清流学園山楽部 目指せ!南アルプス鳳凰三山

天童晴太

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第38話 ナンバー1のコスプレ女王、決まる!

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 LOVEフェスタの最大のイベント、コスプレライブが行われている会場内で、紛れもなく一番の拍手喝采が沸き起こって居るブースがあった。そう、清流学園内で隠密に結成された[清流学園コスプレ部]の星、如月穂乃花が扮するコスプレイヤー[穂ノン]のブースからであったのだ。

⦅パチパチ! パチパチ! パチパチパチ!! パチパチパチ!! パチパチパチパチ!!!⦆

〚穂ノン! ユカリン! カナン! 穂ノン!! ユカリン!! カナン!! 穂ノン!!! ユカリン!!! カナン!!!〛

 コスプレライブが終わった後、穂ノン、ユカリン、カナンは、ステージ上で手を繋ぎながら観客達に深々と頭を下げて感謝の意を伝える。その素晴らしいライブを披露してくれた可憐な3人に対して、観客達は惜しみない拍手喝采を送り続けて穂ノンブースは騒然と成って居たのである。
 その会場内の異様な盛り上がりを、穂乃花、友香里、華菜はステージ上で肌で感じ取り、感極まって涙を流しながら観客達を眺めて居た。

「観客達の拍手と歓声が鳴り止まないわね。私達のライブを観覧して感動してくれたって事よね」
「あたし達のライブを、これだけの人達が見に来てくれて居たなんて、本当に嬉しいわ」 

「わたくし達3人での完璧なライブ披露が出来て良かったわ。観客達の皆さんの満足感に満ちた表情を見れば分かりますの。沢井さん杉咲さん! 最後にもう一度、観客達に感謝の意を込めて右側と左側の観客達にも挨拶をしましょう」

「うん! 分かったわ。両端に居る観客の近くに行って、挨拶をして来ましょう」
「そうね、両端の観客達の元に行ってファンサービスをして来ましょう。きっと皆さん喜んでくれるわ!」

 両端に居る観客達にも挨拶を送ろうと言う話に成り、まづは右手側に居る観客の元へと駆けて行く穂乃花と友香里、華菜。辿り着くと直ぐ様、3人は手を繋ぐと深々と頭を下げて感謝の挨拶を行う。

〚皆さん、盛大な応援を有難うございました~!!〛
⦅おおー! うおおーー!! おおおおうーー!!!⦆

 真近で笑顔を振りまきながら挨拶をする3人を、目の当たりにした右手側の端っこの観客達から、どよめきが沸き起こる。

「有難う! 端っこに居る僕らの為に、近くに来て挨拶してくれるなんて!」
「う、嬉しいよ! こんなに近くで穂ノン達の姿を見れるなんて最高だよ」

「我らの穂ノンが、こんなに隅っこに居る観客の為に駆けつけてくれるとは、思いもよらなかったよ!」

 穂ノン達の粋な心遣いに、サイリュウムを振りながら歓喜の声を上げる右端の観客達。穂乃花と友香里、華菜は両手を振りながら歓喜の声に答える。

「さあ、今度は左手側の観客の方に行っくよ~!!」
「行こう行こう、左手の観客の元へ!」
「左手の観客の元へ、レディーゴー!!」

 そして3人は、残る左手側の観客の元へ駆け付けるべく大きな声を出して指さしながら、笑顔で駆けて行く。

「ウオーー!! 今度は反対側に居る俺達の所に来たぞ」
「来てくれ来てくれ、私達の近くへ!」
「ああ~こっちに近づいて来てくれるよ。今日は何て良き日なんだ~」

 近づいて来る穂ノン達を見た左手側の観客達は、狂喜乱舞状態で待ち受けて居る。そこへ到着した3人は再び手を繋ぎ合い、観客達に深々と頭を下げて挨拶をして行く。

〚今日は沢山の声援を送ってくださり、有難うございました~!!〛
⦅パチパチ! パチパチ! パチパチパチ!! パチパチパチ!!⦆

 観客からの拍手を貰い、深々と頭を下げたまま感謝の意を表す、穂乃花と友香里、華菜。

「こちらこそ、有難うと言いたい位だよ。本当に穂ノンのファンで居て良かった!」
「ユカリン、カナン! 君達は最高の助っ人ぶりを発揮してくれて有難う。愛花と純奈のコスプレ姿、凄く似合ってるね」

「君達は、本当に地上に降りた天使だよ。僕達は、今日の3人でのライブを見る事が出来て、凄く感激して居るよ!」
「もう、そんなに頭を下げ続けないでくれ。頭を下げて感謝したいのは俺達の方なんだから!」

 観客達から感謝の言葉を掛けられて、ようやく下げていた頭を上げて前を見据える穂乃花と友香里、華菜。そして拍手と声援が鳴りやまぬ会場内を見つめて、感無量の表情を見せながら3人は口を開く。

「今日は、皆さんと一緒にライブで盛り上がれて本当に良かったです。また、会える日を楽しみにしてますね。カナンでした!」

 華菜は観客達に感謝の言葉を述べながら、右足を斜め前に出し両手を広げるポーズを取りニッコリと微笑む。

「こんなに大勢の皆さんに私達のライブを見て貰えて嬉しかったです。今度、君達に会う時はどんなコスプレ姿で現れるかは~ひ・み・つ・です。皆さんのアイドル、ユカリンでした!」

 友香里は両足を開きながら右手の親指と人差し指を立てて鉄砲の様にしながら、観客達を狙い撃ちするポーズを見せる。

「今日は、わたくし達のライブを見る為に駆けつけてくれて有難うございました。この後の投票時間では、わたくし穂ノンに清き1票を投票してね。地上に舞い降りた天使、穂ノンでしたの~」

 最後に穂乃花は、両手の指を口に付けた後、満面の笑みを見せながら観客達に投げキッスを送る。投げキッスを送られた左手側に居た観客達は、もう泣くわ喚くわのお祭り騒ぎと成って行く。

「うおー! 穂ノンが、穂ノンが! 僕に投げキッスを送ってくれたよ。もう幸せ過ぎて、涙が出て来てしまったよ!」

「バッカヤロー! お前だけに投げキッスを送ってる訳じゃないぞ。俺にも心のこもった投げキッスを送ってくれたんだ。穂ノンの真心を感じたよ!」

「穂ノンは皆んなに向けて投げキッスを送ってくれたんだ。自分だけに送られたキッスだと勘違いしないように! 皆んなに平等にキッスを送ってくれたんだ。全員で穂ノンの真心を分かち合うんだ~」

