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第三章 学院生活編
3ー28 見学会 その二
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ヴィオラ・ディ・ラ・フェルティス・エルグンドでございます。
ただいま、見学会の器楽演奏でセロビロという鍵盤楽器で目立たぬように伴奏のみに専従しています。
ですから、目立たないはずだったのに、何故か歌舞音曲に造詣が深い方もいらっしゃるようで、過剰なまでのお褒めをいただいてしまいました。
その最たる人物が、王都弦楽協会の理事長であるグランリオス伯爵です。
彼は完全な中立派であり、政治向きの発言は一切しないことで有名な人物ですが、事弦楽演奏にかけては非常にうるさい方として有名なのです。
そうしてこの方は十年ほど前から父兄であるかどうかを不問で毎年見学会に招待されている方なのです。
もう一人、それに対抗するように吹奏楽協会の理事長であるファレナス伯爵もいらっしゃいます。
この方も父兄であるか否かを問わず毎年招待されている人物です。
この二人、毎年演奏会の終わりに講評をされるのです。
そうして困ったことに、グランリオス伯爵のみならず、ファレナス伯爵も私の演奏に触れ、絶大な賛辞を表明したのです。
グランリオス伯爵曰く、
「本日の器楽演奏については、生徒諸君の普段の努力が十分に垣間見えた見事な演奏でございました。
中でも二年生のAクラスの弦楽演奏は、群を抜いて見事であったと言えましょう。
あるいはご承知かも知れませんが、弦楽五重奏の『秋麗湖愁』にセロビルを加えての演奏はこれまで無かったものにございます。
しかしながら、見事に秋の湖の風景を我々の眼前に蘇らせてくれたのは、セロビルの伴奏があってこその演奏でございました。
因みに楽譜は無かった筈なので、どうしたのかと器楽演奏の先生にお尋ねしたところ、セロビルを演奏した生徒が独自に作り上げ、先生に伺いを立てて演奏を練習したという事でございました。
生憎とセロビルを演奏した生徒の名は聞いておりませんが、歌舞音曲に類稀なる才能を有する者と思われます。
生徒諸君のこれまでの努力を称え、益々の研鑽を期待して私の講評と致します。」
また、ファレナス伯爵曰く、
「今回の器楽演奏に置いては、弦楽あり、吹奏楽あり、歌曲ありと様々な音曲の在り方を披露して頂きました。
私が注目したのは二つでございます。
一つは中等部二年B組が演奏した吹奏楽「勇者礼賛」の雄々しくも鮮烈な印象の演奏でございました。
吹奏楽器の特徴をよく捕まえた見事な演奏と言えましょう。
生憎と今一つは吹奏楽ではございませんでしたが、グランリオス伯爵が褒め称えた『秋麗湖愁』でございます。
弦楽演奏ではございましたが、セロビルの見事な伴奏の在り方を聞くに至り、私は新たなる可能性があるのではと思い至ったのであります。
セロビルは、弦楽の中でも鍵盤楽器と呼ばれる異質な楽器にございます。
これまでセロビルを加えての弦楽重奏は余り例がありませぬ。
弦楽器自体の繊細な音色が、鍵盤楽器の音色に打ち消されてしまうからこそ、これまで演奏が少ないものなのです。
弦楽五重奏に加えるならば、これまではセロビルではなくレオルシードというのが常識でございました。
その我々の常識を覆したのが、先ほどのセロビルの伴奏でございます。
主旋律を奏でるのは飽くまで弦楽五重奏の五つの楽器です。
さりながらそれを下支えするセロビルの伴奏が有ったればこそ、五つの弦楽器の音色が強調されて生きたのです。
グランリオス伯爵が申されたようにまさしく素晴らしき演奏でございました。
あの編曲が生徒の手によってなされたのであれば、あるいは弦楽器と吹奏楽器の融合もあり得るのではないかと密かに思った次第です。
この老人にも一つの夢が生じました。
弦楽器と吹奏楽器の両方が演じられる楽曲の誕生、それによってあるいは歌舞音曲界に変革が起きるかもしれません。
それを起こすのはあなた方若い力に他なりません。
グランリオス伯爵と同様。私も、生徒諸君の益々の研鑽を期待して私の講評と致します。」
あれぇ・・・。
私の思い描いた構想とは違うじゃないですか。
目立たないように演奏したのに、歌舞音曲に左程興味の無かった筈の父兄にまで私の演奏が上手であったと広まってしまったのです。
幸いにして名前までは講評には出てまいりませんでしたが、今回の演奏会でセロビルを弾いたのは私一人だけですのでしっかりと目立ってしまいました。
うーん、大いなる誤算でございます。
もっと下手糞に弾いておけばよかったと後で悔やんでいるところでございます。
初等部、中等部合わせて24組もの演奏を行いますので、仮に一組十分としても240分かかりますから、昼餉を挟んで一日がかりの演奏会となります。
