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第六章 異変
6ー7 クロマルド王国派遣の余波
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ハーイ、シルヴィ・デルトンですよ。
たまには、姓の方も名乗っておかないと何処のシルヴィなのかわからなくなってしまうかも知れないので念のために・・・。
エッ、間違うはずがない?
そ、そうですか。
そう言えば今のところシルヴィって名前の子は、私以外に登場していませんものね。
そんな阿呆な話は置いといて、クロマルド王国への遠征から戻ってからは、日々報告書の作成、魔晶石の採掘、それに魔道具の製作に追われています。
流石に主力採掘師が二十日以上も不在だったためにギルドも困っていたようで、戻るなりできるだけ採掘に出かけてくれと幹部からお願いされてしまいました。
そうしてまた、私しか作れない魔道具やその部品の製作要望もこれあり、ゆっくりと休む暇もありません。
まぁね、採掘師だけじゃなくって加工師だって魔晶石の採掘が減ると仕事がないわけですから、ギルド自体が冷え込んじゃうのはわかりますけれど、ひょっとしてこのギルドってブラックなのでしょうか?
だって、今回の私たちの遠征でしこたま儲けたはずなんですよ。
魔物討伐はともかく、できるかどうかわからない二つ目の瘴気の原因とその除去まで完遂したのですけれど、出発当初、ギルド本部のお偉方も事務方もそこまでできるとは予想していなかったようです。
一応、依頼達成の確認をしたクロマルド王国からは、取り敢えずの予算が足りずに5か年の年賦払いにしてもらうよう泣きが入ったようです。
彼らにしても、本当に困ってはいたものの、まさかできるとは思っていなかったのですね。
いずれにせよ、前例を作ってしまいましたので、今後同じような瘴気の発生した場合は、魔晶石ギルドが請け負うように国際会議で正式に要請されちゃったようです。
今のところ、結界放射器の魔道具が10基ありますので、瘴気を抑えながらそれなりの作業はできそうですけれど、私がいないと魔物討伐には支障をきたす可能性もありますよねぇ。
これは何か討伐のための魔道具を作らないといけないのかしら。
さしずめ、携行タイプのレールガンとか、レーザーガンとかでしょうか?
ウーン、意外とできそうな気がしますので今度暇があったら考えてみましょう。
◆◇◆◇◆◇
私は、ウィリアム・ザクセン、魔晶石ギルド本部で魔晶石利用開発部長の職に就いている。
元加工師として現場にいたこともあるが、応用開発のスキルを認められて開発部に入り、順調に昇進してきた。
今日も幹部会でシルヴィのことが話題になった。
彼女はギルドに入って一年ほどなのだが、採掘師としての貢献度は採掘師達の頂点にある。
そうしてまた驚くべきことに、次々と新たな魔道具製品を生み出すのである。
そのうちのいくつかは加工師でも製造できるが、彼女にしかできないものもあり、ギルドから販売するには彼女がその品もしくは部品を作らないと話にならないのだ。
その意味では、彼女が魔晶石ギルドにとってかけがえのない存在になっているのだ。
そのために、彼女には危険な作業には従事してほしくないのだが、一方で彼女が採掘してくる黒魔晶石は我がギルドにとって非常に大事な財源なのである。
従って、彼女の安全を確保しながら採掘を続けるために、魔晶石の鉱床の在り処を披歴して他の採掘師に採掘させるような方式をそれとなく打診したのだが、採掘師自体の古くからあるルールに抵触するということでご破算になってしまった。
実のところ、過去にもそうしたことが企画されたことがあり、失敗に終わったことがあるようだ。
ギルドの保管されている記録の中にそうした記録があるそうで、新人の彼女に教えてもらうまでそのことを知らなかった私である。
彼女は、一時期、確かにギルドの図書室に入り浸っていたようであり、その時にそうした記録も見ているのだろう。
きつい言葉ではなかったが、暗に勉強しろと揶揄されてしまった。
いずれにしろ、今回のクロマルド王国の瘴気発生に伴う魔物の発生については、魔晶石ギルドが各国とかわしている約定に従い、各国で対応できない魔物の討伐については、所要の経費を支払ってもらうことを条件に請け負うしかなかった。
