55 / 112
第四章 戦に負けないために
4-7 候補生の寮と同室者
しおりを挟む
赤峯裕子が振り返りながら声を掛けると、中から、二人の娘が顔を見せる。
一人はサキと同じぐらい、もう一人も同じぐらいだが多分年長者だろう。
「私、境シノブです。
よろしく。」
「私は、吉見かおるです。
どうぞよろしく。
中へどうぞ。」
部屋の中は非常に広かった。
幅が10mほど、奥行きも同じぐらいある。
通路と同じ配色の壁と天井、床には絨毯である。
部屋の中央に楕円形の大きなテーブルがあり、応接用の椅子が6つ並んでいる。
応接用のソファ4つは3人掛け、二つは二人掛け用で、住人8人が十分に座れるものである。
ちょっとした会食でも出来そうな雰囲気である。
正面奥に三つのドアがあり、化粧室、浴室・洗濯室、台所とそれぞれ表示がある。
左右の奥には、ドアなしのアーチ状の出入り口が一つずつ、アーチ状の鴨居に自習室・寝室と表示されている。
応接椅子と壁との間には距離があり、台車が通っても十分な余裕がある。
「荷物は、寝室のロッカーに入ります。
河合さんの寝室は右手にありますよ。」
赤峯裕子が教えてくれた。
なるほど、アーチの柱にはネームプレートがあり、サキのプレートが差し込まれていた。
アーチをくぐると、幅が2mほどの通路があり左側にドアが4つ並び、右側には間仕切りで仕切られた区画に机と椅子が置かれ、机には電子端末が置かれていた。
自習室のようである。
間仕切りにネームプレートがあり、寝室ドアにも表札代わりのネームプレートが掛かっている。
ドアには取っ手らしきものがないが、ドア左手にセンサーがあり、左手首につけた腕時計をかざすとドアがスライドして開いた。
センサーのプレートにはインターホンも装備されている。
寝室内部に入ってみると5mほどの奥行きと3mほどの幅があった。
日本間に置き換えれば、9畳程もあることになる。
室内奥には大きな床から天井までの嵌め殺しのガラス窓があり、レースのカーテンが閉められている。
ガラス窓の両脇には遮光用の淡いベージュ色のカーテンが絞られていた。
右側壁沿いに、窓枠から少し離してベッドが置かれ、その上に寝具一式がきちんと畳まれていた。
同じく右側壁沿いに二人掛け用のソファが一脚と小さなテーブルが一つある。
反対側の壁は全面折りたたみ式のドアが二組あり、クローゼットになっている。
入り口に近い方には小さな棚が幾つもついた下駄箱になっているほか、外套などを掛ける留め具がついていた。
窓側に近いクローゼットには衣装ダンスが設置され、残りは二段のハンガー・バーが装備されている。
多数のハンガーも吊り下がっていた。
クローゼット自体奥行きが1m半ほどもあり、コンテナごとそのまま収容する事も可能である。
時計を見るとまだ12時になっていなかったことから、サキはコンテナの中を整理してクローゼットに収納することにした。
衣類が二つ、靴類が一つ、装備類が一つのコンテナである。
第1種、第2種制服が二組、制服用のネクタイとネッカチーフが3組、第3種、第4種制服が3組、作業服が2種類二組、運動服が3種類2組、それに見合う制帽類多数、水着も2着あった。
サキは漁師の娘ではあるが泳げない。
水泳訓練もあるのだろうかと心配になった。
制服用の靴、今履いているものと同じものが一足、色違いが二足、運動靴が二足、長靴で種類の異なる靴がそれぞれ二足である。
下着類はパンティ、ブラジャーが5着、靴下が5足、長い靴下が5足、パンティストッキングが5足である。
そのほかにも寝巻き用のパジャマが2着、浴衣と帯が2着分、ブルマーと半そでTシャツが2着、タオルが5枚、バスタオルが3枚、厚手のハンカチ5枚、薄手のハンカチ5枚などが支給されている。
装備類のコンテナを開けて驚いたのは、自分の名前入りの自動小銃が一丁入っていた事である。
弾丸はないが、弾倉は付属しており、手入れ用具も完備している。
そのほか、皮手袋3双、冬季用の外套1着、雨着2着、迷彩戦闘服4着、小型無線機1個、送受信機付防弾ヘルメット1個、航空ヘルメット1個、飛行服2着、ウエットスーツ、潜水マスク、シュノーケル、フィンなど素潜り用具一式等が支給されていた。