そうしてその翌日は、中等部三年生である三男坊以下の者達や、女子にとっては将来が決まるかもしれない魔法披露が御座います。
こちらも総勢で200名を超える初等部、中等部の生徒たちが順番に試技をお披露目するわけで、これも時間がかかります。
早朝から初めて、最後は夕刻にまでかかるのが普通のようです。
初等部は試技のためにクラスごとに整列して十尋ほど離れた的をめがけて攻撃魔法を放つのが定番のお披露目です。
クラス担任の指導の下で順次魔法を放ちますので、初等部の場合一人10秒程度の時間差で魔法を放ちます。
ですから初等部二年Aクラスに割り当てられた時間はわずかに1分だけなのです。
これが中等部になると一人当たりの時間は1分を与えられ、各学年では40分程度の時間を要することになります。
ですからこの魔法の試技披露は、どちらかというと中等部の生徒のために行われるものなのです。
但し、そうなると三年に一度の見学会の折に一年生や二年生であった生徒が若干不利になりますから、卒業間近にもう一度、中等部三年生のみでの演武会が有るのです。
この際は必ずしも父兄の参加は求められておらず、むしろ王国騎士団や魔法師団さらには多くの騎士を抱える上級爵位の人物やその騎士団長などが参観に来ることになります。
因みに、魔法試技披露とは別に、中等部だけは魔法を使わない武技披露の時間もあります。
中等部になると武技を中心とするクラスと魔法を中心とするクラスに分かれるのです。
あ、お兄様もお姉さまも魔法クラスになっていますよ。
まぁ、お兄様の場合は、エルグンド家の跡取りとして決まっていますので、特段のアピールは必要でなく、むしろ実力を隠す意味合いで七割から八割程度の力を見せればよいのだそうです。
但し、三男坊以下の就活に影響を与えるらしいので、余裕が有れば確かに遠慮しなければなりませんよね。
因みにお兄様には縁談話が舞い込んでいるようですよ。
お兄様本人には未だ伝えられていませんけれど、お父様とお母様は既にご承知の様子です。
多分、この後の冬休みに帰省した時にお話があり、形ばかりのお見合いもすることになるのでしょう。
私(ヴィオラ)が、そんなことをなぜ知っているかって?
そりゃぁ、私のスパイ・インセクトで領内の様子を常時監視していますからね。
お父様とお母様の耳に入る話であればそのほとんどを知っているんですよ。
私が嫁に出るまでは私の唯一の拠り所ですから、そこでは二度とエルグラードの悲劇のようなことは起こさせません。
そのために多数のスパイ・インセクトを潜在的な敵集団にも放ってもいるのです。
ところで、この魔法試技の披露では、今の私は全く目立つ必要性はありませんから、ごくごく普通のファイアー・アローを的にめがけて放つだけに終わりました。
今回は二番手狙いは致しません。
二年生のAクラスでは平均程度の力で放ちました。
それでもBクラスでの優秀な子と同じくらいの威力はあるのですけれどね。
まぁ、そこは、クラスの差ということで勘弁してもらいましょう。
中等部に行くとこの辺の調整が結構難しくなるかもしれませんね。
トップになろうと思えば何時でもなれますけれど、別にそれが私(ヴィオラ)の望みではありません。
私としては普通に学院を卒業して、まともな貴族に嫁ぎ、家と実家を守れれば良いと考えているだけです。
でも私(ヴィオラ)の伴侶になる人には色々と条件を付けますよ。
いい加減な人のところに嫁に行くつもりはありません。
如何に政治的配慮が有ろうとも嫌なものは嫌と断固拒絶します。
あらら、また、余計な話を・・・・。
いずれにしろ私(ヴィオラ)の試技披露は無事に終わりました。
今度こそ目立たなかったと思います。
お姉さまはと言えば、火系統でもアローではなくってジャベリンを使い、的を吹き飛ばしていましたから、中等部一年の中ではかなり目立っていましたね。
お姉さまも10歳、前世の年齢で言えば14歳程度になりますからね。
中等部二年になれば11歳で前世では14歳から15歳、間もなく高校生になる頃なんでしょうけれど、この世界では12歳(前世の15歳から16歳相当)がもう成人なのです。
ですから中等部三年生の女子では、早々と婚約している女性も結構いるのです。
むしろ卒業までに嫁入り先が決まっていないと後々苦労することになります。
その辺はお父様とお母様がしっかりと考えてくれているはずなのです。
私もお姉さまの旦那様候補には目を光らせることにはなりそうですけれど・・・。
お兄様の試技はやはり遠慮されているのでしょうか私と同じく平均的な出来ですね。
勿論、それでも上位なわけなのですけれどね。
中等部三年生の中で目立ったのは、エルメス子爵家の次男坊であるフォンディアスさん、それにグレイ公爵家の三男坊であるキャンディオスさんの二人でしょうか。
ファンディアスさんは風属性魔法を、キャンディオスさんは水属性魔法で観衆に魅せてくれました。
私から見れば、どちらの中の上ぐらいのできでしょうか?