しかしながら、瘴気の原因調査とその除去については、ギルド発足以来一度も請け負った事実がない上に、そもそもがいずれの国でも自然消滅するまで瘴気を除去できた試しがないのである。
従って、請負契約締結のための交渉段階では随分と揉めたそうだ。
最終的にはできなくても構わないという妙な条項を付託して法外な値段の請負契約になった。
従って、魔物討伐の作業と瘴気の原因調査及び瘴気の除去作業については契約が別である。
この契約ならば、ギルドの幹部会としては、暗に放置しておいてもかまわないと考えていたのである。
その上で、幹部会の総意により、シルヴィには極力瘴気と関わらすなという指示を二名の班長や事務方の支援班長に強く指示していたところである。
残念ながら、その指示は無駄になってしまった。
周囲が寄って集って止めたのにもかかわらず、シルヴィが瘴気の原因調査に乗り出し、半日でその特定までしてのけたのである。
報告は、それこそシルヴィの作った通信装置で重要な件はその都度ギルドに報告されるから、遠く離れていても現地の状況は把握できる。
しかしながら、生憎と魔晶石ギルドは独任事業者の寄り集まりであって、一人一人の採掘師や加工師に対して原則として命令はできないのだ。
例えば、冬場のスタンピードの後に発した魔境への立ち入り禁止措置は、命令ではなくどちらかというとお願いの類に近い。
採掘師が立ち入り禁止の周知に違背して採掘に出かけたとしてもその行為を罰することはできない。
ただし、そのような信頼の原則に対する違背行為に対しては、その結果として魔晶石を採掘してきてギルドに納品したとしても、禁足期間が過ぎるまでは一切の買受をしないということで実質的不利益を与えることができる。
ましてや普段より危険が増大している魔境に危険を冒して入るメリットは少ないから、そうした指示には会員も渋々ながらも従うのだ。
だが、派遣の場合にはそのような指示ができない。
あくまで派遣された者が、その場に応じて自分で判断しながら魔物退治をしなければならないし、責任を他人(ギルドを含む)に転嫁させないためにもそうするしかないのだ。
そもそもが、採掘師たちは一流になればなるほど、協力しながら魔物を倒すという作業が苦手な者がとても多い。
だから、シルヴィが自らやるという以上、強制的に止めることはできなかったのだ。
シルヴィが新たに明かした事実によれば、シルヴィはどうも地中の様子を把握できるスキルを持っているらしいし、瘴気に対抗できるスキルを持っているらしい。
なんでも聖魔法による結界を張って、瘴気の中でも自由に動けるようだ。
しかも、どんな魔物が襲撃して来ようとも、ほぼ無敵だ。
懸念されていたシーファ・ウーディの討伐についても、相手の射程外から見敵必殺で殲滅していたそうだ。
今回の派遣で驚かされた事項はいくつかあるが、特筆すべきは、結界発生装置の製造、魔鉱石という新たな鉱石の発見と採掘、魔鉱石に影響を与える放射力場の発見、また、その結果として魔鉱石から瘴気が発生すること、土属性魔法による聖属性魔法を付与した容器及び貯蔵庫作成とその周囲の要塞化、それにマジックバックを複数入れることのできるマジックバックであろうか・・・。
それにしても、派遣先で一体どうやって魔道具なんぞを作ったりできるのかが不思議でならない。
結界発生装置であろうと、マジックバックであろうと、魔道具を作成するにはそれなりの魔石や魔晶石それに種々の素材や機材が必要であったはず。
しかしながら、帰着した支援班に聞くと、今回シルヴィから依頼があって調達したものはマジックバックのみであり、支援班からの連絡により、ギルドで26個ほど用意して飛行船で急遽送っただけのはずである。
そもそも出発の際に私も見送ったのだが、シルヴィは左程の荷物は持っていなかったはずだ。
バックパック一つを背負い、マジックバック一個を左手に持っていたのは気づいていた。
シルヴィの場合、マジックバックはレンタルではなく、自前で四つも購入しているから、普段は小さくたたんでいるはずなので或いはバックパックに残り三つのマジックバックを入れていたのかもしれないが、魔道具を作る素材や機材はマジックバックに入るほどコンパクトなものではないはず。
では、シルヴィが現地で調達したものなのか?