これらだけでもこれから行うべき訓練量が並外れたものであることが判る。
サキは思わずため息をついてしまった。
携帯してきた荷物を整理して、空きコンテナを入れ子にして片付けたところ12時半少し前であった。
14時からは食事になるが、その前に共用のスペースを確認し、同室の同僚ともいろいろ話したいことがあったので居間に向かった。
共有の居間には、赤峯裕子、境シノブ、吉見かおるの他にもう一名が応接セットに座っていた。
その一人が立って自己紹介をする。
「私、大山ユキです。
よろしくお願いします。」
サキも慌てて自己紹介をする。
楕円テーブルを囲むように、サキも腰を降ろした。
「赤嶺さんたちは、私達よりも先に到着していましたが、何か情報はございますか。」
サキの質問に赤峯裕子が首を横に振って答える。
「今も、大山さんと情報交換をしていたのだけれど、あなた方と同じ程度の情報しか有りません。
ただ、自習室にある端末でいろいろな情報は得られるので是非確認しておいた方がいいでしょうね。
私達もあなた方より二時間ほど早く来ただけで、特別あなた方に先んじているわけではないの。」
「でも、なぜ、私が班長なんかになったのでしょう。
失礼ですけれど、赤嶺さんのほうが年長のようですし、適任かと思いますのに・・・。」
「あら、それは偏見に過ぎないと思うわ。
ここでは、年齢差などに関係なく、個人の能力で配置が決まるのよ。
あなたにその能力があると判断されたから班長に指名されたはずよ。
この候補生選抜に私見などが入り込む余地は全くないわ。」
「でも、私達は皆若い娘、・・・ひょっとして婚姻歴のある方もいらっしゃるかもしれないけれど。
いずれにせよ、経験が乏しい集団です。
その中でも1年でも2年でも年長の方の経験が凄く貴重だと思いますけれど・・・。」
「それはねぇ、基地長や濱口一尉の言葉を借りれば、娑婆ではそうかもしれないけれど。
ここは今まで私達が生活していたところとは全く違う場所なの。
言わば外国に近いところよ。
そんな習慣も風俗も違うところで、今までの経験が何の役に立つと思う?
実はね。
私は戦争未亡人なの。
だから、あなた方よりも殿方のことは多少知っているかもしれないけれど、だからといってここでの訓練や研修でさほど役に立つとは思えないわ。
ご老体に近い教官連中をわざわざ口説くなんてことはあなたも考えないでしょう。
むしろ、此処では適応能力と身体能力に秀でた者が優秀なんじゃないかしら。
私も一応女学校を出ているのだけれど、船内でわずか数時間の間にあれほどの知識を教えられるのならば、女学校で教わった事は一体何だったのだろうと思うわけ。
例えば、私、英語は多少読み書きできたけれど、少なくとも中国語やロシア語は全くわからなかったはずなのに、今は知っている。
あなた方も同じでしょう。」
「はい、私は尋常高等小学校しか出ていませんから、外国語なんてとてもとても手が届くところではなかったはずです。
でも、今は多分わかると思いますし、文章を書く事もできると思います。」
「その点では知識は同じわけね。
後は、それらの知識をどう応用するかなの。
あなたが班長に指名されたのは63名の隊員を指導して行く力があるからよ。
少なくとも第一次の適性試験で機械がそう判断したはずなの。」
「そんなぁ、当てにならない機械の判断を当てにするなんて無茶です。」
「あら、それこそ、可笑しいわよ。
当てにならない機械が、あなたや私達に知らないはずの外国語やその他の知識を教えられるはずがないでしょう。
それにこの基地の中身だって、・・・。
とてつもない大きさである上に物凄い装備よ。
これだけの技術を持つ会社が日本にあったなんて本当に信じられないほどだわ。」
「ウーン、確かにそうですよね。
私達に与えられた知識から類推するだけでも娑婆の世界とは大分違いますね。
少なくとも今の日本にこれだけの設備を作れるだけの技術も材料もないはずです。
