二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた

サクラ近衛将監

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第二章 異変

2ー2 黄さんの説明と扇動?

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 モンスターの出現については、3月27日に至って、守護霊の黄さんが俺に状況を伝えてくれた。
 この頃になって不通になっていた電気、通信などのインフラがかなり回復し、英一郎も極東及びアジア地域で異常な事件が発生し、多くの被害が生じていることをニュースで知っていた。

 因みにF市内でも、核爆発の影響で港外の最寄り海上にジェット旅客機が墜落していたのである。
 そりゃぁ、電子機器の塊のようなジェット旅客機の電子機器が一斉に機能を失えば、手動でできることなど限られるから墜落を防ぐことはできなかったのだろうね。

 また、目の前で旅客機が海上に墜落して来ても、最寄りの船もほとんどの機器が故障してエンジンが停止し、漂泊状態になっているので救助活動ができなかったようである。
 唯一救助に動けたのが、地元海洋少年団が訓練に用いていた手漕ぎのカッターや帆船のヨットだったというのは笑うに笑えない事実だった。

「英一郎よ、広範囲に発生した事故については一部ニュースでも伝えられておるから知っていようが、その元凶は半島にあるらしいぞよ。
 霊界においても情報が乱れ飛んでおったので、正確な情報をまとめるのに時間がかかったのじゃが、・・・。
 どうやら半島のD国で時空をいじる装置を研究していて、試作装置が暴発、異界空間との間に亀裂を生じたらしいのじゃ。
 そのために異界に生息していたモンスターどもがこの地球世界になだれ込んできたようじゃ。
 困ったことに、この試作装置が未だに稼働しておる為に、異界との亀裂は開いたままなのじゃよ。
 これまでの間に、異界からなだれ込んできたモンスターは約2万体を超えるようじゃぞ。
 核兵器の使用により、そのうちの五百体近くが殲滅されたようじゃが、残りは多少の負傷は負っても回復してしまったし、逆に放射線による突然変異で強化されてしもうて、これ以上は核兵器は効かぬようになったのじゃ。
 その上になおも新たなモンスターが順次亀裂から続々と侵入して来ているがゆえに、放置すると世界中にモンスターが蔓延することになろう。
 まぁ、その核兵器の例えば今日出て来たモンスターは左程の影響は受けては居らぬが、いずれにしろ出現するモンスターは異様に放射線に強いのじゃろうのぅ。
 自衛隊が対馬から撤退したように、再生能力のある彼奴きゃつらに対しては、必ずしも現代兵器は有効ではない。
 これを防ぐには、第一に、発生源の研究所施設にある亀裂を修復しなければならん。
 おそらくは、最寄りで稼働している原発を破壊すれば足りるのかも知れぬが、生憎とこの原発は地下深くにあってC国の核攻撃でも無事じゃった。
 なれば現地に出向いて、原発施設を止めるしかないじゃろう。
 仮に、モンスターが出現する亀裂付近の原発まで辿り付ける者が居るとしたなら、それはお主だけじゃろうて。
 このまま放置すると世界が滅ぶ。
 どうじゃ、世界を救ってみんか?」

「なんだよ。
 黄さん、核兵器を使っても殆どが生き残るモンスターなんて、そんなのどうしようもないじゃないか?
 それに、少なくとも黒龍には自衛隊のミサイルが全く効かなかったらしいぞ。
 黄さん、過去にもこんなことあったのか?」

「無いわけではないが、至って限定的じゃったな。
 亀裂若しくは通路が出現するのは短い時間じゃったから、異界の怪しきものが出現しても、精々二、三匹じゃった。
 そうして彼らが出現しても、異界から放り出されるようにして出て来た奴らじゃから、異界からの通路が断たれ、時間を置けば奴らの生命力そのものが衰える。
 じゃによって、昔の槍や刀でも退治できるようになったのじゃが、・・・。
 此度は、少々勝手が違うのぉ。
 異界の亀裂から怪しげな邪気が、彼奴らとともに出現したようじゃ。
 亀裂が閉じぬことで異界にあった謎の物質である邪気が、こちらの世界に薄く広く分散し始めておる。
 その邪気が、どうも、彼奴らの生命力を維持するような気がする。
 場所により多少の濃度の違いはあろうが、これが彼奴らを生き永らえさせるものであれば、この世界は彼奴らに蹂躙じゅうりんされてしまうぞよ。
 古の昔と同じであれば、彼奴らのうち強大な力を持つモノは、身体の半ばを失っても時間を置けば再生するはずなのじゃ。
 少なくともこの地上に顕現けんげんしてすぐの時は、幾つかの妖(あやかし)は、いくら破壊しても死ななかった。
 但し、時間経過とともにその再生能力が失われ、やがて再生できなくなって死滅した。
 亀裂からこの世界に入り込み、四散している邪気が彼奴らの生命力を高めるものであれば、彼らは不滅の存在になるやもしれぬ。
 一方で、其方には再生能力を妨げる能力が有ろう。
 もしかすると、最悪の場合、それが唯一の武器になるやもしれぬ。」