その辺は彼女が提出してきた報告書にも詳細な記述は無かった。
あるいは公表できないスキルや知識なのかもしれない。
満載に荷を容れた複数のマジックバックを容れることのできるマジックバックなど、これまで聞いたこともないし、マジックバックの製造技術を秘匿し、ほぼ独占販売している魔術師ギルドにおいても、これまでそのようなマジックバックを売り出していないところを見ると、魔術師ギルドでも作れない代物なのだろう。
その意味では我々も当該秘密については口をつぐむしかない。
但し、現地でクロマルド王国の関係者には、たった一つのマジックバックから魔鉱石が入った多数のマジックバックが取り出されているところを見られているようだ。
従って、いずれは魔法師ギルドから関連の問い合わせが来るだろうと予測している。
いずれにせよ、クロマルド王国の瘴気については、放置すれば十年単位で瘴気が発生し続ける状況を防げたことになり、その功績は非常に大きい。
一方で、それとは裏腹に、国際会議で瘴気の発生とその防除について、我がギルドへの依頼要請が全会一致で採択され、各国との約定が新たに交わされることになった。
その対価費用については労力に比べて高く設定しすぎたという反省はあるのだが、今回のクロマルド王国の事例が前例となるので一概に安くはできない。
瘴気の発生場所の状況、魔鉱石鉱床の大小、滞在日数の状況等を勘案しつつ、慎重にしかも徐々に値下げするしかあるまい。
但し、シルヴィが健在である間は大丈夫だが、万が一シルヴィがいなくなったら、瘴気の除去及び魔物の討伐自体がかなり難しくなるのは目に見えている。
当面、30年から40年程度は大丈夫と思いたいところだが、未来については誰も予測できないものだ。
いずれにせよ、幹部会では今回の多大な功績に対して、全会一致でシルヴィの一級採掘師昇格及び二級加工師昇格が決まったのだった。
たまには、姓の方も名乗っておかないと何処のシルヴィなのかわからなくなってしまうかも知れないので念のために・・・。
エッ、間違うはずがない?
そ、そうですか。
そう言えば今のところシルヴィって名前の子は、私以外に登場していませんものね。
そんな阿呆な話は置いといて、クロマルド王国への遠征から戻ってからは、日々報告書の作成、魔晶石の採掘、それに魔道具の製作に追われています。
流石に主力採掘師が二十日以上も不在だったためにギルドも困っていたようで、戻るなりできるだけ採掘に出かけてくれと幹部からお願いされてしまいました。
そうしてまた、私しか作れない魔道具やその部品の製作要望もこれあり、ゆっくりと休む暇もありません。
まぁね、採掘師だけじゃなくって加工師だって魔晶石の採掘が減ると仕事がないわけですから、ギルド自体が冷え込んじゃうのはわかりますけれど、ひょっとしてこのギルドってブラックなのでしょうか?
だって、今回の私たちの遠征でしこたま儲けたはずなんですよ。
魔物討伐はともかく、できるかどうかわからない二つ目の瘴気の原因とその除去まで完遂したのですけれど、出発当初、ギルド本部のお偉方も事務方もそこまでできるとは予想していなかったようです。
一応、依頼達成の確認をしたクロマルド王国からは、取り敢えずの予算が足りずに5か年の年賦払いにしてもらうよう泣きが入ったようです。
彼らにしても、本当に困ってはいたものの、まさかできるとは思っていなかったのですね。
いずれにせよ、前例を作ってしまいましたので、今後同じような瘴気の発生した場合は、魔晶石ギルドが請け負うように国際会議で正式に要請されちゃったようです。
今のところ、結界放射器の魔道具が10基ありますので、瘴気を抑えながらそれなりの作業はできそうですけれど、私がいないと魔物討伐には支障をきたす可能性もありますよねぇ。
これは何か討伐のための魔道具を作らないといけないのかしら。
さしずめ、携行タイプのレールガンとか、レーザーガンとかでしょうか?