でも王宮魔法師団の長クラスでも中の上ぐらいですから、むしろこの若さでよくできた方だと思いますよ。
この実力ならば魔法師団でもすぐに中堅になれるはずです。
ファンディアスさんについては次男坊なので微妙なところなのですけれど、場合によっては魔法師団や他家への仕官もあり得ます。
その場合、実家の長男に何かあれば家に戻るという制限付きですね。
キャンディオスさんの場合は、三男で、しかも側室の子のようですので普通は他家に仕官しても構いません。
但し、侯爵家ともなればそれなりの騎士団を保有していますので、そのまま侯爵家の騎士として残ることも十分にあり得ます。
いずれにせよ、見学会は盛況のうちに終わりました。
その日は、王都別邸で久方ぶりにお父様とお母様を交えての会食です。
お父様とお母様からは、子供達へのねぎらいの言葉がありましたけれど、特段の誉め言葉はありませんでした。
ただ、三人が元気でいるのが一番と言っておられましたね。
お二人がお兄様と私が手を抜いていたこと、お姉さまが頑張っていることをちゃんと見ておられました。
学院から別邸に戻る馬車の中でそうお話しをしているところをスパイインセクトがちゃんと盗聴していましたよ。
取敢えずの見学会は終わりです。
翌日、お父様とお母様はロデアルに戻って行かれました。
ただいま、見学会の器楽演奏でセロビロという鍵盤楽器で目立たぬように伴奏のみに専従しています。
ですから、目立たないはずだったのに、何故か歌舞音曲に造詣が深い方もいらっしゃるようで、過剰なまでのお褒めをいただいてしまいました。
その最たる人物が、王都弦楽協会の理事長であるグランリオス伯爵です。
彼は完全な中立派であり、政治向きの発言は一切しないことで有名な人物ですが、事弦楽演奏にかけては非常にうるさい方として有名なのです。
そうしてこの方は十年ほど前から父兄であるかどうかを不問で毎年見学会に招待されている方なのです。
もう一人、それに対抗するように吹奏楽協会の理事長であるファレナス伯爵もいらっしゃいます。
この方も父兄であるか否かを問わず毎年招待されている人物です。
この二人、毎年演奏会の終わりに講評をされるのです。
そうして困ったことに、グランリオス伯爵のみならず、ファレナス伯爵も私の演奏に触れ、絶大な賛辞を表明したのです。
グランリオス伯爵曰く、
「本日の器楽演奏については、生徒諸君の普段の努力が十分に垣間見えた見事な演奏でございました。
中でも二年生のAクラスの弦楽演奏は、群を抜いて見事であったと言えましょう。
あるいはご承知かも知れませんが、弦楽五重奏の『秋麗湖愁』にセロビルを加えての演奏はこれまで無かったものにございます。
しかしながら、見事に秋の湖の風景を我々の眼前に蘇らせてくれたのは、セロビルの伴奏があってこその演奏でございました。
因みに楽譜は無かった筈なので、どうしたのかと器楽演奏の先生にお尋ねしたところ、セロビルを演奏した生徒が独自に作り上げ、先生に伺いを立てて演奏を練習したという事でございました。
生憎とセロビルを演奏した生徒の名は聞いておりませんが、歌舞音曲に類稀なる才能を有する者と思われます。
生徒諸君のこれまでの努力を称え、益々の研鑽を期待して私の講評と致します。」
また、ファレナス伯爵曰く、
「今回の器楽演奏に置いては、弦楽あり、吹奏楽あり、歌曲ありと様々な音曲の在り方を披露して頂きました。
私が注目したのは二つでございます。
一つは中等部二年B組が演奏した吹奏楽「勇者礼賛」の雄々しくも鮮烈な印象の演奏でございました。
吹奏楽器の特徴をよく捕まえた見事な演奏と言えましょう。
生憎と今一つは吹奏楽ではございませんでしたが、グランリオス伯爵が褒め称えた『秋麗湖愁』でございます。
弦楽演奏ではございましたが、セロビルの見事な伴奏の在り方を聞くに至り、私は新たなる可能性があるのではと思い至ったのであります。
セロビルは、弦楽の中でも鍵盤楽器と呼ばれる異質な楽器にございます。