頭の上には推定でも800m以上の岩塊が乗っているのに、其処に高さ200mもの地下空間を支えるための強度がどのぐらいになるか・・・・。
それに、水深200mの海底に横穴を掘って、其処へ大きな潜水輸送船を通す事にどれほどの建設技術と科学技術が必要かなど。
少なくとも雄冬岬の灯台守や付近の住民は夢にも思わないと思いますし、おそらくは世界中の誰もが気付いてはいないのだろうと思います。」
「そう、私達以外にはね。
で、その秘密を知っている私達がその技術を疑ってどうするのよ。」
「でも、・・・。
その技術とは違うのではないのでしょうか。」
「そうよ。
違う技術だけれど、少なくとも人間の頭脳を良く知っている技術だわ。
でなければ、見たこともない触れた事もない者にどうやってその知識を与える事ができるの。
あなたもそうだと思うけれど学校で算数を習ったわよね。
数の概念って本当は物凄く難しいものなのよ。
例えば0のこと。
0で何もないということなんだけれど、それを考え付き、数字で表すのに少なくとも人類は五千年もかけているのよ。
インドで発見されペルシャを通じてヨーロッパに伝わった。
0がなければ算数は発達しなかったはずよ。
そしてね。
河合さんも大山さんもまだ触れてはいないだろうけれど、自習室にある情報端末、あれは凄い技術の蓄積が有って初めて出来るものよ。
多分、世界中を探しても他にはないものの一つだわ。
百科事典など及びもつかないほどの英知があの中には詰まっている。
だから、誰かは知らないけれど凄い天才が此処にはいるんだと思うの。
どうやってあれだけの情報を取り込んだのか、私はそれを知りたいと思ったわ。」
「でも、・・でも、それでは見たこともないその天才が私の能力を見抜いて班長に選んだということ。
そんなこと・・・。
とても信じられない。
それに、自分のことは私が一番良く知っています。
私が皆さんを引っ張ってゆくなんて、とても・・・・。」
サキの声も最後は消え入りそうであった。
一人はサキと同じぐらい、もう一人も同じぐらいだが多分年長者だろう。
「私、境シノブです。
よろしく。」
「私は、吉見かおるです。
どうぞよろしく。
中へどうぞ。」
部屋の中は非常に広かった。
幅が10mほど、奥行きも同じぐらいある。
通路と同じ配色の壁と天井、床には絨毯である。
部屋の中央に楕円形の大きなテーブルがあり、応接用の椅子が6つ並んでいる。
応接用のソファ4つは3人掛け、二つは二人掛け用で、住人8人が十分に座れるものである。
ちょっとした会食でも出来そうな雰囲気である。
正面奥に三つのドアがあり、化粧室、浴室・洗濯室、台所とそれぞれ表示がある。
左右の奥には、ドアなしのアーチ状の出入り口が一つずつ、アーチ状の鴨居に自習室・寝室と表示されている。
応接椅子と壁との間には距離があり、台車が通っても十分な余裕がある。
「荷物は、寝室のロッカーに入ります。
河合さんの寝室は右手にありますよ。」
赤峯裕子が教えてくれた。
なるほど、アーチの柱にはネームプレートがあり、サキのプレートが差し込まれていた。
アーチをくぐると、幅が2mほどの通路があり左側にドアが4つ並び、右側には間仕切りで仕切られた区画に机と椅子が置かれ、机には電子端末が置かれていた。
自習室のようである。
間仕切りにネームプレートがあり、寝室ドアにも表札代わりのネームプレートが掛かっている。
ドアには取っ手らしきものがないが、ドア左手にセンサーがあり、左手首につけた腕時計をかざすとドアがスライドして開いた。
センサーのプレートにはインターホンも装備されている。
寝室内部に入ってみると5mほどの奥行きと3mほどの幅があった。
日本間に置き換えれば、9畳程もあることになる。
室内奥には大きな床から天井までの嵌め殺しのガラス窓があり、レースのカーテンが閉められている。
ガラス窓の両脇には遮光用の淡いベージュ色のカーテンが絞られていた。
右側壁沿いに、窓枠から少し離してベッドが置かれ、その上に寝具一式がきちんと畳まれていた。