ウーン、意外とできそうな気がしますので今度暇があったら考えてみましょう。
◆◇◆◇◆◇
私は、ウィリアム・ザクセン、魔晶石ギルド本部で魔晶石利用開発部長の職に就いている。
元加工師として現場にいたこともあるが、応用開発のスキルを認められて開発部に入り、順調に昇進してきた。
今日も幹部会でシルヴィのことが話題になった。
彼女はギルドに入って一年ほどなのだが、採掘師としての貢献度は採掘師達の頂点にある。
そうしてまた驚くべきことに、次々と新たな魔道具製品を生み出すのである。
そのうちのいくつかは加工師でも製造できるが、彼女にしかできないものもあり、ギルドから販売するには彼女がその品もしくは部品を作らないと話にならないのだ。
その意味では、彼女が魔晶石ギルドにとってかけがえのない存在になっているのだ。
そのために、彼女には危険な作業には従事してほしくないのだが、一方で彼女が採掘してくる黒魔晶石は我がギルドにとって非常に大事な財源なのである。
従って、彼女の安全を確保しながら採掘を続けるために、魔晶石の鉱床の在り処を披歴して他の採掘師に採掘させるような方式をそれとなく打診したのだが、採掘師自体の古くからあるルールに抵触するということでご破算になってしまった。
実のところ、過去にもそうしたことが企画されたことがあり、失敗に終わったことがあるようだ。
ギルドの保管されている記録の中にそうした記録があるそうで、新人の彼女に教えてもらうまでそのことを知らなかった私である。
彼女は、一時期、確かにギルドの図書室に入り浸っていたようであり、その時にそうした記録も見ているのだろう。
きつい言葉ではなかったが、暗に勉強しろと揶揄されてしまった。
いずれにしろ、今回のクロマルド王国の瘴気発生に伴う魔物の発生については、魔晶石ギルドが各国とかわしている約定に従い、各国で対応できない魔物の討伐については、所要の経費を支払ってもらうことを条件に請け負うしかなかった。
しかしながら、瘴気の原因調査とその除去については、ギルド発足以来一度も請け負った事実がない上に、そもそもがいずれの国でも自然消滅するまで瘴気を除去できた試しがないのである。
従って、請負契約締結のための交渉段階では随分と揉めたそうだ。
最終的にはできなくても構わないという妙な条項を付託して法外な値段の請負契約になった。
従って、魔物討伐の作業と瘴気の原因調査及び瘴気の除去作業については契約が別である。
この契約ならば、ギルドの幹部会としては、暗に放置しておいてもかまわないと考えていたのである。
その上で、幹部会の総意により、シルヴィには極力瘴気と関わらすなという指示を二名の班長や事務方の支援班長に強く指示していたところである。
残念ながら、その指示は無駄になってしまった。
周囲が寄って集って止めたのにもかかわらず、シルヴィが瘴気の原因調査に乗り出し、半日でその特定までしてのけたのである。
報告は、それこそシルヴィの作った通信装置で重要な件はその都度ギルドに報告されるから、遠く離れていても現地の状況は把握できる。
しかしながら、生憎と魔晶石ギルドは独任事業者の寄り集まりであって、一人一人の採掘師や加工師に対して原則として命令はできないのだ。
例えば、冬場のスタンピードの後に発した魔境への立ち入り禁止措置は、命令ではなくどちらかというとお願いの類に近い。
採掘師が立ち入り禁止の周知に違背して採掘に出かけたとしてもその行為を罰することはできない。
ただし、そのような信頼の原則に対する違背行為に対しては、その結果として魔晶石を採掘してきてギルドに納品したとしても、禁足期間が過ぎるまでは一切の買受をしないということで実質的不利益を与えることができる。
ましてや普段より危険が増大している魔境に危険を冒して入るメリットは少ないから、そうした指示には会員も渋々ながらも従うのだ。
だが、派遣の場合にはそのような指示ができない。
あくまで派遣された者が、その場に応じて自分で判断しながら魔物退治をしなければならないし、責任を他人(ギルドを含む)に転嫁させないためにもそうするしかないのだ。