 突然の穂ノンの投げキッスサービスに、感激して色めき立つ観客達は大騒ぎ状態に成って行く。その騒めく観客達を後目に、後退りしながら笑顔で手を振ってステージ上から控え室へと退いて行く穂乃花と友香里、華菜。
 観客達への挨拶を兼ねたファンサービスを終えて、遂に3人の姫様によるコスプレライブが幕を閉じたのである。




 穂乃花と友香里、華菜が控え室に退いた後も騒然とした会場内では、観客達達がライブの余韻に浸かって居たのだった。中央の最前列付近に居た隼人と岸本、親衛隊の面々も穂ノン達の素晴らしいライブを見終えて、感無量の表情を見せながら話し合って居た。

「ふう~、それにしても完璧な歌とダンスを披露してくれたよな。もう僕はテンション上がりまくりで、まだ興奮してるよ~!」
「隼人と同じく、俺もまだ興奮が冷め止まないよ。生で見るライブは臨場感があって素晴らしいものだな」

「君達は、穂ノンのコスプレライブを見たのは初めてだった様だね。穂ノンは歌もダンスも抜群に上手いんだ。そこへ来て、あの可愛らしさとファンを大事にする心遣いが凄く魅力を感じさせてくれるんだよな!」

「そ、そうなんだな。穂ノンの可愛らしさは天下一品なんだよ。それに凄くファンを大事にしてくれるんだ。控室に戻る前に見せた、投げキッスのファンサービス、ぼくも受けたかったんだな」

「そうだよな、投げキッスを貰いたかったなあ。親衛隊の、わたし達でも滅多に貰える事はないんだから、あの端っこに居た人達は本当にラッキーだったと思うな。んん~羨まし過ぎて、何だか悔し涙が出てきたよ!」

「宝田さんの悔しい気持ちは分かるんだな。ぼくは、大粒の悔し涙が溢れているんだよ。う、ううう~穂ノンの投げキッスを貰えなかった悲しみが、ぼくに襲い掛かって来てるよ~」

「泣くな、宝田、中野よ! 悔しい気持ちは分かるが、投げキッスを貰えない位でメソメソするでない。……と、言いたいところだが、やっぱり俺も悔しい気持ちでいっぱいだ。あ、あれあれ、俺の目にも涙が溢れて来たぞ。まづい親衛隊の隊長ともあろう者が涙を流すなんて、、グスン!」

 穂ノンが帰り間際に見せた、ある一部分の観客達に向けた投げキッスのファンサービスに、親衛隊の面々は焼きもちを焼いてしまい、隊長の後藤までも涙を流してしまうのだった。その様子を目の当たりにした隼人と岸本は、唖然とした表情で親衛隊の3人を眺めて居るのだった。

(ちょっと、ちょっと、こんなに派手な外見の人達が、穂ノンからのファンサービスを受けられなかっただけで悔し涙を流し合うなんて、外見からは想像もつかないリアクションをしてくれるよな。どんだけ穂ノンが好きな人達なんだ!)

(投げキッスを受けられないだけで、こんなにも悔し泣きをするなんて! それほど穂ノンが好きな人達だと言う事なんだな。でも、これだけ熱心なファンが居るなんて、穂ノンは幸せ者だと思うよ)

 穂ノンの事で、泣く事までして感情を露わにする親衛隊の面々を、隼人と岸本は驚きながらも[親衛隊]と言う、熱狂的な私設応援団の存在が穂ノンを後ろ盾てている事を改めて気づくのであった。
 その、涙を流す親衛隊の熱気が最高潮に達して居た時! 会場内のスピーカーから可愛らしい女子の声が流れ始めた。

⦅ハーイ! ミポリンだよー!! まだまだ会場内には、ただならぬ雰囲気に包まれていますが、これにてコスプレライブの終了を宣言致します。皆さん、お目当てのコスプレイヤーのライブを堪能出来たかな?
 それでは、この後は観客の皆さん1人1人の投票によって、LOVEフェスタ最高の名誉であるLOVEキングの称号を手に入れる方を決めて行きます。得票数で1位の方は東京で行われる全国大会へと進む事が出来ます。そう、あなたの清き一票で運命の順位が決まるのです。
 では、早速投票を開始したいと思います。投票箱は会場の入口に設けてあります。投票の締め切りは今から30分後に成りますから、支持するコスプレイヤーの方が決まりましたら、各自が投票を済ませてください。それでは皆様、宜しくお願いします~!⦆

 司会者のミポリンからコスプレライブの終了が告げられると同時に、ナンバー1のコスプレイヤーを決める為の投票を始める事が観客達に伝えられた。その運命の投票に向かうべく、観客達は一斉に会場入口に設けられた投票箱の方へと移動して行く。
 その大挙して移動して来る観客達に戸惑う人物が居た。そう、あの怪しい格好をした山岸先生だったのだ。

「おお~投票に向かうべく、観客達が大挙して入口側に向かって来るぞ。……ま、不味いぞ! 星野さんと岸本さんが、私の方に向かって歩いて来るよ。このままでは、バッタリと顔が会ってしまうじゃないか。ここは、私も投票箱の方へ向かう様にして、この群衆の波の中に入って移動する様にするとしよう」

 先生はライブ終了後、直ぐさま観客達の輪の中から出て後ろの方に退いて居たのだが、投票をするべく大挙して移動して来る人の波の中に飲まれてしまうのだった。先生は、そのまま観客達と一緒に移動すると、入り口前に置かれていた投票箱の前へと辿り着く。

「ふう~投票をせずに直ぐに帰ろうと思って居たのだが人の波に飲まれてしまい、そのまま一緒に投票箱の前に来てしまったよ。もう、こうなったら投票も済ませて、最後の結果発表まで見届けて行く様にしようかな。
 幸いにも、私は直ぐに投票出来る位置に付けてるから早々に投票を済ませて、出来るだけ群衆から遠ざかった場所の方に行くとしよう」