これまでセロビルを加えての弦楽重奏は余り例がありませぬ。
弦楽器自体の繊細な音色が、鍵盤楽器の音色に打ち消されてしまうからこそ、これまで演奏が少ないものなのです。
弦楽五重奏に加えるならば、これまではセロビルではなくレオルシードというのが常識でございました。
その我々の常識を覆したのが、先ほどのセロビルの伴奏でございます。
主旋律を奏でるのは飽くまで弦楽五重奏の五つの楽器です。
さりながらそれを下支えするセロビルの伴奏が有ったればこそ、五つの弦楽器の音色が強調されて生きたのです。
グランリオス伯爵が申されたようにまさしく素晴らしき演奏でございました。
あの編曲が生徒の手によってなされたのであれば、あるいは弦楽器と吹奏楽器の融合もあり得るのではないかと密かに思った次第です。
この老人にも一つの夢が生じました。
弦楽器と吹奏楽器の両方が演じられる楽曲の誕生、それによってあるいは歌舞音曲界に変革が起きるかもしれません。
それを起こすのはあなた方若い力に他なりません。
グランリオス伯爵と同様。私も、生徒諸君の益々の研鑽を期待して私の講評と致します。」
あれぇ・・・。
私の思い描いた構想とは違うじゃないですか。
目立たないように演奏したのに、歌舞音曲に左程興味の無かった筈の父兄にまで私の演奏が上手であったと広まってしまったのです。
幸いにして名前までは講評には出てまいりませんでしたが、今回の演奏会でセロビルを弾いたのは私一人だけですのでしっかりと目立ってしまいました。
うーん、大いなる誤算でございます。
もっと下手糞に弾いておけばよかったと後で悔やんでいるところでございます。
初等部、中等部合わせて24組もの演奏を行いますので、仮に一組十分としても240分かかりますから、昼餉を挟んで一日がかりの演奏会となります。
そうしてその翌日は、中等部三年生である三男坊以下の者達や、女子にとっては将来が決まるかもしれない魔法披露が御座います。
こちらも総勢で200名を超える初等部、中等部の生徒たちが順番に試技をお披露目するわけで、これも時間がかかります。
早朝から初めて、最後は夕刻にまでかかるのが普通のようです。
初等部は試技のためにクラスごとに整列して十尋ほど離れた的をめがけて攻撃魔法を放つのが定番のお披露目です。
クラス担任の指導の下で順次魔法を放ちますので、初等部の場合一人10秒程度の時間差で魔法を放ちます。
ですから初等部二年Aクラスに割り当てられた時間はわずかに1分だけなのです。
これが中等部になると一人当たりの時間は1分を与えられ、各学年では40分程度の時間を要することになります。
ですからこの魔法の試技披露は、どちらかというと中等部の生徒のために行われるものなのです。
但し、そうなると三年に一度の見学会の折に一年生や二年生であった生徒が若干不利になりますから、卒業間近にもう一度、中等部三年生のみでの演武会が有るのです。
この際は必ずしも父兄の参加は求められておらず、むしろ王国騎士団や魔法師団さらには多くの騎士を抱える上級爵位の人物やその騎士団長などが参観に来ることになります。
因みに、魔法試技披露とは別に、中等部だけは魔法を使わない武技披露の時間もあります。
中等部になると武技を中心とするクラスと魔法を中心とするクラスに分かれるのです。
あ、お兄様もお姉さまも魔法クラスになっていますよ。
まぁ、お兄様の場合は、エルグンド家の跡取りとして決まっていますので、特段のアピールは必要でなく、むしろ実力を隠す意味合いで七割から八割程度の力を見せればよいのだそうです。
但し、三男坊以下の就活に影響を与えるらしいので、余裕が有れば確かに遠慮しなければなりませんよね。
因みにお兄様には縁談話が舞い込んでいるようですよ。
お兄様本人には未だ伝えられていませんけれど、お父様とお母様は既にご承知の様子です。
多分、この後の冬休みに帰省した時にお話があり、形ばかりのお見合いもすることになるのでしょう。
私(ヴィオラ)が、そんなことをなぜ知っているかって?