そもそもが、採掘師たちは一流になればなるほど、協力しながら魔物を倒すという作業が苦手な者がとても多い。
だから、シルヴィが自らやるという以上、強制的に止めることはできなかったのだ。
シルヴィが新たに明かした事実によれば、シルヴィはどうも地中の様子を把握できるスキルを持っているらしいし、瘴気に対抗できるスキルを持っているらしい。
なんでも聖魔法による結界を張って、瘴気の中でも自由に動けるようだ。
しかも、どんな魔物が襲撃して来ようとも、ほぼ無敵だ。
懸念されていたシーファ・ウーディの討伐についても、相手の射程外から見敵必殺で殲滅していたそうだ。
今回の派遣で驚かされた事項はいくつかあるが、特筆すべきは、結界発生装置の製造、魔鉱石という新たな鉱石の発見と採掘、魔鉱石に影響を与える放射力場の発見、また、その結果として魔鉱石から瘴気が発生すること、土属性魔法による聖属性魔法を付与した容器及び貯蔵庫作成とその周囲の要塞化、それにマジックバックを複数入れることのできるマジックバックであろうか・・・。
それにしても、派遣先で一体どうやって魔道具なんぞを作ったりできるのかが不思議でならない。
結界発生装置であろうと、マジックバックであろうと、魔道具を作成するにはそれなりの魔石や魔晶石それに種々の素材や機材が必要であったはず。
しかしながら、帰着した支援班に聞くと、今回シルヴィから依頼があって調達したものはマジックバックのみであり、支援班からの連絡により、ギルドで26個ほど用意して飛行船で急遽送っただけのはずである。
そもそも出発の際に私も見送ったのだが、シルヴィは左程の荷物は持っていなかったはずだ。
バックパック一つを背負い、マジックバック一個を左手に持っていたのは気づいていた。
シルヴィの場合、マジックバックはレンタルではなく、自前で四つも購入しているから、普段は小さくたたんでいるはずなので或いはバックパックに残り三つのマジックバックを入れていたのかもしれないが、魔道具を作る素材や機材はマジックバックに入るほどコンパクトなものではないはず。
では、シルヴィが現地で調達したものなのか?
その辺は彼女が提出してきた報告書にも詳細な記述は無かった。
あるいは公表できないスキルや知識なのかもしれない。
満載に荷を容れた複数のマジックバックを容れることのできるマジックバックなど、これまで聞いたこともないし、マジックバックの製造技術を秘匿し、ほぼ独占販売している魔術師ギルドにおいても、これまでそのようなマジックバックを売り出していないところを見ると、魔術師ギルドでも作れない代物なのだろう。
その意味では我々も当該秘密については口をつぐむしかない。
但し、現地でクロマルド王国の関係者には、たった一つのマジックバックから魔鉱石が入った多数のマジックバックが取り出されているところを見られているようだ。
従って、いずれは魔法師ギルドから関連の問い合わせが来るだろうと予測している。
いずれにせよ、クロマルド王国の瘴気については、放置すれば十年単位で瘴気が発生し続ける状況を防げたことになり、その功績は非常に大きい。
一方で、それとは裏腹に、国際会議で瘴気の発生とその防除について、我がギルドへの依頼要請が全会一致で採択され、各国との約定が新たに交わされることになった。
その対価費用については労力に比べて高く設定しすぎたという反省はあるのだが、今回のクロマルド王国の事例が前例となるので一概に安くはできない。
瘴気の発生場所の状況、魔鉱石鉱床の大小、滞在日数の状況等を勘案しつつ、慎重にしかも徐々に値下げするしかあるまい。
但し、シルヴィが健在である間は大丈夫だが、万が一シルヴィがいなくなったら、瘴気の除去及び魔物の討伐自体がかなり難しくなるのは目に見えている。
当面、30年から40年程度は大丈夫と思いたいところだが、未来については誰も予測できないものだ。
いずれにせよ、幹部会では今回の多大な功績に対して、全会一致でシルヴィの一級採掘師昇格及び二級加工師昇格が決まったのだった。
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