同じく右側壁沿いに二人掛け用のソファが一脚と小さなテーブルが一つある。
反対側の壁は全面折りたたみ式のドアが二組あり、クローゼットになっている。
入り口に近い方には小さな棚が幾つもついた下駄箱になっているほか、外套などを掛ける留め具がついていた。
窓側に近いクローゼットには衣装ダンスが設置され、残りは二段のハンガー・バーが装備されている。
多数のハンガーも吊り下がっていた。
クローゼット自体奥行きが1m半ほどもあり、コンテナごとそのまま収容する事も可能である。
時計を見るとまだ12時になっていなかったことから、サキはコンテナの中を整理してクローゼットに収納することにした。
衣類が二つ、靴類が一つ、装備類が一つのコンテナである。
第1種、第2種制服が二組、制服用のネクタイとネッカチーフが3組、第3種、第4種制服が3組、作業服が2種類二組、運動服が3種類2組、それに見合う制帽類多数、水着も2着あった。
サキは漁師の娘ではあるが泳げない。
水泳訓練もあるのだろうかと心配になった。
制服用の靴、今履いているものと同じものが一足、色違いが二足、運動靴が二足、長靴で種類の異なる靴がそれぞれ二足である。
下着類はパンティ、ブラジャーが5着、靴下が5足、長い靴下が5足、パンティストッキングが5足である。
そのほかにも寝巻き用のパジャマが2着、浴衣と帯が2着分、ブルマーと半そでTシャツが2着、タオルが5枚、バスタオルが3枚、厚手のハンカチ5枚、薄手のハンカチ5枚などが支給されている。
装備類のコンテナを開けて驚いたのは、自分の名前入りの自動小銃が一丁入っていた事である。
弾丸はないが、弾倉は付属しており、手入れ用具も完備している。
そのほか、皮手袋3双、冬季用の外套1着、雨着2着、迷彩戦闘服4着、小型無線機1個、送受信機付防弾ヘルメット1個、航空ヘルメット1個、飛行服2着、ウエットスーツ、潜水マスク、シュノーケル、フィンなど素潜り用具一式等が支給されていた。
これらだけでもこれから行うべき訓練量が並外れたものであることが判る。
サキは思わずため息をついてしまった。
携帯してきた荷物を整理して、空きコンテナを入れ子にして片付けたところ12時半少し前であった。
14時からは食事になるが、その前に共用のスペースを確認し、同室の同僚ともいろいろ話したいことがあったので居間に向かった。
共有の居間には、赤峯裕子、境シノブ、吉見かおるの他にもう一名が応接セットに座っていた。
その一人が立って自己紹介をする。
「私、大山ユキです。
よろしくお願いします。」
サキも慌てて自己紹介をする。
楕円テーブルを囲むように、サキも腰を降ろした。
「赤嶺さんたちは、私達よりも先に到着していましたが、何か情報はございますか。」
サキの質問に赤峯裕子が首を横に振って答える。
「今も、大山さんと情報交換をしていたのだけれど、あなた方と同じ程度の情報しか有りません。
ただ、自習室にある端末でいろいろな情報は得られるので是非確認しておいた方がいいでしょうね。
私達もあなた方より二時間ほど早く来ただけで、特別あなた方に先んじているわけではないの。」
「でも、なぜ、私が班長なんかになったのでしょう。
失礼ですけれど、赤嶺さんのほうが年長のようですし、適任かと思いますのに・・・。」
「あら、それは偏見に過ぎないと思うわ。
ここでは、年齢差などに関係なく、個人の能力で配置が決まるのよ。
あなたにその能力があると判断されたから班長に指名されたはずよ。
この候補生選抜に私見などが入り込む余地は全くないわ。」
「でも、私達は皆若い娘、・・・ひょっとして婚姻歴のある方もいらっしゃるかもしれないけれど。
いずれにせよ、経験が乏しい集団です。
その中でも1年でも2年でも年長の方の経験が凄く貴重だと思いますけれど・・・。」
「それはねぇ、基地長や濱口一尉の言葉を借りれば、娑婆ではそうかもしれないけれど。
ここは今まで私達が生活していたところとは全く違う場所なの。
言わば外国に近いところよ。
そんな習慣も風俗も違うところで、今までの経験が何の役に立つと思う?