そりゃぁ、私のスパイ・インセクトで領内の様子を常時監視していますからね。
お父様とお母様の耳に入る話であればそのほとんどを知っているんですよ。
私が嫁に出るまでは私の唯一の拠り所ですから、そこでは二度とエルグラードの悲劇のようなことは起こさせません。
そのために多数のスパイ・インセクトを潜在的な敵集団にも放ってもいるのです。
ところで、この魔法試技の披露では、今の私は全く目立つ必要性はありませんから、ごくごく普通のファイアー・アローを的にめがけて放つだけに終わりました。
今回は二番手狙いは致しません。
二年生のAクラスでは平均程度の力で放ちました。
それでもBクラスでの優秀な子と同じくらいの威力はあるのですけれどね。
まぁ、そこは、クラスの差ということで勘弁してもらいましょう。
中等部に行くとこの辺の調整が結構難しくなるかもしれませんね。
トップになろうと思えば何時でもなれますけれど、別にそれが私(ヴィオラ)の望みではありません。
私としては普通に学院を卒業して、まともな貴族に嫁ぎ、家と実家を守れれば良いと考えているだけです。
でも私(ヴィオラ)の伴侶になる人には色々と条件を付けますよ。
いい加減な人のところに嫁に行くつもりはありません。
如何に政治的配慮が有ろうとも嫌なものは嫌と断固拒絶します。
あらら、また、余計な話を・・・・。
いずれにしろ私(ヴィオラ)の試技披露は無事に終わりました。
今度こそ目立たなかったと思います。
お姉さまはと言えば、火系統でもアローではなくってジャベリンを使い、的を吹き飛ばしていましたから、中等部一年の中ではかなり目立っていましたね。
お姉さまも10歳、前世の年齢で言えば14歳程度になりますからね。
中等部二年になれば11歳で前世では14歳から15歳、間もなく高校生になる頃なんでしょうけれど、この世界では12歳(前世の15歳から16歳相当)がもう成人なのです。
ですから中等部三年生の女子では、早々と婚約している女性も結構いるのです。
むしろ卒業までに嫁入り先が決まっていないと後々苦労することになります。
その辺はお父様とお母様がしっかりと考えてくれているはずなのです。
私もお姉さまの旦那様候補には目を光らせることにはなりそうですけれど・・・。
お兄様の試技はやはり遠慮されているのでしょうか私と同じく平均的な出来ですね。
勿論、それでも上位なわけなのですけれどね。
中等部三年生の中で目立ったのは、エルメス子爵家の次男坊であるフォンディアスさん、それにグレイ公爵家の三男坊であるキャンディオスさんの二人でしょうか。
ファンディアスさんは風属性魔法を、キャンディオスさんは水属性魔法で観衆に魅せてくれました。
私から見れば、どちらの中の上ぐらいのできでしょうか?
でも王宮魔法師団の長クラスでも中の上ぐらいですから、むしろこの若さでよくできた方だと思いますよ。
この実力ならば魔法師団でもすぐに中堅になれるはずです。
ファンディアスさんについては次男坊なので微妙なところなのですけれど、場合によっては魔法師団や他家への仕官もあり得ます。
その場合、実家の長男に何かあれば家に戻るという制限付きですね。
キャンディオスさんの場合は、三男で、しかも側室の子のようですので普通は他家に仕官しても構いません。
但し、侯爵家ともなればそれなりの騎士団を保有していますので、そのまま侯爵家の騎士として残ることも十分にあり得ます。
いずれにせよ、見学会は盛況のうちに終わりました。
その日は、王都別邸で久方ぶりにお父様とお母様を交えての会食です。
お父様とお母様からは、子供達へのねぎらいの言葉がありましたけれど、特段の誉め言葉はありませんでした。
ただ、三人が元気でいるのが一番と言っておられましたね。
お二人がお兄様と私が手を抜いていたこと、お姉さまが頑張っていることをちゃんと見ておられました。
学院から別邸に戻る馬車の中でそうお話しをしているところをスパイインセクトがちゃんと盗聴していましたよ。
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