 先生は、このまま帰る予定で居た事を変更して、投票を済ませて結果発表を見届けるまで会場に居る事を決意する。そして自分の投票を済ませた先生は、群衆から遠ざかった建物の隅の方へと、そそくさと移動して行く。

「投票が済んだと同時に、この建物の隅っこに移動して来たから、星野さんと岸本さんに感ずづかれなく済んだハズだ。とにかく、この遠ざかった場所から静観して結果発表を見守る事としよう」

 投票を済ませた先生は、建物の隅に移動を完了してホッと一息ついて居るのだった。だが、その先生の思惑とは裏腹に、既に隼人は山岸先生の存在に気付いて居たのだ。

(んんん? さっき投票を済ませて、逃げるようにして立ち去って行った怪しい格好をした人は山岸先生だよな。ハット帽子を被って、メガネとマスクをして変装してるけど、あの背格好と特徴ある歩き方を見れば直ぐに先生だと分かったぞ。
 先生ったら僕から情報を聞き出しといて、やっぱり気に成って会場までコッソリと見に来て居たんだ。と言う事は、教え子のコスプレ姿を見たくて仕方がなかったんだな。教師の身で在りながら、好奇心旺盛な人で本当に困ったもんだよ。
 ……そうだ! 明日に学園で先生に会ったら、昨日は何処に行ってたんですか? と聞いて、真意を問い質して見ようかな。ふふふ、これはどの様な反応を示すか楽しみに成って来たな)

 先生は、完璧な変装だから見破られる事は無いと自身満々だったが日々、学園で顔を合わす事が多い隼人からは簡単に見破られてしまっていたのである。山岸先生、存在を感づかれてしまって、あえなく撃沈!

「さあ、俺達に投票の番が回って来たぜ! この1票を穂ノンに届け様な、隼人!」
「うん! 穂ノンが1位の座を射止める様に、俺達の心の籠った1票を投じような、和也!」

 隼人と岸本は投票所前に来ると互いに顔を見合わせた後、穂乃花が1位の座を手に入れる様に手を合わせてお祈りをすると、投票箱に1票を投じるのだった。そして、2人が投票を終えた後、親衛隊の3人も投票箱の前へと足を運んで来て居た。

「さあ諸君!  俺達、親衛隊が一票を投じる時が来たぞ。穂ノンが、LOVEキングの称号を手に入れる事が出来る様に、1人1人が念じながら投票をする様にな」

「わたし達の気合いの入った応援で、他のブースに居た観客達も刺激を受けて穂ノンを応援する為に駆け付けてくれたから、きっと沢山の人達が穂ノンに一票を投じてくれるハズですよ。穂ノンが1番に成ります様に!」

「ぼ、ぼくたちは全力を出し切って盛り立てる事が出来たんだな。穂ノンのブースには会場中の半分位の人達が集まって居たから、きっと1番得票数が多く成るに違いないですよ。穂ノンがLOVEキングの称号を手に入れます様に!」

「よし! 最後は親衛隊、隊長の俺が投票するぞ。俺達の心のこもった応援が、会場中の人達を穂ノンブースに引き寄せた事は間違いない。ライブを見た人達は必ずや穂ノンに一票を投じてくれるだろう。穂ノンがナンバー1の座を手に入れます様に!」

 親衛隊の面々は自分達の熱烈な応援により、他のブースに居た人達を穂ノンブースに誘い込む事が出来た事で、間違いなく穂ノンに一票を投じる人達が増えた事を信じて投票を済ませたのであった。
 そして観客達による投票が進んで居た頃、控え室内ではライブを終えた穂乃花と友香里、華菜が、身体を休めながらライブの余韻にしたって居た。




「ふう~ライブが終わった途端、疲れがドッと出て来たわ。何だか精も近も尽き果てた様な感じに成って身体の脱力感を凄く感じるのだけど」

「ライブが終わって緊張感から解き放たれたから、精神的、肉体的な疲れが出て来たのよ。でも、やり遂げたって言うこの高揚感が堪らなく気持ち良く感じるわ」

「ライブを行って居る時って、観客からの視線を浴びて身体のテンションが上がりますのよ。だけどライブが終わった後は、その開放感からか身体に反動が来て、脱力感に襲われてしまうんです。まあ、その脱力感に襲われる度合いが強いほど、ライブが上手く出来て成功したって言う事に繋がるんですけどね」

「穂乃花は今までにもライブを行って来た事が有るから、ライブ終了後に襲われる、この身体の脱力感を経験してるんですものね。そうか~この脱力感の度合いが強いほど、ライブが成功裏に終える事が出来たって事なのか~」

「それじゃあ私達が今に感じて居る、もの凄い身体の脱力感の度合いからするとライブが大成功したって事じゃないかしら? そう言う事に成るのよね、如月さん!」

 ライブが終わった後に訪れる身体の脱力感が凄い事で、これはライブが大成功した証なのでは? と、友香里と華菜は感じた様である。その2人の満足感に満ちた笑顔を見て居た穂乃花は話し出した。

「そうね、沢井さんと杉咲さんがお察しの通り、これだけの脱力感が身体を襲ってるのだから、ライブが大成功の内に終えられたと言う事で宜しいと思いますわよ。そう、わたくし達は練習の成果を出し切って、ノーミスで歌とダンスを披露して観客達を釘付けにする事が出来たわ。
 ですから、この後に控えている投票結果の発表では、必ず良い知らせがもたらされると思いますの。自信を持って、その発表の時を待って居ましょう!」

「分かったわ、如月さん! 私達は自信を持って結果を待って居れば良いのね。そうよ、必ず吉報が来るハズよ!」
「わたし達は、最高のライブを披露したんですもの。必ず良い結果がもたらされるに違いないわね。結果発表の時が来るのが待ち遠しく成って来たわ~」

 穂乃花、友香里、華菜は成功裏に終えたライブの出来栄えから、必ずや良い結果がもたらされるのを信じて止まないで居るのだった。その、結果発表の時が来るのを期待に胸を膨らまして待ち望んで居る時だった。またまた、会場内のスピーカーから、あの司会者の声が響き渡った。

⦅ハーイ! またまた登場、ミポリンだよ~会場の皆さん、投票は済ませたかな? 締め切り時間が来ましたので、これにて投票を終了させて頂きます。これより、票の集計作業に入らせて頂きます。結果発表は、45分後の午後1時からとさせて頂きます。
 その間、観客の皆さんは食事を取るなり、コスプレイヤーとの写真を撮るなり、自由に休憩時間をお過ごしくださいませ。では皆さん、この後の結果発表でお会いしましょう~!⦆

「あっ! 司会者から投票の終了宣言が成されたわ。これから昼の休憩を挟んだ後、いよいよ結果発表が有るのね。何だか、その時が近づいて来てドキドキして来たわ」

「泣いても笑っても、後は結果発表を待つのみとなったわね。この、待って居る45分間の時間が凄く長く感じられてしまい、落ち着いて待って居られそうにないわ。気を紛らわす為に、何かする事はないかしら、穂乃花!」

「そうね、この発表までの待って居る時間が歯がゆく感じられますわね。何か行動を起こしていた方が、気が紛れて良いかも知れないですね。そうだな~ここは控室から出てブースの所へ行きませんか? 
 わたくし達の素敵なフランキュキュの衣装を真近で披露して、観客達と写真撮影のファンサービスをしたら如何かしら」

 結果発表までの時間が、待ち遠しく落ち着かないと友香里と華菜から声が上がる。その事を聞いた穂乃花から、結果発表までの休憩時間を使って写真撮影のファンサービスをしようと提案が成された。

「えっ! 観客達と写真撮影をすると言うの? それは~何だか恥ずかしい気がするのだけど。如何思う、華菜。貴女の意見を聞かせて欲しいわ」

「んん~そうだなあ、少し恥ずかしい気もするけど。でも、控室で何もせづに待ってるよりも、観客達にファンサービスをしてた方が気もまぎれるし、楽しく過ごせられそうで良いんじゃないかしら。だから写真撮影に行ってみましょうよ、友香里!」

「そうか~確かに観客達と一緒に居た方が、気が紛れて良いかも知れないわね。うん、分かったわ! こうなったら大事なファンの方達と過ごしてファンサービスをする様にしましょう~」

「友香里もその気に成った様ね。今日の応援のお礼と言っては何だけど、あたし達の可憐なコスプレ姿を写真に収めて貰い、ファンと一緒に過ごす様にしましょう」

「如何やらお二人さんも、やる気に成った様ですね。これで決まりましたわ。それじゃあ早速、ステージの方に出向いてファンサービスを行って来ましょう。では、ファンの元へレッツゴー!!」

 穂乃花の提案通り、写真撮影のファンサービスを行う事に決めた友香里と華菜。そして穂乃花の掛け声の元、控室を出てステージ上に出て行くのだった。ステージに登場するや否や、これから写真撮影会を行うとの旨が伝えられる。
 その事を聞いた観客達は一斉に穂ノンブース前に集まって来る。そして、穂ノン、ユカリン、カナンと写真撮影に臨んで行く観客達。穂ノンと一緒に笑顔でピースサインをして一緒に写真に納まる者。
 ユカリンとカナンの元に近づき一緒に記念撮影に臨むかと思いきや、
「愛花と純奈のコスプレ姿が可愛いすぎる。暫くの間、その可憐な姿を拝ましてくれないか!」
 と言って、ユカリンとカナンの前に膝を付いてしゃがみ込み、神を崇める様な眼差しで両手を合わせて拝み始める者。そして、その神を崇拝する様な奇妙な光景を写真に収めようとシャッターを切る者。

 そんな多種多様な観客達と笑顔で接しながら、ファンサービスを行って行く穂乃花と友香里、華菜。ファンを大事にすると言う心意気を見せている穂ノンのブースは、会場内のコスプレイヤーのブースの中でも格段に盛り上がりを見せて居るのであった。
 その和気あいあいとした雰囲気の中で過す観客達との時間もアッと言う間に過ぎて行き、時刻は12時55分と成っていた。その結果発表の時間が刻々と迫っていた時、あの司会者の声がスピーカーから流れ馴染めた!




⦅会場の皆様、お昼のひと時を楽しんでますか~? お目当てのコスプレイヤーとの写真撮影が出来て盛り上がっている様だね。皆さんの熱気が最高潮の様ですが、ここで運営本部からお知らせが有ります。只今、票の集計が終わり、正式に順位が確定しました。
 これより、閉会式並びに表彰式を執り行いたいと思います。出場されたコスプレイヤーの方達は、ステージ裏の選手控室にお集まりください。では、お待ちしておりま~す!⦆

 司会者のミポリンから、票の集計終了と閉会式並びに表彰式の旨が伝えられた。その事を聞いた参加コスプレイヤー達は、観客達に別れを告げて選手控室へと移動して行くのだった。
 そして、コスプレイヤー達の姿が見えなく成ってから10分後、スピーカーから賑やかな音楽が流れ始めた。如何やら、閉会式の始まりを告げる音楽が会場内に鳴り響いたのである。そして、司会者のミポリンがステージ上に登場して来た。
 その登場して来た姿は、ちょっぴり短めスカート、腕章入り半そでブラウスにネクタイを締め、ポリスハットを被り警棒を腰に掛けた、可愛い婦人警官姿であったのだ。ここで再度、゛制服系゛のコスプレ姿で登場したミポリンの姿に会場内の観客達から一斉に歓喜の声が上がる。

「おおー! ミポリンがまたもや制服系のコスプレ姿で登場して来たぞ」
「この閉会式でも、新たに着替えてコスプレを披露してくれるなんて、サービス精神旺盛なミポリンの心意気が嬉しいよ!」

「しかも、今度はセクシーミニスカートの婦人警官姿での登場だ! こんな可愛いい婦人警官が居たら逮捕されてみたいな~」

「そうそう、こんなに可愛らしい婦人警官になら逮捕されても良いよ。是非とも、俺に手錠を掛けて捕まえて欲しいな!」

 ステージ上に現れた、婦人警官姿のミポリンに一喜一憂しながら、貴女なら逮捕されても良い! と懇願する観客達。
 そのテンション上がる観客達を目の当たりにしたミポリンはニッコリと微笑んだ後、徐にスカートのガンホルダーに手を入れて拳銃を掴むとスッと手を出した。そしてミポリンは拳銃を握り締めると、観客達の方に銃口を向けた。

「ちょっと、皆んな騒々しいわよ! そんなに私に逮捕して貰いたい何て、私が可愛い過ぎるからなのかしら。そうね~希望に答えて逮捕してやりたいところだけど、今は大事な閉会式前なのよ。会場の皆んなが余りにも騒々し過ぎるわね。
 これは一度、私から活! を入れて気持ちを静める様にして上げる必要が有る様ね。それには、こうするしかないわ。会場の皆んな、私の方を向きなさい!!」

 ミポリンから、皆んなの気持ちを静める様にしてあげるから! と、声が掛けられて一斉にミポリンの方に顔を向ける観客達。すると、ミポリンは両手でしっかりと拳銃を握り締めると観客席の方に銃口を向けて引き金を引いた。

「そこの中央の君、バン! 次は後方の君、ババン! お次は左側の君、バババン! ! 最後は右側の君、ババババン!!! ふう~これで皆んなを狙い打ち出来たわ。さあ、大挙して倒れなさい!!」

 打ち終わった後、銃口にフッと息を吹きかけてスカートのガンホルダーに拳銃を収める、ミポリン!

「うわ~ミポリンに打たれた~う、うう苦しいよ」
「む、胸を撃ち抜かれたあ。……騒々しくて御免な、ミポリン」

「もう僕は、ミポリンに打たれたて幸せな気分だよ~」
「打たれたお腹から赤い血が! なんじゃ、こりゃあー!!」

 ミポリンの拳銃で撃たれた観客達は、顔を歪ませて倒れる者、お腹を押さえて苦しむ者、胸を撃ち抜かれた事をアピールする者、様々な迫真の演技を見せて居るのだった。モデルガンで、ぶっ放す演技を見せるミポリンに対して、お約束の演技をして答える観客達には恐れ入ってしまうのである。

「皆んな良い子だわ~凄く上手に倒れてくれたわね。よし! お仕置きタイムは終了よ。如何やら、皆んなの気持ちが静まった様ね。これで、落ち着いて閉会式が出来るって言うものよ。それじゃあ諸君! 閉会式を始めるわよ。準備はオッケーかな~?」

 拳銃で撃たれて冷静に成った会場内を確認したミポリンは、耳に手を当てながら閉会式を始める事を観客達に問い質す。
〚じゅ、準備はオッケー! 閉会式始めちゃって~〛

「何だ何だ、覇気が無いじゃないか! そんな元気の無い声じゃあ始める事は出来ないよ。次に大きな声が出なかったら、また拳銃をぶっ放してハチの巣にしちゃうからね。さあ、もう一度聞くよ。準備はオッケ―かなー!!」

 覇気が無い観客達に向かって、もう一度拳銃を取り出し威嚇しながら女王様の様なノリで問い質すミポリン。

〚ミポリーーン! 準備はオッケーだっよーー!! 開会式始めちゃってーー!!!〛

「よーし、合格! 元気の良い素晴らしい掛け声が出たね。やれば出来るじゃないか! それじゃあ、閉会式始っめるよ~出でよ12名のコスプレイヤー達!!」
 ミポリンが観客達の掛け声に合格を出して、遂に閉会式の開会が宣言された。

⦅ヤッホー♪ 歌って歌って♪ 踊って踊って♪♪ カカ、カワイイー♪ ベリーベリーグッド♪♪ ああ、ありえないー♪ うつくし過ぎるその姿♪♪ まさに天使だぜー♪ アイラブユー♪ ナンバー1♪♪ ラブ♪ ラブ♪ LOVEフェスタ♪♪⦆

 そして、大会テーマソング[ラブラブLOVEフェスタ!]の曲がスピーカーから流れ始めると出場コスプレイヤー達が一人また一人、ステージ上に現れて来て観客達の拍手喝采が湧き起こる。
 コスプレイヤー達も大きく手を振り、観客達に最大級の笑顔を見せて歩きながら、ステージの立ち位置に到着して行くのであった。




「はーい! 参加コスプレイヤーの皆さん、ステージ上に勢ぞろいしましたね。どのコスプレイヤーも、全力を出し切って戦ったと言う清々しい表情を見せて居るわね。
 素晴らしいコスプレ姿を披露してライブを行い、会場中を沸かせた可憐なコスプレイヤー達に盛大な拍手をお願いします~」

⦅パチパチパチ! パチパチパチ! パチパチパチパチパチ!!⦆
 ミポリンに後押しされて、一斉に笑顔を振りまきながら拍手を送って行く観客達。

「凄い拍手がコスプレイヤー達に送られていますね。それだけ、今日のLOVEフェスタが盛り上がりを見せていたって事よね。それでは、この会場内を歓喜の渦に巻き込んだコスプレイヤー達の順位を発表する時が来ました。
 先ほど票の集計が終わりまして、わたしの手元に確定した順位表の用紙が有ります。……なるほどね~フムフム、やはりこの3人が上位に入って居るわ」

「おーい、ミポリン! 一人だけ順位表を見て頷いてないでくれよ~」
「そうだぞー! ぼく達にも知らせて欲しいな」
「結果を知らせるのは、司会者の務めじゃないか!」

 一人、順位結果の用紙に見入って居るミポリンに対して痺れを切らした観客達は、結果を知らせる様に催促の言葉が飛ぶ!

「あっ! ごめんなさい、わたし一人が順位が分かって居てはダメだわ。会場中の皆さんに知らせなければですね。では、気を取り直していよいよ順位を発表したいと思います。まづは、第3位の発表を致します!」

⦅ドゥルルルルルー♪ ドン♪⦆←順位を告げる前の伴奏
「得票数92票を獲得した三重県代表の~サクラさんです! おめでとうございま~す。一歩前へどうぞ!!」

 3位の三重県代表のサクラさんにスポットライトが浴びせられる。驚いたサクラはドギマギした表情を見せながら一歩前へと出る。

「有難うございます。皆さんの投票により、3位の座を手に入れる事が出来ました。何だか夢の様です!」
「まづは、第3位の座を射止めたサクラさん、本当におめでとうございます! 続いて第2位の発表を致します」

⦅ドゥルルルルルー♪ ドン、ドン♪♪⦆
「第2位の座を手にしたのは、得票数125票を獲得した愛知県代表のナナコさんです! ナナコさんに、皆さん盛大な拍手を~」

⦅パチパチ! パチパチパチ!! パチパチパチパチ!!⦆

 第2位の座を射止めた、愛知県代表のナナコさんに拍手が送られ、二つのスポットライトが浴びせられる。ナナコさんは感激の余り、涙で潤んだ顔を両手で押さえながら一歩前へと足を運ぶ。

「あ、有難うございます! 私を支持してくれて投票をしてくれた方のお陰で、2位と言う輝かしい結果を残せました。嬉しくて嬉しくて、仕方がありません。今までコスプレ活動をして来て本当に良かったです」

「第2位の座を射止めた嬉しさから、ナナコさんは感激のあまり目が潤んでいますね。貴女がLOVEフェスタで頑張る姿を、観客達がしっかり見守ってくれて居たからこそ、沢山の得票数を得られたのですよ。
 これからも支持してくれたファンを大事にして、コスプレ活動を続けて行ってくださいね。では、次の順位の発表に移らせて貰います。残すところは、ただ1つですね。そう、第1位のLOVEキングの称号を手に入れた方の発表を致します!」

 残すところ、第1位の発表のみとなり、それまでの騒然とした雰囲気だった会場内は静寂に包まれて行く。無理もない、第1位の得票数を得た者はLOVEキングの称号を手に入れ、東京で行われる全国大会へと進む事が出来るからだ。
 その観客達の中でも、穂乃花がナンバー1の座に付く事を夢見て、運命の発表を前に固唾を呑んで見守る親衛隊の面々と隼人、岸本。あっ、もう一人大事な方が居ました! 怪しい格好をして居る山岸先生を忘れてはダメですね。

(ぼくは君の笑顔と優しさに触れて、何度も勇気づけられたんだな。そのお陰で、ぼくは引きこもりから脱する事が出来て、更正して社会復帰が出来たんだ。穂ノンのファンに成って1年半。君の為なら、たとえ火の中水の中でも君を応援する事を誓うよ。穂ノンがLOVEキングの称号を手に入れます様に!)

(君の追っかけを始めて早2年。わたしが、穂ノンのファンに成ったきっかけは、君がセー○ームーンの姿で、〇に代わってお仕置きよ! といって、わたしにお仕置きポーズを決め込んでくれた事からだった。
 そのお仕置きを貰った事で、わたしは穂ノンのファンで居続ける事を決めたんだ。神様、穂ノンにLOVEキングの称号をお与えください!)

(とうとう、この時が来たな! 俺は穂ノンがデビューして間もないころからファンと成り、今日まで応援し続けて来た。途中、穂ノンファンであった宝田と中野に知り合い、そして今日では親衛隊を一緒に結成して盛り立てて来たんだ。
 その俺達の穂ノンが、とうとうこの大舞台に立ってるんだ。神よ、おお~神よ! 必ずや、穂ノンをナンバー1の座に就かせてやってください!)

 穂ノンのファンと成り、同じファン同士で意気投合して親衛隊を結成し、今日まで熱烈に応援して来た事を、走馬灯のように思い起して居る親衛隊の面々。3人はステージ上の穂ノンに向かって両手を合わしてお祈りをする。

(俺の大好きな如月穂乃花! 清流学園に入って君の存在を知って、君の事が好きに成って、コスプレが趣味と言う君の秘密も知った。もう俺の頭の中は、如月穂乃花で埋め尽くされてしまってるんだ。
 これからも、君をずっと好きで居るよ。君がナンバー1に成る事を切に願う。俺の願い、聞いてください神様!)

(同じ部活動を通じて知り合いに成った如月さん。初めて君を見た時、何て清楚なお嬢さんなんだ! と心底思ったんだ。だけどコスプレの趣味を持ち、有名なコスプレイヤーである事を知った僕は、とても驚いてしまい人は見かけによらないんだなと思ったんだ。
 だが、その時の驚きは吹き飛んでしまったよ。今は君のコスプレ活動に関心を持ち、応援して支えて行こうと考えてるんだ。その優しさと可憐な笑顔の君なら、必ずやLOVEキングの称号を手に入れる事が出来るハズさ!)

 同じ学園に通う穂乃花に思いを寄せる岸本和也は、これからも好きで有り続ける事を誓いながら、穂乃花がトップの座に付く事を信じて神様に懇願する。
 隼人は同じ部活動に席を置き、コスプレイヤーとして活動する穂乃花を応援して支えて行く事を誓いながら、ステージ上に居る穂乃花に向かって笑顔を届ける。 

(我が山楽部の部員である如月に、コスプレの趣味が有る事に最初は驚いて居た。だが今日に、コスプレイヤー達が集まる、この盛大なイベントに訪れてみて驚きから興味へと変わった。もうこれは、単なるオタクのイベントではなく、君のコスプレ活動は沢山のファンを魅了して元気付けて居るんだよ。
 これからも、部活と両立しながら有名コスプレイヤーとして活動して行くんだ。如月の名前が1位で呼ばれる様に、神にお祈りをしておこう)

 山岸先生は、山楽部に席を置く穂乃花が自身の趣味であるコスプレを肯定して受け入れ、夢と勇気を与えるコスプレ活動を部活と両立しながら継続して行く事を切に願う。そして、穂乃花が1位に成る様に両手を合わして神に願うのだった。

⦅ドゥルルルルルルルーー♪ ドゥ♪ ドゥルルルルルルルルルーーー♪⦆←長い前置きの伴奏。

 余りにも長過ぎる前置きの伴奏が流れ、焦らす演出をするLOVEフェスタ運営。加えて会場内の沢山のスポットライが上へ下へ、右へ左へ動かされて、ステージ上のあちらこちらを照らして行く。

⦅ドゥ♪ ドゥルルルルルルルーー♪ ドゥ♪ ドゥ♪ ドドゥ♪♪⦆
 長い伴奏が鳴り止み、沢山のスポットライトの動きが止まり、ステージ上の一カ所の場所を照らした!

「はい! LOVEフェスタ東海大会の優勝者は、ダントツの得票数298票を獲得した静岡県代表の穂ノンさんです。2位にダブルスコア以上の差をつけての文句なしの優勝を果たした穂ノンさんに、盛大な拍手をお願い致します!」

⦅うおおおおおーーー!!!⦆
⦅パチパチ! パチパチパチ!! パチパチパチパチ!!!⦆

「やったー! 穂ノンが優勝したぞーー!!」
「穂ノン、おめでとう! とうとう君はLOVEキングの称号を手に入れたんだね」

「俺達の穂ノンが、とうとう頂点を極めたぞ!」
「うおー! これで穂ノンは全国大会への切符を手にしたんだ」

 優勝を果たした穂乃花に向けて、会場内の観客達は一斉に歓声を上げて拍手を送る。

「さあ、穂ノンさん! 私の居るステージ中央の所まで来てください」
 沢山のスポットライトの光を浴び、建物を揺るがすほどの歓声と拍手を受けた穂乃花は、驚きの表情を見せながら司会者のミポリンの元へと向かって行く。

「穂ノンさん、優勝おめでとうございます! 貴女は、2位のナナコさんにダブルスコア以上の得票差を付けて大差での勝利でした。これだけの差をつけての優勝はLOVEフェスタ始まって以来の事なんです。
 如何でしょうか、穂ノンさん。 沢山のファンの支持を受けて優勝を果たした率直なご感想を聞かせてください!」

「は、はい! まづは、ファンの方にお礼を言わせてください。わたくしは、このLOVEフェスタで1位に成り、LOVEキングの称号を手に入れる事を夢見て今までコスプレ活動をして来ました。
 その夢が遂に今日、叶う事が出来ました。これも、応援してくれて投票をしてくださったファンのお力添えが有ったからこそです。ファンの皆様、本当に有難うございました!」

 穂乃花は、1位の座へと押し上げてくれたファンにお礼の言葉を述べると、深々と頭を下げて感謝の意を送るのだった。




「そうですね、優勝を果たせたのは沢山のファンの支持を獲得する事が出来たからこそですね。その、感謝の想いを伝えるべくファンの皆さんに頭をお下げに成りました。この姿を見て、穂ノンさんは凄くファンを大事にされる方だと言う事が分かりました。
 これからもファンを大事にしてコスプレ活動をなさり、次なる高みの全国大会に向けて一層の精進をして行ってくださいね」

「はい、ファンの方達が居るからこそ今の、わたくしが有るんです。これからもファンの方達を大事にして一緒に歩んで行きたいと思います。それと、今日のコスプレライブで、わたくしをサポートしてくれて一緒にライブを行ってくださった、わたくしの大事な友人をここで紹介をさせて欲しいです。
 この方達が居たからこそ、これだけ多くの得票数を得られたのだと思ってます。紹介して宜しいでしょうか、ミポリンさん!」

「はい、宜しいですわよ。先ほどの3人で行って居たコスプレライブでは沢山の観客が集まり、異様な盛り上がりを見せてましたからね。これだけの得票数に成った事はお友達のサポートが有ったからこそですね。是非、この場にお呼びに成ってください!」

「ミポリンさん、許可をして頂き有難うございます。では、わたくしの大事な友人であり、コスプレ仲間であるお二方を、この場に呼ばせて頂きます。ユカリンさんカナンさん、こちらのステージ上に来てください~!」

 穂乃花は1位の得票数を得るのに、最高のサポートをしてくれた友香里と華菜を称える為に、マイクを持ち大きな声で名前をコールした。するとステージ裏の控え室から〚はーい! そちらに行きまーす!〛と2人の声が響わたり、颯爽と姿を現して穂乃花の元へ駆け付けて来た。

「皆さん、こんにちは。伝説の平成アイドルのユカリンでーす!」
「はあ~い! あたしが伝説の昭和のアイドルのカナンです」

 穂乃花の両隣りに立つや否や、コスプレ姿のキャラクターをアピールしながら観客達に手を振って挨拶をする友香里と華菜。

「はい、元気良くステージ上に現れてくれましたね。2人共、ゾンビランド加賀に出てくる伝説の平成アイドル[愛花]と、伝説の昭和アイドル[純奈]の衣装のままで登場ですね。先ほどのライブでは、素敵な歌声とキレッキレのダンスを披露してましたね。
 穂ノンさんとの息もピッタリと合っていて、素晴らしいコスプレライブを披露してくれてました。皆さんは余ほど練習をして、本番に備えて来たのではないですか?」

「その通りでーす! 学校での昼休みと休日を利用して、限られた時間の中で一生懸命練習をして本番に臨みました」
「穂ノンさんと3人で、血の滲む様な練習を熟して来た成果が本番で身を結び、観客の皆様の前で披露する事が出来ました」

「予想以上にユカリンさんとカナンさんが、歌とダンスのセンスが良く呑み込みも早くて、3週間と言う短期間で覚える事が出来たんです。この本番の大舞台で、その練習の成果を遺憾なく発揮する事が出来ました」

「そうなんですか! あの完成度の高い歌とダンスを僅か3週間の期間で得とくしてたなんて、驚きの一言に尽きますね。そのクオリティーの高いライブを見せる事が出来たから、観客の方達の心を掴む事にも成功する訳ですよ。
 ……もしかすると、他にも曲を練習して得とくして居たりするのではないですか、穂ノンさん!」

 完成度の高い歌とダンスを披露して、観客を魅了した3人を褒めちぎる司会者のミポリン。そして興味は、他の楽曲もマスターしてるのではないのか? と言う事に興味を抱いて問い掛けるミポリン。

「あっ、他にもマスターしてる楽曲が有るか気に成るんですね。そうですね~実を言うと、あと1曲マスターして有って披露する事が出来るんですの」

「何ですって! やはり他にも披露する事が出来るんですね。それは、如何いう楽曲なんですか。もしかして、ゾンビランド加賀の楽曲を他にもマスターしてるんですか?」

「そうなんです、お察しの通りゾンビランド加賀の楽曲に成ります」
「やはり、ゾンビランド加賀の楽曲に成るんですね。では、その曲の名前を教えてくれませんか?」

「はい、教えますわよ。その曲名は、愛花と純奈がメインで歌う楽曲[アツクナリスギル!]なんです!」
「おお~伝説のアイドルコンビが歌う[アツクナリスギル!]なんですか。それは興味深いですね!」

 穂乃花の口から他にマスターしている楽曲があり、ゾンビランド加賀の曲である事が語られた。その事を聞いた観客達は一斉に反応して、ステージ上のミポリンと穂乃花に声が掛かった。

