鬼とドラゴン

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森へ

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 火を起こしている二人をよそにアランとヴァンは部屋を詮索していた。
 
 アランが机の最上段の引き出しを開けると、ゴチャゴチャした小物群の中に一枚の写真を発見した。それは木製の写真立てに納められていた。女の子を挟んで二人の男の子が写っている。男の子の方は父親とヴァンの父親であろう。白髪の少年と黒髪の少年は同じ顔をしていた。真ん中にいるのは母親であろうと思われた。ひと昔前まで写真はかなり高価であったので、両親が若い頃の姿を見たのは初めてだった。

「ヴァン」

 ヴァンは部屋の隅に置いてある木箱を物色していたが、アランに呼ばれたので中断した。

「なんか良いものあった?」

「ああ。見ろよ」

 ヴァンに写真立てを差し出す。

「これって……」

「ああ、親父達だろうな」

 ヴァンは初めて父親の姿を見た。

「はは、じいちゃんが言ったとおりだ。全然似てない」

「そうだな。……、なぁ、それ持って帰れよ」

 ヴァンはしばらく考えるそぶりを見せたが、

「いや、やめとくよ。見たくなったらまたここに来たらいい」

 と、言った。

「……そうか。で、そっちは何かあったか?」

「ガラクタばっかりだけど一つだけ宝具(ほうぐ)があったよ」

「へぇ、どんなの?」

 ヴァンが差し出した物は長さ三十センチ程の筒状で表面には幾何学的な文様が刻まれていた。片方の端には青色の宝石のような物がはめ込まれていた。この文様と宝石のような石、魔石と呼ばれるものが宝具全般に見られる特徴だった。宝具は魔法効果を生み出す道具のことで、なかには高値で取引されるものもあり、これらを狙う専門のトレジャーハンターも存在した。

「剣の柄みたいな感じだな。ヴァン使ってみろよ」

 アランはヴァンに宝具を返しながら言う。

「うん、でも僕でも使えるかな?」

「やればわかるさ」

 宝具には相性があり、ものによっては上手く発動できないものもあった。また、発動に必要な最低限の魔法力を有していることも扱うための条件だった。はたして、ヴァンが魔力を込めると筒の先から光る刃のようなものが出現した。込める魔力によって出力が変わるようだ。

「やっぱ剣だな。そのスイッチみたいなのは?」

 ヴァンが見ると確かにスイッチのようなものがあった。押してみると刃の形が変わり丸い棒状になった。

「へぇ、形状変化か。結構良いものかもな。ヴァン貰っとけよ」

「いいのかな?」

「いいに決まってるさ」

「じゃぁ、遠慮なく」

 ヴァンは装着していたヒップバッグに宝具を突っ込んだ。

「ヴァン、兄さんお湯沸いたよ。こっち来て」

 良いタイミングでサクラに呼ばれた。

 
 囲炉裡を中心に四人は座した。サクラがお茶を配る。ヴァンにはサンドイッチが配られた。

「え? 僕だけ? どうして?」

「ヴァンは朝ごはん食べてないでしょ? だから」

「ありがとう。ちょうどお腹空いてたんだ」

 ヴァンはサンドイッチにかぶりつく。本当にお腹が空いていたので勢いよく食べた。途中喉に詰まらせたが、サクラがタイミング良くお茶を渡してくれたので助かった。食べ終わった後、口元についていた食べかすをサクラがハンカチで拭った。

「こらこら、妹よ。あんまり甘やかしてはいかんぞ」

 アランが嗜めるように言う。

「べ、別に甘やかしてなんかないよ。ねぇ、ヴァン?」

「え? う、うん」

 ヴァンはなんでサクラが慌てているのかわからなかったし、なんで同意を求めるのか分からなかったが、とりあえず返事した。

 アランはやれやれという感じでお茶をすすった。このやりとりを見ていたハナがふふふと笑った。


 ティータイムの後はヴァンとアランによる作戦会議が行われた。デスクに地図を広げて次の目的地について話し合うことにした。地図にはいくつか×印が描かれていて、その内のどれかということになった。全てを一日で回ることは不可能だった。

「さぁて、どうしたもんかね?」

「うーん、迷うね……。無難なのは一番近い所だけど、それじゃつまんないよね?」

「だよなぁ」

「じゃぁ、思い切ってここは?」


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