「で、今、俺がなすべきことはあるの?」

「ふむ、先ずは、半島の中央部に行き、発電所の地上部に穴をあけて内部に入り、発電を止めることじゃな。
 それで亀裂が消滅すればよし、消滅しない場合は、こちらの空間と向こうの空間の抵抗を最大限度までに高めてみい。
 少なくともその隙間を通り抜けるモンスターにとっては通過できない場所になるじゃろう。
 幸いにして、お主の抵抗値を上げる能力は、発生の際に相応の力が要るが、その維持に力を必要とせん。
 おそらくはそれで止められると思うぞ。
 ダメなら諦めて逃げて来い。」

「えらい簡単そうな話をするけど、そもそも周囲には銃や大砲が効かない化け物がうじゃうじゃと居るんだろう?
 そんなところに俺が行けるのか?
 自慢じゃないが俺には満足な武器もないぜ。
 それとも黄さん何か武器が用意できるの?」

「武器?
 武具を考えておるなら必要ないであろう。
 其方には二つのRを与えて居る。
 あれが其方の武器じゃ。」

「いや、まぁ、・・・。
 確かにいろんなことができるのは試してみたから知っているけれど、そもそもそれがその異界の化け物に通用するの?
 今まで試したことあるの?」

「さて、それはわからぬな。
 これまでの儂は、ただの傍観者に過ぎなかったでな。
 守護する者に能力を付与したことも無かったから・・・。
 じゃによって、やってみなければわからぬわい。」

「おいおい、そんなところで、ケツをまくるなよ。
 試すのは生身の俺で、黄さんは傍観するだけなんだろう?
 ちゃんと守ってくれんのかよぅ。」

「うーん、それを言われると困るのぉ。
 何せ、できることを全てお主の付与にかけたで、お主を陰から物理的に支えるほどの余力は無い。
 精々、敵の所在を感知して教えてやれるぐらいかのぉ。」

「なんだよ。
 レーダー替わりだけかよ。
 まぁ、それでも無いよりはましだけど・・・。
 何もしないで放置して置くのはまずいということは、亀裂を塞がないとダメなんだよね。
 物理的な物で亀裂を塞いでしまうのはどうなの?」

「フム、そもそもの話として、彼奴らにはモグラの様に地面を掘るようなものもかつては居たぞ。
 そ奴らなれば、たとえ百丈(約300メートル)の厚さの岩で押し込めたにしても、三日もあれば穴をあけて出てよう。
 仮に無理にやるとしたならば、亀裂を非常に硬い金属の板で塞ぐぐらいしか方法がないだろうが、あの巨大なドラゴンさえ出て来られる亀裂じゃぞ。
 最大高さ500ひろ、最大幅が300尋に垂んなんなんとする亀裂じゃ。
 お主の能力でそれほどデカい鋼鉄のふたが造れるか?
 おまけに何も支える物がない空中にあるのだぞ。
 手間暇を考えると、発電所の電気を止める方が手っ取り早いじゃろう。
 それに化け物の湧出点でもある亀裂にいきなり近づくのは、さすがに儂も勧めないぞよ。
 危険度が高まるし、ほかの作業ができん。
 先ほど儂が言うた策で、それでも止まらない場合の手段は、最後の手段じゃ。
 じゃから、余り先走るでない。
 お主が死ねば世界の希望が無くなるでな。」

「まぁ、俺の家族も梓ちゃんも居るからな。
 放置はできんが、・・・・。
 それにしても半島は遠いぞ。
 ここからじゃ、一番近いところでも500キロ近くあるんじゃないか。
 ロクな移送手段もなしに半島までは無理だろう。」

「ほ?
 お主は、これまで種々の訓練をしておったじゃろう。
 それによる体力の向上は人知を超えておる。
 例えば、ここから日本海側に出るだけならお主の能力を全開すれば半日でできるじゃろうて。
 海を渡るのが少々面倒ではあるのじゃが、海水表面の張力を増せば、海の上でもお主ならば走れるはずじゃろう。
 何なら勢いをつけた上で抵抗を少なくして海面を滑って行けば、かなり労力も省けるぞい。
 まぁ、儂の見るところ、日本海側の地点から半島に上陸するまでにおよそ三日、上陸してから現地到着まで200キロ前後じゃから、多分一日乃至二日で踏破できるじゃろう。
 道案内は儂がするでな。」

 何だか黄さんにいいようにだまされているかもしれないんだが、このまま放置すると世界の危機だと言われりゃ止むを得んもんな。
 できるかどうかわからんがやれるだけはやってみる。

 俺のインベントリもどきに食料や衣類それにテントなど必要と思われるものをぶっこんで、俺は出発することにした。
 因みに、学校は事件が起きてから臨時休校中だ。

 そうしてインフラが戻った時点では春休みに入っていたぜ。
 卒業式が三月初めに終わっていて良かったよな。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 お知らせで~す。
 以下の新作の投稿を始めました。
 
 「転生したら幽閉王子でした~これどうすんの」

  https://www.alphapolis.co.jp/novel/792488792/24979442

 よろしければ、どうぞご一読下さい。

   By サクラ近衛将監

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