の女を襲うことが多い。
 種によっては他種族ながら人間の女を妊娠させて、子孫を増やすことができるからだ。

 流石にオーガクラスになると生殖に無理があるらしいけれど、オークまでならば可能らしいとは聞いている。
 オーガも女性を好んで狙う場合があるが、こいつは生殖目的ではなくえさとして食うためだ。

 おそらく女性の肉の方が美味いとかそんな理由だろう。
 従って、オーガは別格としても、女性冒険者にとってゴブリンとオークは天敵とも言える存在だろう。

 ハンター同士の慣行では、ハンターが戦っているところへ、他のハンターが介入してはいけないことになっているのだけれど、今回はやむを得ないよね。
 僕は一声かけて戦闘に加わることにした。

「加勢します。」

 そう大声で叫んでから、手近のゴブリンに縮地で急接近、居合切りよろしく斜めに両断した。
 次いでその隣のゴブリンへ走り寄り、その首をねる。

 五人組の周囲を取り巻いているゴブリン達を縫うように走りつつ、ゴブリン十数匹を切り捨てた。
 この間、多分十を数えるぐらいの時間だったと思う。

 流石に、五人組が呆気あっけにとられたように僕を見ている。
 僕も最近は身長が伸びては来たのだけれど、それでも多分13歳男子の平均かちょっと上ぐらいだろうね。

 だから彼らから見ると、小さい奴に見えるはずなんだ。
 高校生が中学生を見る感じなのかなぁ。

 自分らよりも若い中学生みたいな奴が急に出てきて、苦戦していた・・・・、いや、本当に命が危なかった強敵のゴブリンの群れをあっという間に倒してくれたんだから驚くのも当たり前だよね。

「あの、・・・・。
 俺達の危ないところを救ってくれてありがとう。
 俺は『タクヴァの風』のリーダーをやっている8級のローヴァルという。
 恩人のあんたの名を知りたいんだが教えてくれるか?」

「僕は、8級のリックです。
 五人で十数匹のゴブリンは確かにきついかもしれませんね。
 ここはゴブリンが良く群れるところではありますけれど、こんな森の浅いところで十数匹も出るのは珍しいかもしれません。
 他にもゴブリンは見ましたか?」

「いや、初めてったのが奴らだった。
 最初は二匹ぐらいしか見えなかったんで、こっちもなめてかかったのが悪かったみたいだな。
 戦いを始めるとすぐに10匹以上に増えたからな。
 ところでリックはしょっちゅうここへきているのか?
 それも一人で?」

「ええ、僕はいつもソロですよ。」

「それにしても、強かったなぁ。
 もしかして7級なのか?」

「いいえ、8級ですよ。
 ところで、そちらは怪我をされている方もいるようだし、今日は帰られた方が良いのでは?」

「おう、そうするよ。
 稼ぎよりも命あっての物種ものだねだ。
 今日はリックに会えて本当に良かったぜ。
 俺たちは帰るけれど、リックはまだやっていくのか?」

「はい、そのつもりです。
 じゃぁ、気を付けて。」

 僕はそう言って5人組のパーティーと別れた。
 怪我をしている奴もいたけれど、敢えて治癒魔法を使ったりはしない。

 左程の怪我ではないからそれなりの手当さえしておけば、大事には至らないはずだ。
 普通8級ならばポーションも持っている筈だからね。

 ゴブリンの討伐証明は、右の耳を持ってゆくことと、魔石を取ることだ。
 但し、ゴブリンの魔石は小さいので買取額は安い。

 そのために魔石は売らずに、僕の錬金術で使うことが多い。
 ゴブリンの小さな魔石でも工夫次第で色々な用途に使えるんだ。

 結局、僕が倒したのは14匹だった。
 ローヴァル達は、僕が助けに入るまでに三匹を倒していたのでその分だけの耳と魔石を取って行った。

 加勢して倒した僕の分を俺たちのものだと主張しないだけましかな。
 たまに助けられても、そんなことで文句をつける奴がいるらしい。

 だから危ない場面でも相手から助けを求められない限りは、救助に入らない場合が多いらしいね。
 助けを求められた時でさえ、取り分でめることはあるらしいからね。

 今回はその意味では僕も助かったよ。
 下手に揉め事に関わると時間を取られるだけだからね。

 で、ゴブリンの後始末をしてから森へ入っていったわけなんだが、間もなく、普段に比べてゴブリンとの遭遇率がかなり多いことに気づいた。
 百メートルも進まないうちに二度、十匹以上のゴブリンの群れに遭遇することは、これまでシラブルの森での経験に無いことなんだ。

 それから更に二度も遭遇して延べで70匹を超えるゴブリン討伐をすることになったから、間違いなく異常だと感じた。
 そのためにギルドへ知らせようと南門へ戻りかけている最中に、今度はオークの集団にぶつかった。

 オークが数十匹も群れているんだ。
 僕がシラブルに来るようになったのは三か月ほど前であり、左程の経験があるわけではないけれど、これまでオークに出会ったのは三度だけ、それももっと深い場所であり、その時は一度に数匹程度だったので、今回は少々驚いた。

 これだけの数が居ればオーク・ジェネラルなどが率いていてもおかしくないんだ。
 ここであまり時間を取っているとそれだけギルドに知らせるのが遅くなる。

 僕は普段ならば、あまりしないことをやった。
 空間魔法でこのオークの群れの魔石を一気に抜きだしたんだ。

 魔石は魔物にとっては第二の心臓に等しく、こいつを抜かれると間違いなく死ぬ。
 オークの場合、肉が高額で買い取ってくれるんで、これまでは解体して、主要な肉を持ち帰っていたんだが、今回は解体の暇を惜しんで死体をそのままインベントリに放り込んだ。

 全部で47匹のオークであり、中にはアーチャー、ナイト、メイジそれにチーフとジェネラルもいたようだ。
 収納するとそれらのことがすぐに分かるからね。

 一々、鑑定をかける必要もない。
 それからは駆け足でシラブルを離れ、南門へ向かったよ。

 本来ならば僕の属している西支部へ行くところなんだけれど、今日は特別だから、南支部へ直行した。
 受付は左程混んではいなかったのですぐに受付のお姉さんに告げた。

「シラブルの森で異変が起きています。
 何処に知らせればよいですか?」

 このお姉さん、僕の言葉を信用していないのかのんびりとした返事が返って来た。

「あら、見かけない子ね。
 新人さんかな?
 異変ってどんなこと?」

「シラブルの浅い場所でゴブリンが少なくとも十数匹の群れで五回も遭遇しました。
 そこから戻る途中にはジェネラルが率いるオークの群れ47匹にも遭遇しました。
 これまでに無かったことですので、シラブルの森に何か異変が起きています。」

「うーん、坊やの証言だけではねぇ。
 他に仲間や証人とか証拠は無いの?」

「証拠ならゴブリンの耳70匹分がありますし、オーク47体分もあります。
 ここで出すこともできますけれど、解体所若しくは換金所の方が良いでしょうか?」

 その言葉で驚きの表情を浮かべながら、お姉さんが言った。

「貴方、本当に持っているの?
 じゃ、いらっしゃい。」

 坊やから貴方に言い方が変わったね。
 少しは僕のことを見直したんだろうか?

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