実はね。
私は戦争未亡人なの。
だから、あなた方よりも殿方のことは多少知っているかもしれないけれど、だからといってここでの訓練や研修でさほど役に立つとは思えないわ。
ご老体に近い教官連中をわざわざ口説くなんてことはあなたも考えないでしょう。
むしろ、此処では適応能力と身体能力に秀でた者が優秀なんじゃないかしら。
私も一応女学校を出ているのだけれど、船内でわずか数時間の間にあれほどの知識を教えられるのならば、女学校で教わった事は一体何だったのだろうと思うわけ。
例えば、私、英語は多少読み書きできたけれど、少なくとも中国語やロシア語は全くわからなかったはずなのに、今は知っている。
あなた方も同じでしょう。」
「はい、私は尋常高等小学校しか出ていませんから、外国語なんてとてもとても手が届くところではなかったはずです。
でも、今は多分わかると思いますし、文章を書く事もできると思います。」
「その点では知識は同じわけね。
後は、それらの知識をどう応用するかなの。
あなたが班長に指名されたのは63名の隊員を指導して行く力があるからよ。
少なくとも第一次の適性試験で機械がそう判断したはずなの。」
「そんなぁ、当てにならない機械の判断を当てにするなんて無茶です。」
「あら、それこそ、可笑しいわよ。
当てにならない機械が、あなたや私達に知らないはずの外国語やその他の知識を教えられるはずがないでしょう。
それにこの基地の中身だって、・・・。
とてつもない大きさである上に物凄い装備よ。
これだけの技術を持つ会社が日本にあったなんて本当に信じられないほどだわ。」
「ウーン、確かにそうですよね。
私達に与えられた知識から類推するだけでも娑婆の世界とは大分違いますね。
少なくとも今の日本にこれだけの設備を作れるだけの技術も材料もないはずです。
頭の上には推定でも800m以上の岩塊が乗っているのに、其処に高さ200mもの地下空間を支えるための強度がどのぐらいになるか・・・・。
それに、水深200mの海底に横穴を掘って、其処へ大きな潜水輸送船を通す事にどれほどの建設技術と科学技術が必要かなど。
少なくとも雄冬岬の灯台守や付近の住民は夢にも思わないと思いますし、おそらくは世界中の誰もが気付いてはいないのだろうと思います。」
「そう、私達以外にはね。
で、その秘密を知っている私達がその技術を疑ってどうするのよ。」
「でも、・・・。
その技術とは違うのではないのでしょうか。」
「そうよ。
違う技術だけれど、少なくとも人間の頭脳を良く知っている技術だわ。
でなければ、見たこともない触れた事もない者にどうやってその知識を与える事ができるの。
あなたもそうだと思うけれど学校で算数を習ったわよね。
数の概念って本当は物凄く難しいものなのよ。
例えば0のこと。
0で何もないということなんだけれど、それを考え付き、数字で表すのに少なくとも人類は五千年もかけているのよ。
インドで発見されペルシャを通じてヨーロッパに伝わった。
0がなければ算数は発達しなかったはずよ。
そしてね。
河合さんも大山さんもまだ触れてはいないだろうけれど、自習室にある情報端末、あれは凄い技術の蓄積が有って初めて出来るものよ。
多分、世界中を探しても他にはないものの一つだわ。
百科事典など及びもつかないほどの英知があの中には詰まっている。
だから、誰かは知らないけれど凄い天才が此処にはいるんだと思うの。
どうやってあれだけの情報を取り込んだのか、私はそれを知りたいと思ったわ。」
「でも、・・でも、それでは見たこともないその天才が私の能力を見抜いて班長に選んだということ。
そんなこと・・・。
とても信じられない。
それに、自分のことは私が一番良く知っています。
私が皆さんを引っ張ってゆくなんて、とても・・・・。」
サキの声も最後は消え入りそうであった。
13
あなたにおすすめの小説
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!
ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。
婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。
「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」
「「「は?」」」
「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」
前代未聞の出来事。
王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。
これでハッピーエンド。
一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。
その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。
対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。
タイトル変更しました。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる