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2日目の修羅場
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あの後、洋一は、いろんなところに出かけていった。晴代を見送ると、神社へ行き、他の猫と戯れた。猫にも格差があるらしく、そこのボスらしき猫を避け、おとなしいグループと日向ぼっこをし、気が済んだら商店街を歩き、そこでいろんな飼い猫と戯れ、家に帰っていった。どうやらミーコは友達が多いらしい。
夢にしてもリアルすぎる夢だなと思ったが、なんだか楽しい夢だった。家に帰り、母さんに足をふいてもらうとご飯をもらい、そそくさと自分の部屋に入った。どうせ今日はもうやることもないと思ったのでベットに入る。いろいろと回ったからだろうかすぐに眠りにつくことができた。
朝起きると洋一は夢から覚めていた。おかしな夢だったなと思い、眠い目をこする。そうだ、今日は試験だ。
急いで支度をし、リビングに行くと、三人ともご飯を食べており、
「おはよう」と声をかけると、
「おはよう」と返事が返ってきた。
いつも通りの朝であったので、ミーコになっていたのは夢だったようだ。それにしては楽しい夢だったなと思って、昨日のことを思い出そうとしたが、時間もないので朝食を食べることにした。
その様子をじっと見ていた晴代が、
「お兄ちゃん、お笑い芸人を目指すのは諦めたの?」と聞いてくるので、
「お笑い芸人になりたいって言ったことあったか?」と言うと、晴代は、
「別に」と言い父さんが、
「進路が決まったら教えてくれればいいからな」とだけ言うといつものように、新聞を開き、それっきり話さなくなる。
母さんが、
「今日は熱はないわよね」と言うので、
「今日はって、昨日だって熱はなかっただろ」と答えると、
「確かにそうだったけど」となんだか腑に落ちない表情で、母さんは答え、続けて
「あんまり無理するんじゃないわよ」と言った。
そんな様子を見た俺は、
「母さんなんか今日変じゃない?なんかあったの?」と聞くと今度は三人がこっちを向いた。だがすぐに元に戻り、父さんが
「勉強を頑張ることも大事だけど、体調を壊すまでやったりするなよ」
と心配そうに言うので、
「大丈夫だよ、今日からバッチリ頑張ってくるよ」と答えると、三人ともいよいよ変な表情になっていった。
その場にいるのが気まずくなった洋一は、ササっと朝食を済ませ、歯を磨くと、行ってきますと学校へ向かって行った。
教室に入り
「おはよ」と静かに声をかけると、皆参考書を見て、ピリピリとした空気が漂っている。
龍平と智明も、
「おはよう」と言うと二人とも参考書を開き、最後の追い込みをかけていった。そうだよな、やっぱみんな試験前だし集中するよなと思い、1時間目の現代文の参考書を開き、洋一も最後の追い込みをかけようとした。
すると龍平が、
「お前、なんで現代文の参考書を開いているわけ」と聞いてきたので、
「何言ってんだ?そりゃ試験前だからに決まってるだろ」と洋一が答えると、
「普通、終わった後に確認するとかならわかるけど、次、現代文じゃないんだから意味なくね」と智明が言う。
よくわかんねぇこと言いだすなと思ったが、チャイムがなり、担任の松下が入ってくる。松下は怒ると手が付けられないが、洋一の話もよく聞いてくれ、進路に関しても親身に相談に乗ってくれるので、信頼できる教員だ。その松下が般若の形相で入ってくる。
こりゃ誰か、赤点でも取ったかと洋一はひそかに思ったが次の瞬間、
「洋一、何だこの答案は!!」と答案を洋一に見せる。答案を見た洋一は
「なん…だよこれ…」とつぶやくと、隣にいた龍平と智明が一緒に覗き込む。そこには名前の欄に『よういち』とひらがなで書かれ、回答欄には動物やら棒人間やら落書きがびっしり埋まっていた。
すると龍平が笑いだし
「おっ前、こんな大事な時なのに、笑いに走ってどうするんだよ、ぶわあっははははは」と爆笑する。智明も顔を下に向けながら笑いをこらえ、
「俺らはそんな笑いに走ることしてないからな」と言う。あまりにもおかしかったのか龍平が腹を抱えて笑い出すと、松下が
「笑い事ではないわ」と龍平を一括する。龍平もまずいと思ったのか、笑いを引っ込め、自分の席に戻っていく。智明も自分の席に戻っていったが自席で笑いをこらえ、下を向いている。
松下が洋一に諭すように、
「お前一体何があった。いくら何でも問題がわからないからってこんなことする奴じゃないだろ」と言うので、洋一は
「そんな…でも…」と言葉にならない言葉を繰り返す。
「とりあえず、今日の試験が終わってから話を聞く、話はそれからだ」と言われ、ハッとし、昨日のアレは夢でなかったのかと思い、あわてて
「俺昨日、飼い猫になってて、夢だと思ってたから、試験のことも覚えていなくて」と言うと、周りは当然ぽかんとする。
松下は、
「何言ってるんだ。昨日だって学校に来てただろう。とにかく後で話を聞くからな、今日はお前の得意科目の理数系だ。気持ちを切り替えていけよ」と言った。
松下はすぐに何事もなかったかのようにホームルームを始めると言い、朝のホームルームがはじまった。
洋一は待てよ待てよ、今日は理数系科目?昨日の回答は誰が書いたんだよ。わからねぇ、マジでどうなってるんだよ?とうろたえ、理数系となれば、何とか試験前に勉強を終わらせているからどうにかできるだろうと考え、とにかく、テスト後に松下と何を話したらいいか考えながらテストを受けることにした。
夢にしてもリアルすぎる夢だなと思ったが、なんだか楽しい夢だった。家に帰り、母さんに足をふいてもらうとご飯をもらい、そそくさと自分の部屋に入った。どうせ今日はもうやることもないと思ったのでベットに入る。いろいろと回ったからだろうかすぐに眠りにつくことができた。
朝起きると洋一は夢から覚めていた。おかしな夢だったなと思い、眠い目をこする。そうだ、今日は試験だ。
急いで支度をし、リビングに行くと、三人ともご飯を食べており、
「おはよう」と声をかけると、
「おはよう」と返事が返ってきた。
いつも通りの朝であったので、ミーコになっていたのは夢だったようだ。それにしては楽しい夢だったなと思って、昨日のことを思い出そうとしたが、時間もないので朝食を食べることにした。
その様子をじっと見ていた晴代が、
「お兄ちゃん、お笑い芸人を目指すのは諦めたの?」と聞いてくるので、
「お笑い芸人になりたいって言ったことあったか?」と言うと、晴代は、
「別に」と言い父さんが、
「進路が決まったら教えてくれればいいからな」とだけ言うといつものように、新聞を開き、それっきり話さなくなる。
母さんが、
「今日は熱はないわよね」と言うので、
「今日はって、昨日だって熱はなかっただろ」と答えると、
「確かにそうだったけど」となんだか腑に落ちない表情で、母さんは答え、続けて
「あんまり無理するんじゃないわよ」と言った。
そんな様子を見た俺は、
「母さんなんか今日変じゃない?なんかあったの?」と聞くと今度は三人がこっちを向いた。だがすぐに元に戻り、父さんが
「勉強を頑張ることも大事だけど、体調を壊すまでやったりするなよ」
と心配そうに言うので、
「大丈夫だよ、今日からバッチリ頑張ってくるよ」と答えると、三人ともいよいよ変な表情になっていった。
その場にいるのが気まずくなった洋一は、ササっと朝食を済ませ、歯を磨くと、行ってきますと学校へ向かって行った。
教室に入り
「おはよ」と静かに声をかけると、皆参考書を見て、ピリピリとした空気が漂っている。
龍平と智明も、
「おはよう」と言うと二人とも参考書を開き、最後の追い込みをかけていった。そうだよな、やっぱみんな試験前だし集中するよなと思い、1時間目の現代文の参考書を開き、洋一も最後の追い込みをかけようとした。
すると龍平が、
「お前、なんで現代文の参考書を開いているわけ」と聞いてきたので、
「何言ってんだ?そりゃ試験前だからに決まってるだろ」と洋一が答えると、
「普通、終わった後に確認するとかならわかるけど、次、現代文じゃないんだから意味なくね」と智明が言う。
よくわかんねぇこと言いだすなと思ったが、チャイムがなり、担任の松下が入ってくる。松下は怒ると手が付けられないが、洋一の話もよく聞いてくれ、進路に関しても親身に相談に乗ってくれるので、信頼できる教員だ。その松下が般若の形相で入ってくる。
こりゃ誰か、赤点でも取ったかと洋一はひそかに思ったが次の瞬間、
「洋一、何だこの答案は!!」と答案を洋一に見せる。答案を見た洋一は
「なん…だよこれ…」とつぶやくと、隣にいた龍平と智明が一緒に覗き込む。そこには名前の欄に『よういち』とひらがなで書かれ、回答欄には動物やら棒人間やら落書きがびっしり埋まっていた。
すると龍平が笑いだし
「おっ前、こんな大事な時なのに、笑いに走ってどうするんだよ、ぶわあっははははは」と爆笑する。智明も顔を下に向けながら笑いをこらえ、
「俺らはそんな笑いに走ることしてないからな」と言う。あまりにもおかしかったのか龍平が腹を抱えて笑い出すと、松下が
「笑い事ではないわ」と龍平を一括する。龍平もまずいと思ったのか、笑いを引っ込め、自分の席に戻っていく。智明も自分の席に戻っていったが自席で笑いをこらえ、下を向いている。
松下が洋一に諭すように、
「お前一体何があった。いくら何でも問題がわからないからってこんなことする奴じゃないだろ」と言うので、洋一は
「そんな…でも…」と言葉にならない言葉を繰り返す。
「とりあえず、今日の試験が終わってから話を聞く、話はそれからだ」と言われ、ハッとし、昨日のアレは夢でなかったのかと思い、あわてて
「俺昨日、飼い猫になってて、夢だと思ってたから、試験のことも覚えていなくて」と言うと、周りは当然ぽかんとする。
松下は、
「何言ってるんだ。昨日だって学校に来てただろう。とにかく後で話を聞くからな、今日はお前の得意科目の理数系だ。気持ちを切り替えていけよ」と言った。
松下はすぐに何事もなかったかのようにホームルームを始めると言い、朝のホームルームがはじまった。
洋一は待てよ待てよ、今日は理数系科目?昨日の回答は誰が書いたんだよ。わからねぇ、マジでどうなってるんだよ?とうろたえ、理数系となれば、何とか試験前に勉強を終わらせているからどうにかできるだろうと考え、とにかく、テスト後に松下と何を話したらいいか考えながらテストを受けることにした。
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