「そうか! 他にも歌える楽曲が有るなんて、嬉しい知らせだな。是非ともその曲を歌って欲しいものだな」

「そうだな、あの気持ちが昂る[アツクナリスギル!]を是非とも見て聴いてみたいものだよ。こうなったら、その一曲を今、ここで披露してくれないかな!」

「その通りだ! ここはアンコールと言う事で[アツクナリスギル!]のライブ披露をしてくれないか」
「それが良いぞ! アンコールで披露してくれ、穂ノン、ユカリン、カナン!!」

「そうだそうだ、アンコールを頼むよ! アンコール、アンコール、アンコール!!」
「頼むよ! アンコール! アンコール!! アンコール!!!」

〚アンコール! アンコール! アンコール!! アンコール!! アンコール!!! アンコール!!!〛

 1人の観客から[アツクナリスギル!]をアンコールで歌ってくれないかと声が上がる。すると1人、また1人と掛け声は連鎖反応的に広がって行き、遂には会場中の観客達からアンコールの声が上がったのだ。

「あら~会場中の観客からアンコールが上がってますよ。こんなに、声が掛かるなんて嬉しい限りですね。……これは、アンコールに答えないと治まりそうにないですよ。如何でしょう、ここは観客達の期待に答えて、ライブを開催してみては如何でしょうか、穂ノンさん!」

 会場中の観客達から上がったアンコールに答えてライブを開催したらどうかと、ミポリンからの提案が成された。その提案を聞いた穂乃花は暫くの間、考え込んだ後、左隣りに居る友香里と華菜の方に顔を向けてアイコンタクトをして微笑むのだった。
 すると2人は〚良いわよ、アンコールライブをしましょう!〛と穂乃花に語り掛ける。どうやら3人の気持ちは、アンコールライブを行う事で一致した様である。

「皆さん、聞いてください。わたくし達、3人の気持ちはアンコールライブを行う事で一致しました。これより[アツクナリスギル!]を披露致しますわ!」

⦅ウオオオオオオーー!!!⦆

「やったー! アンコールライブが開催されるぞ」
「ビックニュースだ! 待ってましたー穂ノン!」
「また、3人でのライブが見れるよ。愛菜と純奈のコンビネーションが楽しみだな!」

 穂乃花から、アンコールライブを開催すると言う事が伝えられると、一斉に観客達から歓声が上がり、ライブ開催を歓迎する言葉が述べられて、会場内は騒然と成って行く。

「アンコールライブ開催宣言で、凄く会場内が騒然と成っていますね。観客の皆さんの喜んで居る顔が印象的ですよ。これは、楽しみに成って来ました。それでは早速、アンコールライブを始めて貰いましょう。穂ノンさん、ユカリンさん、カナンさん、準備は良いですか?」

〚はい、準備はオッケーです!〛
 3人はニッコリ笑顔を見せながら、ミポリンにスタンバイオッケーの意思表示を見せる。その事を確認したミポリンはマイクに向かい叫んだ。

「どうやら、準備はオッケーの様ですね。それでは、アンコールライブの開催をします。曲はゾンビランド加賀の[アツクナリスギル!]です!」

 ミポリンからの掛け声と共に、ステージ上の立ち位置に付いて行く穂乃花と友香里、華菜。そして、スピーカーから音楽が鳴り響き、アンコールライブが始まった。

⦅トゥルルー♪ トゥルルル♪♪ トゥルルー♪ トゥルルル♪♪ トゥルルー♪ ルルルルー♪♪ ルルルルー♪♪ ルルル♪ ルルル♪⦆←流れる伴奏

「分かり合えづに♪ ケンカしてばかり♪♪ 必死になあっ~ても♪ 振り向いてもくれない事♪ 沢山あり過~ぎて♪♪」←愛花を演じる友香里の声
(雷の音を怖がって、か細い声でフレーズを歌い終わった後に、ステージ上で蹲る愛花)

「プライドが強すぎて♪ 心を乱されて♪♪ 全て~を♪ 放り投げたい♪ 我慢できないの~~♪♪」←純奈を演じる華菜の声

(この間奏の時に、蹲って居る愛花の元に近づき救いの手を差し伸べる純奈)
⦅ドゥルルルル♪ トゥトゥトゥ♪ ドゥドゥドゥ♪♪ ドゥルルルル♪ トゥトゥトゥ♪ ドゥドゥドゥ♪♪ ドゥルルルル♪ ドゥルルルル♪ ルルルル♪♪ ルルルル♪♪⦆

「おお~純奈が愛花に手を差し伸べて勇気づけるシーンまで再現してるぞ!」
「まさか、この感動シーンの再現を試みるとは! アニメを思い出して、涙が出て来たよ~」

「この感動シーンで観客達を虜にして、曲の名前通りアツクナリスギルほどの感動を届けてくれ~穂ノン、ユカリン、カナン!」

 曲の冒頭箇所の、純奈が愛花に手を差し伸べる、有名な感動シーンの演技で観客達の心を鷲掴みにした3人は、その勢いを味方にしてアンコール曲[ アツクナリスギル!]を歌って行く。
 この後も熱い歌声とダンスで観客達を魅了して会場を揺るがすほどの声援を受けながらライブは進んで行き、アンコールライブは大盛況うちに終わりを告げて行く。こうして穂乃花はLOVEフェスタで最高の名誉である、LOVEキングの称号を手に入れたのと同時に、東京で行われる全国大会への切符を手にしたのだった。
 勿論、その影の立て役者には友香里と華菜の力添えが有ったからだと言う声は言うまでもない。おめでとう、穂乃花! これからも、山楽部の部活動と両立させながら、友香里と華菜と一緒に[清流学園コスプレ部]を盛り上げて行ってくださいね。今後も穂乃花のコスプレ活動を期待しながら、見守って行きましょう。

 と言う事で! 清流学園山楽部から離れて、LOVEフェスタに臨んだ穂乃花、友香里、華菜の姿を描いた[清流学園コスプレ部]のお話はこれで終わります。この長い長い゛コスプレ大会゛のお話しを読者様は楽しんで貰えましたか? 
 次回からは本編とも言うべき、゛山のお話゛に戻ります。次に山楽部の面々が訪れる山は、どんな山なのか気に成るところでは有りますが、次回のお話を楽しみに待って居てくださいませ~!!
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